るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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ろくに出番もないのにりーさんがどんどんポンコツになっていく怪奇現象。


第6話 のりもの

コンビニを出発したるーちゃんとゾン子さん。学校目指して意気揚々と出発しました。

徘徊するあいつらも何のその、鼻歌なんて歌いながらてくてく歩いていきます。フレンドは死体ですかみたいな、そんな感じです。正直油断とか慢心とかそんなレベルの所業じゃないのですが、るーちゃんの機嫌がいいので仕方ありません。これを止めようものならどこからともなくやってきたりーねー(ランタン装備)にほうちょうを叩き込まれて即死することは間違いありません。仮にうまくりーねーを止めてもみんなのうらみを買うことは間違いありません。

そんなこんなでしばらくはご機嫌で歩いていたるーちゃんですが、しかし次第にその表情は険しくなっていきます。

ゾン子さんの歩みが思った以上に遅いのです。もあすろうりいです。

こちらに襲い掛かってくるときだけはやたらと俊敏なくせに、普段のゾン子さんのスローリーぶりは中々のものです。

とはいえそれも当然といえば当然の話で、今のゾン子さんはコンビニから持ち出した荷物を全部一人で持たされている状態なのでした。

正直るーちゃんが全部荷物を持って走ればそれだけで済む話なのですが、こういうときは体力を温存するのも重要かなと思ったので現状では却下です。ゾン子さんの抗議の視線など涼しい顔で受け流します。るーちゃんのスルースキルは相変わらずの255、割と酷い子です。

こうなるとゆっくり進んでいく意外にどうしようもありませんが、そうしてちょっとずつ進んでいくのもるーちゃん的にはちょっと嫌です。日が暮れてしまいます。

足の遅さを改善するために放置自転車にゾン子さんをのせてみたりもしましたが、盛大に転倒したのでこれでは駄目そうです。バランス感覚が根本的にいかれているのでしょう。

なのでるーちゃんは車を使うことにしました。幸いなことに車はその辺にいくらでも転がっています。255台くらい使い潰しても誰にも文句は言われません。

適当に路上駐車しているものに近づいて中の様子を見てみると、運転手は車内で亡くなっているようです。所謂事故車両でした。

るーちゃんは運転手さんを手早く投げ飛ばして運転席に座ります。鍵なんて関係ありません。るーちゃんは自動車重窃盗などお手の物なのです。

しかし、なんということでしょう。せっかく車に乗り込んだのに、るーちゃんの身長ではフットペダルをうまく操作できません。

そもそも前もちゃんと見えてるとは言いがたい状態でした。いかに運転技能255(常人40程度。ただし今回は未経験らしく完全にるーちゃんの自称)のるーちゃんでもこれは流石に難しいと言わざるをえません。最悪足が届いてハンドルが切れれば直感255にものをいわせて無理矢理にでも発車するのですが、流石に一般的な車は小学生が運転できるようにはできていないようでした。

無敵と思われたるーちゃんですが、ここにきて身長という思わぬ弱点を突かれた形です。こればっかりは将来に期待するしかありません。牛乳に相談です。

一応身長的にはギリギリどうにかなりそうなゾン子さんを運転席に放り込むのも試してみましたが、彼女の知性ではアクセルとブレーキを判別できずこれも失敗に終わりました(なお放り込む際に抵抗した挙句るーちゃんに噛み付こうとしたため手痛い一撃を叩き込まれており、仮に生前の知性が万全の状態で残っていてもそもそも運転できるコンディションではなかった模様)。

 

困り果てたるーちゃんとゾン子さんですが、ここでるーちゃんは昔のりーねーとの思い出に活路を求めます。

困ったときのお姉さんです。普段まるで頼らないくせにとか言ってはいけません、たまにはこうしておかないと姉の威厳に関わります。あの人拗ねると長いのです。

あれは確かまだるーちゃんが幼稚園児だったころのお話です。

当時無意味に持ち物の耐久性に拘りを見せていたるーちゃんですが、市販の物品ではるーちゃんの求める耐久性はとうてい実現できず、当時のるーちゃんは困って泣いていました。今では考えられない光景ですが、当時のるーちゃんは無駄に凝り性なだけのレベル6園児なので仕方ありません。

そのときに泣いているるーちゃんを見かねたりーねーがあれこれ組み合わせたりなんなり色々と工夫してるーちゃんの満足できるものを作ってくれたのです。当時のりーねーはまだ頼れるお姉ちゃんでした。

「無かったら作ればいいのよ。お姉ちゃんに任せて」なんて言っていた笑顔が思い出されます。

 

よし、作ろう。るーちゃん一念発起です。車を一台作り出すなど今のるーちゃんなら造作もないはずです。

さっそく作業スペースを確保するため近くの民家の駐車場を制圧します。

元住人の方々と元飼い犬さんはあっという間にメイスの錆とゾン子さんのおやつに早変わりしました。押し入ってからわずか数秒、あっという間の出来事でした。

続けて制圧した駐車場の確保をゾン子さんに任せ(押し付け、とも言う)工具類や資材を確保するべくフルスピードで最寄の工具店に突撃します。建物でも電柱でも何でも足場にして猛スピードで突き進むるーちゃんですが、どうも車に無駄に拘るあまりそのまま学校に行くという選択肢はないようです。るーちゃんは割と過程にも拘る子なのです。

到着した店内では肩パッドやトサカ頭の目立ついかにもな人たちがあいつらと争っていましたが、いちいち相手にしている暇はないので店内でフル加速して衝撃波を巻き起こし、纏めて一掃します。るーちゃんは急いでるときには割と容赦しません。

探し物まで纏めて吹き飛び店内はめちゃくちゃですが、るーちゃんのマサイ族すら遥かに上回る優れた目(視力255)は吹き飛んだ店内からでも必要な品々を瞬時に見つけ出します。

あとはそれらを手早く回収して離脱するだけです。積載量255のるーちゃんは多少資材を積みすぎたところでスピードの低下など起こしません。どう考えても最初からこの積載量と速度にものを言わせて目的地に直行した方が早いのですが、たぶん車造りを途中で投げ出すといらんときだけ直感の働くりーねーが拗ねます。もはや手段が目的になってしまっていますがやむを得ません。

見る影もないほど荒らし尽くした店内ではまだ「ま、待て・・・」とか呻いている連中もいますが無視してさっさと出発します。時は金なりたいむいずまねーです。

駐車場へと帰還したるーちゃんはさっそく車を弄繰り回し始めました。

るーちゃんの工作255の技術が振るわれます。流石に一秒で完成とまではいかないようですが、材料確保のために数台バラバラにする程度ならそうかかりません。車の改造程度積み木遊びのようなものです。

途中で手持ち無沙汰になって襲い掛かってきたゾン子さんを投げ飛ばしながら作業する余裕さえあります。

その辺の車解体するだけでは足りないものに関しては、近くのカー用品店や工場まで突撃して確保してきます。カー用品店は店ごとひっくり返され、工場は丸ごと解体されていきます。

るーちゃんのあまりの手際の良さにカー用品店も工場もあっという間に廃墟以下の残骸に早変わりです。わずか数分の出来事でした。

ここまでくれば資材は十分、後は改造を終えるだけです。

るーちゃんの目がキラリと光りました。




後日、学園生活部部室にて

「りーさん、その格好はなんだ?」
「トンベリ」
(だからなんでとんべりーさんなんだって聞いてるんだよ・・・・・・)

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