るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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まだ二日目の午前なんですよね。高校は遠いのです。

正直全力疾走したらすぐとか言っちゃダメ、るーちゃんとのおやくそくだよ。


第5話 かくにん

さあ、るーちゃんの出張授業、inコンビニが始まります。

まずるーちゃんは、あいつらはどのようにして周囲を確認しているのか、ということから確かめていくことにしました。このあたりをよく理解しておけば、見つからずにやりすごしたりできるかもしれません。

とりあえず突っ立っているこの状況でゾン子さんに認識されているので、黙っていればやり過ごせるわけではなさそうです。

まずるーちゃんはその自慢のスピードを発揮して一瞬にしてゾン子さんの背後に回ります。

瞬きすら上回るるーちゃんのスピードをゾン子さんが捕捉できるはずもなく、彼女はクエスチョンマークを浮かべて棒立ちです。むしろこれを捕捉しきれるほうが問題だと断言できる速度が出ていたため、これでは何の実験にもなりませんでした。

見失われたるーちゃんが仕方なく軽くメイスでつついてあげたら振り向いたのでとりあえず触覚は機能しているようだということはわかりました。

るーちゃんが軽く左右に動いてもちゃんと追従してきます。鈍いだけで一応視力はあるようです。

ならばとるーちゃんは左右移動のステップを少しずつ速めていきます。そのうちゾン子さんの瞳に映るるーちゃんの姿はぶれ始め、2人、3人と分身していきます。

なお、最大255人いるようにみせることが可能であるとはるーちゃん本人の談、きっとりーさんにとっては天国です。

いきなり分身していく幼女を前に、ゾン子さんフリーズです。どうしたらいいのかわからなくなってしまったようでした。

るーちゃんも分身に飽きてきたため、さっさと次に進むことにしました。あいつらは理解を超えた光景を目の当たりにすると固まってしまうということがわかっただけ大きな収穫です。

 

その後もゾン子さんは聴覚検査(常人には決して届かぬるーちゃんの発音可能音域は一部で人類の可聴域を超えてしまっていたため正確な測定は不能)で逃げ回るるーちゃんを音を頼りに追い回して散々店内を歩き回らされたり、反射神経の確認と称したるーちゃんの商品投擲(投擲技能255。ストラックアウトのパーフェクトレベルで120超える程度)の雨に曝されたり、体力測定という名目で目にも留まらぬ速度でメイスを振り回するーちゃんに追い回されたり(店の外に逃げ出すことは許されない鬼畜仕様である)、耐久性調査といわれて無理矢理(本当に無理矢理)正座させられた挙句店内の雑誌という雑誌を膝に積み上げられたり、攻撃力の限界を知ると言い出したるーちゃんによって素手でプリンターを破壊する羽目になったり(無論やらねばやられる)と散々な目にあわされました。

ゾン子さんには実験に付き合う義理など全く無いため隙あらばるーちゃんを食べようとしていたのですが、僅かでも逆らおうものなら手加減スキル255のるーちゃんによってかろうじて実験に支障が出ない程度にボコボコにされます。

やっとのことでプリンターを損壊させる頃には、知性も理性も失ったゾン子さんであっても、るーちゃんに逆らうのはマズイということを学習することは十分に可能でした。本能に恐怖を刻み込まれたとも言います。暴君るーちゃんです。がおー。

 

そうこう実験を続け、るーちゃんがあいつら(というよりゾン子さん)のだいたいの性能を理解するころには既にお昼になっていました。

どうやらお昼ご飯もコンビニで調達することになりそうです。

今日のお昼はパスタな気分だったので、るーちゃんはそれをレジまで持っていきました。飲み物は午後なお茶をチョイスです。

既にレジ打ちをまかせていたテレビ君は店を出て行ってしまったし、怪我人さんの頭は見事に潰れていたため、るーちゃんの視線は自然とゾン子さんに向きました。

こうなると焦りだすのはゾン子さんです。彼女にレジを操作するだけの知能はありません。生前であれば余裕でできた行動なのですが、今の彼女はただのリビングデッドです。無理があります。

しかしるーちゃんの視線は明らかにゾン子さんに向いています。無言の圧力です。威圧感255です。ドドドドドとかゴゴゴゴゴとかそんな感じです。

これを無視し続けたら最後、店舗ごと投げ飛ばされて少し遠くに見えるビルに着弾する羽目になったとして何の不思議もありません。目の前の 天使(あくま)のような幼女はそのくらいは軽くやってのけます。

圧力に屈したゾン子さんはとりあえずレジに立ち、操作こそよくわからないもののおぼろげな生前の記憶を必死に思い出しどうにかお金を受け取ってレジに置きました。命の危機ともなれば消失したはずの知性でも機能することがある、生命の神秘を感じることができます。

厳密にはレジの操作なんて全くできていないのですが、とりあえずるーちゃんが納得しているからセーフです。どうにか生き残ることができました。

お昼ご飯を食べ終えたるーちゃんは、空腹を訴えて再び襲い掛かってきたゾン子さんを腹ごなしの運動代わりに叩きのめし、怪我人さん(元)の腕を取り外すとゾン子さんの口に突っこんでおきました。優しいるーちゃんはゾン子さんの食事も考えていたのです。

ゾン子さんが心底嫌そうに同胞の残骸を咀嚼していますがきっと気のせいです。

仮に気のせいでなくてもるーちゃんのポリシーは好き嫌いはよくない、なので無駄です。なんでも残さずぜんぶ食べるのがいちばんえらいのです。

後はコンビニでいくつか買い物を済ませ(ゾン子さん決死のレジ打ち再びである)、全ての用事を終えるといよいよるーちゃん出発です。

思った以上に時間がかかったからか、外にはそんなに多くのあいつらはいないようです。テレビ君や彼に群がっていた群れの姿もないようでした。

左右を確認して軽く伸びをしたるーちゃんは、ゾン子さんを伴ってコンビニを発つのでした。相も変わらず目指すはがっこう、れっつごーです。




ゾン子さん今回の一言
「グオオオオオオオオオオッ!?(私、コンビニに残っちゃ駄目なんですかー?)」

るーちゃん今回の一言
煩いと晩御飯にしちゃうゾ、にへ

りーねー今回の一言
「るぅーちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

「りーさんは何で飛び跳ねてるんだ?」
「こんな状況だ、無理もないさ。・・・・・・可哀想にな」

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