るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

44 / 46
何の進展も無くるーちゃんが暴れてるだけの回。いつも通りとも言う。


第35話 ぺっとしょっぷ

犬用のリードならペットショップにでも行けば転がってるだろうと判断したるーちゃん。ラ・ネージュの餌を買っていたお店を目指して街中を進んでいきます。後ろをおっかなびっくりついてくるみっきーとは貫禄が違います。余裕255です。

途中で真昼間から学校にも行かずにうろつくるーちゃんを補導せんとするかのように元警察官のあいつらが立ちはだかりましたが、みっきーが身構えるころにはるーちゃんによって組み伏せられ、装備を奪い尽くされ、近くのマンホールから下水調査へと送り込まれて退場してしまいました。相変わらずの早業です。

「なんか、あの子見てると身構えるだけ無駄なような気も・・・・・・ううん、油断大敵、しっかりしてないと・・・」

無駄でしたのー、と言ってのけるほどるーちゃんも鬼ではありませんし、自分の身を自分で守れるようにするのは大事なことです。がんばれみっきーと密かに心中で応援してあげます。るーちゃんはやる気のある子は嫌いじゃないのです。

 

「……なんか、めちゃくちゃになってるけど…ここに入るの?」

ペットショップまでやってきたるーちゃんですが、案の定お店は滅茶苦茶に荒らされていました。あいつらがやったのかモヒカン軍団が暴れたのかまでは判りませんが、みっきーがどん引きするレベルで廃墟感を漂わせているのは間違いありません。

すごく入りたくなさそうにしているみっきーですが、中を確認しないことにはこんなところまでとことこ出向いてきた意味がありません。さっさと来なさいと手招きしながら、るーちゃんは店内へと足を踏み入れていきました。

 

店内は中々に薄暗く、棚という棚は倒れ、水槽では無数の魚たちがぷかぷかとその腹を晒し、ケージの中やレジの裏手では得体の知れない何かがたくさん蠢いていました。ゲームなんかに出てくる悪い魔法使いの隠れ家みたいだなぁ、とるーちゃんはちょっぴり面白がっていたようですが、後ろのみっきーは流石にこんな光景まで楽しむ余裕は無いようで、ものすごく不快そうな表情をしていました。今すぐにでも帰りたいって顔に書いてあります。

「・・・早く買い物を済ませて帰ろう。ここ、臭いとか酷いし」

病気になりそうだよ、こんなの。とみっきーがぼやいているので周囲を見渡すのもそこそこにるーちゃんは犬用リードを探し始めます。どこもかしこもひっくり返されて荒れているので、掃除と整理整頓を兼ねながらの作業です。清掃技能MAX(255)のるーちゃんによって手頃な棚が猛烈な勢いで復旧していきます。

「魚の餌は太郎丸には関係ないと思うんだけど・・・」

気にしちゃダメなのですよー。

 

 

るーちゃんはばたばたと店内の整頓を始めてしまったようだった。何も全部しっかり片付けなくても探し物だけ見つけて帰ればいいんじゃないかなと思うんだけど、ここまで真剣そうにやられると止めるのもなんだか可哀想な気もするし・・・。難しい、むむ。

手伝おうかなとも思ったんだけど、手元の動きが早すぎて何やってるのかわからないし、何かの拍子にるーちゃんの横スライドに巻き込まれたらきっとあいつらみたいにどこかに吹き飛ばされてしまうに違いない。

・・・私は私でリード探そうかな。せっかく二人いるんだし、分担作業した方が効率いいよね、きっと。

るーちゃんが弄っていないあたりをちょっと確認してみる。・・・どうやらこのあたりは鳥の餌らしい。鳥さん用にちょっと持って帰ろうかな、と思っていくつか持ち上げる。るーちゃんなら荷物が多少増えても全部持っていけるだろうし。

なんか一瞬荷物の影から何か飛び出してきたり、るーちゃんが私のとこまでぶっ飛んで来てたりした気がするけど、振り向いたら普通に作業してたからきっと気のせいだよね。まさかあいつらがこんな荷物の影から襲い掛かってくるわけないし、あいつらが襲い掛かってきたりしない限り作業中のるーちゃんが私のところにすっ飛んでくる理由はないはずだし。・・・・・・いや、悪戯しに来てる可能性も? ・・・ないよね?

ちらちらとるーちゃんの方を見ながら物資を漁る。何か悪戯してないかなと思っていたけど、こう見ているとときどき瞬間移動みたいなスピードで動いているのは間違いないみたい。何をやってるのかは全く見えないけど・・・。

 

 

そんなこんなで掃除を進めるるーちゃん。商品で遊んだり時折物陰からるーちゃんやみっきーに襲い掛かってくるネズミ(商品ではなく下水道原産と思われる)を水槽に放り込んだりしながらの作業ですが、たぶん店内の半分くらいは片付いてます。

途中で猫用リードを見つけたのでとりあえずみっきーに装備です。これで逸れることはありません。

「なんで人に付けちゃうかなぁ・・・・・・」

そこに猫がいないからです。奥のほうにはいると思いますが、そっちまで行くのを大人しく待っているるーちゃんではありません。基本的にるーちゃんはスピード狂です。

と、おふざけを織り交ぜながら清掃を行っていたるーちゃんがぴたりと静止しました。気配察知255の鋭敏な感覚が、店内を蠢く無数の影達の動きを察知したようです。るーちゃんは手頃な缶詰を2,3個拾い上げると、みっきーに包囲されたと伝えます。

「え・・・囲まれた?」

みっきーが状況を把握すると同時に前後から挟み撃ちにせんと小型犬が迫ります。目を血走らせた血塗れのポメラニアンとか中々のホラー感、それなりに高いクオリティの仕上がりですが、るーちゃん的には可愛くないのでアウトです。みっきー側から来た個体には缶詰を全力投球し、自分側へ迫る片割れにはアジアアロワナの亡骸が詰まったゴミ袋を叩きつけます。生臭さで死んでしまえという慈悲の欠片もない攻撃です。慈愛0です。

突撃した二匹の断末魔を合図に店中の生物がるーちゃん達へと殺到してきます。犬、猫、鼬、兎といった哺乳類だけでなく、少数ですが蛇なんかも扱っていたようで中々の戦力です。当然そのほとんど全てが感染しているため、一撃でも攻撃を受ければるーちゃん達はおだぶつです(るーちゃんの肌をあいつらの牙が貫ければの話ですが)。

そんな絶体絶命のピンチに陥ったるーちゃん。最初に突っこんできた犬の首を掴み取ると二番手の個体へと叩きつけます。次の瞬間には衝突した2体はるーちゃんに蹴り飛ばされて逆側からくる猫たちを直撃。衝撃によって骨の折れる音が軽快に鳴り響きます。

続けて近場の棚から爪とぎ防止シート(未開封品)を掴み取ると迫り来る兎を切り払い、返す刀で蛇を打ち落とします。そのまま開封して広げたシートで3匹の犬を受け止めるとそのまま未整理の棚へと受け流し、回し蹴りを叩き込んで潰してしまいます。あまりの蹴りの速度に副産物として発生した衝撃波が追撃を狙ったフェレットをあっさりと引き裂きます。かまいたち255というよくわからない技能が相手も鼬だった故に発揮されたようです。

みっきーの背後から迫っていた連中には打ち落とした蛇を鞭のように使って対応します。ついでのようにみっきーも2,3発引っ叩いたような気もしますが抗議の声は上がらなかったので特に問題はないはずです。蹲って悶絶してるみっきーなんて見えません。遠巻きに様子を見て攻めかかるタイミングを窺っていた個体に蛇鞭で叩き落としたやつらを投げつけてフィニッシュです。乱戦にも強いるーちゃんはコンボを途切れさせることはありません。流れるように全員殲滅してみせます。

 

「わぅーん!?(奴め、本当に小学生か!?)」

「にゃーぁ(学校にも行かずに遊びまわっているにしては、えらく芸達者な奴よのぅ)」

 

いつの間にかギャラリーが発生しているようですが、特に感染している様子はないのでスルーしておきます。どうせ食料調達に来た犬猫の集団です。再び遠足やら旅行やらが企画されでもしない限り縁はありません。

 

 

大量に発生した元商品達の亡骸を廃棄し、ギャラリーたちには適当に餌を渡してお帰り願ったるーちゃん。太郎丸に似合いそうなリードもどこからか無事に発見し、後はレジで会計を済ませるだけです。こんなこともあろうかとレジ近辺にいた人間あいつらはとっておきました。るーちゃんは実に用意周到です。

「いや、そんなに頑なに会計がしたいなら私がやるけど」

 

大量に発生した元商品達の亡骸を廃棄し、ギャラリーたちには適当に餌を渡してお帰り願ったるーちゃん。太郎丸に似合いそうなリードもどこからか無事に発見し、後はレジで会計を済ませるだけです。こんなこともあろうかとみっきーがレジを操作する邪魔になりそうな近辺の人間あいつらの命はとっておきました。るーちゃんは実に用意周到です。

「二回目!?」

いいからさっさとやるのですよー。そろそろお昼も近いと気付いてしまったるーちゃん。お昼ごはんが冷めるまでに学校へと戻れなければりーねーのお説教が待っています。一日に何度もお説教されたくはないるーちゃんとしてはさっさと戻りたいところなのです。

「ちょっと待ってね・・・えーと・・・・・・」

るーちゃんもさっさと小銭を出して準備万端です。小銭を出せーとかするのは小物のすることだとるーちゃん思うのです。

「・・・動かないんだけど、電気がきてないのかな?」

バカなッ!?

 

その日の巡ヶ丘では、リードの先を掴んだまま微動だにしない幼女を必死で引き摺って歩く女子高生の姿が目撃されたという。

 




首輪つきみーくんから漂う犯罪臭。なおるーちゃんに悪意はない模様。


がっこう居残り組
「新人にるーちゃんを取られるっ!!!」
「りーさん、どうどう。落ち着こうなー」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。