バリケードを乗り越えてそのまま一階までやってきたるーちゃんとリーダーさん。さっそく周囲の元生徒さんが群がってきますが、ツインテシャベルと化しているるーちゃんの敵ではありません。シャベル技能255(塹壕戦熟練兵50)のるーちゃんがシャベルを一振りすればあいつらの首の10や20はあっという間に胴体に別れを告げて宙を舞います。飛び散る生首によってかなり盛大に廊下を散らかしてしまっていますがどうせ一階は安全圏ではないので誰にも怒られません。やりたい放題です。
調子に乗ったるーちゃんは槍投げでもするかのように投擲体制に入り、思い切りしゃべるをぶん投げます。尋常ではない勢いで発射されたシャベルは次々とあいつらの心臓を貫いて廊下の奥へと消えていきました。あきらかに物理法則を無視した超軌道に見とれていたリーダーさんがいつの間にか包囲されつつありますがるーちゃん気付かず無双中です。撃破数3ケタ目指して大暴れです。
「ちょっ、るーちゃん、助けて!囲まれてる、囲まれてるから!」
普通に考えたらこの状況で子供に助けを求めるとか情けないことこの上ないのですが、相手はるーちゃんなのでリーダーさんも気にしません。あれはるーちゃんという独自のカテゴリーであり幼女ではないのです。
仕方が無いからそろそろ助けてあげようかなんてるーちゃんが思い始めたころ、ちょっと離れたところから次々とボールやライトが飛来し、リーダーさん包囲陣に次々と着弾していきました。何奴!とるーちゃんぐるりとそちらを振り向きます。包囲に参加していたあいつらがボールとかに気を取られて隙をさらしたためリーダーさんもどうにかこっちへやってきます。
「聞こえるか、こちらへ逃げ込め!」
ボール攻撃の第2陣が飛来すると同時に、声も聞こえてきました。リーダーさんはこれ幸いとるーちゃんを抱えてそちらへ全力疾走します。ボールに釣られてどっか行きそうなるーちゃんをきっちり持っていくあたり対応が手馴れています。
逃げ込んだ先には半開きのシャッターがあり、一人の女子生徒がるーちゃん達を出迎えました。こっちこっちと手招きをして、中へ入っていくのに続き、るーちゃんとリーダーさんもシャッターの奥へと進んでいきました。
シャッター内部はいつだったか見た地下区画だったようで、るーちゃんが色々(深く考えずに)薬を打ち込んでいった女性もここにいました。るーちゃんがお久しぶりのるーちゃんですよーとご挨拶しますが、相手は当然ですが全く覚えていないようで、疑問符を浮かべて首を傾げていました。なんだこいつあざといとか思っているるーちゃんですが、正直人の事は言えないと思います。
結局初対面同然だったので、るーちゃんはるーちゃんですよーと自己紹介です。リーダーさんはとりあえず荷物持ちの一言で片付けておきました。「たまには自分で言わせてくれないかな・・・」とか言ってますが、名前的な意味でそういうわけにもいきません。るーちゃんはメタ思考もばっちり完備しています。
「まあ、そこはツッコムと面倒そうだから適当に流すとして・・・私は柚村貴依だ。友人達はみんな『きー』ってよぶけど『たかえ』だからな、間違えるなよ」
るーちゃん『きー』で覚えました、さっそくきーさんと呼んでみます。
「待て、やめろ。間違えて覚えるな」
知りません。
るーちゃんはそんな内容で言い争う気はありません。さっさともう片方に興味が移ってます。
「私は佐倉慈です。見てのとおり、この学校の教師です」
見てのとおり?とるーちゃん首を傾げました。しかしたったそれだけで目の前の自称教師は轟沈してしまいました。るーちゃんの手にかかれば瞬殺です。
「いや、瞬殺してどーすんだ」
その場の思いつきで行動するるーちゃんに理由なんて聞いても無駄です。るーちゃんが真面目にやってるのなんて非常事態のときだけです。一般的には現在進行形で異常事態ですが、残念ながら既にるーちゃんはこの事態に飽きているため適当です。
あれから、二組の生存者たちはお互いの状況を語り合っていました。
「というわけで、下から聞こえる走り回る足音を探りに来たというわけなんだ」
「ああ、それ多分私だわ。足が動くか確かめるついでにポニテ追い回してた」
きーさんはでんじゃらす、るーちゃん覚えましたし。
この人足怪我してるのに何も気にせず平然と鉄パイプ振り回して走り回っていたそうです。絶賛リミッター解除中か、でなければとっくに感染してるのでしょう。るーちゃんは気にするのをやめました、どうせ大事にはなりません。
「・・・じゃあ、学園生活部のみんなは無事なんですね!」
「えーと、まあ、一応・・・無事、なのかな?」
そうこうしていると自称教師のめぐみはリーダーさんに詰め寄っていました。学園生活部という単語はどこかでゆきが言っていた気がしないでもないので、るーちゃんの中でこの先生=ゆきの同類という方程式が完成しました。るーちゃんの中では先生も幼女にカテゴライズです。
なお、頭を撫でたら泣かれました。なぜ・・・・・・。
「貴依さん、るーちゃんが苛める、しくしく・・・」
「まあまあ、子供のしたことじゃないか、センセー」
それでもるーちゃんは悪くない。
一通り話を終えた一行は、地下を脱して上にいる仲間達と合流することにしました。しかしきーさんは足を怪我しているし、めぐみはみるからにスローリーそうです。これでは無事に三階まで生き残れるか怪しいところです。道中を完全に掃除してしまう手もありますが、リーダーさんはるーちゃんに仕事してもらう切り札だった飴玉をとうとう使いきってしまったようでそうもいきません。
どうしたものかとリーダーさんが考えていると、るーちゃんはおもむろにめぐみに近づくと、ひょいと持ち上げて校舎を出ていきました。そのまま跳躍255を活かして飛び上がると、悲鳴をあげるめぐみを屋上にダンクシュートです。それなり以上にダメージがあったようで、「ぐへっ」とか若い女性があげちゃいけないような声が出てた気がしますが死ぬよりはマシなのできっと許してくれるでしょう。
そのまま残る二人へ向き直るるーちゃん、効率よく全員屋上送りにしようと迫っていきます。しかし当然ながらリーダーさんもきーさんも全力で拒否する姿勢を見せています。とうとう二人はるーちゃんから逃げ出し、道中の生徒を蹴散らしながら階段目指して疾走していきます。あれならぜんぜん余裕そうだなと判断したるーちゃんはリーダーさんの背中目掛けて『夕飯までには帰ります』と書かれたメモを投げつけると、保健室のベッドを拝借してのんびりお昼寝を始めるのでした。
めぐねえに多少の被害がありましたが、一応無事に地下組と合流できたようです。
学校だと好き放題破壊するわけにもいかないからどうしても被害が人間に集中してしまいますが拠点での行い故致し方無しです。
合流した学園生活部
「きー!無事だったのか!」
「無事なように見えるか!幼女が追って来るんだぞ!」
「・・・・・・ああ、あいつか」
「め、めぐねえ!ひどい、いったい誰がこんなことを・・・」
書きかけのダイイングメッセージが残っている。
犯人はr-
「屋上だし、rだし・・・まさか、犯人はりーさん!?」
「違うわよっ!」