るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

17 / 46
はたしてりーさんは退場を回避できるのか?
怒ったるーちゃんのやらかしタイムを止められる人はいるのでしょうか・・・。


第14話 おしおき

学園生活部の部室は形容しがたい嫌な空気に包まれていました。

部屋の中心にはぐるぐると縛り上げられたりーねーが吊り下げられ、周囲を囲む怪しげなローブ(音楽室のカーテンを拝借した)に身を包んだるーちゃんの群れがぶつぶつと何かを呟いています。森ねずみー、森ねずみー。さっきまでサッカーやってた分身の使いまわしですが一切消耗した様子はありません。

部屋の中には資源の消費など知らぬと言わんばかりに大量の蝋燭が設置され、どこから持ち込んだのか山羊の頭骨やら水晶玉やらがそこかしこに転がっています。

床には掃除する人の事など一切考慮していない複雑かつ大規模な魔方陣が描かれ、拘束された鳩がばたばたともがいています。

後は鳩諸共りーねーを生贄に捧げれば悪魔でも何でも出てきそうな雰囲気はばっちりです。

さあ、そんな異様な光景を見たツインテシャベルさん、SANチェックお願いします。

「・・・・・・・・・・・・片付けろ」

激おこでした。

 

掃除も255な感じで大得意なるーちゃん。あっという間にぶら下がりーねー以外は片付け、部室は新築同然です。誰がここまでやれと言ったレベルのぴかぴか具合にツインテシャベルさん(くるみと言うらしい)もびっくり仰天です。ぶら下がったままのりーさんの救助すら忘れている始末でした。

続けてるーちゃんは窓から外へと飛び出すと、巨大な釜を抱えて帰ってきました。今度は茹でる気満々です。

「・・・・・・それも却下」

くるみさんも容赦なくばっさりいきます。

るーちゃんは軽く舌打ちすると釜を外へと投擲。ようやくゴールから這い出てきたあいつらに直撃して再びゴールへ叩き込みました。今回に関しては通行の邪魔すらしていない彼らは完全に被害者なのですが、同情するものはいない辺りきっとみんなの心は荒んでます。余裕があるのはるーちゃんただ一人です。

 

ならばと大きな釘を取り出したるーちゃん。しかし金槌を取り出して、まずは親指からーなんて考えていたせいか、くるみさんが慌てて釘を没収します。なぜわかった的な表情でるーちゃんが佇んでいたら、「くけけけけなんてやってたらすぐわかるぞ」と言われました。るーちゃん無意識のうちに昭和の田舎な気分だったようです。

その後も医療用メス(くるみさんが窓から投擲した)、熱々のおでん(勿体無いと言い出したくるみさんに没収された)、鼠花火(くるみさんに火遊びを怒られた)、生きた蛸(くるみさんがギャーギャー騒いでるうちに器用にドアを開けどこかへ逃げていった)などなどあれこれ取り出すたびにくるみさんの執拗な妨害が入り、ことごとく不発に終わってしまいます。時間ばかりが無駄に過ぎていきました・・・。

 

「というか、とりあえずりーさんを降ろさないか?いつまで吊るしてるんだよ・・・」

そうは言われてもるーちゃんまだ何もしていません。超不満そうに頬を膨らませています。

降ろしたりーねーを屋上まで引き摺っていくと、そのまま投擲の体勢にはいります。くるみさんが待て待て待て待て言ってますが、このくらいはしないとりーねーも思い出さないとるーちゃんは考えています。時には荒療治も必要なのです。一応パラシュート(ただしるーちゃんお手製)は背負わせていますし、何も問題ありません。

「いや、縛られてたらパラシュートひらけないだろ。やめてさしあげろ頼むから」

るーちゃんだったら空中で縄抜けできるので余裕なのですが、確かにくるみさんの言うことももっともです。パラシュート展開要員として、るーちゃんもりーねーの背中にセッティングされました。二人仲良く空の旅を満喫し、姉妹の絆を取り戻そうという筋書きです。

流石に自分自身ごとりーねーを投擲するのも何か変なため(できないとは言わないのがるーちゃんクオリティ)若狭姉妹射出用に大型の投石機も設置してさあ準備万端です。後はくるみさんがストッパーを外せば姉妹仲良くお空の星というわけです。るーちゃんは期待の眼差しをくるみさんに向けます。

しかしそんな目で見られてもくるみさん大困惑です。「え、私が撃つのかよこれ!?」とか言いながら周囲を跳ね回り中々のテンパりぶりを見せています。りーねーが「跳ねてる暇があったら私を助けろ脳筋」的な怨めしさMAXな視線を向けてますがテンパりすぎて完全無視です。まるで気付く様子がありません。

 

そんなとき、屋上の扉が勢いよく開き、何者かがすごい勢いで飛び出してきました。奇妙な帽子が特徴的な小柄な女性さんのようです。「くるみちゃあああああああああん!部室が、部室が凄いことになってるよーっ!!」なんて叫びながらくるみさん目掛けて飛び込んできます。あまりの勢いに二人は揃って転倒、その勢いで投石機のストッパーは外れてしまいました。

「あ」

というのは誰の台詞だったのでしょう。りーねーとるーちゃんは帽子さんなど比較にならないようなものすごい勢いで屋上から発射され、空の彼方へ行ってしまいました。屋上の二人は呆然と空飛ぶ姉妹を見送っています。状況がいまいちよく理解できていないようでした。

るーちゃんは屋上に向かって軽く手を振ると、手早くパラシュートを開く準備を始めました。

流石に絶叫マシーン過ぎたのか、りーねーは泡吹いて意識不明の重体なので頼れるのは自分だけです。仲良く空の旅とはなんだったのか。

無事にパラシュートを展開したるーちゃんは、仕方ないので一人で空の旅を楽しむことにしたのでした。

 

 

「おいおいどうすんだ、りーさん飛んでっちまったぞ!」

「え?なんでそんなことになってたの!?」

「りーさんが妹を怒らせたらしい」

「妹ちゃん来てたんだ・・・というかりーさんリアルお姉さん!?」

「なんだかわけのわからんやつだったけどな」

「面白い子なんだね!」

「うん、まあ・・・面白い、のか・・・・・・?」

屋上組はぐだぐだ喋っていて頼りにならないぞ、頑張れりーさん。

 




あとがき
少ない出番でもきっちりやらかしていくゆきちゃんは賑やかし要員の鑑。

りーさん視点:わけのわからない子供が襲ってくる、やばい
るーちゃん視点:妹を忘れ去っていなさった、ひどい
どちらにとっても理不尽な話です。


そのころの荷物持ち共、バリケード前にて
「あいつら、何か忘れてたりしないかねぇ・・・・・・」
「グオオォォォ・・・・・・」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。