るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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モールでは質や量で頑張ってるーちゃんを追い込もうキャンペーンを実施中。今回は量編。なお結果はやる前からわかってる模様。


第9話 りーだー

はぐれたゾン子さんや、少なくとも一人はいるらしい他の生存者を探すべくモールの奥へと進むるーちゃん。とりあえず目指す先は本屋です。

道中にはあいつらもいないでもないのですが、老婆級のがそうそういるはずもなくるーちゃんのデコピンだけであっさり吹き飛んでいきます。

だんだん相手をするのが面倒になってきたるーちゃんは、近くの店に防犯ブザーを探しに入りました。変な生物やグーマくん、巡ヶ丘のご当地ヒーローなど様々な形をしたブザーをいくつか手に取り店から持ち出します。

本来ならこんな状況での防犯ブザーの使い方は、関係なさそうな方向めがけて投擲してそちらに注意を向けさせる囮としての使用が普通なのですが、るーちゃん何を思ったか手に持ったまま鳴らし始めました。

当然みんなるーちゃん目掛けて群がってきます。さあ大変です。

と、十分にあいつらが集まったところでるーちゃんはブザーを止め、どこかで聞いたようなスリラーな曲を歌い始めます。歌唱力も振り付けも255のるーちゃんを前に、思わず集まったあいつらも動きを止め、見入り、聞き入り、しまいには踊りだします。抗う術などありません、たちまち全員るーちゃんのバックダンサーと化してしまいました。ああ、僅かな記憶の残滓すら残っていなければ襲い掛かれるのに、頭の片隅にこびりついたイメージがそれを許しません。一糸乱れぬダンスを披露します。音を聞きつけて様子を見に来たのであろう生存者がその光景を見て絶句していますが、やってしまったものは仕方ありません。人生楽しんだもの勝ちなのです。いつの間にかやってきていたらしいゾン子さんも何故か絶句サイドですが、きっと世代じゃなかったのでしょう。実にもったいないことです。

 

その後もしばらく即席ライブを楽しんだるーちゃん軍団はスタッフに仕立て上げられたゾン子さんの誘導で一階へと消え、るーちゃんはドン引きしながら観客していた生存者の青年と対峙します。彼の「なんだこいつ・・・?」的な視線が突き刺さります。

とりあえずるーちゃんは自分は怪しいものではありませんよー、と伝えることにしました。どう考えても手遅れな気がしますが、るーちゃんのSpeechは255、最大値100など関係ありません。無難にるーちゃんですよー、という情報を相手に伝えます。

青年はそもそもるーちゃんて何だよと思いましたが、とりあえず理不尽な生き物だと解釈して思考停止しました。

強引に怪しいものではこざいませんしたるーちゃんは、彼が現在モールで生き残っているグループの総大将で、リーダーと呼ばれていることを聞き出しました(相変わらず本名は聞き流しました)。どうやらこのモールにはそれなりに生存者がいるようです。

リーダーさんはるーちゃんを拠点に誘いましたが、ここで誰か忘れてないかといわんばかりの呻き声が聞こえてきます。考えてみればゾン子さんもいたのでした。

ゾン子さんを見たリーダさんが慌てて武器を構えます。しかしるーちゃんのお供ですと伝えると、しばらく「は?」となっていましたが、目の前の幼女に常識は通じないと悟って渋々ながら武器を下ろしました。どうやらリーダーさんはこの短時間でるーちゃんの理不尽さに適応しつつあるようです。るーちゃんほどではありませんが素晴らしい適応力です。

 

一行はリーダーさんの案内で生存者の拠点を目指します。道中でるーちゃんはちょっとした小道具を拾ったり、本屋に寄って漫画を回収したりしながら進みます。リーダーさんがしきりに「でも、やっぱりこいつはまずいよなぁ・・・」と言いながらゾン子さんを見ているため、ゾン子さんをごまかすための手段も確保しておく必要がありそうです。

とりあえずるーちゃんはゾン子さんにその辺に転がってたバケツを被せてみました。顔は隠せるし、即座に噛み付く心配も無くなりましたが、視界を遮られたゾン子さんはいつも以上にふらふらと動いた挙句に転倒しました。このプランは失敗です。

一応るーちゃん自身も手本を見せるためバケツを被って歩いてみましたが、視界を封じられた程度では大した影響も受けずに行動することができるるーちゃんでは全く参考になりません。バケツ頭の謎のマスコットが誕生しただけでした。

続けて傷や血の気の無さを誤魔化すためにやたらと厚着させてみましたが、呻き声をあげながらマネキンを齧っていたらいくら外面を取り繕っても無駄です。このプランも失敗です。

最終的にフード付きコートとホッケーマスクで顔も身体も覆い隠し、噛み付きも防止しましたが、下手をしなくてもあいつら以上にヤバそうな見た目の不審者が出来上がってしまいました。これならそこら辺にたくさんうろついてて見慣れているだけあいつらの方がマシです。

こうなってしまうともう誤魔化しようがないので、ゾン子さんが余計なことをしないことを祈るばかりです。

 

生存者達が立てこもる拠点へとやってきた一行ですが、案の定ゾン子さんを恐れる生存者達は迎撃の体制に入りました。

ならばとるーちゃんも相手を威嚇します。頬を膨らませて両手を振り回するーちゃんの可愛らしさは反則級なのですが、振り回している両手には当然のように攻撃判定があるため近づくと普通に死にます。物理攻撃力255に変わりはありません。

リーダーさんもゾン子さんも、迂闊に仲裁に入れば即死することはわかりきっています。お互いにお前が行け、とアイコンタクトが飛び交い無言の戦いが始まっています。

あわやモール組VSチームるーちゃんの全面対決の危機と思われましたが、ゾン子さんとの威圧合戦に敗れたリーダーさんがどうにか全員を宥め(るーちゃんに接近するような愚は犯さなかったため無事生存)、るーちゃん達は別に敵ではないが、万が一に備えてちょっと離れたところの個室に入ってもらう、ということで生存者達と話をつけていました。

正直なところるーちゃんはモールに留まらなくても一向に構わなかったのですが、そろそろ日は暮れるし、調達してきた漫画を読みたいし、と考え今夜一晩だけはこのモールに泊まっていくことにしました。生存者達への興味も失ったるーちゃんはさっさと個室へ移動します。生存者に追い立てられるようにるーちゃんの後を追ってきたゾン子さんは、個室に押し込められると無い知恵絞って『いずれ喰ってやるリスト』を作り上げていきます。「ヤマモト・・・マエダ・・・メガネ・・・バアサン・・・」と生存組を片っ端から拾ったノートに書き込んでいるのを背景にるーちゃんは漫画を楽しむのでした。

 




量を集めてみたら戦ってすらもらえない始末。挙句指一本でも倒せることが判明して完全にあいつらの立場はなくなってしまいました。
るーちゃんを冷遇した時点で生存組の皆さんが生き残るのは厳しそうなのでモール編は次回で終わりです。

一方のチーム太郎丸
「・・・・・・みきー、外でライブやってるー。さっきから洋楽聞こえるよー」
「圭、正気を保ってお願いだから」
「・・・・・・わん」

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