機械戦争戦記・レンの歌声が聞こえる   作:咲尾春華

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 ■欄外夜話 『ザナルカンドの情景』 スケッチ 8

 

 

 極北の国・ザナルカンドは、善くも悪くも幻光虫によって成り立つ土地だ。

 新しい召喚獣が生まれてくるスピラで唯一の場所。 「彗星群」 や 「ザナルカンド・アーチ」 に代表される独特な気象現象。 『幻光虫症』 と呼ばれる大変に危険で恐ろしい脳神経障害と、その影響に打ち勝って生まれて来る “召喚士” という存在。

 そして年中、温暖な気候――。

 

 特に東海岸から沖合の通称・クレーター海礁域にかけては幻光虫濃度がいっそう高くなり、 “亜熱帯” と呼んでも差し支えないくらいの気温になる。

 だけど一方で、上空を切れ間なく覆う幻光虫の分厚い層は、強い日差しを柔らかく抑え、ザナルカンド人にとっては暖かで優しい風ともなる。

 わたしは召喚士ではないけれど、このしっとりと落ち着いた幻光虫の肌触りが大好きだ。

 あの病室の中に作り出された “ヤクト”(注) のような空間は、やはり疲れる……。

 

 レンは、目抜き通りの見慣れた風景をやり過ごしながら、とりとめもなくそんな空想に(ふけ)っていた。

 このザナルカンドの景観は、よく “独特の” と表現される――らしい。

 わたしにとってはこれが当たり前なので、何がどう独特なのか分からない。

 外国なんて、一度も行ったことないし……。

 

 それに、ガガゼト連峰を越えると幻光虫濃度は極端に低下する。

 どうなんだろうな、と彼女は思う。

 

 ――あんな空気の中では、とてもじゃないけど眠れないよ~。》

 

 もちろんあの病室は特別な――というより、むしろ “特殊な” とも言うべき空間なのだが、レンにはそのへんの加減が分からない。

 

 ――ビーカネル人って、あんな環境の中でも平気なのかしら。 だとしたら、とてもわたしにはやって行けない。》

 

 などというお目出度(めでた)い心配を、早くもしている。

 既に “彼女ヅラ” かよ……。

 

 しかし、現に飛空艇にしたところで、ビーカネル艇は希薄な幻光虫濃度でも問題なく稼働するように設計されている。

 今回の戦役でベヴェルの飛空艇が苦戦しているのは、一因にはそれがあるって、報道でも言っていた。 

 上手く行けば、ビーカネル共和国単独でもベヴェルの攻勢を十分に(しの)ぎ切れると、この前、解説の人が力説していたし……。

 

 ――確かに、あそこは砂漠とレアメタルでぎっしりの国だしなぁ。》

 

 どう考えても幻光虫の濃度が高い場所とは思えない。 生物の匂いが最もしない場所。

 そんなところから、いきなりザナルカンドにやって来たのでは仕方がない、か。

  

     ◇ 

 

 大通りの辻の四つ角の信号を右に渡って、高架下の歩道に滑り込む。 日差しが 「さーっ」 と(かげ)り、目の前の景色が一瞬しゅぱしゅぱと泡立って暗転した――。

 はるか20ディスツも頭上を巨大な高速道の帯が真っ直ぐに走っていて、その高架橋を支えるコンクリートの太い柱が、規則正しく遠近法(パースペクティヴ)を描いてゆく。

 道路を(また)いだ左岸には森林公園の鬱蒼(うっそう)とした茂みが見え始る。

 彼女は、一方の右手の歩道脇のお店を 「一つ、二つ」 と数えながら、目的の場所に辿(たど)り着いた。

 

 「あらっ!? レンじゃない。 どうしたのよ、そんな “おめかし” してぇ……」

 お店のカウンターに居たシャーミが、逸早(いちはや)くその姿を見留めて声を発した。

 思わず 「へぇーーーっ」 という顔を作る。 思考と状況が咄嗟(とっさ)(つな)がらない。

 

 「ははぁ。 ……さては早速、昨日 “難破” した彼氏のとこに、行ってたね」

 

 その間隙(かんげき)()うようにして脇から 「にゅ~ぅ」 と首を出し、ヒクリが割り込んで来た。

 

 「ちょっ!! カリちゃん。 “ナンパ” って、何よ!?」

 

 彼女一流の、何だか怪しげにピンボケした洒落を聞いて、「上手い!」 と手を叩く余裕はなかった。 ここは高座の講談を打つ演台の前ではなくて、ケーキ屋のカウンターの前である。

 

 「えーっ!! こら、レン! あんた、まさか、仕事中にお店を放っとらかしにして、“軟派” なんかしてたの??」

 「ちぃーーーーがうってぇぇぇぇ!!! だって……あれは、カリちゃんの方が先にお店を飛び出してぇ――」

 「えっ! 何よ、それぇ~!! ……あ、あたしはさ。 ちょ~っと知ってる人が道でトラブルに遭ってるのを見掛けて、助けに行っただけぇ~」

 「わっわわわ、わたしだって、ちょーっと知らない人が道でトラブルに遭っているのを見掛けて――」

 「軟派しに行ったのね」

 「ちぃぃぃぃぃ……!!! だから、違うってばぁ!!!!!」

 「じゃあ、どうしてそんな格好してんのさ」

 「だ、そっ…………」

 

 そして彼女は、限りなく敗北に近い悲鳴を辛うじて噛み潰す。

 

 ――――。

 

 「レンちゃん!! よく似合ってるよぉ~~」

 ――ああーん、もう!! カリちゃんまでぇーっ!!!》

 (全然、フォローになってないよ!)

 そんなつもりでお店にやって来たわけではないのに、顔を出して早々、思わぬ展開になってしまった。

 

 ――ど、どうしよう……。》

 

 そこへ、運良く (いや、運悪く……かな?) お使いに出ていた新人のミフューレが戻って来た。

 「どうもでーす。 レン先輩! 今日は非番じゃなかったんですか?」

 ――ええ、ええ、ええ! 非番ですよ。 この成り(カッコ)見りゃ、分かるでしょう!!》

 そのせいで今、大ピンチなのだ。

 何とかして誤解を解きたいが、何がどう “誤解” なのかを説明するのが難しい……。

 

 「それはねぇ~、“図星(ずぼし)” っていう誤解よぉ~~」

 「ええい! カリちゃん、五月蠅(うるさ)い!!!」

 「ちょ~~っと、レ~~ェ~~~ン」

 「ああぁん、シャーミまでーーぇ! だから、それは誤解だってばぁ」

 「じゃあ、今まで何処(どこ)に行ってたの?」

 「それはぁ――」

 っっっっっ…………。

 「…………ちょっと、し……知り合いの人の、と――ところに……」

 「ふ~~ん。 もう “お知り合い” な関係なんだ。 レンちゃんも片隅に置けないね!」

 

 「レン先輩? 何かあったんですか???」

 

 事情の(つか)めないミフューレが会話の中に入り兼ねて、視線をレンに流した。

 お使いの伝票を手に持ったまま――。

 

 ――そうだ! あれを、ちょっと()いてみよう。》

 

 咄嗟に妙案を思いついたレンは、彼女の袖をぎゅっと掴んでカウンターの前に並んで立った。

 

 「ちょっと、ミフューレ。 こっち、来て!! いいから……。 ほらっ、ジャ~~ン!」 

 「ああーっ。 あ、あの、レン先輩! 何ですか、いきなりぃ」

 

 へへへへぇ~~~~っ…………と笑って、シャーミとヒクリに見せる。

 

 「何よ、急に?」

 「どーしたのぉー??」

 

 「似てると思う? 私の服。 この制服と」

 

 ――へっ?》

 ――似てるって、何が、どういう風に??》

 

 …………。

 ……………………。

 

 話のさっぱり見えない3人は、カウンターを挟んでポカンと口を開けた。

 レンが、ぐすん……という声音になって解説し始めた。

 「間違えられちゃったの。 病室にお見舞いに行ったら、いきなり “昨日もその服を着てた” って。 ――そんなわけ、ないじゃない。わたし、もう、びっくりしちゃって……。 そんなに似てるかなあ、お店の制服と、これ」 

 そう言って柔らかな生地の袖をつんつんと摘んでみる。

 

 「どこで買ったんですかぁ~~?」

 横にいたミフューレがレンの着ている緑色のツーピースを目敏(めざと)くチェックするように訊いた。

 「えっへっへ! 南A地区よ。 《ゴワーズ街》 のユナイテッド通り~ィ」

 「えーっ!!! すごーーーい!! いいなぁ……」

 「ちょっと自慢~~~~んッ」

 

 ちゃーーん! と、右手の握り拳を頭に当て、左手をさらりと下方に流し、(ひざ)を軽く折り曲げてポーズを取るレン。

 

 「で、そのご自慢の勝負服を、こいつと混同されたわけね」

 シャーミが自分のエプロン・ワンピをぴんぴんと引っ張る仕草をして――。

 「そーなのよ、もう。 何でなんだろー。 全然、似てないよね」

 「…………」

 「幻光虫症なんでしょ、その人」

 「うん」

 「――――」

 シャーミに訊かれて、レンが答えた。

 「じゃあ、仕方がないんじゃない。 そんなの、いちいち気にしてても」

 「それは、……そうなんだけど」

 

 「でも、それってさぁーあ。 “ヘン” だよねぇ~~。 幻光虫症で思っ切り記憶の飛んでる人が、何~んで昨日のことなんか覚えてんの?」

 「うん……。 それはね、そうなんだけど――あながち(うそ)でもないの。 確かに、あの雨の中を抱き起こして――傘の滴がやたらポタポタと落ちてきてて、それをちゃんと覚えてたから……」

 「しずく~ぅ??」

 「カリちゃんの傘!! 全ーん然、使えないんだからぁ!」

 「あははははは……」

 

 「昨日、そんなことがあったんですかぁ?」

 そこで、ようやくミフューレが納得げに口を挟んだ。

 やっと話が見えてきたらしい。

 「うん。 で、助けに行ったわけ。 ほら、ちょうどあの辺りよ」

 そう言って、レンが向こう側の森林の手前にある歩道を指差す。

 

 「幻光虫症に耐性のある人だったからじゃないの?」

 「それはないと思う。 だって、ビーカネルから来た人だよ」

 レンは何げに医者から聞いたばかりの情報を口にした。

 

 「へーぇ。 その人、ビーカネル人なんだぁ~~~」

 

 それを聞いて、さり気なく相槌を打つヒクリの瞳の奥がキラリと光ったことに気づいた者は、一人として居なかった――。

 

 

  ――〔つづく〕――

 

 

  【注】 ヤクト ……スピラ世界に存在する幻光虫を全く含まない領域。 多くはレミアム寺領国の南方に広がる通称 「暗黒大陸」 の沿岸部と、その東方海上に点在している。

 原因は不明だが、幻光虫反応炉によって稼働している飛空艇が、この領域で謎の墜落事故を起こすことから知られるようになった。

 

 

   【初出】 にじファン (『小説を読もう!』 サイト内)  2011年5月26日

 

 

 〔おまけ〕

   

■『ファイナルファンタジーⅩ』 ルカの 「ブリッツボール大会」 でゴワーズをコテンパンにして、ティーダの跳び撥ね映像を見る方法

 

 コンピュータ型RPGの中で 《ミニゲーム》 ――本編の進行とは関係のない独立したゲーム内ゲーム――が脚光を浴びるようになったのは、『ドラゴンクエスト』 の “カジノ” が走りだろうか。

 私は、こういうことを語るには(いささ)か知識が不足しているので自信が無いが、それでも 『MOTHER』 や 『魍魎戦記MADARA』 『女神転生』 といった同時代の有力RPGには、そのような概念は無かったと記憶している。

 

 『ファイナルファンタジー』 シリーズに限って言えば、カードゲームということになるのかな?

 しかし、どれか一つと言われれば、やはり 『Ⅸ』 の 《ここ掘れチョコボ》 を挙げる人が圧倒的に多いだろう。

 御多分に漏れず、私も嵌まった (笑)。

 「強力な防具」 「成長ボーナス」 「ゲーム自体が面白い」 の三重苦で、本編の進行が “そっち退け” になるのは、ある意味、考え物だと思うが……。

 因みに、『Ⅸ』 は、ニューゲームを立ち上げてから、レベル1の主人公にコントローラーが渡るまで、最速でも45分かかる――という、スゴいゲームバランスのゲームだ ( 《ミニゲーム》 の 「縄跳び」 で最強カードを手に入れようとすると、本篇のゲームが始まるまでに、軽く30時間はかかる!)。

 

 

 咲尾自身は 『Ⅹ』 の 《ブリッツボール》 も大好きで、相当にやり込んだ。

 しかし、どうもこのミニゲームは “苦手” “めちゃめちゃ大変” “面倒臭い” という声をよく聞く。

 

 そうかなぁ……。

 

 私としては残念なこと、この上ない。

 

 また、そうであるなら当然――シナリオ本篇で強制的に対戦することになる 《ルカ・ゴワーズ》 との試合は、“勝利” はもちろん、“圧勝してティーダの専用ムービーを見る” ところまで行った人は、さほど多くないのではなかろうか。

 ちょっと、もったいない気がする。

 もちろんキチンと対策を立てて操作法を習得すれば、少なくとも 《ゴワーズ》 に勝つのは簡単だ。

 今さら、という気もするが、ここで 「少なくとも3回やれば、1回は圧勝できる」 方法を詳述しておくのも、それなりに意味はあるかと思い、筆を取った。

 

 そのための、おおまかな作戦の流れを説明すると――。

 

 《前半戦》 一度でもボールを奪ったら、以後は一切、敵には奪い返されないように心掛ける (こちらがボールを持っている限り、それ以上、敵は何も出来ない)。

 その間、逃げ回るようにパスを出し合って、GK以外の味方全員のレベルを3に上げる。

 攻撃や得点のことは、前半戦は一切考えない (たとえ既に1点、取られていたとしても――)。

 

 《後半戦》 掌を返したように俄然、猛反撃を仕掛ける (笑)。

 敵FWビクスンからボールを奪い、フォーメーションを 《ライトサイド》 に切り替えて、ダットにパス。

 ダットがフィールド壁面すれすれをドリブル突破。

 1回目はゴール前でティーダにラスト・パス。

 ティーダが 《ジェクトシュート》 を決める。

 2回目はダットがそのままゴール側面まで進出して、《ナップショット》 を放つ。

 

 というもの。

 以下、その手順を説明すると――。

 

 前半戦は、いったんボールを奪ったら、以後は 「敵のMFグラーブからひたすら逃げ回り」 ながら、味方同士でパスを出し合い、フィールド・プレイヤー5人全員のレベルを3に上げる。

 FWのダットをどうやってレベル3に上げるか (彼の出すパスを6回成功させる必要がある) が勝負の分かれ目になる。

 

 FWのダットはレベル2でPHが13に上がり、敵DFのドーラムを1対1なら確実に “突破” できるようになる。 ドーラムのATは9で、理論上13.5までは止められるはずだが、不思議なことにレベル2のダットが彼女にボールを奪われたという記憶がない。 まず確実に、何度でも突破ができると見做して差し支えない。

 この状況が実現すると、嘘のように、ゲームの展開が一気に楽になる。

 ダット一人の単調なドリブル突破で、確実に敵のゴール側面までボールを持ち込めるのだから、簡単だ (←でしょ?)。

 ダットをレベル2に上げるには、パスを2回成功させて、あと1回、シュートなりパスなりを出鱈目に出す必要がある (5ポイントの獲得が必要)。

 現実的には、パスを3回成功させることになる。

 

 ダットのレベルが3に上がると、《ナップショット》 が使えるようになり、実質STが12に跳ね上がる。

 HP切れで 《ジェクトシュート》 を使えなくなったティーダのSTが10だから、2点目はもう、わざわざ彼にパスしてシュートを打ってもらう意味は無い。

 ダットがドーラムを突破しながら敵ゴール直前まで駆け上がり、そのまま 《ナップショット》 を叩き込む。

 敵GKラウディアのCTが8で、理論上12までは止めることが可能――という匙加減だから、ゴール側面からズドンと打てば、まず決まる。

 

 具体的なパスの手順は、ブリッツオフで自軍MFレッティがボールを取ると (最悪でも、最初に敵FWのビクスンにゴールを決めてもらえば、直後のブリッツオフでは必ずそうなる)、「△」 釦を押しっ放しでウィンドウを開き、《マニュアルA》 《ノーマル》 を選択。

 レバー (アナログ・コントローラー) を左上に倒しながら、同時に 「□」 を押し続けてウィンドウを開き、パスを選択。

 以下、この要領で、レッティとダットの間でパスを2往復か3往復させる。

 どちらが良いかは微妙だが、私は2往復で我慢した方が、むしろ結果が良い気がする。

 4往復以上させるのは、敵が攻め上がって来て、はっきりといけない。

 ダットからの最後の復路パスを受け取ると、レッティはDFのジャッシュにバック・パス。

 DFのジャッシュとボッツが、お互いに近づきながら、一気にパスを6往復通す。

 この時、敵が初期フォーメーションのまま 「ぼけぇ~~」 っとしてくれていたら、勝ったも同然だ (あるいは敵FWの二人だけしか上がって来ない展開になれば最高)。

 最後の6往復目のパスは、ボッツからジャッシュに戻すのではなくて、ボッツからMFレッティに返す。

 レッティとFWダットでさらに2往復の後、レッティからティーダにパス。

 ティーダが全速で後退しながら、DFジャッシュにパス (この時、パスの距離には十分に注意!)。

 あるいは直接レッティに返した方が良い場合もある。

 ジャッシュは、敵のマークを自分が引き受けるように少しだけ中央に切れ込む。

 ジャッシュからダットにパス。

 ダットが全速で後退しながらDFボッツにバック・パス (やはりパスの距離に注意)。

 レッティの方が使い易いようであれば、レッティにパスしても可。

 この動作を成功させた時点で、あとFWダットに1回パスを成功させれば、目標の行動は終了――だ。

 後は力業でしゃにむにダットにパス機会を作らせる。

 ボッツ=ダット間でそのまま成立させてもいいし、いったんジャッシュにパスして、ゲームを作り直してもいい。

 ダット=レッティでも可。

 ダットの最後のパスが通った時点で、前半戦の作業は終了する。

 後は残り時間と相談しながら、30秒を切ったら、フリーの選手が時間稼ぎに出鱈目にシュートを放つ (この時、展開によってはティーダへのパスが省略されていることがあるので、その時は必ずティーダが打つ)。

 誰が何往復したか分からなくなりそうだったら、パスのウィンドウを閉じる前に、メモにでも 「正」 の字を書いてチェックしておくと良い。

 前半戦の作業は以上――。

 

 後半戦に入る前のセットアップで、ティーダのアビリティ 《スフィアシュート》 を 《ジェクトシュート》 に換装。 以下、ダット 《ナップショット》、レッティ 《ベノムパス》、ボッツ 《ベノムタックル》 をそれぞれ装備。 

 

 マークは攻略本 『アルティマニア』 に書いてある通り。

 前衛の3人を敵MFグラーブに、DF2人をFWビクスンのマークに付ける。

 この時、グラーブは稀にアビリティを 《ベノムタックル》 から 《スカウトモード》 に換装していることがあるので、その有無を必ずチェックしておくこと。

 

 ゲーム後半戦の流れは、ブリッツオフで自軍のMFレッティがボールをキャッチした場合――。

 

 「△」 釦を押して、フォーメーションを即座に 《ライトサイド》 に切り替える。

 レッティが故意に敵MFグラーブに近づくように移動し、食いついて来たら、フィールドの右サイド (画面の上方) に向かって真っ直ぐに流れて、彼を引っ張り出す。 この動作は、時間はたっぷりと掛けて、動き自体はさほどでもなく、という感覚で。

 しかし、この時のレッティの “溜め” が敵味方の位置関係を理想的にするので、結構重要だ。

 

 レッティからFWダットにパス。

 このパスは普通のパスで問題ないが、うっかりグラーブに接敵されてしまったら 《ベノムパス》 を使って弾き飛ばすこと (大抵はそれでも通るが、そこまで欲張るのは危険だ)。

 

 ダットがフィールドの縁をすれすれに攻め上がり、ドーラムを気持ち良く突破。

 程好くゴールに近づいたところで、ティーダにパス (そうしないとパスが届かない可能性がある)。

 ティーダがそのまま 《ジェクトシュート》 を放って、1点目――。

 

 その直後のブリッツオフは必ず敵のボールになる。

 フォーメーションを直ぐに 《マークモード》 に切り替える。

 MFグラーブからFWビクスンにパス (このパスを止めるのは、レベル3の自軍3人でエンカウントしてもやはり無理)。

 ビクスンが単独でドリブル突破して来るのをDFの2人で止める。 逆に、こちらの方は確実に止められるようになっている。

 DFボッツはレベル3に上げても能力はCUが1上がるだけだが、《ベノムタックル》 を装備できるようになる (つまり、ボッツをレベル2にしても効果はない! 必ず3まで上げること)。

 一方のDFジャッシュは装備ができない代わりに能力が少し上がる。

 敵のFWビクスンのPHが12に対して、ボッツのATがベノムタックル発動で13、ジャッシュのATは10なので、楽勝でビクスンの突破を潰せる。 

 感覚的にはボッツのATで8割方、ボールを奪える。

 ビクスンがボッツを躱した後、ジャッシュを無視して直接シュートを打つようなら、キャッチしたGKキッパからのパスは、いったんDFのジャッシュまでバック・パスを繋いで戻す。

 ゲームを作り直すには、まずジャッシュから――というのは基本だ (彼は “弩フリー” になっていることが多い)。

 

 さて、DFが上手くビクスンからボールを奪ったら、直ぐに 《ライトサイド》 に切り替え、ボール保持者 (か、パスを受け取ったジャッシュ) がそのままボールを持ってフィールド右端 (画面の上方) を攻め上がる。 ビクスンの探知は直ぐに振り切れるので、彼に後ろから突つかれる心配はない。

 ただ、敵のMFグラーブ、RDFバルゲルダの位置には注意を払っておく必要がある。 LDFドーラムは自軍のFWダットで問題なく突破できるので無視して良い。

 ダットが敵のゴール側面に迫った時、上記の2人に邪魔される恐れがありそうなら、いったんMFレッティにパスを通して “誘き出し” 作戦をかました方が良い場合がある (たいていは問題ないと思うが……)。

 その場合レッティはフィールド左端 (画面の下方) に流れてグラーブを誘い出し、可能ならバルゲルダにも影響を及ぼしたいが、この動作は難しいので、ほどほどにしておく。

 頃合を見て、FWダットへラストパス。レッティからパスを出す時は、念のために 《ベノムパス》 を使用する (かなりの距離を通さなければならなくなる)。

 ダットが敵DFドーラムを1対1で突破し続け、ゴール側面から 《ナップショット》 を放つ――。

 

 これで得点 「2-1」 か 「2-0」 になり、晴れてティーダのボーナス・ムービーが流れ始める。

 ムービーの後は、残り時間に関係なくワッカとの交代イベントへと移行する。

 

 同じ要領でワッカがベノムショットを決めて (最初から装備している) 3点目――。

 ワッカのSTは都合16になる (ジェクトシュートと同威力 ) ので、多少ゴールから離れた位置で打っても差し支えない (敵GKラウディアのCAが8だから、理論上12までしか止められない)。 

 ワッカは交代した時点で、ティーダのマークをそのまま受け継ぐ。

 また、交代イベントまでに稼いだ経験値は全てキャンセルされるので、延長戦を狙って後半開始早々からパス作戦を仕掛けるのは意味が無い。

 

 後半開始のブリッツオフで敵にボールを取られたら、2点目の動作を2回、繰り返す (シュートは1点目はティーダに打たせる)。

 

 ごく稀に、敵が何を血迷ったかDFにパスを出し始める時があるが、そうなった時は 「ティーダのボーナス・ムービーを見る」 という目的のためには、残念ながらリセット釦を押すしかない (それでも 「勝つ」 ことはできるが……)。

 

 

 その他、知っておくと便利なテクを幾つか――。

 

 

◆自軍がボールを保持している限り、敵FWの二人は全く怖くない!

 

 現実的には敵FWビクスンをDFボッツが、同アンバスをジャッシュがケアすることになるが、ビクスンのCUは2しかないので、ボッツは何も考えずにそのままパスを出して差し支えない。

 ただし、パスの受け手のジャッシュとの距離がまだかなりある時点では、念のためMFレッティとの三角パスを選択した方が良い場合がある。

 一方のDFジャッシュは、敵FWアンバスをブレイクスルーで必ず突破できる。

 ジャッシュのPH7に対してアンバスのATは3なので、理論上からもアンバスはジャッシュの突破を止めることができない。

 

 

◆敵MFグラーブは要注意!!

 

 逆に、敵MFグラーブに一度でもエンカウントされてしまうと、その瞬間に全てが終わる!

 対処のしようがない。 まず、確実にボールを奪われてしまう。

 ゲームの流れを難しくしている “元凶” は、要するに 「彼」 なのだ。

 

 さて、グラーブのATは8。

 一方、彼と対峙することになる自軍のMFレッティのPHが7だから、運を天に任せて 「えいっ!」 とブレイクスルー …………というのは、実は「誘いの罠」。

 敵MFグラーブは 《ベノムタックル》 のアビリティを標準装備していることをお忘れなく!!

 グラーブの実質ATは11なのですよ (敵DFのドーラム、バルゲルダの両名がAT9ということを考えれば、いかに無謀かが知れる)。

 FWのダット (PH12) なら、あるいは……という気もするが、決まった例しがない。

 一か八か、というならむしろ近場にパスを出す選択肢が可能性としては残るが、まあ上手く行かないと思った方が良い。

 

 つまりグラーブに接敵されてしまったら、その時点で即終了――ということだ。

 だからフィールド・マップ上で、敵が近づいて来てる!! という事実を確認するだけでは駄目で、「誰が接近して来ているのか?」 まで把握しておくことが重要。

 こちらがボールを持っている限り、敵FWのビクスン、アンバス両名は “ゴミ” みたいなもので、居ないも同然、完全に無視して良い。

 逆に、MFグラーブが今どこに居るかは常にケアしておかなければならない。

 「グラーブの挙動だけをマークする」

 のが必勝法の要諦である (彼だけを見てればいいので楽とも言える)。

 グラーブから逃げ回る、グラーブを誘い出す――という行動は表裏一体。

 このコツが掴めてくると、あんなに難しかった 《ゴワーズ戦》 の攻略が、一気に見えてくる。

 

 

◆せっかくボールを奪い取ったのに、直ぐに奪い返されてしまう……。

 

 自軍のゴール前で、この思いを抱いたプレイヤーは多いと思う。

 私も最初の頃は、よくこういう目に遭った。

 

 「何にも出来ないじゃん!!」

 

 という思いが、いっそうこの 《ミニ・ゲーム》 を敬遠してしまう理由の一つになっているのでは――と、ちょっと心配だ。

 ゲーム慣れしてくると、そもそもこんなシチュエーション自体にお目に掛からなくなるのだが、それは 「言いっこなし」 だよなぁ……。

 実は、自軍のゴール前でボールを奪った時に限り――という条件で、この事態を解決するテクが一つだけある。

 今回のこのコラムの中でも、最もテクらしいテクかも知れない (笑)。

 いや、大したことではないんだけど……。

 「ボールを奪った後、そっとレバーを右に倒しただけで様子を見る」

 というもの。

 敵は自軍の攻撃が失敗してボールを奪われると、たいていは一斉に初期配置のポジションに戻ろうとする。

 勝手に離れてくれるのだ。 ほんの2~4秒くらいの間だけど……。

 だからその間、自軍のゴール側に真っ直ぐに移動するだけで、味方にフリーでパスを出すだけの余裕が生まれる。

 これは知っておくと便利。

 焦って 「□」 釦を連打するのは最悪! その瞬間に強制的に 「エンカウント」 の判定をされてしまい、見出しの如くの事態を招いてしまう! そうなってからでは、打つ手はない (メンバーの中に絶対、グラーブが居るはずだし……)。

 

 

◆ティーダは1ポイントを獲得するだけでレベル3になれる。

 

 言わずと知れた 『Ⅹ』 本篇の主人公、FWのティーダは、初期状態で既にレベル2、最初から11ポイントの経験値を所持している。

 ので――1ポイントを獲得するだけでレベル3になる。

 前半戦でパス回しをする際に、彼を一度だけ使うことになるが、どのタイミングでパスに加わらせるかは状況による。

 注意してほしいのは、彼のパス能力が3しかないという現実だ (相棒のダットでさえ4ある)。

 近場にしかパスが出せないので、パスを返す前に、わざわざドリブルをして味方に十分近寄らなければならない。

 この間、敵に一気に距離を詰められてしまうのが、もの凄くもったいない。

 ただでさえFWにパスが渡ると敵は過敏に反応する。

 ダットとのパスは戦術上、仕方のないことだが、ティーダへのパス出しは可能な限り遅らせたい。

 あと、敵の移動を敵陣営の方向に逆戻りさせるために、サイドチェンジしてのティーダへのロング・パスが使える時もある。

 

 

◆フォーメーションは 《レフトサイド》 では駄目なの?

 

 はい、駄目です (笑)。

 これは単純にティーダのPH11に対して、ダットが13 (ともにレベル3の時) ――という事情によりますね。

 相手のDFのATは、どちらも9ですから……。

 恐らく、レッティからティーダにパス、ティーダがドリブル突破して 《スフィアシュート》 を2連発――という単純な戦法を封じるための、ゲームバランス上の問題があるのでしょう。

 

 

◆本篇中のシナリオと同条件で練習をするためには?

 

 確かに本篇のシナリオを直近のセーブ・データから馬鹿正直に繰り返すのは、かなりかったるい。

 アーロン、邪魔だぁ~~~~ッ!! (笑)

 では、この条件をノーマルなブリッツの試合の中で再現して、何度も練習をするにはどうすれば良いのか。

 以下は、その方法――。

 

 エボン=ドームを脱出後、つまり飛空艇を自由に使えるようになった状態で、セーブスフィアからブリッツスタジアムへ入る。

 『データリセット』 を選択し、初期条件に戻す。

 セーブスフィアとブリッツスタジアムの間を出たり入ったりして、『トーナメントカップ』 を開催の状態にする。

 『トーナメント』 の1回戦を1試合限定で契約したフリー選手のみで勝ち上がり、2回戦のシード相手に 《ゴワーズ》 が入っている組み合わせになるまで、トーナメント1回戦だけを繰り返す。

 この組み合わせが現出したら、1回戦を勝ち上がった後、ルカの控え室に直行して元の並び順通りになるよう 《ビサイド・オーラカ》 の選手を雇い直す。

 そこでセーブすれば、以下、何度でも初期条件での 《ゴワーズ》 との対戦が可能になる。

 フリー選手のみで戦う1回戦は、《マニュアルA》 モードでの実戦練習に充てればちょうど良い。

 

 さて、初期条件で最強のチームを作るには――。

 FWは、ビルーチャ、スパンダの2トップ。

 MFは、リーナ。

 DFは、ロップ、ザリッツの二人。

 GKは、ジュマル。 (必ず全員、1試合の契約)

 あと2人、誰でもいいから選手を1試合契約で雇い、《オーラカ》 の選手をティーダ以外、全員解雇すること (この状態で最初の1回戦用のセーブデータを作る)。 これは2回戦での選手の並び順を元に戻すための措置である (並び順がバラバラだと、2回戦で選手の選択が、かったるくなるので……)。

 

 このメンバーなら、まず何をやっても負けない。

 敵の攻撃の8割以上は前衛の3人で早々と潰してしまえるので、はっきり言ってDFの二人がボールに触れる機会は殆ど無い。

 シュートも滅多なことでは打たれない (センター付近から打たれる無謀なシュートは別だが……)。

 仮に打たれたとしても、GKジュマルのCAは14もあるので、まず止められる (本番で 《ゴワーズ》 と対戦する時には、自軍GKキッパのCAはたったの “5” だからね!)。

 辛うじて、《アルベド・サイクス》 のエイガーに 《ナップショット》 を決められてしまう可能性があるくらい、かな。

 ブリッツのシステムに慣れるには、ちょうど良いバランスと思う。

 

 『インターナショナル版』 では、ビルーチャ、リーナの2人は、ヘレティック召喚獣を倒さないと接触ができなくなる。

 これはこれで、かなり骨が折れるので、その時はウェッジ、アニキで代用する。

 

 パスを出す時は、相手のMFかDFを可能な限り自分自身で引っ張り出してから、フリーになった前衛の選手に出す――という動作を体得してほしい。

 繰り返しになるが、こちらがボールを持っている限り、敵のFWはたいてい無視できる。

 

 何度か対戦しているうちに、上記の組み合わせが出て来るので、その時は勝ち上がった後にメンバーを並び順通りに雇い直して、別の場所にセーブしておく。

 これで、晴れて 《ゴワーズ》 との練習対戦が可能になる。

 

 以上、長々と書いたけど、少しでも 「ティーダのボーナス・ムービーを見た」 という人が増えてくれたら、望外の喜びだ。

 

  【咲尾春華】

 


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