マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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 《後》は第三者視点で書かれています


 …ロロナ編の時もそうでしたけど、《後》は基本的に短くなる運命みたいです。ご了承ください


クーデリア編《後》

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 ロロナが3年間『王国依頼』を達成し終え、マイスが旅行を終えて 他の人たちに農業を教え始めてから、半年が経とうとしていた

 

 マイスの家の周りにあった林は随分と切り開かれ、農業を学びに来た人たちがくらすための木造住宅と 畑がだんだんと増えてきており、後に『青の農村』と呼ばれるようになる村の原型が できあがろうとしていた

 

 

 そんなある日のこと……

 

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***マイスの家…の前***

 

 

「……ねぇクーデリア。これはいったい どういうことなのかな?」

 

「そ、それは…そのー……」

 

 珍しく 言葉が上手く続かないクーデリアに対して、マイスが困り顔で問いかける

 

「最近 ロロナが仕事で(いそが)しくて遊べないから、ロロナにくる仕事が少しでも減るようにって、僕に限界ギリギリまで街の依頼を受けてまわるよう頼んできたのは誰だっけ…?」

 

「…あたしです」

 

「学びに来てる人たちに教えることもあるから、僕がもの凄く忙しくなるのは 目に見えてわかるはずだよね?」

 

「ううっ……」

 

 マイスは大きくため息をつき、首を振った

 

 

「なんで、ロロナと一緒になって ウチに遊びにくるかなぁ…」

 

「そ、それは、ロロナが「ここ最近 マイスの家のお家に行ってないから、久しぶりに行こうよー!」って言って聞かなくて……」

 

「…押し負けたんだ」

 

「だって……ほら」

 

 クーデリアが ある方向を指差しながら そちらを見る。それにつられるようにマイスも そちらへと目を向けた

 

 

 そこにいたのは、マイスの家のウォルフを しゃがんで撫でながら 農業者見習いの人たちと楽しそうに話しているロロナだった

 そのロロナは マイスとクーデリアが自分のことを見ているのに気づいたようで、周りの人に 一言二言何かを言った後 立ち上がり、 マイスたちのほうへと 良い笑顔で駆けだしてきていた

 

 その様子を見ながら クーデリアはマイスに先程の答えを返した

 

「あんな笑顔で「行こうよー!」なんて言われたら ダメだなんて言えるわけないじゃない」

 

「わからなくもないけど……クーデリアって、ロロナに甘くない?」

 

「あんたは誰に対しても激甘じゃない。なんだかんだ言って 頼み事は聞いてくれてるし……まさか ロロナ指名の依頼2つ以外、依頼が全部無くなってるとはおもわなかったけど」

 

 

ふたりがそんなことを話しているうちに、ロロナがふたりのそばにたどり着いた。そして、自分のことをずっと見つめ続けるふたりを不思議に思い 首をかしげつつ、話しかけた

 

「……?ふたりとも 何を話してるの?」

 

 その問いかけに ふたりは顔を見合わせた後答える

 

「何って……まあ、たいしたことじゃないわよ」

 

「うん。ロロナは相変わらずだねーって話をしてただけだから」

 

「相変わらず?私の何がー?」

 

 

 

 答えを聞いても何もわからなかったから ロロナはさらに悩みだす。そんなロロナの様子を見て微笑むクーデリアだったが、ある程度 ロロナの様子を楽しんだ後に声をかける

 

「で、これからどうするの?」

 

「えっとね、今さっき ここのみんなにマイス君とお出掛(でか)けしていいか聞いてきてね、「いいよ」って言われたから 3人でちょっとお出掛けしようよ!」

 

「おでかけ?採取に行くの?」

 

「ううん。ここの周りをお散歩するだけだよー?…ちょっと探し物はあるんだけどね」

 

 

 「ここの周りに 何かロロナが欲しがりそうなモノってあったっけ?」とマイスが少し首をひねって考えた……が、ロロナの口から予想外の言葉が出てきて 驚かされることとなる

 

 

 

 

 

 

「前に アトリエに依頼にきた人から聞いたんだけどね!マイス君の家の近くの街道での目撃情報が多いらしいの! ()()()()()()()()()()()()()!ちょっと探してみよーよ!!」

 

「「えっ!?」」

 

 驚愕の声をあげたマイス。そしてクーデリアも マイスに負けず劣らずの声をあげた

 ふたりは口をポカンと開けてしまっていた。数秒後 先に正気に戻ったクーデリアが マイスに()びつき、その頭を両手でつかみ マイスを無理矢理(かが)ませて、小さな声かつ強い口調で 耳打ちするように言った

 

 

「ちょっと!あんたがあの毛玉だってことは ロロナにはまだ教えてないの!?」

 

「え、えっと…タイミングが無かったっていうか……そもそも、クーデリア以外で知ってるのは、リオネラさんとフィリーさん、それにホムちゃんくらいで……」

 

「なんで あのホムに教えてロロナには教えてないのよ!?」

 

「それは ホムちゃんが自分で気づいちゃったから、そのまま成り行きで…」

 

「理由なんて聞いてないわよ!!さっさと教えて……はっ!?そういえばロロナって あの毛玉を溺愛気味だったような…!それってつまり もし毛玉のことを知ったらマイスを…!?(ボソボソ」

 

「……?えっと、結局 今からロロナに教えたほうがいいの…?」

 

「教えなくていい!とりあえず ちょっと何処か行ってから毛玉に変身してきなさい!じゃないと 見つかるはずの無いヤツを延々と探し続けないといけないわよ!」

 

「えっ!今から!?いくら何でも それは不自然過ぎない?」

 

 

 

 

 ワーワーキャーキャーとふたり固まって内緒話(?)をし続けるマイスとクーデリア

 そんなふたりの様子をジィーっと見つめるロロナは、少し口を尖らせながら 独り言を呟いた

 

「ふたりが仲がいいのは嬉しいんだけど……なんで またふたりだけでお話しちゃうのかなー…?」

 

 口に出している間に、ちょっとイライラ感が心の中に溜まってしまったのだろうか。ロロナは(ほお)(ふく)らませ、「ぷんぷん!」といった効果音が似合いそうな怒り顔になっていた

 

 

「う~!くーちゃんもマイス君も!ふたりだけでおしゃべりしないでー!!」

 

 そう言いながら ロロナは屈んで話しているマイスとクーデリアに跳びついたた。そう、本当に ふたりに跳びついていったのだ。つまり……

 

 

 

 

「えっ!?ロロナ!?」

 

「ちょ、危な…!?」

 

「ふぇ…?あっ」

 

ゴチーン!

ドンガラガッシャーン!!





 『クーデリア編』も『ロロナ編』に続いてイチャラブはしませんでした。やっぱり、本編中に そういうフラグが無いと、歩み寄る時間が必要に……
 というか、今作のマイス君が草食系過ぎるのが 一番の問題かもしれません。『トトリのアトリエ編』では成長(?)していることを祈ります…


 きっと このふたりは、なんだかんだいって気が合うと思っています。クーデリアはピッチリカッチリですし、マイス君は 根っからの仕事馬鹿ですし……ただ、プライベートになると ロロナなんかが間に入ってたほうがスムーズになりそうなイメージです

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