……そして、《前》の半分ほどしか無い短さです
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ロロナが3年間『王国依頼』を達成し終え、マイスが旅行を終えて 他の人たちに農業を教え始めてから、少し
自由な時間が取れたマイスは、久々に街へと遊びに言っていたのだが……そんな時、爆発音が聞こえて マイスは「またか…」と思いつつ、無視もできないので『ロロナのアトリエ』へと向かったのだった
そして……
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***職人通り***
アトリエの外から窓越しに 中の様子をうかがっている人物が1人……と、その人のほうへと 文字通りフワフワと浮遊して近づいていく人影があった
「あら~?騎士さん、こんなところでどうしたのぉ?」
そう声をかけたのは浮遊している人影。幽霊のパメラだった
声をかけられた アトリエの中の様子を見ていた人物…騎士・ステルケンブルク・クラナッハは 驚いたように窓際から飛び退いた
「き、君は確か……一時期アトリエにいた幽霊の…」
「パメラよー。ついでに、今はお店の店主してるの。騎士さんは何してたのぉ?」
「いや、旅に出たアストリッドに「ロロナを頼む」と頼まれていて 様子を見に来たのだが、どうやら もうひとつの頼みのほうも……」
ステルクがチラリと窓のほうを見ながら言っていると、パメラは「ああ!」と納得したようにポンと手を叩いた
「「ロロナを頼む」とは言われなかったけど、私 「他の人がロロナとマイスを
「あ、ああ。君も言われていたのか」
「そうよー。アストリッドさんったら「少し焚きつけられたくらいでは、あの2人は3歩
ステルクとパメラは ふたり
アトリエの中では、先程の爆発の片づけを すでに終えていたのであろうロロナとマイス、それとホムが 『錬金術』の調合をしていた
「なんだか 普通ね~」
「…まあ、普段と変わりないな」
面白くなさそうなパメラに対し、ステルクは あくまで淡々とした事務的な態度で言葉を返す
と、ふいにパメラが「そうだわ!」と声をあげた
「ねえねえ!私たちで 2人をくっつかせてみなーい?」
「なっ!?」
「だって、私たちが焚きつけちゃいけないとは言われてないでしょ。なら…」
「そういうのは 本人たちの意思で前に進むものであって、周りがどうこう言う問題ではないだろう。ダメに決まってる!」
「えー、そんなに言わなくてもー。いいじゃなぁい、別に誰も困らないんだし……あっ」
残念そうに言っていたパメラの顔が、唐突に とてもイイ笑顔になる
それを見たステルクは 不思議そうに首をかしげるが、得体の知れない嫌な予感を なんとなく感じていた
「どうしたんだ。いきなり笑いだして」
「ごめんなさーい!私、騎士さんが困るなんて思ってなくてぇ……お邪魔虫はお店に帰っておくわ~!」
「はぁ?君はいったい何を言って……」
飛び去っていくパメラを見ながら、何が何だかわからない様子でつっ立っていたステルクだったが、一瞬 真顔で固まった後……
「……っー!?ご、誤解だ!君は勘違いをしてる!こらっ!待てーい!!」
必死の
そんな2人がアトリエの前から去っていった ちょうどその直後、アトリエの玄関の扉が開き、そこからマイスが顔を覗かせた
そして、周りをキョロキョロ見渡した後、再び アトリエの中へと入っていった
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***ロロナのアトリエ***
「あれ?マイス君 どうかしたの?」
マイスは ホムと合同で行っていた 試験官とフラスコでの調合に合流しながら、ロロナへの返事を返した
「いや、ちょっと外が騒がしい気がしたんだけど……特に変わったところは無かったから、気のせいだったみたい」
「そっかー…っと」
ポフンッ
混ぜていた釜が音をたて、ロロナはその中を確認する。無事 調合に成功したようだ
「できたー!」と声をあげながら 調合品を取り出し、それを 依頼品をまとめた場所へと運んでいった
「えっと、次ので最後だったよね?」
「はい。ホムとおにいちゃんでやっている今の調合で 2種の依頼品の調合が終わりますので、あとは その机の上の依頼書の分で終わりです。マスター、よろしくお願いします」
「はーい。ええっと、依頼品は『ベリーパイ』。なら必要なのは……」
依頼書の内容を確認したロロナはコンテナを
「あれ?あれれー?」
ロロナの間の抜けた声に、調合をしていたホムとマイスが ついそちらを見てしまう
「ほむちゃーん。『コバルトベリー』がないんだけど…」
「おかしいですね…?初めにホムが確認した時は 確かに必要個数あったはずですが」
「えぇー!?どうしてなくなっちゃったんだろ……あっ!?そういえば、さっきお薬作る時に使っちゃったかも!?」
「どーしよー!?」とワタワタ
そして、マイスは 自分の家のコンテナと繋がっている『秘密のポーチ』を手に取り、中を漁りだした
「はい、『コバルトベリー』。4つで
「ふぇ?」
マイスから『コバルトベリー』を手渡されたロロナが
「使ってしまっても いいのですか?」
「いいよ。ウチで育てたことのあるものは 大体が備蓄が それなりにあるから。それに、今 無いと困るでしょ?気にせず使ってよ!」
「もはや、おにいちゃんの家だけで 大抵の作物がそろってしまうのでは…」
いつも通りのにこやかな笑みをうかべたマイスが 頷いた
だが、少し申し訳なさそうに ロロナが言った
「あのね、できたら もう少し貰えないかなーなんて思ったり…」
「依頼内容は 確か『ベリーパイ』を2つだったはずです。『コバルトベリー』は4つで足りるのでは」
ホムちゃんの指摘に 慌てつつも、ロロナは「でもね、でもね!」と言葉を続けた
「ほら、最近 私もマイス君も ずーっと
少し恥ずかしそうに、そう言うロロナの手に 追加で数個の『コバルトベリー』が置かれた
「それじゃあ、僕らも頑張って 仕事を早く終わらせないとね!」
「はい。…マスター、過去最高の品質の『ベリーパイ』を
「うん!……って、あれ?ほむちゃん、それはさすがに 無理があるような…。ねえ、ねぇってばー!」
『ロロナ編』はイチャラブというよりも、ロロナからマイスへの意識が「弟のような存在」から一歩進みましたー程度の話になりました
きっと このふたりだと、延々とゆるふわな空気で過ごしてるんじゃないかなーなんて考えてます