すみません。思ったよりも仕事の休憩時間や合間の時間を使えませんでした。
【11-○】は「マイス失踪」中の各自の行動・心情等となっています。
なので、ルートごとに場面は結構違いますし、ロロナとトトリのように重なったり……でも内容がかなり違ったりすることもあります。……そう言う予定です。
引き続き、「独自解釈」、「捏造設定」のオンパレード。そのうえ、各ルートごとに違和感が発生したりしだします。
今回は視点が一転二転します。ご注意ください。
【*11-2*】
***職人通り***
「アイタタタっ。……ぐすんっ」
ほむちゃんに「マスターはアトリエから出てってください(意訳)」って言われて、つい飛び出してきちゃって、それで…………アトリエから出てすぐの通りの階段で一段踏み間違えて転げ落ちちゃった……。
「ううっ、ほむちゃんも、あんな言い方しなくっていいのに」
そんな
いやまあ、追い出されたのはわたしが何回も調合に失敗しちゃったのが悪いんだから、当然といえば当然の結果なんだけど……。
普通に考えたら、調合している横で小さくとは言っても何度も爆発させてる人がいたら気が気じゃないよね。そんな状態だったんだろうトトリちゃんに代わってほむちゃんがわたしにああ言ってきたんだと思う。
……うん、やっぱりわたしが悪かったんだよね。
とは言っても、わたしだって失敗しようと思って調合をしてたわけじゃないし……うーん、でもそれは言い訳だよね。
「はぁ~……なんであんなに失敗しちゃったんだろ? 出来そうな気はしてるのになぁ……」
とは言っても、出来ていないのがまぎれも無い事実なわけで。
「何回も」ってことは、何かしらの原因があるんだと思う。
思い浮かぶのっていったら、調合の仕方か素材の吟味、もっといえばレシピそのものに
トトリちゃんにも協力してもらったし、わたしにはアレ以外には思い浮かばないーってくらいには考えに考え抜いたレシピで間違えちゃってたりはしないと思うんだけど……。でも一から作ったレシピだから絶対に絶対に成功するとも限らない気も……。
……ほ、他に失敗の原因になりそうなのって何かないかなぁ?
そう、例えば――わたしが
「集中力……集中…………」
……
何かが心のどこかにひっかかってしまっている、そんな感じ……。
『だが、それで? お前はヤツに何を言うつもりだ?』
でも、今のわたしの胸の内にひっかかってるのは、師匠の言った
……思えば、度重なる失敗もそのせいな気もしなくはないかも?
「つまりこれは師匠のせいってことなんじゃ……」
「何が私のせいだと?」
「それはもちろん、わたしが何回も調合に失敗しちゃうのが……って」
トボトボ歩きながらの独り言……だったはずなのに、不意に左耳から聞き知った声が入ってきて……って、この声って?
「うえぇう!? し、しし師匠っ!? いつのまに……!」
「いやなに、いきなりお前がアトリエから飛び出してきたかと思ったら階段を転げ落ちて、そして一人寂しそうに歩いていたので……心配して隣を歩いてやってたんだぞ? ん? ん?」
「つ、つまり最初っから……」
やっぱり師匠って四六時中わたしたちのこと監視してたりしてたんじゃ……!?
というか、「心配して」なんて言ってる師匠だけど、その
一時期は旅をしてまわってまで探した師匠。その師匠がコッチの気なんて知らずにいつの間にかひょっこりと帰ってきて……それで、昔と同じ調子でわーわー好き勝手にやってる。それが少しだけ何とも言えない気持ちになってくるんだけど……今はそれを置いといて。
今、重要なのは『青の農村』で話に乱入してきた後、ほむちゃんを置いてフラっとどこかへ行ってしまった師匠が目の前にいるって事。
「いきなり出てきたこととか色々言いたいことはありますけど……師匠」
「なんだ? ついにお姉さまと呼ぶ気に――」
「違いますよっ。あの、ほむちゃんから聞きましたけど、師匠ってコッチにいない間に「『ゲート』を発生させる道具」とかの研究もしてたんですよね?」
「ん、片手間の研究の一端で、な。ほら、あの時見せた計測結果のグラフがあっただろう? あの計測が元となって、そこから……まぁ詳しいこと置いとくとして、それがどうかしたか?」
「その中で、わたしにそう気付かせてくれたみたいに「『ゲート』を反転させる道具」みたいなやつも作ってみたりしてないんですか?」
ほむちゃんから話を聞いた時から「もしかして……」とは思ってたけど……どうなんだろう? 可能性としては十分にあると思うんだけどなぁ。それであったら譲ってもらったりなんかすれば、わたしが調合を失敗ばっかりしちゃうのも、それで予定より色々遅れてるのもなんとかなるのに。
いや、でも「発生させる道具」のほうは爆散させたみたいな話だし、反転させるのはさすがに……。
「作ってあるが……それがどうかしたか?」
「そうですよねー。さすがに――――」
……ん? 作ってる?
聞き間違えではないみたいだし、驚き……とはいっても、なんというか……
「――――さすがは師匠って感じですね」
「ふふっん、もっと熱烈に褒めたたえてもいいんだぞ?」
そう言いながらドヤ顔で眼鏡をクイッと上げる師匠。
「あの、それを貰ったりとかは……?」
「まあ、他でもないお前の頼みだ。それ相応の対価さえ支払えばくれてやるのも吝かではない……が、おすすめはしないぞ」
……? どういうことなんだろう?
「おすすめはしない」って、何かその道具にマズイことでもあるのかな? 例えば、扱いがとーっても難しくって危ないとか、使うためにはものすーっごい素材が必要だとか?
「いや、違うぞ?」
色々考えてたのが顔に出ちゃってたのか、それとも相手が師匠だったからか、師匠がそんなこと言ってわたしを否定してした。
でも、「違う」なら、一体何で?
「すすめない理由は至極単純で……同時に複雑難解だ」
「単純で複雑?」
「お前はそれで納得できるか?」
なっ……とく……?
「正直に言おう。私がその気になればお前たちがやろうとしていることを実現できる道具もすぐに用意できるし、もっと極端なことを言えば、よりスマートな手段を用いてヤツをこちらへ連れ戻すことも不可能ではないだろう…………だが、お前はそれで納得できるのか?」
「納得も何も、今はマイス君を助けるのが優先に決まってるじゃないですかっ!」
「少なくとも、私は納得できん!」
「えっ!?」
「だってそうだろう? あの現象そのものには興味を惹かれはするが、ヤツがいなくなろうと
そう言った師匠は、頬を赤らめながら「もっとこう……「お願いしますぅお姉さま~」みたいな感じでなぁ~?」ってわたしの声マネ(?)もしながらクネクネして……
「……って、ただのワガママじゃないですか!?」
「ワガママで何が悪い!」
何でそんなことを胸張って言えるんですか!?
もうやだ、この師匠! 昔以上に酷く自分勝手になってる気がするよっ!
「まぁ、そんな私の意思を知ったところでお前たちは計画を止めたりはせんだろうし、私も妨害しようなどとは考えていない。だが、師として失敗の原因でもあるお前が抱えている悩みを解決してやるのが先決だな。そうだな……ヤツの家に行ってみるといい」
「やつ?」
「言わんでもわかるだろう? ヤツの、マイスの家だ」
―――――――――
***青の農村・マイスの家前***
「……っで、来ちゃったけど……」
わたしの目の前には、
アトリエからは追い出されちゃってたし、他に用があったりしたわけじゃないから、言われるがまま『
「何回も調合失敗してるーっていうのは、師匠に話しちゃってたけど……でも、それだけでどうしてその原因が師匠にはすぐにわかってたんだろう? それも、「
わたしは一応は集中力云々のことを考えた時に「もしかしたら……」って思いはしたけど、そのことは師匠は知らないはず……。
「それに、何でマイス君の家に行ってみたらいいって言ったんだろう? ……そりゃあマイス君がいたら根本的に全部解決するけど……いないからこんなことになってるってわけで……」
そもそも、わたしの中でひっかかってしまってることって、下手したら
「……うん。ここで考えても仕方ない気がするし、帰ろう」
そう思って来た道を帰ろうとしたんだけど……その時、玄関のほうから「ガチャ」と音が聞こえた。
えっ? マイス君はいないはずだし、いったい誰が……?
「ぁ……ろ、ロロナちゃん?」
「りおちゃん……ああっ、そっか」
マイス君の家から出てきたのはりおちゃん。その両隣にはいつものようにらにゃちゃんとほろくんがフワフワ浮かんでる。
……そういえば、りおちゃんはマイス君の家にある本とかを漁って『ルーン』のこととかを調べてるんだった。なら、ここにいて当然だよね。
「なんだか声がするような気がするって思ったら、
「どうしたんだ? まさかとは思うが、もう『属性結晶』が無くなったか? もしかしたら『作用場』のほうのコンテナに残ってるかもしれねぇけど……」
そう言ってくれてるらにゃちゃんとほろくんに、わたしは首を振りながら「いいの、いいの」って言う。
「別に、そういうのじゃなくって……うーん、なんて言ったらいいんだろぅ?」
「……? どうかしたの?」
「どこから話したらいいのか……ええっと、まずはわたしがアトリエから追い出されちゃって――」
「オイオイ」
「……何したのよ、アナタ」
―――――――――
……とりあえず、りおちゃんたちにこれまでのことを話してみた。
「――で、師匠にはここに……マイス君の家に行ったらいいって言われて来てみたんだ。でも、なんだかスッキリしたりはしなくって……」
「はぁん、なるほどな」
「アナタの師匠がそんなことを」
事情はわかってもらえたみたいで、ほろくんとらにゃちゃんが頷くような仕草をしてくれた。
「けど、なんで師匠は
「あの人のことだから、何かしら意味はあるんでしょうけど……」
「とはいえ、あのネェチャンの考えを理解しろってのが無理な話だよな」
……うん。ほろくんの言う通り、師匠の考えていることをわかるようになるのは、いろんな意味で無理な気がするよ。趣味趣向はもちろんだけど、なんだかんだ言って元々頭もいいわけで……やっぱり無理な気がする。
「ろ、ロロナちゃんっ!」
「ふぇっ? どうしたの、りおちゃん」
急に大きな声を出してきたりおちゃんにちょっと驚いちゃったりもしながらも、改めてりおちゃんの方へ向き直ると、りおちゃんが胸の前で両手をギュッと握ってわたしを力強い目で見てきてた。
「ああのねっ、調合のこととかはわかんないけど、ロロナちゃん悩みのことなら……わたしたち、聞いて上げられるよっ! た……たぶん、だけど」
「りおちゃん……」
「まあ、聞いてやれるってだけで、解決できるかはわかんねぇけどな」
「もうっ、そういうことはわざわざ言わなくていいのよっ!」
「あはははっ……でも、聞いてくれるだけでもうれしいよ」
とはいっても、わたしの悩み……心の中のひっかかりが本当に調合の失敗と結びついてるかどうかは……でも、それによる集中力不足以外に理由も思いつかないのも事実だしなぁ?
ちょっと悩みながらも、りおちゃんなら相談できる気がして、わたしはまだ誰にも話せてなかった
――――――
悩み……って言うのとはちょっと違うような気もするんだけど、あの時からずーっと頭の中に残っちゃってて、よくフゥッと思い出しちゃうんだ
師匠にね「お前はヤツに何を言うつもりだ?」って言われたあの時。
その後、師匠が言ってたマイス君が
それまでは……
「マイス君と離れたくない」
「これからもずっと一緒にいたい」
「連れ戻したい」
……って思ってたのに、そういうのが全部無くなっちゃって……その代わりにね――
――――『シアレンス』に帰れたほうが、マイス君は今よりずっと幸せなんじゃないかな――――
――そう思っちゃったの。
もちろんね、マイス君が行った先が『シアレンス』じゃないってわかってからは「連れ戻したい」とかまた思えたし、『はじまりの森』のことを知ったらマイス君なら大丈夫かもって思ってもやっぱり「助け出さなきゃ」って思ったよ?
でもね、残ってるの。
あの時のわたしの頭の中に浮かんだ言葉が……だから、いつもいつの間にか考え出しちゃうんだ。
もしかしたら、マイス君にとって『アーランド』は生き辛くて、本当は今でも『シアレンス』に帰りたいんじゃないか、って。
今やってる
そうしたら、マイス君が帰れちゃうようになるんじゃないか、って。
何年も前、全然元気が無くって沈んでいたマイス君を思い出したら――
いつも一生懸命に、お祭りをあんなに楽しんでるマイス君を思い出したら――
『シアレンス』の近くにある綺麗な場所のことを楽しそうに話してたマイス君を思い出したら――
『シアレンス』の人たちのことを懐かしそうに……どこか寂しそうに言ってたマイス君を思い出したら――
やっぱりマイス君には『アーランド』に戻って来てほしくって……でも、もしもマイス君が『シアレンス』に帰りたいって言ったら、
――――――
「――って、感じのことをいつの間にか調合中に考えだしちゃってて……たぶんそのせいで集中力がとんでっちゃったから、失敗ばっかりしてたんだと思うんだ」
そこまで言ったところで……自分の耳に入ってくる自分の言葉を聞いて、改めてちょっと凹んじゃった。
なんていうか陰湿っていうか、勝手に色々考えちゃってて聞けば聞くほどマイス君に悪い気がしてくるような……。
「っていうか、もしももしもで考え過ぎだよね。ご、ごめん……」
「まぁ、仕方ないんじゃないかしら? いきなり色々あった上に、よりにもよって
「だな。……にしたって、相変わらずのお人好しっつーか、相手想い過ぎっつーか。もっと自分の思った通りにすればいいってのによ。コイツなんて、なぁ?」
「なぁ?」ってらにゃちゃんとほろくんが顔を見合わせて頷き合って……って、あれ? 間にいるりおちゃん、いつの間にか
「えっと……何かあったの?」
「何かあったっつーかな? マイスがいなくなってオマエが色々考えてるのと同じ時にコイツが何考えてたと思う?」
「今の話聞いてると、
なんで、りおちゃんが思ったことを二人が……って、そういえば、ほろくんとらにゃちゃんって、りおちゃんと
……けど、りおちゃんってあの時に何を考えてたんだろう?
「……っま、それは今はどうでもいいか」
「そんなぁ!? 凄い気になるんだけど」
「ごめんなさいね。それより今は、リオネラが言いたいことがあるみたいだから」
「りおちゃんが?」
言われて改めて目を見けてみるけど、やっぱり俯き気味でその
なんだか、ちょっと震えてる……? だ、大丈夫かな?
「…………か」
「?」
「ロロナちゃんの……ばかっ!」
「ええっ!?」
なにっ!? 今、わたし、りおちゃん何て…………ばか……馬鹿!?
いやまあ、師匠とかくーちゃん、イクセくんとかにけっこう言われたことはあるし、バカ以外にもアホだとか色々言われたことあるけど、あのりおちゃんに!?
「わたし、何かしちゃってた!? りおちゃんを怒らせちゃうようなこと……! ご、ごめ――」
「謝らないでっ!」
「うえっ!?」
そ、そんな……っ!?
で、でも、怒らせちゃったならちゃんと謝らないとだし、でもでも――
「
「……へ?」
りおちゃんには……? それってどういう……?
「マイス君はロロナちゃんのことを……グスッ……ロロナちゃんのことを選んだんだよ? 好きだって……大好きだって言ってくれたんじゃないの……!?」
「りおちゃん……?」
「……いきなりいなくなって、心配なのもっ、不安でいっぱいなのもわかるよ? もしかしたら、『はじまりの森』にも『ハーフ』のマイス君が自分の意思で行ったんじゃないかって……そんなことまで思いだしちゃうかもしれない…………でも、でもっ……ロロナちゃんだけは信じてあげなきゃ……っ!! マイス君は……マイス君はっ、気まぐれとか、妥協で、ロロナちゃんと一緒にいることを選んだんじゃないんだって! 絶対、『アーランド』に……ロロナちゃんの所に帰ってきたいって思ってるって!!」
「……!!」
「私、私は二人とも大好きだから……二人で一緒に、笑顔でいてよっ……グスッ……スン…………ロロナちゃんも、マイス君も……二人がいる『アーランド』じゃなきゃ、ダメ、なんだもん……!」
……そう言ったりおちゃんは、沢山の涙を流してた。それは、りおちゃんが拭っても拭っても、ドンドンあふれてきてて……
「……りおちゃん。
「ん、ぐしゅ………」
「わたし、恋人失格なんだろうなぁ」
「そんなこと、ないよぅ……ロロナちゃんは、勝手な私より全然優しくって……きっと、マイス君だってそんなロロナちゃんに救われてるって思う……」
「そうかな……でも、きっとそんなすごくないと思うから。
そこまで言って、わたしはもう一回りおちゃんに「ありがとう」って言いたくなった……だから、言った。
そして……
「わたし、やらなきゃ!」
「スン……うんっ! 頑張ってロロナちゃん! こっちで何かわかったら、すぐに伝えに行くよ。それに、何か私に出来ることがあったら何でも言って!」
「うん!」
りおちゃんの言葉にそう答えて、わたしは街へ、アトリエへと向かって走り出す。
アトリエを飛び出してきちゃったから『トラベルゲート』が手元に無くって、もどかしいけど……でも、だからこそ、わたしは一生懸命走る。
真っ赤な夕日が目に染みるけど、それでもわたしは前を見る。
きっと待たせちゃう。待たせちゃってる。けど……
「待ってて、絶対に助けに行くから!」
もう、迷わないから。
―――――――――
走って行ったロロナを、玄関前で見送るリオネラ。
「リオネラ、よかったの?」
「うん。……わかってる、よね? あれも全部、本当にわたしの気持ちだから……」
「けどなぁ……だからって「だもん」ねぇだろ。いい歳どころか、もう三十路目前なんだからよ」
「ちょっ、ホロホロ!? そういうことは言わないでっ!!」
どこかスッキリしながらもしんみりしてしまっていたリオネラに、ホロホロの言葉がグサッとどころかグリュンとリオネラの心を抉った。
「ふむ。しかしだな、そういう「ふとした瞬間に顔を出す幼げな感じがグッとくる」なとどいう感性を持った輩もいるのだ。お前のそういう所はそれはそれでイイと思うが……」
「ふぇ?」
声のしたほうを――斜め後ろを――振り返ったリオネラの目に飛び込んできたのは……玄関横の窓を開けて、ティーカップ片手にその窓枠の縁に肩ひじつけながらお茶を飲んでいるアストリッドの姿だった。
「ええええ、ええっ!? い、いいつ……いつから……!?」
「言わんでもわかるだろう?」
やけに偉そうに、優雅にお茶を飲みながらそう答えるアストリッド。その口をティーカップから離し……「ふぅ」と息をひとつついてから、再び口を開いた。
「安心しろ、と言っていいかは……いや、さっきの様子からすれば、お前には「安心しろ」でいいんだろうな」
「オイオイ、何の話だ?」
「まぁ、大体予想はつくけど?」
「ロロナはそれはそれはもうアホの子で、どうしようもない抜けっぷりのあるドジっ子ではあるが、絶対に成し遂げるさ」
「ぜ絶対、ですか……?」
リオネラの問いかけに、アストリッドは静かに……しかし、確かに頷いた。
「お前も間近で見てきたと思うが、
「……はいっ」
―――――――――
***ロロナのアトリエ***
……ん? あれ? ……ここは…………ソファー?
そうだ、ホムちゃんに手伝ってもらいながら色々調合していって……それで、一段落したころには日が暮れ経ってて。けど、ロロナ先生は飛び出して行ったまま帰ってきてなくって……。
探そうかとも思ったけど、とりあえずアトリエのお留守番をしとかなきゃーってことで先生の帰りを待つことにして……。
でも、ずーっと調合してたからか、ソファーに座ってたらウトウトしちゃって……そこからは憶えてない、かな?
「というか、もう朝……? 先生は……」
まだ重いまぶたを擦りながら辺りを見渡してみると……まず目に入ったのが、私の隣で私と一緒の毛布に包まって寝てるホムちゃん。私に毛布を掛けてそのまま寝ちゃったのかな?
「……あっ」
錬金釜のそばの床に、釜をかき混ぜる杖を両腕で抱きしめるようにして寝転がってる先生の姿が。
そして、よくよく見るとその右手には……
「出来たんですね、先生……!」
「いぷしゅっ!」
「先生……風邪、ひいてないといいなぁ……」
書いてて思ったこと。
今作で、大小様々ある原作からのキャラの変化。それが一番大きいキャラはフィリーだと思っていたけど、実はアストリッドなんじゃないかと思い始めた今日この頃。
次回、ラストバトル……?