「それでは最終試験の発表をする」
と言うわけでくそったれなハンター試験もよーやく終わりを迎えている。
「最終試験は一対一のトーナメント形式で行う。そして、その組み合わせはこれじゃ」
そしてトーナメント表が顕になると原作とは異なり、
「さて肝心のクリア条件だが、至って明確。たった一勝で合格である」
「つまり通常の負け抜けトーナメントじゃなく、勝ち抜けトーナメントってことか?」
だいたいこの辺は一緒だから聞くまでもないな。分かりやすくまとめるとこうだな。
原作の相違点
・念の素質が最終試験のメンバーで尤も高いのは忍者ではなく俺ことキルア
・ゴンは忍者ではなく原作でのヒソカの対戦相手だったクラピカと戦う
・ヒソカは最初にネテロもどきと戦う
原作との共通点
・キルア、忍者、ゴン、ヒソカ、クラピカ、ネテロもどき以外は全て対戦相手が同じ
・ルールは時間制限無限。降参したら負け。殺したら即不合格の一対一のノーデスマッチ
・念の素質が高いほどチャンス(試合数)が多くなる
……そんな程度だな。原作で聞く筈だった点数評価の詳細とかも話が終わったし、そろそろやるか。
「で、どうすんの? ハゲオジサン」
「俺はオジサンじゃねえ!」
ハゲは否定しないんだな。じゃあ逆の言葉でいってみるか。
「じゃあハゲガキ」
「てめえにガキって言われたくねえよ!」
「わがままだな。何が良いんだ?」
「お兄さんと呼べ」
「嫌だね。本当の兄貴に殺されるから」
実際そこにいるしな。
「ちっ、それで何がどうするんだ? 後俺のことはハンゾーさんって呼べよ」
「さん付けさせられるようなことをしたらそう呼んでやるよ。それとあのままのルールでやったらキリないぜ。お互い殺しが付きまとう職業だし」
「俺は一言もそんなことは言ってないぞ」
「あんたの動きだよ。暗殺者特有の動きをしてるから分かりやすい」
「で、それがわかったらどうするんだ?」
「別に。それよりもルールを自分達で設けた方が良いんじゃないか? このまま、降参させるまで続けるなんてルールだと泥仕合で体力を大きく消耗する」
このままのルールだと気絶しようが何しようが試合は終わらず、相手の心を折る為に何をしでかすかわからない。そんな手段を俺は選びたくないのでローカルルールを提案した。
「それもそうか……」
「四方の壁に自分の身体が当たったら負けというのはどうだ?」
ちなみにこのルールは俺が考えたものではなく、どこかの二次小説で出たアイデアだ。この方法なら比較的平和に行えるしな。
「それが良さそうだな。それなら気絶させても壁にぶつければ負けを認めさせられるしな」
ハゲ忍者が笑みを浮かべ、提案したルールを受け入れた。
「よし、とっとと試合やろうか」
「そうだな」
忍者が俺の後ろに回り込んで首を叩いて気絶させようとしたが俺は忍者の玉という玉を蹴っ飛ばした。
「ーっ!!」
忍者が悶絶するのをみてこの場にいた受験生のほとんどが股間を抑え、同じように悶絶した。
「大方、足に自信ありってとこだが、ミケ相手に戦ってきた俺の敵じゃねえ」
ミケ。名前こそ猫っぽい感じだが、見た目は何千年も生きてきたような巨大狼でゾルディック家のペット。俺はこいつ相手に絶をして最小限の動きで避けるように練習してきた。執事の連中は俺相手だと萎縮して手加減してしまい、練習にもならない。ミケなら餌を持てば容赦なく襲いかかってくるので実に練習になった。
「ミケって誰だよ……」
「で? まだやるの?」
レオリオのツッコミを無視して、忍者にそう聞く。このまま蹴っ飛ばして壁に接触させるのも考えたが、えげつなさ過ぎて後で恨まれそうだ。
「やる……に決まっている!」
あの悶絶から立ち直り、拳で殴りかかろうと腕を振るい、俺はそれを避ける。
「ご丁寧に仕込み刀まで用意したのはいいけど、俺やヒソカや兄貴クラスの相手だと通用しないぜ? わざわざ手の内を披露するのと同じことだからやめておきな。ハゲ」
しかしとことん甘いよな。俺だったらあの仕込み刀に痒くなる毒塗って悶絶させたところで降参させるな。俺には毒効かないけど。
「……そうだな。俺は次の試合で勝てば良いし、何も敵わない相手にムキになって手の内を披露する必要もない」
そう言って忍者が壁まで歩き、壁に手をつかせて口を開いた。
「審判、降参だ。そしててめえの土俵で降参してやったんだから感謝してお兄さんと呼べよ?」
「やだ」
俺が否定し微妙な空気が流れたのをスルーし、合格したことに歓喜した。
……って次の試合、ゴンVSクラピカじゃねか!? 原作キャラ二人組が戦うのか。複雑な気分だ。
「審判、私は棄権する」
早速、クラピカが棄権宣言を立てた。あり得ない訳じゃない。クラピカは自己犠牲が強く、友と認めるゴンの為に自分が棄権することによってゴンを合格させたいと考えている。
「ええっ? どうして!?」
「ゴン、私とお前が戦えば決着こそするがお互いに満身創痍の状態になる。そんな状態で挑むよりもどちらか片方、棄権して次の試合に勝てばいい」
満身創痍はねえだろ。俺はクラピカを評価している。ゴンは確かに強い。しかし攻撃に特定のパターンがあり、頭脳明晰なクラピカがそれに気づくのは容易く、ハメ技だって出来るからだ。
「だったらキルアが提案したルールを使うのはどう?」
「あのルールは悪くない。しかしそれでも傷つくことに変わりない。ならばいっそのこと、万全の状態で次の試合に出る方が良い。それに色々と聞きたい相手がいる」
クラピカがヒソカを見て、奴はそれを笑みで答えた。……ヒソカの野郎旅団のことを話したのか? あんまり奴に近づきたくないが近づこう。俺はこっそりとヒソカに近づき、それを尋ねた。
「ヒソカ、クラピカに何を吹き込んだ?」
「君が知ることじゃないさ♥️」
「幻影旅団か?」
「君が何で……ああ、彼の目か♦️」
俺がカマかけるとヒソカが珍しく驚いた顔をしたかと思えば、すぐに元に戻り納得した声を出した。
「クラピカは旅団に敵対心を抱いている。それがわかったのは三次試験の時だ。その時に遭遇した旅団を偽った男に対して向けた目はクルタ族特有の緋の目だった。緋の目、いや同胞達の命を奪った旅団に対してクラピカは許せないんだろう。それに気づいたお前はあることを条件にその旅団の情報を与えた……違うか?」
「ビンゴ♣️」
ヒソカが俺の推理に正解を唱え、指差した。
「だとしたら解せねえな。お前らしくもない」
「僕らしくないだって? 冗談を言わないで欲しいな♠️」
「冗談じゃねえよ。ゴンの成長を見たいはずのお前ならクラピカにゴンを叩きのめすように指示するはずだ。しかし今やっていることは逆。ゴン相手に戦うどころか棄権しようとした」
「あれでいいのさ♦️」
あれで良いだと? 俺はヒソカから目を離しゴン達を見るとまだ言い争っていた。
「……ではどうしても戦うというのか? ゴン」
「そうでもしないとクラピカに悪いよ!」
「では先ほどキルアが設定したルールで勝敗を決めよう」
……どうなってやがる? 逆に戦おうとしてやがる。
「驚いたかい? ゴンの性格上、ああすることで戦おうとするのさ♥️」
本当、そう言うところは父親に似てやがって……バカじゃねえか?
「ゴンの性格を計算して、クラピカにそうさせたのか?」
「それだけじゃない。ああ言わすことでゴンの力を最大限に引き出すことが出来るのさ♠️」
やっぱりこいつは極悪だ。そして趣味も悪い。どうせ惚れるなら女顔のクラピカにしておけよ。かなり昔のBLものならありそうだけどな。
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最終的に主人公の強さはどのくらいになるのがいいのか?
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最強
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強キャラ(ネテロクラス)
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原作超え
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原作と同格