テンプレはH×Hの世界でも通用する   作:ディア

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なぜか筆が進み更新出来ました。

…前回の投稿でお気に入り登録数が80くらい増えてモチベーションが上がったからでしょうか?


第11話 本気×ボール取り×やりすぎ

 畜生、俺が何をしたっていうんだ! キルアになって原作の流れをちょっと変えただけじゃないか!? だと言うのに……何でヒソカにこんなに絡まれるんだよ!? ヒソカのエンカウントが仕事しすぎてブラックどころか黒墨汁企業だ! 白ペンキで塗りつぶすのは無理でも真っ白な紙に変えろよ! 

 

「キルア、僕も混ぜてよ♠︎」

 

「誰がてめえを混ぜるか!」

 

 黒墨汁のてめえが混ざったらせっかく渋く光る銀色も台無しだ! 

 

「ワシは構わんぞ。ただしルールを追加させて貰うが」

 

「決まりだね♣︎」

 

 もうヤダこいつら。誰か何とかして……

 

 

 

「ルールの追加。お主が持っているボールがキルアに奪われたら負け。或いはボールがワシの手元に渡った場合5分以内に奪い返すように行動しなかったり、ワシに意図的にボールを渡しても負けじゃ」

 

「良いね❤︎ その条件♢」

 

 ……確かに悪くない。捻くれ者のネテロが俺を妨害したりしてヒソカと手を組むなんてことはなく、むしろその逆。ヒソカのボールを取りに行ってその後ヒソカと俺を相手にする。強化系ならではの悲しき習性だ。俺がネテロの立場ならキルア()を気絶させた後、ヒソカと戦うだろうな。

 

 肝心なのはヒソカだ。ヒソカがどう動くかによって決まる。ヒソカの手元からボールが離れたらヒソカは俺ではなく、ネテロに向かっていく。ルールの関係上そうせざるを得ないが開始時点じゃボールはヒソカにあり、奴がどう動くかなんてのは予測が不可能だ。

 

 ネテロは捻くれているが決めたことは自分の動きを制限するものであってもやり遂げるがヒソカ場合はそうもいかない。ヒソカの性格上気まぐれを起こして予想の斜め上の行動を起こすなんてことはよくあることだから予測不可能。

 

 例えば散々荒らしておいて途中で止め、その場を去るとかな。もちろんそんな素敵過ぎる展開は妄想だけにしておく。そんなことがあったらとっくにヒソカの認識は俺の中で厄病神から台風レベルになっているよ。

 

 俺が予測出来るのはここまでだ。原作のキルアならもっと考えられるだろうが中身が元自宅警備員なだけあって思考力が足りない。その為これ以上考えてもどうしようもない。

 

 

 

「うむ、キルア。それで構わぬな?」

 

「構わねえよ」

 

 結局、俺はそのルールを受け入れることにした。

 

 

 

「では始めっ!」

 

 ネテロが俺をガン無視しボールを取りに行く。これは俺でも予測出来ることだ。ネテロはあくまで楽しむ為にこのゲームをやっているから俺を気絶させヒソカと戦うなんて真似はしないだろう。俺が気絶したらボールが奪われる心配なんてなくなるからスリルもなくなり、つまらなくなる。故にこのようにボールを取りにいく確率はほぼ100%だ。

 

 

 

 俺の作戦はそのネテロの影に隠れるように移動し、ネテロがボールを取った瞬間を見計らってボールを横取りすると言うものだ。俺が視界から消えればヒソカに頼りにするのは念能力による探知、言って見れば凝だ。

 

 見えなくなったからといって所詮それはネテロの影に隠れていたからにすぎない。故に念を探知する凝を使えば俺の念を感知し、どこにいるか丸わかりになる。

 

「♣︎」

 

 ヒソカはボールにバンジーガムを包み込み、天井に貼り付ける。確かにこれならばルール上、俺やネテロに関係なく両手で攻撃出来る。

 

 

 

 となれば問題はネテロ。奴の目的はヒソカを殴ることじゃなく俺にボールを触れさせないことだ。俺がボールを奪った時点でゲームが終了するから俺にボールを奪われる訳にはいかない。優先順位としては

 

 

 

 1. 俺にボールを触れさせない

 

 2. 自分ルール

 

 3. ヒソカと戦う

 

 

 

 とまあこんなもんじゃないのか? もちろん時と場合によっては順位が変わるだろうが基本的にはこのスタンスだ。

 

「ほ〜ぅ、そう来たか。面白いことをするのう」

 

 ネテロが感心したような溜息を吐く。

 

「こうしたほうが面白いかなって思ってさ♢」

 

 お前の面白いはただカオスな展開を楽しみたいだけだろう? あのバンジーガムを取り除くにはかなり苦労するし、片手じゃ取れないようにうまく貼り付けている。両手で取ったら取ったでネテロはその両手が使えなくなりヒソカを相手にするには無理がある。百式観音を繰り出す時も両手を使うために、ネテロの切り札を防いだとも言っていい。もっとも百式観音なんてこんな遊び程度じゃ絶対に使わないと思うが。

 

「この勝負貰った!」

 

 だが俺は別だ! 俺はあれを取れば勝ちだ。この戦闘バカ共は何をトチ狂ったのかは知らないが俺を無視して二人で戦闘することだけを考えていた。故にあのボールをどうするかなんて考えても……

 

「へぶっ!?」

 

 痛てえっ!? 足に何か引っかかった!? 

 

「残念だったねキルア❤︎ ルール説明の時に君の靴に細工させて貰ったのさ♠︎」

 

「なんだと!?」

 

 そんなご都合主義があってたまるか!! 

 

「時限式のバンジーガム。そうだねぇ、名付けるとしたらタイマーガムって感じかな♣︎」

 

 おいおい、そんなことも出来るのか!? いやヒソカも俺を弄ぶ為だけにそういうのを開発したのか……

 

 

 

 俺の馬鹿っ!! 何でそんなミスに気がつかないんだ!? 何でヒソカが大人しく待っていたのか疑問に思えば分かっていたはずだ! 

 

 

 

「だからといって凹む俺ではないっ!!」

 

 俺は靴を脱ぎ、天高く飛び天井に貼りついたボールのところまで辿り着く。しかし目の前にはネテロが居て邪魔だ。邪魔でも俺はネテロという障害をどうこうするほどの実力は持っていない。となればボールを叩き落として床に貼りつけさせたほうが俺としては都合がいい。

 

 

 

「水遁・水手裏剣の術!」

 

 俺は印を組み、掌から水で出来た手裏剣を放つ。前に水遁を再現するのは無理だと言ったがあれは全部は無理というだけで具現化を最小限に抑えかつ操作を一切抜きにすれば変化系の俺でも出来るようになる。後、発動する際に印を組み、口にするという制約をさせることで威力を上げることが出来る。……どうしてこういうことは出来るのに水龍弾の術とか出来ないんだろうな? あれは操作系と具現化系の管轄だからか。

 

 

 

「ぬっ!?」

 

 ネテロといえどもこれを対処するには難しいと判断したのかそれを躱し、バランスを崩す。そして俺の水手裏剣がヒソカのバンジーガムを切断し真下に落ち、ヒソカがそれをキャッチした。

 

「僕のバンジーガムを攻略するなんてやるじゃない♣︎」

 

「嘘つけ。わざと切らせたんだろうが」

 

「まあね❤︎」

 

 やっぱりかよ! ドチクショウ! ヒソカのバンジーガムは切れないようになっている。それこそヒソカが念を意図的に切らない限りは無理だ。

 

 

 

 しかしだ。何回やっても俺がヒソカに勝てる姿が想像出来ない。ネテロが力をセーブしないならともかく現時点ではネテロに協力して貰ってもイルミ以上の成果は期待出来ない。むしろルール上邪魔な存在だ。ヒソカにとって負けることが有意義だということを理解させた上で、勝たせてもらう。そしてネテロの足止めをさせる。これが一番ベストなパターンだ。

 

「よし、久しぶりに本気になるか」

 

 俺は暗殺モードに切り替え、変化系の能力で水を出す。

 

 

 

 暗殺モードは単純に俺の本気だ。俺は気まぐれで本気になる機会というか、何時でも本気出せばどうとでもなるという考え方があって本気を出せなかっただけだ。自宅警備員にありがちな言い訳のようにも聞こえるが気のせいだ! 

 

 

 

 話が逸れた。とにかく今の俺は暗殺モード、つまり本気も本気。これ以上ないまでに爆走させている。え? 操作系の能力じゃないのかだと? 全然違うな。俺は本気になっただけで念能力は変化系以外使っていない。

 

「!」

 

「♠︎」

 

 水浸しになった床を見た二人がそれに警戒し、壁に貼りついた。取り敢えず重力に喧嘩を売るのはやめましょう。

 

「という訳で喰らえや! 水遁・水手裏剣!」

 

 湿度100%のこの状況だと火遁は弱体化してしまうが水遁はより強力になる。具体的な数値はわからないがおおよそ2割くらいは違ってくる。

 

 

 

「流石キルア。僕の教えが良かったおかげだね♣︎」

 

 長年付き合っているヒソカにそう言われ、俺は気付く。奴は俺の考えを読んだという事に。

 

「ほっほー、さっきの動きとは大きく違うの」

 

 ネテロはとぼけているのか、本気で気づいていないのかわからないが感心したように頷きそれを躱した。

 

 

 

「その余裕いつまで保っていられるかな? 水遁・霧隠れの術」

 

 俺はオーラを放ち、そこから霧を発生させる。この発は具現化を一切使わない変化系の発。要するに俺のメインウェポンの一つである電気と同じくらいの効果があるってことだ。具現化系だとどうしても80%の力しか発揮出来ず、それでおしまいだからな。そういった意味ではこの発は有用な発だ。……じゃあそれで何が出来るのかだと? この霧を発生させることで視界を防ぐのは当然のことだ。だがそれ以上に電気を生み出しやすくなる。

 

 

 

 そもそもこの霧は定義で言えば雲だ。アホなことに俺は霧を発生させるには雲を作ればいいと思っていて雲の作り方を調べ、変化系の能力で雲を作り出しそれを霧隠れの術と名付けてしまい使うようになった。

 

 

 

 しかし霧は湿度が100%を超えたことで発生するだけで良く氷結核を作る必要はなかったことに気がついて後悔した。

 

 

 

 ただ幸運なことにそれが相手の油断を誘うだけでなく、電気を雷にしてより強力にする効果があったのでむしろ助かった。本当の霧だったならば円だの何だので対策を取られてしまうが今となってはその対策も怖くない。

 

 

 

 そして今、ネテロやヒソカを破る準備が整った。俺は電気を放つ。すると俺の放った電気が雲の氷結核とぶつかり合い摩擦によって静電気が発生し雷へと昇華し、ネテロやヒソカに襲いかかる。その瞬間ものすごい轟音が響き、床が竜巻に巻き込まれたかのように捲れ飛ぶ。もはやレールガンのような雷が二人に直撃した。

 

 

 

「……やったぜ!」

 

 二人がところどころ火傷──火傷で済ませるあたり化け物じみている──し、動けなくなるのを確認すると俺はボールを取りに行く。そしてあることに気がついた。

 

「オーマイガーッ!!」

 

 だがあんな雷を受けてボールが無事なはずもなく黒焦げになった炭となり、手に触れるとボロボロと崩れていく。

 

「試合に勝っても勝負で負けた? いや逆か? どっちにせよ負けじゃねえか……」

 

 俺はブツブツと呟きながら、手にした炭のようにボロボロと崩れていくのであった。




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最終的に主人公の強さはどのくらいになるのがいいのか?

  • 最強
  • 強キャラ(ネテロクラス)
  • 原作超え
  • 原作と同格

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