オーバーロード~割と日常で桃色な日常の結末~   作:へっぽこ鉛筆

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なんだか、シャルティアの設定が変なのは気にしないでください。

ちなみに、アウラの設定も少し変・・・なのかな?

今回も、ヒロインはハムスケだぜ。

※さらに、この作品は、実在の人物、団体とは一切関係ありません。もし、似たような団体があったとしても、当方はまったく、悪意がなく書いています。


オーバーロード~割と日常で桃色な日常の結末~(家政婦は見た。アウラ&シャルティアエンディング)

「何なんだ、この団体は?」

 

 朝から続く罵声に、うんざりとしながら、アインズはないはずの眉を潜めた。エ・ランテルの市庁舎、最近は戦争もなく、出生率も向上、さらには、国民の生産性に開拓村などの経営も良好と、人類の運営は順調どころではない。それなのに――

 

「こいつらは、何が不満なんだ?」

 

 プラカードには『モンスターは出て行け』『平和が一番』『戦争反対』などと書かれているらしい、ドンドンと叩く太鼓が煩わしいほど五月蝿い。

 

「ど、どうします、アインズさま、殺しちゃいますか?」

 

「本当ですよ。アインズさま、殺しちゃうのが一番ですよ。死体は、魔獣の餌にするのもいいかな。」

 

 マーレとアウラの殺意のこもった声に、市長パナソレイが青い顔をした。それをアインズはアウラの頭を撫でマーレの肩を抱いて制した。

 

「よい、マーレ・・・ああいう連中には、利用価値がある。それに、大管区指導員のシャルティアの仕事だ。もう少し、経過を見よう。」

 

「は、はい、アインズ様・・・でも、僕、ゆ、許せないです。アインズ様に、あのような罵声を――」

 

 ロッドを握り締め、異様な殺気の少女、その肩を抱いたアインズは、その顎を上げさせ、骸骨の口で軽く接吻をする。「ふぁ・・・」と甘い香りのする息を吐き出すマーレの頭を撫でれば、紅く染まった顔をとろけさせた。

 

「その言葉、嬉しく思うぞ。我が妻にして、信頼する守護者マーレ、しかし、いま、無闇に人間を殺すのはよくない。シャルティアの手腕に期待をしよう。」

 

 それを頭に腕を組み、横目でみるアウラ、少し複雑な顔をした。いや、弟・・・妹が、アインズさまの寵愛を受けるのは嬉しいのに、心の中に針で刺されたようなチクチクしたものを感じる。

 

 そして機嫌が良くなったのか、こくりと頷くマーレ、その様子に、肥満体の顔の汗を拭うパナソレイが、計画中の都市計画『アインズ・ウール・ゴウン』の地図を広げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようするに、善政を敷きすぎたのが原因の当然の市民活動と言って良かった。

 

 まず、人類の支配においてアインズが行ったのは、ある程度の言論の自由と、人権状況の引き上げだった。これは、おそらく、ユグドラシルからこの世界に転移した“英雄”と思われる“ぷれいやー”からすれば、当然のことだとも言えるだろう。

 

 基本的には、リ・エスティーゼの法体系を尊重し『アインズの絶対王政』『モンスターに対して先制攻撃をしない。』『他の亜種族(特にダークエルフ)を差別しない』などの法を整備したのだが、それが間違いだった。

 

 なんというべきか、一部の貴族や支配階級の人間が「俺たちは、戦争で被害を受けた被害者だから、差別せずに優遇しろ」と要求してきたのだ。

 

 一瞬、何を言っているのかはわからなかったが、わかりやすく言えば、戦争で殺され、魔物に差別された保障と賠償、それと一部税制免除など、とにかく幅が広い。さらには、我々は王国民なのでアインズ・ウール・ゴウン魔導王国に国民登録をしないと、徴税に混乱も生じている。

 

 まぁ、圧倒的少数派なのだが、どうやら資金は豊富らしく、新聞社や学者を巻き込んで、このようなデモをしているのだが・・・

 

(なんか、こういうの見たことあるぞ。ああ、思い出した。100年ほど前に中国に併合された半島の民族が、こういう反政府活動をしてたなぁ)

 

 確か、ほとんどがテロリストとして公安に逮捕され、中国当局に引き渡されたのだが、こちらは、今はそこまで過激化していない運動で済んでいる。しかし『人間に職とパンを』とプラカを掲げているのを見て、仕事もあるし、こんな昼間から騒いでないで働けよ。と、思うのは俺だけなんだろうか?

 

 何にせよ、先手を打たなくてはいけない。と、こうして、指導員のシャルティア・ブラッドフォールンを呼び出したのだが

 

「しかし、まぁ、まだ、違法性のある行為をしていないのか・・・山岳キャンプとか」

 

「あの、アインズさま、その『さんがくきゃんぷ』が、どのようなものかわからないのですが、今はまだ調査中でありんす。近日中にも、必ず、良い返事をお伝えできるとおもいんす。」

 

 玉座の間、黒のポールガウンの優雅な姿のシャルティアの報告を聞く、どうも、抗議団体の中心メンバーは『SOLEDs』という学生団体らしいが、その割には、老人や老けた顔の人間が多かったのは、どうも、ワーカーや、職にあぶれた老人がメンバーが日雇いで雇われているらしいからだ

 

 いや、それは良いのだが、その活動資金について、なかなか調査が進まないらしい。まぁ、仕方がないといえば仕方がない、シャルティアにそういう能力を、あまり期待するのは酷というものだ。仕方がないので、デミウルゴスやアルベドに調査を手伝わさせているが、どうも、リーダーの『アーキ・オダーウ』という学生は傀儡らしいことしか分かっていない。

 

 可哀想な学生だ。まずは、逮捕するときは、まっさきに捕まり苛烈な責めを負うというのに、それとも、それがわからないほど馬鹿なのだろうか、まぁ、それはどうでもいい、とにかく、資金源さえ分からば、そこから攻めれば民意は離れるはずだ。支持がはなれ、テロリスト化したら・・・まぁ、それの方がやりやすいといえば、やりやすい。

 

 とにかく、平服するシャルティアに近づけば、杖で床を叩き顔を上げさせる。

 

「もう良い、それでは、引き続き調査と人間への指導を続けよ。」

 

「はい、アインズさま、必ずや、このシャルティア・ブラッドフォールン、務めを果たしてごらんにいれりんす。」

 

 瞳に忠誠の炎を燃やしながら、顔を上げたシャルティア、そして、昼間のマーレのことを思い出す。そして、市庁舎に響く罵声、それに、わずかだが、アインズは苛立ちを覚えた。

 

 膝をつき、アインズを見上げるシャルティア・・・いや、生贄というべきか、彼女の統治が上手くいっていれば、あのような団体が発生しなかったのではないか、そう考えれば、わずかに、心の中にモンスターとしての本能のような暗いものが灯る。

 

「しかし、シャルティアよ・・・あの人間どもは、私と、我妻に対して罵声を浴びせた。それは、管理を任せたお前の責任でもある――」

 

 そして、シャルティアの背中を杖が叩く・・・僅かな傷みと驚きに、不安な表情を浮かべる少女

 

「――罰として、お前への躾を行う。首輪をつけろ。雌犬めッ」

 

 そして、靴底で頭を踏みつける。床に押し付けられ歪んだ顔に浮かんだものは、間違いなく愉悦と情欲だった。

 

 

 

 

 

 

 

――第六階層の人工的な星空の下、陽気な鼻歌が巨樹の前に流れる。

 

 ブループラネットさまが作った夜空を見上げながら、少し火照った肌を冷まし、木の枝に腰をかけ目下の自分の支配するジャングルを見下ろした。

 

(マーレはまだ、お風呂に入ってるのかな?)

 

 少し寂しそうに、唇を尖らせ、妹のことを思い出した。

 

 昔は、お風呂や寝るのにも一緒だった。けど、妹がアインズさまの寵愛を受けてから、メイドのエルフたちが、お風呂にバラを浮かべたり、麝香の石鹸で肌を磨いたりして、どうにかマーレにアインズ様の愛を集めようと必死になっている。私も一緒に、香油の匂いのするお風呂に入れられそうになり、流石に閉口して最近はお風呂も水を浴びて終わりにしている。

 

 でも、一番驚いたのは、マーレもまんざらでもなく、花の匂いのするお風呂で肌を磨いて、蜜の匂いのする乳液を肌に塗って“女性の武器”を磨いていることだった。この間、ものすごい下着をエルフたちに勧められたときは、真っ赤になって首を振っていたけど、どこか物欲しそうにチラチラと見ていたのを知っていた。

 

 そんな妹に、呆れながらも、アウラはまだ小さな胸を掌で抑え・・・市庁舎で、マーレとアインズの唇を重ねた事を思い出す。

 

(私も、あんなふうにしたら・・・アインズ様に、愛して貰えるかな)

 

 アインズ様は、私のことも好きだと言ってくれたし、嫌な子供だとは思っていないはずだ。

 

 それとも、シャルティアやアルベドみたいに、馬鹿みたいに積極的にするべきなのか・・・

 

 モヤモヤと考え込みすぎて、少し体が冷えてくる。今日は、もう、眠ることにしよう。巨木から降りれば、そのままベットに直行しようと思ったが・・・

 

「あれ?」

 

 森の様子が少しおかしい、侵入者・・・だったら、警戒している魔獣たちが騒ぐはずだ。アウラは耳を動かし神経を集中して警戒する。隠密行動で気配を消し、白とピンクのストライプのパジャマの中、黒曜石でできたダガーを抜く

 

 500mほど先に、聞いたことのない足音と、四足獣の気配を察知して、音もなく密林の中を駆ければ、素早く様子を伺えば・・・

 

「あれ???」

 

 

 一瞬、何をしているのかわからなかった。

 

 

 銀髪の少女には見覚えがあった。薄暗い密林で、僅かに刺す月光に照らされた少女は確かに美しかった。例えそれが、全裸で犬のように這う姿であっても、いや、そのような屈辱を与えられているから美しかったのかもしれない。

 

 絹のような滑らかな肌は、暗闇の中でも美しかった。それにいくつかの痣が走り、小さなお尻からは犬のような尻尾が生えていた。少女の荒い呼吸と羞恥に上昇した熱が、隠れて様子を見ているアウラにまで伝わる。

 

「ひゃ、ひゃいんずさまぁ・・・もう、がまん、できな、い、でぅ・・・」

 

 絞り出すような、いつもの甘えるような声、それに、その飼い主というべき男が首輪の鎖を引く

 

「お、おゆるしを・・・アインズさま、でるッ。でちゃ・・・あ、ああっ・・・」

 

 激しい水音が地面に落ちる音がジャングルの中に広がり、生暖かい空気が夜の森に胡散する。

 

 見てはいけない、そう、アウラの脳の奥で警鐘が激しくなった。アレは・・・あの、主人の行動は、シャルティアとの行為は見てはいけないものだと、顔を手のひらで覆うが、鼻に漂うアンモニアの匂いに、思わず少女を見てしまう。

 

 一瞬、紅い欲望に濁った瞳と視線があったような気がしたが、それも、ジャングルに響く肉を打つ音に掻き消えてしまった。それから始まる背徳的な行為、恐怖と羞恥、さらには、親友に対して言い知れない感情を抱えながらアウラはいつの間にか、ジャングルの中を駆け出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――結局、その日は眠ることができなかった。

 

 シャルティアとアインズ様の行為を目撃してからというもの、妙にお腹の奥が脈打ち、その・・・切なくなり、何度も太ももをこすり合わせてしまった。あのシャルティアの言う『下着が少しまずい事になる』の意味がわかったような気がする。

 

 寝不足の目をこすりながら、マーレに心配をされ、しかも、今日は運が悪いことに定例の守護者報告会議があるんだった。正直行きたくない・・・いや、正確にはアインズさまと、シャルティアに会いたくない。いや、やっぱり会わないといけない。

 

 その、やっぱり、こういう事は良くないような気がする。シャルティアがアインズ様の事が好きなのは別に良いと思う。みんな、私もアインズさまに愛されたいし、それが受け入れられれば嬉しい。でも、ああいうのはダメだ。いけないことだ。だから――

 

「どうかしましたか、アウラ?」

 

 報告書を読んでいたデミウルゴスに言われ、やっと正気に戻った。アインズ様も心配そうにこちらを見ている。シャルティアは・・・不思議そうに首をかしげただけだ。

 

「――それでは、この件はシャルティアの親衛隊と連携し、資金源を抑えるということで・・・あと、第二王妃のご出産ですが・・・」

 

「あ、あの、アインズさま・・・パレードとかはしないんです、か?」

 

 そう言えば、アルベドの子供の生誕パレードはしないんだ。マーレの言葉に、アルベドは静かに微笑んで首を振った。

 

「私は別に・・・負担になるような催しは遠慮するわ。それよりも、アインズさま、もうそろそろ、二人目がほしいですわ。今夜にでも・・・」

 

 うわっ、また始まったよ。でも、マーレの方も、最近は余裕が出来たというか・・・最初は、アルベドが第二王妃になったとき、毎日、泣きべそをかきながら相談に来てたのに、やっぱり、人を愛するって人を強くするのかな・・・

 

 と、呆れたような顔を向ける守護者、そう言えば、いつもここで噛み付くシャルティアが、何の反応もなく嘆息を吐くだけだった。

 

 それから、コキュートスのリザードマン集落の近況や、各種、ナザリックの消費アイテムの状況など、特に緊急性のない話が終わり、デミウルゴスが最後に守護者の意見を聞く、アルベドから少し質問があったけど、特にそれも、重要なことではなかったので、その日は全員が解散することになった。

 

 でも、私の本当の要件はここからだった。私は、アインズさまが転移魔法で姿を消すまで待ち、シャルティアのヒラヒラの多い袖を掴んだ。

 

 不思議そうに、以外にも意外な顔をするシャルティア

 

「ねぇ、シャルティア・・・ちょっと、話があるんだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうしたでありんすか?用件があるなら、早く済ましてくりんす。」

 

 結局、シャルティアの玄室がある階層、その、自室の中は、シャルティアらしい。というか、少女趣味のものだった。時折落ちている刺のついた拷問道具などを除けば、アウラの部屋よりも女の子の部屋にみえる。

 

 沈み込みそうなほどの、毛の長い絨毯に、甘ったるい香をかき分けながら、白い猫脚の机に出されたコーヒーをすすりつつ、シャルティアは気だるい雰囲気を漂わせてアウラに言った。

 

「あ、あのさ・・・あんた、その、最近・・・何か、悩み事とかない?」

 

「はぁ、ちび助、何を言ってありんすか?」

 

 まるで頭のおかしい人間を見るような侮蔑の目、それでも、アウラは構わずに続けた。

 

「うんん、その・・・私でよければさ、相談に乗ろうと思って・・・その、アインズさまに、叱られたり、その・・・一緒に謝ってあげるから、さぁ」

 

「ちょ、アウラ、さっきから何言ってッ――」

 

「私、見たんだ――ッ」

 

 そこで時間が止まる。空気すら重くなるような時間のなか、コーヒーカップを置く音が、やけに大きく聞こえた。

 

「――その、アインズ様と、あんたがさ・・・その、二人で・・・あ、あの、あんたの趣味を、どうこう言うつもりないけど、ああいうのは、間違ってる・・・って言うか、あんたが嫌だったら、私も一緒に、アインズさまに言ってあげるから――」

 

「――ふーん・・・」

 

 早口になりながら、一気に言い切ったアウラ、そこで、初めてシャルティアが足を組んで、つまらなさそうに頬に手を当てているのに気づいた。どこか余裕のある顔に違和感を覚える。

 

 しばらくの沈黙、先に話しだしたのはシャルティアだった。

 

「で、ちび助・・・お前は、どうしたいんでありんすか?アインズさまと、わたしの“行為”を止めたいんでりんすえ?」

 

「そ、そりゃ、シャルティアが嫌なら・・・」

 

 口ごもるアウラに勝ち誇ったような顔のシャルティア、紅い唇からわすかに舌を見せる。

 

「別に、わたしは嫌だなんて思ったことはないでありんす。むしろ、至高の御方に蹂躙され嗜虐される。女として、これほどの喜びはないでありんすえ。」

 

 シャルティアの恍惚とした声に心が揺れる。アウラが顔を伏せた。森の中・・・自分が、アインズさまに、首輪をかけられ・・・あんな、ことを・・・

 

 僅かに、太ももそ落ち着きなく振り合わせるのに気づいたのか、シャルティアが席を立ち、アウラの椅子の背もたれに手を置き、短く少し癖のある金髪を撫でる。

 

「それとも、ちび助には、まだお子様だから、そういうのは、早いでありんすか?」

 

「ちょ、私は、マーレみたいに・・・ひゃぁ、ッ・・・」

 

 言い返そうとすれば、シャルティアの唇が首筋に近づき、生暖かい息にアウラがゾクリと身体を震わせる。

 

 抵抗しようにもできない。スキルや魔法、単純な能力の差ではなく、言い知れない羞恥と期待の鎖に絡め取られたように抵抗できなくなっているのだ。そんな、親友を見て、愛情なのか情欲なのか言い知れないものを宿した瞳がお互いに重なる。

 

 ぬるりと割ってでた紅い舌が、アウラの頬を舐める。

 

「・・・塩味・・・でも、アウラの良い匂いがする。」

 

 悪寒なのか、歓喜なのかわからない。魂から湧き上がる感情に、あの、行為を見た時と同じお腹の奥が脈打つ、自然に唇が重なれば、お互いの舌がぶつかり

 

(あ・・・コレ、ファースト・キス・・・キスって、珈琲の味がするんだ・・・)

 

 僅かに残った理性が消えて行き、抵抗する気力もなく脱力するダークエルフの少女、目をつぶれば、そのまま、深く甘い闇の中に意識が沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、しかし、流石は至高の御方・・・このデミウルゴス、今回も感服してばかりです。」

 

「謙遜することはない。これも、シャルティアの組織運営の手腕と、デミウルゴス、お前の情報聚集によっての結果だ」

 

「そのような・・・私などに勿体無い」

 

「その言葉、嬉しく思います。ありがたく頂戴しんす」

 

 遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で、エ・ランテルの大通りを覗き見る3人は、出来の悪い喜劇を楽しむように薄い笑いを浮かべている。実際には、出来の悪い喜劇なのだが、昨日まで平和と非暴力を唱えていた人間が、その日に仲間割れをし、棍棒でお互いを殴り合う姿は、人間という下等生物の業を見ているようで、愉快な気分にさせてくれる。

 

 もちろん、内乱・・・アインズは内ゲバと言っていたが、このような馬鹿な行為をしているのは『SOLEDs』のメンバーたちなのだが、もちろんこれには、カラクリがある。

 

 タネを明かせば簡単なのだが、あの団体には二つの流派があったらしい、一つは、純粋な学生や市民による抗議団体、そしてもう一つは、過激なワーカーや破壊活動を行う部隊だ。お互い資金は前者は王国、後者は、スレイン法国が出していた。そして、その金銭の流れを八本指を使い特定し、スレイン法国の資金流入を止めたのだ。

 

 最初のウチは『不当弾圧』『言論の自由』など騒いでいたが、活動資金がない過激派は、すぐに目立った行動が取れなくなり、さらに過激化した。放火、強盗、強姦を繰り返すうちに国民からの支持を完全に失ってしまったのだ。そのうち、学生市民団体ばかりが目立つようになり、少しの路線対立が、決定的な反動となり

 

「――まぁ、死者が出るあたりで、シャルティアの親衛隊が逮捕すればよいだろう。デミウルゴス、思想矯正収容所の準備は出来ているか?」

 

「はい、アインズさま・・・しかし、実験の内容ですが、あのような手ぬるい方法でよろしいのですか?」

 

 いくつか考案した効率的な拷問の実験、しかし、デミウルゴスから見れば、アインズが下等な生物に慈悲を見せているようにも感じたが、アインズは満足気に頷き

 

「デミウルゴス、人間は案外、精神的に脆いものだ。まぁ、実験において効果がなければ、別の方法を考えるが――シャルティアよ。」

 

「はい、アインズさま。」

 

 と、今回はポールガウンではなく、スーツにミニスカート、さらには、アインズ・ウール・ゴウンの腕章をつけた制服姿だった。期待と歓喜に頬が紅く紅潮している。

 

「今回は、お前の組織した親衛隊の活躍も大きかった。何か望みはあるか?」

 

 以前のお仕置きのことを思い出す。最近、少しこの団体に苛立ったからといって、八つ当たりのようなことをしたのを気にしての言葉だったが、シャルティアは満面の笑みを浮かべ、アインズの首に抱きつき

 

「ああ、アインズさま・・・お優しい言葉、勿体無い・・・それでは、僭越ながら、一つだけお願いが・・・」 

 

 

 

 

 

 

 シャルティアの自室というものを初めて尋ねたが、以外というか納得というか、彼女の外見らしい少女らしい趣味のものだった。

 

 天蓋が占められたベットに、可愛らしいテーブルセット、吸血鬼の花嫁が用意したお茶とお菓子が並べられた部屋に安堵しながらも向かいの椅子に座り、紅茶は飲むことができないので遠慮した。

 

「それで、私に渡したいものとは、なんなのだ、シャルティア?」

 

 彼女のことなので、ご褒美に倒錯的な行為を要求すると思ったのだが、少し拍子抜けした。いや、もしかしたらシャルティアの本質は、この部屋のように少女的なものなのかも知れない。それなら、これからでもプラトニックな関係を構築できるかもしれない。そうですよね。ペロロンチーノさん。

 

「アインズさまに、お渡ししたいプレゼントというのは・・・これで、ありんす。」

 

 子供がいたずらを打ち明けるように人差し指で唇を撫でる。すると、天蓋付きのベットのカーテンを開ければ、中に、ちょうど人が一人覆われているような。シーツの膨らみがあった。

 

 すごく嫌な予感を感じながらも、シャルティアがシーツをめくれば、そこにいたのは・・・

 

 全裸で拘束されたアウラだった。

 

(――ペロロンチーノさん・・・ダメでした。)

 

 なんで、どうして?何かのいたずらなのか?ここでデミウルゴスが「ドッキリでした。アインズさま」など登場するはずもなく、キングサイズのベットの上、拘束され、革の目隠し、さらには猿轡されたアウラが苦しそうに身をよじる。

 

 その汗ばんだ少女の裸体をシャルティアが指で撫でれば、背を逸らし、拘束具越しに甘い息を吐くアウラ

 

「あ、な・・・シャルティアよ。その、悪戯が過ぎるのではないか?」

 

「ふふっ、嫌でありんすね。アインズさま、この子猫は、アインズさまに、本気で愛して欲しいんでありんすよ。ねぇ、そうでりんしょう?」

 

 首筋に舌を這わせれば、いつの間にか、犬の尻尾をつけたシャルティアが蛇のようにアウラの肢体に絡みつく、目隠しと猿轡から開放されたアウラは蕩けた表情で「シャルティア・・・尻尾、痛ぃ・・・よぉ」と甘えた声を出した。見れば、その、アウラからは猫の尻尾が生えていた。

 

(ああ、ごめんなさい。ぶくぶく茶釜さん、本当に、ごめんなさい・・・)

 

 よく考えたら、今回はアインズは無罪のような気もしたが、白と褐色の肌が交わるのを見て、不死生物として、心の奥の黒い欲望がチリチリと心の中を焼いていった。シャルティアの赤い瞳が、誘うように笑いかけ、さらには、オッドアイのアウラのうるんだ瞳が、懇願するように、アインズを見つめた。

 

 無いはずの喉で、出ないはずの唾を飲み込んだアインズ、理性とも言うべき鈴木悟の残滓は僅かに抵抗する。が、倫理観や道徳という武器は、余りにも弱かった。

 

 アインズはベットでお尻を上げて見上げる二人の愛する子供たちの頭を撫でた。二匹の愛玩動物は嬉しそうに喉を鳴らし、絶対の主人に笑顔を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

「ここでしょうか、ハムスケさま――」

 

「おお、ナーベラルどの、そこ、そこが気持ちいいでござるよ」

 

 ここ第六階層、一応、ジャングルでナザリック以外のモンスターが暮らす居住区、ドライアードやトリエントなどの中、小さな毛玉達と一緒にナーベラル・ガンマは、丁寧な手つきで、ハムスケの毛並みをブラッシングしていた。いや、この場合は、トリミングといっていいだろう。時折、気持ちよさげに目を細めるハムスケ

 

「しかし、ナーベラル殿は、どうしてそれがしを『ハムスケさま』と呼ぶのでござるか?以前のように『お前』で良いでござるに」

 

「そ、そんな、畏れ多い・・・アインズさまの・・・いえ、その、ハムスケさまに、そのような事、以前までのわたしの無礼な振る舞い、ハムスケさまに申し訳なく思っているのに、それを――お前など・・・」

 

 不思議そうに目を瞬きするハムスケ、平伏するナーベラルの方がもっともであった。

 

 アインズは認めていない。が、ハムスケはれっきとしたアインズの手のついた愛妾、しかも、情を交え、子供まで作ったのだ。戦闘メイドとして守るべき存在であって、以前のようにぞんざいに扱えるはずもない。

 

 さらには、アインズ自身に「子供が小さい間は、ハムスケの面倒を見てやってくれ」と命じられたからには、神の御子に仕える平信徒のように、奉仕するのは当然と言えた。

 

「でも、せめて『ハムスケさん』と呼んで欲しいでござるよ。しかし、ナーベラル殿は、殿といっしょで、それがしの気持ち良い事をよくわかっているでござるな」

 

「は、い・・・それでは、ハムスケさ――ん・・・えッ、ハムスケさんは、アインズ様に、気持ち良い事を・・・」

 

「そうでござるよ。殿も、こうして時々、それがしの上に載って、気持ちの良い場所を撫でてくれるでござる」

 

 当然だが、ハムスケの説明では、アインズがハムスケに騎乗している時に、頭を撫でてくれることを言っているのだが、ナーベラルの想像は・・・夜のベットの中、ハム子に騎乗したアインズが、気持ち居場所を撫でていると変換されていた。

 

 やはり、アインズさまは、ハムスケの事を・・・ナーベラルは、我が主と唇を交えたことを思い出し、自分の胸を押さえ、涙ぐむのを必死にこらえる。

 

 その時、ハムスケのヒゲがピクピクと何かに反応した。ジャングルの中、僅かに第六階層の魔獣以外の気配を感じたのだ。

 

「ナーベラル殿・・・どうやら侵入者でござるよ。」

 

「ハムスケさ――んは、ここで子供たちを守ってください。他のナザリックの者達も、侵入者が攻撃してきたときは、最悪は、ハムスケさんとその御子息だけでも守るように」

 

 ピニスンなどが、軽い口調で了解すれば、ナーベラルは《フライ/飛行》の魔法で浮き上がり《ホーク・アイ/鷹の目》と《センサーブースト/感知増幅》で森の中の様子を探る。そして、すぐに侵入者は見つけられた。

 

 ・・・見つけられたのだが

 

 すぐに、ナーベラルは《センサーブースト/感知増幅》で聴覚を増幅したことを後悔した。その、三人の行為が耳の中に嫌でも聞こえてしまうからだ。

 

 

『ふふっ、本当に、舐めるのが好きな、可愛い子猫でありんすね。えいッ』

 

『ふわぁ、きゃっ・・・や、やだッ、シャルティア、そんな所、汚い・・・ぃ・・・』

 

『アウラに汚い場所なんて、ないでありんす。ねッ、アインズさま・・・ッ、ちょ、アウラ・・・あーあ、アウラは本当に、子供でありんすね。』

 

『――う、ううっ、ぐすッ・・・ごめんなさい・・・ッ、シャルティア・・・ァ、アインズさま、ごめんな、さい・・・ひっぐッ』

 

『アウラよ。この程度で・・・まだまだ、躾が必要だな。』

 

 

 鮮明な視覚で褐色と白蝋、そして骸骨が絡み合うような行為を魅せられ、『・・・私は何も見ていない』『・・・私は何も聞いていない』と暗い顔でブツブツと独り言を言うナーベラル・・・ハムスケが短い首を傾け、不思議そうに気遣うが、それを無視して自室に戻っていく

 

「まったく、何があったのやら・・・ん、少し、おしっこの匂いがするでござるな。」

 

 獣独特の匂いを嗅ぎとったハムスケは、子供たちをあやしながら鼻を鳴らす。しかし、そんなこともすぐに忘れ、今日もナザリック地下第六階層に平和な時間が流れていった。

 

 

  

 

 

 

 




 主人であるアインズの背徳的な行為は、日に日にその本性をあらわにする。ついには、無垢な義姉、アウラにまでその毒牙が伸びる。

アインズ「ほら、ナーベラル・・・こいつを見て、どう思う」

ナーベラル「ああ、アインズさま・・・そんな、大きなもの・・・アウラ様が、壊れてしまいます。ああ、そんな、義姉さんにまで・・・」

アウラ「アインズさま・・・わたし、アインズさまになら、いいです。だから・・・」

 シャルティアの奸計に掛かり、逆らえない身のナーベラル・・・このまま、アインズの手に落ちてしまうのか、そして、次回は長女のユリ・アルファの鞭がしなる。



ルプスレギナ「ナーちゃん、絵も上手っす。知ってるっすよ。それ、ホワイトブリムさまの描いていた“どうじんし”というやつっす」

ナーベラル「ああッ!!だから、ルプー、後ろから見ないでって言ってるでしょ」



――次回いよいよ最終回

 アインズさまは、このまま鬼畜路線でいくのか、それとも、清浄なナザリックの日常を取り戻すのか・・・そして、薄幸メイド、ナーベラルの運命は、ハムスケはヒロインとしてありなのか・・・乞うご期待

 正直、もう、お腹いっぱいです。次は、艦これでも書きたいな。


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