オーバーロード~割と日常で桃色な日常の結末~   作:へっぽこ鉛筆

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今回は、ちょっと性的な表現が入ってます。

苦手な人は、ご遠慮ください。


最近、感想というものが送られているのに気づき、返信書いたほうがいいのかなぁ・・・




オーバーロード~割と日常で桃色な日常の結末~(シャルティア・エンディング?)

 

 

 

 

 

不死生物に吸血鬼という系統がある。

 

 知性や知能があり吸血行動で同族を増やす。色々なペナルティーや特殊技能があるが、外見は極めて人間に近い。

 

 元来は、“りある”という異世界の英国なる国の幻想怪奇物語が発端で、様々な物語に登場するようになった。

 

 元々、吸血する――食人する不死生物は珍しくなかったが、この怪物には、他の不死生物にない決定的な差があった。

 

 ――それは、求愛行動を行うことだ。

 

 

 

 

 

 基本的に不死生物は睡眠を必要としない。やろうと思えば、恒久的に働き続けることができる。現に我が主、至高の御方アインズ・ウール・ゴウン様は執務を一日行い、休みなく働いている。

 

 しかし、吸血鬼であるシャルティア・ブラッドフォールンは睡眠をとることがある。物語の吸血鬼は、死の土を敷き詰めた棺桶で眠るらしいが、そこまでの縛りはない。豪華な天蓋付きのキングサイズのベットの中、甘ったるい空気に包まれ少女趣味の下着の銀髪少女は穏やかな吐息を立てている。

 

 まどろむように寝返りを打てば、小さな唇が動き、僅かに吐息が乱れる。それに気づいたのか同衾を命じられた眷属でもある吸血鬼の花嫁が目を覚まし、まどろんだような主人よりも先に起きベットの脇に控える。

 

「いま、何時?」

 

「はっ、10時でございます。」

 

 少し気だるげに、ナイトガウンを脱ぎ捨てれば、それを拾う眷属、何も言わずに浴室に行けば白い肌に水しぶきを浴びる。

 

そして、僅かに太ももの間に違和感を感じる。そこを指でなぞるシャルティア

 

「・・・アインズ様ッ」

 

 寝屋でつぶやいた言葉を繰り返し、シャルテシアは主人に言い渡された使命を果たすために、身を清め衣服を整えた。

 

 

 

 

 

「大管区指導者・・・で、ありんすか?」

 

 十階層、玉座の間にて呼び出されたシャルティアは主を前に膝をつき、至高の御方の命令を繰り返す。

 

「そうだ、シャルティア・・・試験的な試みだが、エ・ランテルには自治をある程度認めているが、それでも監視、指導するものが必要であろう。それを一任する役目を任そうと思ってな。」

 

 説明を聞いても、いまいちピンとこないが、とても大切な役目だというのはアインズ様の言葉から感じ取れる。その使命感の重さから、自分は重宝されている。アインズ様のお役に立てると、内心心躍るものがあった。

 

「いや、実を言うと、それほど行政や立法に対してお前に任そうとは思わない。ただ、お前の交渉能力や社交性を重視して、この役目を任そうと思うのだが、どうだ、できるか?」

 

「はっ、その大役、喜んで拝命いたします。」

 

 跪き承諾するシャルティア、それを見て、隣に控えるマーレの視線を感じる。内心では、守護者の中、未だにご寵愛を受けられずに自分をアインズ様は遠ざけようとしているのではないと悩んだが、そんなことはない。こうして重要な役目を与えられている自分は、役に立っている。と、自問する。

 

――それでも

 

 この場にいない、アルベドの事を思う、以前は精神的に不安定になっていたが、今はなだらかなマタニティードレスを着て、穏やかに編み物をしていた。最近は、執務はパンドラズアクターに補佐してもらいながら、産休に入っている。

 

 あの穏やかな幸せな顔と、マーレが双子の赤子をあやす姿を見れば、心臓がないはずの胸にわずかに痛みが走る。

 

(いいえ、私もアインズ様の役に立っている。主に信頼されている。) 

 

 その言葉を呪文のように繰り返しながら、頭を上げれば、パンドラズアクターと並ぶ主人が、楽しげに衣装ケースを取り出した。いつもの芝居ががった口調で、黒を基調とたスーツだった。

 

「それでは、これがパンドラズアクターと相談の上考案した、お前の制服なのだがな。」

 

 その言葉に、歓喜の喜びが湧き上がる。至高の存在から下賜される衣装、それを身に付けるのに、これ以上の喜びはないからだ。

 

 

 

 

 

 とは言ったものの、あまり似合っているとは思えないスーツとミニスカートから見えるタイツ、更には、制帽をあみだにかぶる姿を一度鏡で確認するが、あまりにあっているとは思えない。なにか、パンドラズアクターの服を黒く染めただけ、いや、アインズ・ウール・ゴウンの旗章が印された腕章の違いがあるが、威圧感だけはあるらしい、市庁舎をあるくシャルティアを避けるようにこうべを垂れる人間たちには、一往に畏怖の念が感じられた。

 

 さらに、革の乗馬鞭を持てば、被虐趣味の男ならば膝まづいてしまいかねないが、まぁ、そういうプレイも好きだが、今は関係ない。今日は、パナソレイ・グルーゼ・デイ・レッテンマイアというこの街の市長、その他冒険者組合の人間にこちらの要望や政治に関する意見を伺いに来た。

 

 正直、統治と立法、税制などに関しては、今までどおり・・・いや、今までよりも緩やかなものでも構わない。実際に兵役が免除され、道路整備や開拓事業以外の徴用はなくなり、あきらかに、市民からの不満は減っている。さらに、勝手に重税を課す領主や貴族達が、リ・エスティーゼ王国に逃げてしまったので、統一した行政・・・中央集権的な統治に、アインズ・ウール・ゴウン魔導王国は明らかに、国家としてシフトしていた。

 

 もっとも、問題はないわけではない。パナソレイは優秀だったが、スタッフ・・・地方管轄を任された貴族たちがいないことで各地の思想的な統治が疎かになり、未だに、リ・エスティーゼ王国に忠誠を誓うものは少なくない。そういう、政治犯の摘発や、魔導王国の統治意識を広めるためにシャルティアはあえて威圧的な衣装で市庁舎を現れたのだ。

 

 そして大管区指導者としての職務は、当然、高圧的なものになるだろう。現に、あの無能・・・のフリをした市長は、シャルティアの要請書を見るなり、たるんだ顔を固くし、難しい顔で腕を組んだ、くるべきモノが来たという顔ぶりだ。

 

 他の冒険者組合と魔術師組合の代表の表情は対照的だった。

 

 冒険者組合代表プルトン・アインザックは睨みつけるような視線をシャルティアに向け、魔術師組合代表テオ・ラシケルは興味深げに写した書類を読み返す。冒険者組合には、アインズ・ウール・ゴウンに対する敵対的な依頼を受けないよう、冒険者を監視する達しと、魔術師組合には、国民全般の識字率と学力レベルを上げるための協力要請、その協力者にフールーダ・パラダインを貸与するというものだった。

 

 前者に対しては、実際にアダマンタイト級冒険者、モモンが摘発した事例が存在するのだ。当然、冒険者は政治体制を覆すような依頼を受けてはならないという内規があったが、冒険者の中には、アインズを“モンスター”と考えるものも多い。

 

 そして、後者に対しては、これは願ったりないチャンスだった。市民の学力向上は、優秀な人材の発掘になるし、更にはテオ自体、フールーダーに会ってみたいという欲求があったのだ。

 

「しかし、この政治犯を収容する、強制収容所というのは、なんなのですか?」

 

 最初に声を上げたのはパナソレイだった。今までにも、反乱や一揆のたぐいがないことはなかった。

 

 結果は当然、悲劇的なものだった。首謀者は当然のように拷問の末死刑、村人全員が首を吊るされたことも珍しくなかった。が、思想矯正所なる場所に送られるなどは聞いたこともなかった。

 

「簡単でありんす。無知な人間どもに、慈悲深い至高の存在、アインズ様の素晴らしさを再教育する場所でありんす。まぁ、生きてでられるかどうかは、わからんでありんすが・・・」

 

 市長の顔が凍りついた。そして、シャルティア自体、この施設がろくなものにならないと予想していた。

 

 なにせ、強制収容所の所長はデミウルゴスであり、副所長がニューロニスト・ペインキルなのだ。デミウルゴス自体は、牧場での労働を通じて、自らを反省し、アインズ様のために奉仕する喜びを与える施設・・・などと説明していたが、その時の顔は、愉悦に満ち実に素敵な笑顔を見せたのを覚えていた。

 

 アインズ様は、一度、頷くだけで許可を出したが、セバスは難しい顔をしていた。他の守護者は、そもそも下等な人間がどうなろうとあまり関心がない。自分もそうだったからだ。

 

 誰もが黙り込み、答えを出せずにいた。シャルティアが、乗馬鞭を一度手の中で鳴らす。

 

 それに反応し、パナソレイが一度伸びをする。これだけは確認したいと、シャルティアに醜形と言って良い顔を向け  

 

「で、この罪状の市民に、裁判を受ける権利は保証してくれるのかね?」

 

 その言葉に、意外・・・いや、呆れたような顔をしたシャルティア

 

「何を言っているでありんすか?聡明な御方に間違いなどあるはずはないでしょう?素晴らしき絶対の魔導王、アインズ・ウール・ゴウン様の言葉こそ法・・・あなたたちは、喜ぶべきですえ、至高の存在に統治されることを――」 

 

 紅い瞳を潤ませ、恍惚とした表情の少女は、心底それを信じた様子で、その言葉を全員に向けた。

 

 

 

 

 冒険者組合は閑散としていると言ってよかった。

 

 なにせ、アインズ゙・ウール・ゴウン魔導王が街道整備に伴い主要な道路は安全確保のために、デスナイトを巡回させ安全を確保しているからだ。

 

 当然、そのようなことをすれば、冒険者の主要任務である、郊外の警護や巡回、モンスターの討伐などの仕事は減ってしまう。冒険者はほかの街に移り住むか、ワーカーとなるか、郊外の村に移り住み、自警団となったものも少なくない。

 

 依頼自体も確実に減っていた。依頼の張り紙がペラペラと虚しく風に舞い、いくつかを斜め読みしてみれば、町中の警備依頼屋、その他に特殊なスキルを擁する仕事ばかりだった。

 

 そして組合内の冒険者も、複雑な表情でモモンを見ている。

 

 当然だった。彼は表面上は暴君、アインズ・ウール・ゴウンの協力者なのだから、面白い感情はわかないだろう。しかし、市井からは逆の意見も出ている。彼の魔導王に意見し、我々の希望を伝えてくれていると評価だった。

 

 だが、本日のモモンの要件は依頼ではなかった。冒険者組合に訪れた王国戦士長、ブレイン・アングラウスが面会を希望したからだ。普通は、王国に趣いて会うのが普通だったが、モモンには任務があり、向こうの熱烈な要請があったので承諾したのだが

 

(正直、会いたくないなぁ・・・)

 

 アインズとして一度会っている相手には、どうしても抵抗が有る上に、あまり、良い思い出がある相手でもない。ガゼフの死は彼にとって良い思いのあることでもない。拒絶するほどの理由でもないのだが

 

 頑丈な作りになった応接室の戸を開ければ、以前より多少見栄えの良くなったブレイン・アングラウスは社交的なのか、世の中を皮肉に見たような笑顔を向け、こちらの手を握ってきた。正直、ガゼフを殺したことについて、何かしてくると思っていたのだが、対応は一応は友好的、ガゼフから受け継いだ戦士長としてのものだった。

 

 篭手を嵌めたままの握手にも素直に応じたブレインは、向かいのソファーに腰を沈めれば、一口、紅茶をすする。そして、こちらを値踏みするような視線をしばらく見せれば、すぐに口元を引き締めた。こちらの実力に気づいたのだろう。乗り出すように手を汲めば、社交辞令を交わしたあと、開口一番、こんな事を聞いてきた。

 

「ところで、モモン殿、あなたは以前、吸血鬼ホニョ・・・その、ホニョペニョコを倒したと聞いたのですが・・・」

 

 頭の中に疑問符が沸く、妙なことを聞く男だという疑問だが、モモンは素直に頷いた。

 

「ああ、確かに私がトドメを刺しました。極希少アイテムは暴走して、かなりの被害を出しましたが、ブレイン・アングラウス・・・あなたの要件は、私の武勇譚を聞きに来ることなのですか?」

 

「いいや、そうではないのですが・・・」

 

 そこで、この自信にあふれた。どこか、飄々とした男の顔に、怯えらしきものが映る。

 

「そのアナタは2人の吸血鬼を追って、この地に来たと聞いたが・・・」

 

 しばらく考え込み、確か、そんな事を言ったことを思い出した。そして、震えた声でブレインが続けた。

 

「もしかして、もう一体の吸血鬼の名前は・・・シャルティア・ブラッドフォールンと言うのではないか?」

 

 

 

 

「どこでその名前を聞いたのですか――ッ」

 

 思わず立ち上がりかけたほど動揺した心はすぐに平静になったが、それでも、頭の中は混乱する。

 

 もはや解決し、完全に警戒していなかった情報が今更、自分のもとに舞い込んでくるとは予想もしていなかった。もっとも、シャルティアを支配した事件は解決していないし、その方面では警戒をしていなかったが、まさかこういう人物から、このような形でシャルティアの情報を聞くとは思いもしなかった。

 

 見れば、ブレインも真剣な面持ちでこちらの話を待っていた。その様子からは、モモンの話を疑っているというより、未知の的についての話を聞きたいという真剣さに見える。

 

 そこで考える。この男は、シャルティアとどういった関係なのか・・・探るような気持ちで、アインズは言葉を続ける。

 

「失礼・・・アナタは、その、シャルティアとどのような関係なのですか?」

 

「ええ、あなたが、ホニョペニョコを討伐する前に、近くを拠点にする傭兵団に所属していたのですが、そこで、シャルティア・ブラッドフォールンに襲われました。そして、王都の悪魔騒動の時、もう一度、彼女らしき人物と戦いましたが・・・向こうは、私のことを歯牙にもかけていないようでしたが・・・」

 

 おいおい、そんな情報聞いてないぞッ――言いかけてモモンはその言葉を無理やり飲み込んだ。確か、野盗化した傭兵団は全滅、何人かの女性は救出されたが、シャルティアの姿を見たものはいなかったし、王都のゲヘナ計画の時も、シャルティアからそのような事態は聞いていない。

 

 じわじわと、さざ波のように続く動揺、どうやらブレインは違う意味で受け取っているらしい、一度唾を飲み込めば、恐怖を流し込むように、もう一度、紅茶に口をつけた。

 

「アングラウス殿・・・私も、悪魔騒動の時、王都にいましたが、そのような吸血鬼は見ませんでしたが、確かに、あの場にいたのですか?」

 

「ええ、仮面で顔を隠していましたが、確かに、誘拐された人間を見張るようにその場に立っていました。」

 

「立っていた・・・と、言うことは、先に攻撃を仕掛けたわけではないと?」

 

「ええ、こちらなど相手にならない。忘れていたような素振りでした。さらに、攻撃を仕掛ければ、すぐに撤退したので向うの真意はわかりませんが、俺自身、生きているのは奇跡だと思っています。」

 

 そのやりとりで、大体の事情はわかってきた。

 

 つまり、記憶のないシャルティアが、王都で出会ったアングラウスを見ても分からずに、適当に相手をした。当のアングラウスは、凶悪な吸血鬼が生きていたので、被害が出る前に、モモンに相談に来た。

 

(しかし、デミウルゴスと関係があるのに感づかれるとやっかいだぞ、でも、この男に聞けば、シャルティアの記憶のない時間の情報を得られるかもしれない。)

 

 口封じ・・・一瞬そのようなことを考えたが、もし、この情報がほかの誰か、黄金にでも流れていれば、アインズとシャルティアがデミウルゴス=魔王と関係していることがバレてしまう。そうなれば、最悪、人類全体を敵に回す可能性も出てくる。

 

 ほかのプレイヤーや世界級アイテムがある状況で、全人類を敵に回すのは、非常にまずい状況だ。さらに言えば、ここまで信頼を築いて国家運営をしてきた自分として、途中で領土を放棄するのももったいないという気持ちもあった。

 

(とりあえず、モモンはそのことは関係ないと、シラを切るしかない。いや、二人の吸血鬼を追っているのだから、一人はシャルティアということにして)

 

「ええ、確かに、私の追っている吸血鬼は二人ですが、シャルティアという吸血鬼に間違いないでしょう。あなたの言葉を信じるなら、このあたりに潜伏する彼女を、私がまた出向いて成敗することにしますし、情報を集めるために、このことは魔導王にも報告しましょう。」

 

「――それは、魔導王にですか・・・いや、その方が良いかもしれません。お願いします。」

 

(よし、なんとか誤魔化せた。いや、疑われているのか?)

 

 心の中で動揺しながら、アングラウスの心の中までは読み取れない。多少、不審がられたかもしれないが、敢えて突っ込んで聞くことでもないと思ったのか、その後は、シャルティアという吸血鬼の特徴や、恐ろしさを意見交換しながらも、最後には、ガゼフの死んだあとの事などを聞きながら、お互い礼を尽くし、冒険者組合から見送った。

 

 いや、モモンにとって、これからが忙しくなるのだった。まずはアルベドに伝言を飛ばし、シャルティアをナザリックに呼び戻す。もし、ブレイン・アングラウスに会ったりすればややこしいことになる。

 

(はぁ、まったく・・・事後処理がこんなに大変になるなんて、やっぱり、シャルティアは使わない方が良かったかな。)

 

 そういうわけにもいかないのだろうが、モモンは諦めて、アルベドに伝言を送った。

 

 

 

 

 

「この、愚か者――ッ」

 

 事情と状況の確認を終えたアインズは、玉座に座ったまま、その前に傅く、数名のシモベ以外は、守護者がいない玉座の間に、その声は大きく響いた。

 

 市庁舎から帰るなり呼び出されたシャルティアは、そのままの姿・・・スーツにミニスカートという昔のネオナチを連想させる姿のまま、アインズに呼び出され、いくつかの情報を聞くうちに、頭を下げ、その場に膝をついて恐縮してしまった。

 

 表情を伺うように顔を上げるシャルティアの目には、怯えと疑問が浮かんでいたが、そんな態度を一括するようにアインズは玉座に手を打ち付ける。感情を上手くコントロールできないのに苛立ちながら、さらにシャルティアを叱る付けた。

 

「何故、そのことを報告しなかった。いや、デミウルゴスに相談するのでも良い。お前は、記憶を失っているのを自覚しているのだろう。それとも、次に、世界級アイテムを使われたとき、対処する自信があるのか?」

 

「しかし、あんな人間のことなど・・・」

 

「お前は、その人間を捉えるのを失敗し、私に反逆したのだぞッ――」

 

 その言葉に黙り込むシャルティア、それは、紛れもない事実であり、罰を受けたからといって、覆らない守護者としての汚点だからである。

 

 消え入りそうに黙り込み、絶望に沈んだ表情、紅い瞳には涙がうるみ、後悔で身体が震えた少女をみて・・・流石にここまで落ち込めば、言いすぎたとフォローを入れようと思う・・・が、アインズ自体にはよくわからないが、その表情を見れば、少し、体の奥にこみ上げるものを感じてしまう。今までではない感情だが・・・

 

(少し、意地悪をしてやってもいいか・・・まぁ、必勝賞罰とも言うしな。うん・・・これは、その、自分がエスに目覚めたからなどで決してないからな。)

 

 あの、シェイプチェンジ・ポーションを飲んでから、徐々にではあるが、性的な衝動が増えたような気がする。流石に二人の妻意外を求めることはなかったが、この、こういう状況になればそういう誘惑に誘われることもある。

 

「シャルティアよ。罰を与える。玉座に手を付く尻を上げよ。」

 

 手で呼ばれれば、子犬のように素直に従う少女、頭を上げさせれば、不思議そうに、そのまま尻を上げさせる。

 

「へっ、あ、あいんずしゃま???」

 

 上ずったような声で声を上げたシャルティア・・・短いスカートの裾を上げさせられれば、ガーターストッキングと白い清楚な下着が見えた。以前のDTのアインズなら動揺していただろうが、既婚者となり、更にアルベトとの激戦を繰り広げたアインズはその程度では動揺しない。

 

 そして、なによりアインズはペロロンチーノさんと仲が良かった。当然、シャルティアの設定を盛り込む時に、色々と話をした。その時にお互いの歪んだ部分を話、密かにそういう行為に興味を持っていた。

 

「そのまま、膝をおらずに耐え続けろ。もし、膝を付いたら、更に厳しい罰を与えるからな。」

 

 「何を――」と、聞く前に、強く肉を打つ音と臀部に鈍い痛みが走る。短い悲鳴とともに、唇を噛み痛みと羞恥に耐えるシャルティアの鳴く声を聴けば、更に手には力がこもってしまう。

 

「ほら、どうした。シャルティア――100回『ごめんなさい』って言えたら、許してやるぞ」

 

 その言葉に、更に平手が尻肉に打たれる。疲労を感じないアインズは作業のように叩き続けるが、シャルティアは短い悲鳴をあげながら、かすれた声を絞るように「ごめんなさい」を続ける。

 

 白蝋のように白い、高級な絹のような肌に赤い平手が刻まれていく、そして、悲鳴と声に甘いものが混じり、下着に、汗以外のシミが浮かんだ時、アインズの口元には、歪んだ笑みが浮かんでいた。

 

・・・

 

パシィーンッ!!

 

 紅く腫れ内出血を起こした臀部に、最後の平手が撃ち落とされた瞬間に、シャルティアは床に膝をつき、ゆっくりと、顔を上げる。愛欲に濁った瞳は潤み、顔は羞恥と歓喜で真っ赤に紅潮していた。

 

「よーし、シャルティア・・・100回だ。よく頑張ったな。」

 

「は、はひっ・・・ぃ、あ、ありがとぉう、ごじゃい、ま・・・すぅ・・・」

 

 そして、甘い吐息を漏らし涎と涙で汚れた顔を快楽に歪ませた。赤く腫れた臀部、それを伝うように熱と快楽に震えた太ももにあふれた蜜が垂れる。髪を掴み顔を上げさせれば、快楽と被虐に熟れた瞳が、アインズの眼孔に映る。

 

 満足したアインズは、そのままその場を離れようとする。が、その足にまとわりつく物があった。

 

 床を這い、足に絡むようにアインズを引き止める少女、その首輪の鎖を引くように、アインズは自室に消えていくのであった。

 

 

 

 

 

「いや、誤解が解けて嬉しいよ。アングラウス君」

 

「いえこちらこそ・・・アインズ様、と、シャルティア嬢、自ら説明いただき感謝いたします。」

 

 ここは、エ・ランテルでも最高級のホテル『黄金の輝き亭』の一室に通されたブレイン・アングラウスは恐怖と疑問を混ぜ合わしたような奇妙な感覚を宿しながら、訪ねてきたふたりの人物・・・一人は骸骨なのだが、それに、要領のいかない声を返した。

 

 そこにいる超規格外の怪物たち、一人は10万以上のもの人間を殺した魔法詠唱者、そして、自分が対峙し、心を折られ、今この瞬間にでも殺すことのできる規格外の吸血鬼、以前と違い、黒のスーツを身に纏、短いスカートを履いたどちらかといえば似合っていないのだが、それでも人外の美しい少女、シャルティア・ブラットフォールン、そんな二人が自分を訪ね、さらには、この吸血鬼と自分の遭遇戦について説明を求められれば、何か神話の主人公が、この場に現れ話しかけられたような、そんな奇妙な感覚を感じてしまうのは仕方のないことだろう。

 

 彼らが話すには、こういうことだった。

 

 シャルティアは双子の吸血鬼の姉、ホニョペニョコを探す旅の途中、馬車が襲われている現場に遭遇、さらに、囚われている女性を助けるために野盗のアジトを襲撃し、更には不幸にもモンスターと間違えた冒険者を殺してしまった。その後、偶然姉はモモンという冒険者に倒されてしまい。途方にくれ、王都を尋ねたところ、悪魔の襲撃があり、様子を見ていたところに、アングラウスに襲われ、王都を離れアインズの元に帰ってきたと・・・

 

 とても信じられない話だが、筋は通っている。なにより、アングラウス自体は、犯罪組織の一員としてシャルティアを襲ったので、あまりとやかく言うこともできなかった。

 

「しかし、その、ホニョ・・・ホニョペニョコはどうして・・・いや、ナザリックを離反したのですか?」

 

「それはわかりかねるが・・・まさか、モモンという冒険者の国を襲うようなことをするとは、シャルティアの誤解は解けたが、モモンの国には、いつか使者を出し正式に謝罪しなければならないな。」

 

 つまり、アインズが考えた説明はこうだった。

 

 ホニョペニョコがナザリックを離反、シャルティアがホニョペニョコを追跡したということだ。そして、モモンの国で事件を起こし、追っているモモンは双子を同じ仲間だと思い、ホニョペニョコとシャルティアを討伐するため旅に出たということなのだが

 

 どうしても納得できない。いや、その話自体は納得できるが、そのアインズの隣に立つ少女が、以前に会ったシャルティアだということが妙に納得できないのだった。

 

 だが、こうして魔導王自ら説明に来たのだ。正式な訪問ではないが、リ・エスティーゼの戦士長として、それなりの礼と理解を示さなくてはならない。その場で軽く頭を下げ、正式に納得したふりをしなければならない。

 

「いえ、納得しました。魔導王アインズ・ウール・ゴウン・・・私のような一介の剣士のために、御身が御足労いただき、本当に感謝の言葉もない。」

 

「――こちらこそ、ガゼフ・ストロノーフの後任でもあり、王国最強の剣士に会え、嬉しく思う。そうだろ、シャルティア――」

 

「ひゃ、はい・・・アインズ、さま・・・ぁ」

 

 妙な悲鳴のようにうわずった声、そして、潤みを帯び肩は硬ったように震えている。何かに耐えるような表情でだ。

 

 自分の主人の前なので緊張している。そういう事なのだろうと考えるアングラウスは、あの傲慢な女吸血鬼がそんな殊勝な性格かと訝しる。しかし、すぐに、アインズも規格外の化物だと思い出し、そういうものだと無理やり納得した。

 

 そこで、しばらく社交的にガゼフの思い出などを話し合えば、僅かに人間らしい感情を見せるアインズ――そして「いずれ戦場で・・・」と礼儀を尽くし別れれば、黄金の輝き亭の豪華な応接室に、アインズとシャルティアの二人だけとなってしまった。

 

・・・

 

 静寂の中、僅かに空気を震わす駆動音、それに耐えるように熱い熱を吐き出すような吐息がシャルティアの小さな唇から漏れる。

 

「まったく、“尻尾”と“おしゃぶり”が震えたくらいで情けない声を出すなど・・・愛玩動物として、躾が足りないようだな。シャルティア――」

 

「も、申し訳ございま、ひゃう・・・しぇん・・・ァ、アインジュ、しゃ、ま・・・ぁ・・・」

 

 苦しそうに太ももをすり合わせ、振動を繰り返すおしゃぶりと尻尾が落ないようにするシャルティアの顎を掴む飼い主、それに、隠微な紅い舌を出せば、骨の指が少女を弄び

 

「帰ったら、お仕置きだな。シャルティア・ブラッドフォールン」

 

 その“お仕置き”という言葉に、短いヨダレが銀色の糸を引き、シャルティアの表情が愉悦に歪んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ――吸血鬼という種族がいる。

 

 吸血行為により種族を増やし、吸血行為を性愛の一環として行う種族

 

 他の亜人やモンスターいや、生物として歪んでいる求愛行為は、不死生物という生命のないモノとして、当然なのかもしれない。

 

 しかし、それゆえに

 

 歪で醜悪で根源的に真逆、神の作り出した生物にありえない行為を行うからこそ

 

 その感情は純粋で、性愛に根ざしたものだと言えなくもなかった。

 

 

 




アインズ「何これ?俺、完全に変態じゃん・・・何なのコレ、何なのコレッ」

シャルティア「はうっ、アインズしゃまぁ、そんにゃ、鞭なんかつかっちゃ、らめぇぇぇぇぇ」

アルベド「むきぃー、アインズさま、そんなもの、アインズさまが望むなら、私だって・・・(何か、見たこともない拷問道具を用意して)」

アインズ「ちょ、おま・・・やめッ・・・」

アウラ「・・・」

アウラが仲間に入れて欲しそうにこっちを見ている。



マーレ「あ、あ、ああ、あの、アインズさ、さま・・・あの、ロープと、ムチと、ロウソクって・・・な、何に使うんで、しょうか・・・(///)」




ちなみに、シャルティアの口調が変なのはわざとです。

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