オーバーロード~割と日常で桃色な日常の結末~   作:へっぽこ鉛筆

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オーバーロード~割と日常で桃色な日常の結末~(アルベド・エンディング)

「至高の御方、絶対の支配者、アインズ・ウール・ゴウンさま万歳、その妃、マーレ・ウール・ゴウンさま、万歳ッ」

 

 もう、いい加減に聞き飽きるほどに聞いた喝采に手を振りながら、アインズとその隣に並ぶマーレは六頭立ての馬車から手を振った。その脇を固めるのは、コキュートス配下の昆虫の騎士、さらには、建物の屋根には、透明化したシャドーデーモンが配置され、上空には、グレムリン・ウイングリーダーが警戒に当たっていることから、警備の厳重さを物語っている。

 

 この後の予定としては、アインズとマーレの魔導王、王妃二人は市庁舎で会見、そして国民の拝謁となっている。正直、あまり彼らにはよくないことだとは思っているが、デミウルゴスがどうしてもと言うので仕方がなくアインズハ了承したのだが

 

(やっぱり、可愛いよなぁ・・・) 

 

 特別に作らせた、ゆりかごに眠る、二つの命を見て、幻術でできた顔を綻ばせるアインズをみて、クリクリとまだ幼さの残る、しかし、母親らしい慈愛を見せるマーレが、不思議そうな顔をした。

 

「あの、アインズさま・・・どうかされましたか?」

 

「いや、こうして、この子達を見ていると不思議でな。」

 

 実際、薬品を使ったからといって、まさか、マーレが妊娠するとは思ってもいなかったのも事実だった。完全に女性化したマーレが姉とともに、生理が来ないことを告げられた時の驚きは、今思い出しても、恥ずかしくも楽しい記憶だった。

 

 確か、あの日、守護者各員に報告をしたあとに、ナザリックで軽い地震があったのだが

 

 とにかく、ナザリックのシモベたち、また、アインズ・ウール・ゴウン魔導王国の国民も新しい王子と王女の誕生を祝福し、祝祭を楽しんでくれているらしい、あの大虐殺と開城の恐怖も殆どの人間が忘れている。当然といえば当然で、元々、優秀だったらしい市長パナソレイと、アインズ自体、都市育成型SLGが好きだったせいもあり、順調に統治支配は進んでた。

 

 とにかく、今はスヤスヤと眠っている双子の赤子、モーレとモモルの男の子と女の子、いずれは、彼らを統治する双子の姉弟をエ・ランテルの市民たちは歓迎していた。

 

 絹のような金髪と、褐色の肌、そして、長い耳という妖精族の特徴を母親から受け継ぎ、自分の特徴としては、瞳の色しか受け継いでいないのを寂しく思いながらも、デミウルゴスからは「慧眼をもち英知を感じます」など言っていたが、どうも、平凡な鈴木悟の血を引いているようにも見える。

 

「あ、見てください。アインズさま・・・こちらを見て笑いましたよ。」

 

 すっかり、母親らしさを持ち始めた、かつての気弱な少女(少年?)ではなく、花が綻んだような笑顔をむけ、子供をあやすマーレ、その肩を抱き寄せれば、また民衆から割れんばかりの喝采が起こる。

 

 その、雑踏の中、死の支配者はがらにもなく、この子供たちの未来に祝福があることを願うのだった。

 

 

 

「ああ、アインズさま・・・アインズさまが望むなら、私が5人でも、10人でも産んで差し上げるのに・・・」

 

 しっとりとしたツヤのある言葉とともに、何かがぶつかる音とともに、樹齢100年ほどの巨木が音を立てて倒れ落ちる。

 

 トブの大森林、すっかり日常になっているのか亜人やモンスターなどが近づかない地域がある。なんでも、その一帯は、奇妙な奇声とともに木がなぎ倒され、投げ飛ばされ、地響きが起こる危険地帯となってしまったからだ。以前に通りかかった運の悪いフォレストジャイアントが、10秒足らずでミンチ肉にされて以来、その地域に知性のある生物が立ち寄ることはなくなった。

 

「ああ、悔しい・・・悔しい・・・悔しい・・・、わたくしも、わたくしも、わたくしも・・・いいえ、もう、正妻とは言いません、愛妾、一夜の体の上を通り過ぎる相手でも構いません、お情けさえあれば・・・くぅぅぅぅ、ッ!!うらめしぃッッッ!!」

 

 そして、釘、と言うよりも、鉄杭を取り出せば、木にズタボロに吊り下げられた人形・・・誰のとは言わないが、それに突きたて正拳突きを叩き込む、まるで、焼けた鉄をハンマーでブッ叩くような効果音が響き渡り、さらにはぬいぐるみを引き裂き「クケェー!!」と言う怪鳥音を響かせ、そして、力尽きたのか女はその場に倒れ込んだ。

 

 表向きは、体調不良で守護者統括の仕事をこなしつつ、自室に引きこもっていたアルベドは時折、外の空気を吸いにこうして森の中、一人大地を涙で濡らしていたのだった。当然、ご生誕式典になど、出席できるはずもなく、したくもなかった。

 

「・・・ううっ、アルベド・・・耐えるのよ、ここは、守護者統括・・・アインズ様の寵愛を受けるために・・・そうよ、アインズ様は男の子がお好きなら、生やせば良いのですは、いいえ、ここは、言葉遣いから、一人称を「ぼく」にして・・・」

 

 何か、膝を抱えながらブツブツと独り言は続く、精神に負担がかかっているのか、言葉遣いもおかしくなってきた。

 

「・・・あわわ、アインズさま、ぼく、アインズ様のために、たい焼きを盗んできたでござるよ。うぐぅ・・・ただの人間には興味がありません。この中で、死霊術師、死の支配者、骸骨魔術師、死者の大魔法使いは私のところに来なさいッ――」

 

 立ち上がり、なにか指をビシッと突き立てたアルベドだが、そこで電池が切れたように、言葉が切れる。

 

「はぁ・・・」

 

 こんなことをしても虚しいだけだ、言い知れない虚脱感を感じながら、アルベドは森の中を歩き始めた。そういえば、ナザリックでも、祝賀会をする予定だ。今日こそはアインズ様と、マーレに挨拶をしなくては、アルベドの気は、足取りとともに重くなっていた。

 

 

 

 

「あっ、アルベドさま・・・?」

 

 それから、どれほど歩いたかは分からないが、だいぶ歩いたらしい鬱蒼とした森ではなく、獣道のような木々の切れ目の中、ゴブリン立ちとともにかごを背負った人間の男に声をかけられようやくアルベドは我に返る。帰ろうと思えば、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンがあるので瞬時に帰れたのだが、どうしても一人になりたかったのだ。

 

 無視をしようとも思ったが、このあたりはカルネ村が近く、さらにアインズ様が重要視する人間がいるということで無碍にできない、好意的ではないが、疲れた顔で微笑めば、人間は恐縮したように頭を下げた。

 

「こ、この度は、皇太子ご誕生おめでとうございま・・・ヒィ!?」

 

 何気なく言った言葉だが、顔に血管が浮き出るのがわかったのか人間は前髪で隠した顔を引きつらせ、短い悲鳴を上げた。護衛なのだろうか、ゴブリンたちが恐怖のあまり、武器を構えながらもたじろぐ姿もある。

 

 しかし、そこからも流石に面の皮が厚いのか、アルベドは微笑みを絶やさない。

 

「――あら、ありがとう、確か・・・ンフィーレアさんだったかしら・・・このことは“忘れずに”アインズ様に伝えるわ・・・もう、行って良いかしら?」

 

「え、ええ・・・そうで、すか・・・あ、ナザリックに帰るのでしたら、ルプスレギナさんと一緒に帰られたらどうですか?僕も、試作のポーションを幾つかお渡ししようと思っていたので」

 

 断る理由もない。少し、先ほどの言動と薬草の匂いが不快だったが、アインズ様の考えに逆らう程でもない。獣道を通れば、かなり開拓したのか、以前よりも塀に囲まれ、さらに広く立派になったカルネ村が見えるが、人間の村落にそれほど興味がないアルベドは、多少、賑やかに村の広場で料理をしたりなどしているものの、それも気にはならなかった。

 

 ただ、その中心的な人物の一人には記憶があった。確か、アインズ様がこの村を救出するときに、ポーションを下賜された女だ。妹と一緒に料理をする姿、よりも、大きくふくよかになったお腹が気になった。

 

「あ、ンフィー、薬草と山菜の収穫ありがとう。もうすぐ、お祝いの料理ができるから、リイジーお婆ちゃんを呼んできてよ。」

 

「あ、エンリ・・・アルベドさまと、そこで偶然、うん、わかった。」

 

 楽しげにいたわるようにエンリのお腹を撫でるンフィー、「無理はダメだよ」と労わるような声に、顔を赤くする。

 

 二人の視線と、そして、お互いの薬指にある指輪に気づく、その光景は、アルベドの理想とするものだった。

 

「あ、エンリ、そう言えばルプスレギナさんは?」

 

「あ、ンフィーの工房で待ってるよ。でも、あの人、気まぐれだからどこかで遊んでるかも――」

 

「困ったなぁ・・・アインズ様に、お渡しするものがあるのに――」

 

「あの、ンフィーレアさん、良かったら、私がナザリックまで、運びましょうか?」

 

 ポリポリと頭を掻くンフィーレアを見て、嫉妬を抑えながらも、いつもの穏やかな声をかける。そうだ、このポーションを渡すついでに、アインズ様とお話をしよう、そうすれば、万が一でもまみか良いお言葉をもらえるかも知れない。

 

「ほ、本当ですか、アルベド様・・・いや、助かります。それでは、案内しますので」

 

 

 

 

 村の喧騒から離れた一軒家、粗末と言って差し支えない家の工房に案内され、その匂いにハンカチで鼻を押さえながら、いくつかの薬品、そして、棒のような錬金アイテムなどを受け取りながら、自分の薬指の指輪を指でなぞる。

 

 本来なら、指輪というものはンフィーレアとエンリのような関係の間に渡されるもの、いや、確かに最初に渡したのはマーレだったが、こんな扱いは酷すぎるのではないか・・・せめて、第二王妃として、迎え入れられても良いのではないのか・・・

 

「あ、あの、アルベド様、よろしいですか?」

 

「・・・あら、御免なさい。準備はよろしくってよ。では、これをアインズ様に、お渡しすれば良いのね。」

 

 いくつかのカラフルな薬瓶を手持ちカバンに詰めたンフィーレア、その中のいくつかを取り出し、アルベドに見せる。

 

「ええ、これが、強化した回復水薬で、こちらが実験中の速度強化の水薬・・・ああ、こちらは、睡眠効果のあるものでしてマンドラコラの粉末を・・・」

 

 やたらと饒舌に効果を説明されうんざりしながらも、適当に耳に聞き流す。どうせ、効能を説明したレポートがあるのだ、それを読めばわかるだろうと思いながら、最後の薬品に、思わず顔を上げた。

 

「・・・そして、最後の変身水薬ですが、以前の媚薬効果のある作用を改善しましたので、もう・・・ここでマーレさんとあったようなことは起こらないと思います。ッ、ア、アルベドさん?」

 

「そ、その話、詳しく聞かせて貰えないかしらッ」

 

 

 

 

(いやー、しかし、あの薬品にそんな効果があるとは思わなかったなぁー)

 

 パレードも終わり、僅かに自室に帰還したアインズは執務椅子に座りながらも、ため息をついた。

 

 なんでも、以前から服用していたシェイプチェンジ・ポーションだが、男性が服用した場合、性的な興奮を得る場合があるとの報告を受け取り、マーレとの一件を妙に納得してしまった。

 

 別に、過ちだとは思っていないし、妻としてのマーレも愛しているし、子供をどうこうとは思ってもいないが、あんな年下の少女からの告白をされ、なし崩しという婚姻に我ながら情けないものを感じる。

 

(それに、まさか、初めての実践仕様がクスリの力を借りないとダメなんて・・・男としては情けなさすぎる)

 

 もっとも、マーレもあの時のことを言うと、顔を真っ赤にしながら黙り込むし、自分も他人に言うつもりもなく、薬品で夜の生活を実践しているなど言うつもりもない。守護者たちも、そこを掘り下げないでいるので、アインズが夜な夜な変身水薬で夫婦の営みをしているなど知るものはいないだろう。

 

 その時、僅かなノックの音、振り返れば、久し振りに聞く声に、僅かにアインズは罪悪感を覚える。

 

「アルベドか、入れ――」

 

「失礼します。アインズさま――」

 

 久し振りに見る守護者統括、体調不良で自室に篭っていたアルベドは、傍目にもたおやかで穏やかな笑みを浮かべ、アインズの前で優雅に挨拶をした。

 

「いや、久しいなアルベド・・・体調は大丈夫なのか?」

 

「はい、アインズ様、永らく役目を果たせずに申し訳ございませんでした。久々に、外の空気に当たり体調の方も良くなりましたが、あの、その事でお願いがあるのですが・・・」

 

「なんだ、アルベド・・・お前の頼みだ申してみろ」

 

「少しで良いのです。ほんの一時で良いので、目を、瞑っていただけないでしょうか・・・」

 

 何をするつもりなのだろう。と、そもそも、まぶたがないので目をつぶることなどできない。仕方がないので、アルベドを近くによこし、目を覆うように命ずれば、なにか、拳を作る様子が見えたが、ふわりと、女性特有の・・・マーレがミルクの甘い匂いだとすれば、アルベドからはフローラルな甘い匂い・・・同じ甘さでもかなり違うものが、鼻腔をくすぐる。

 

 目を覆われ、僅かにアルベドの顔が近くなり、そして・・・

 

――唇に柔らかいものが当たった。

 

 いや、唇などないはずだ。それに、以前に感じたことのある下半身の違和感を感じ、思わずアインズは目を開けてしまう。

 

「ああ、アインズ様・・・至高の御方、絶対の支配者・・・こうして、やっと、やっと・・・」

 

 思わず椅子から落ちてしまい、柔らかな毛の長い絨毯に体を横たえるが、動けない。アルベドが手足をガッチリと体に絡め・・・いわゆるペロロンチーノさんの言う“だいしゅきホールド”なのだが、Lv100の戦士職がやればもはや戦闘行為に近いものがある。

 

「お、おい、アルベド、これ・・・うおっ」

 

 ふくよかな胸が、顔面を押さえ込み言葉を遮る。肌が擦れる感触はと、口に広がった薬品の味を思い出す。

 

(これは、シェイプチェンジ・ポーション・・・まさか、アルベド・・・)

 

 散々に“だいしゅきホールド”を堪能したのか、馬乗りになったアルベトとやっと目があった。熱を吐き出すような吐息と、赤みがかった肌、興奮と感動に涙ぐむ爬虫類を思わせる縦に割れた瞳孔が開かれ、正直、男女の営みというよりも捕食動物のソレに近い。

 

「アインズ様・・・どうか、どうか、お情けを・・・大丈夫です。痛いのは、最初だけ・・・もう、頑張らなくてもいいんですよ。ゴールしてもいいんですよ・・・ッ」

 

 何の話をして、何を言っているのかは分からないが、やりたいことは嫌でもわかる。アインズのローブの裾を上げ、人間としての、その部分がアルベドの腰に当たれば、確かな柔らかさ・・・マーレとは違う肉感があった。

 

 そして、ドレスを脱ぎ捨てるアルベド・・・美しい、と思うより、獲物を絡め取るヘビを連想させる。実際、アインズの置かれる状況はそれと変わりない。

 

 口が裂け、ニンマリと笑うアルベドが、僅かに甘い声で「はうぅ・・・」と鳴いた。

 

 ゾクリとした悪寒を感じながらも、以前に嗅いだことのあるフローラルな香りを思い出す。ベットにいつも振りかけられた香水の匂いだ。――マーレはいつもこの匂いのするシーツを取り替えていたが、熱と快楽に人間として逆らえないアインズが、混乱する頭の中でそんな事を考える。

 

「ら、らめぇぇぇぇーーーっ」

 

 そんな悲鳴にも似た絶対の支配者の声が、ナザリック全体に響き渡った。

 

 

 

――そして、なんだかんだあった後日

 

 その日のナザリック十階層の玉座の間、守護者を従え謁見をするように、他の各階守護者、その他、各階層を代表するシモベ達がアインズの謁見の為に整列をする。ずいぶんと最近は見慣れた光景だが、しかし、シモベ立ちの顔は敬意と緊張が満ちている。それは守護者達も同じであり、張り詰めた弦のような空気がそこにあった。

 

 若干、正妃であるマーレの顔に不機嫌さがあったが・・・

 

 そして、シモベたちの間を裂き、純白のドレスを纏う女性が玉座の前で膝まづく、それを留めれば、女は、指ほどの長さの棒をアインズに捧げた。

 

「陽性でございました。アインズさま。」

 

 そのアイテムに、赤い棒のような印が刻まれている。これはンフィーレアが開発した女性の体液を用いて生命力の変化を感知する。ようするに――

 

「皆の者、守護者統括、アインズ・ウール・ゴウン第二王妃、アルベドさまがご懐妊なされたッ」

 

 デミウルゴスの告げた言葉に、シモベ達の割れん秤りの喝采、その歓喜の中、アインズはなにか、諦めたように眼光の中の炎を絶やし、マーレは怒ったように頬を膨らませ、アインズのローブの裾を掴んだ。

 

(あーあ、マーレだけでも、悪いことをしたと思うのに、アルベドも・・・タブラさんに顔向けできないかも、な・・・)

 

 そして、マーレの横に立つアルベド、普通は側室なのだから公の場には出ない。いや、守護者統括だからか・・・しかし、腕に絡めた手が、なだらかな腹部に当たれば、耳元で囁く

 

「これからは、第二王妃として、マーレ正妃とともに“平等”に愛してくださいませね、アインズさま・・・まずは、寝屋を共にするのは、月曜日はわたくし・・・火曜日は、第二王妃・・・水曜日は守護者統括、木曜日はわたくしで・・・・・・」

 

「ア、アルベドさん・・・そ、それじゃ、ぼくとアインズさまの・・・あ、愛し合う日が、ないじゃない、ですか・・・ダ、ダメですッ。」

 

 片方の腕にしがみつくマーレが睨むようにアルベドを見上げる。僅かに頬を膨らませる姿は、可愛らしさもあるが、それに対して勝ち誇ったような笑みを浮かべるアルベド――

 

『至高の御方、アインズ・ウール・ゴウン様万歳、第三皇太子さま万歳――ナザリック地下大墳墓に栄光あれッ』

 

 そんなシモベたちの喝采の中、乙女達の戦いに、頭を痛めるアインズであった。

 

 

 

――で、さらに後日

 

「・・・そうか、アインズは側室を迎えたのか、しかし、彼女が正室だと思ったのだがな」

 

 完全防音、魔法防御を施された執務室のなか、ジルクニフは部下の報告書に目を通す。別に、機密事項でもないことなので、アインズ自体が故意に漏らした情報だし、信頼度も高い。

 

 それでも、この部屋の主はため息をついた。ひとつの手駒を無くしてしまったな。と・・・

 

「さて、これをどう使うかな・・・」

 

 それは、王城で引き取った。いや、買い取った双子の姉妹だった。確か、フルト家という取り潰した貴族の娘たちで、どこにでもいるプライドだけが高く能無しで、排斥され平民として生きることもできなかった愚かな一家の片割れ、その程度しか思っていなかった。が――

 

 その、姉の方には興味があった。以前、アインズの居城に潜りもませたワーカー、その中のひとりだったらしく、アインズと少なからず縁がある。悪い意味でだが・・・

 

 既に、莫大な借金で両親は鉱山か娼館、はたまた自殺したのかはわからなかった。この双子の娘がここにいるのも、使用人の一人が借金取りから匿い、別の貴族に相談したことから、たまたま皇帝の目にとまったに過ぎないからだ。

 

 双子の幼女・・・アインズの趣味に合うと思い、もしや、と買い取ったのだが

 

 まぁいい、とりあえず使い捨てられる手札として使ってみよう。そうだな、次の妃の出産祝いにでも、紹介してみるか、と、ジルクニフは然程に期待せずに、報告書にペンを走らせた。

 

 

 




アインズ「うう、また、逆レ●プされた・・・逆レ●プされる支配者って一体・・・ええいこうなったらッ」

シャルティア「ふふーん♪え、アインズさま、何を――(ドキドキ)」

アインズ「こうなったら、シャルティアにTPPで絶滅したエロ同人誌みたいなことをしてやるッ」

シャルティア「ああ、やめてくださいでありんす、ペロロンチーノ様がみてる・・・(ドキドキ)」

あ、TPPで2次創作なくなるのか?

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