学校嫌いな彼と鮮烈な少女たち   作:勇忌煉

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 今日はハロウィンということで今作初の番外編です。


番外編「ハロウィンヤベェな」

「ハロウィン……ですか?」

「おうよ」

 

 10月31日。俺とアイちゃんはハロウィンの話をしていた。

 しかしミッドチルダでは全くやってないらしい。

 特にベルカ関連にしか興味がなかったアイちゃんはなおさら知らないようだ。

 

「それはどういったことをするのでしょうか?」

「そうだな……カボチャでランタンしたり仮装したりするお祭りだ」

「あ、あの……それだとカボチャを遺体に見立てて焼却することになってしまいま――」

火葬(そっち)じゃねえよ」

 

 何をどう考えたらそんな答えが導き出せるんだよ。

 

「まあいいや。ヴィヴィオたちも誘ってみるか」

「それはいいですね。では――」

 

 アイちゃんが通信でヴィヴィオたち初等科組を誘っている間に俺はカメラの準備をする。

 せっかくだから写真を撮っておきたい。開催場所は……うん、高町宅がいいな。

 

 

 ――三時間後――

 

 

「お待たせしました~!」

「おおっ、魔女か」

 

 高町宅なう。最初にやってきたのはティミルだった。これはこれで可愛らしいな。

 ただやっぱり……本物を見たことがある身としてはソイツにも来てほしかった。

 もちろん俺はカメラのシャッターを切る。またとない機会とはまさにこのことよ。

 

「せんぱーい!」

「…………」

 

 次にやってきたウェズリーは吸血鬼だった。これもまたいいな。予想通り、八重歯が牙に見える。

 すぐさまカメラのシャッターを切り、様々な角度から撮りまくる。

 後はヴィヴィオとアイちゃんだが……遅いな。ちなみに俺はフランケンシュタインの仮装をしている。

 ブギーマンことマイケル・マイヤ○ズの仮装をしたかったぜ……!

 

「先輩。なんで顔につぎはぎがあるんですか?」

「…………これはそういう衣装だ」

 

 正確にはメイクともいう。

 

「じゃじゃ~ん♪」

「パス」

「え」

 

 やっとヴィヴィオが可愛らしく登場したのだが、衣装がなぁ……。

 

「それ学院祭のときにも着てたよな?」

「そうですけど……」

「だからパス」

 

 そう、ヴィヴィオの衣装は学院祭のときにも着ていたデビル――悪魔だ。

 いや、小悪魔といった方がいいかもしれない。もう撮ってあるんだよね。

 ヴィヴィオは少しだけ落ち込んでいた。もしかして撮ってほしかったのか?

 俺はこっそりとヴィヴィオにカメラを向け、シャッターを切る。うん、これはこれで……後でいっぱい撮ろう。

 

「もうっ! よく見てくださいよっ!」

「いやどう見ても学院祭のときに――あ」

 

 おう、気づけなかった自分が憎いぜ。よく見るとヴィヴィオの悪魔衣装がハロウィン仕様になっていた。

 こっそり撮っておいて正解だったかもしれない。

 

「残るはアイちゃんだけか……」

 

 確かアイちゃんの衣装って――

 

「お、お待たせしました……」

「遅いぞアイちゃ……!?」

「アインハルトさぁん!?」

 

 思わず俺たちは驚愕してしまった。いやいや、さすがにこれはマズイだろ。

 

 

 だって今のアイちゃん――ほぼ全裸なんだぜ?

 

 

 い、いや、まだ包帯を巻いているからギリギリセーフのはずだ。

 

「どうしたらそんな格好になるんですかぁ!?」

「え? こ、これはこうして着るものでは……?」

「違いますよ!?」

 

 まあ、包帯でわかると思うがアイちゃんの衣装はミイラ男――のはず。

 だって今のアイちゃん、包帯で大事なところを隠して後は全裸という露出狂待ったなしの状態だもん。

 ていうかあの包帯どうなってんだ? なんかふわふわ浮いてるんだけど。

 当然アイちゃんは赤面しながら俯いた。うん、俺でも恥ずかしいよそれは。

 

「あっ! 先輩は見ちゃダメですっ!!」

「シュワット!?」

 

 痛い痛い、やめろウェズリー!! 首が捻れるように痛いぃぃぃぃぃっ!! つーか捻れてる! めっちゃ捻れてるんだけど!?

 そうしてる間にも、アイちゃんはヴィヴィオに連れていかれてしまった。

 ウェズリーに首を捻られたせいで撮影することはできなかったが、脳内にはしっかりと焼きつけたぞ。

 でもやっぱり――

 

「――撮りたかった(ブババババッ)」

「先輩!? なんか凄い勢いで鼻から血が出てますよ!?」

 

 違うっ! 違うんだっ! これは本能的なものでいわゆる不可抗力というやつなんだっ!

 

「だ、大丈夫だ、なんの問題もない(ブシャァァッ)」

「全然大丈夫じゃありませんよね!?」

「鼻血の勢い増してませんか!?」

 

 あ、ヤバイ。意識が薄れてきた……。

 

「二人とも、俺はもう逝くよ……」

「縁起でもないこと言わないでくださいっ!」

「まだジャック・オー・ランタンも作ってないんですよ!?」

「トリック・オア・トリートもやってないんですよ!?」

 

 お前らとりあえず蘇生したらチョップの刑だ。

 

 

 ――しばらくお待ちください――

 

 

「死ぬかと思った……」

「本当ですよまったく……」

 

 あのあと、俺は駆けつけたアイちゃんとヴィヴィオによって一命を取り留めた。

 そのアイちゃんはというと、腕と脚と顔に包帯を巻いている。結構それらしくなったな。

 当然だが、俺は全力でシャッターを切っている。そろそろスペアに替えた方がいいかも。

 

「よし、ジャック・オー・ランタンできたぞ」

「で、どうするんですか? これ」

「家の前にでも飾るか……」

「それじゃあ、イタズラしに行こう!」

「「おー!」」

「先輩っ! トリック・オア・トリートです!」

「俺かい!?」

 

 俺がトリック・オア・トリートされた。

 

「はぁ~……ほら、残りもんだけどポテチで我慢してな」

「もう少しマシなものはなかったんですか?」

「ない」

 

 まあ、そこそこ楽しんでくれてるっぽいからいいか。

 俺はカメラを弄りながら思わず微笑んでしまう。それにしても、あの二人がよく許可してくれたものだ。

 

「リオ、どうだった?」

「うーん……あんまりおもしろくないね」

「「「「………………」」」」

 

 コイツ最低だ。

 まあ、そんなこんなで俺たちはハロウィンを楽しんだのだった。

 ……ハロウィンってもう少し大規模だったような気もするが別にいいかな。

 

 

 

 




《今回のNG》


※アインハルトの最初の衣装がNG。



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