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なので次回は「間違ってはいないけど、ちょっと違う」の後に差込投稿します。
NEWが最新話です。
友達ができたら最初にすること。それはもちろん悪巧み。
という訳で私と葉山先輩は、如何にお互いの想い人のハートをその手にゲットするかで
一緒に知恵を絞ることにした。
『こういうのはどうですかね?
葉山先輩が私に襲いかかって、たまたま傍にいた比企谷先輩がそれを止めて
私と比企谷先輩はそれが切っ掛けで愛し合う、というのは』
『うん。迷惑掛けてもいいとはいったけどさ、いろは。
それだと俺、社会的に死ぬよね?』
『まあ大丈夫ですよ。細かいことは言いっこ無しです!』
『全然細かくないし、大丈夫じゃないんだよなあ……』
なにやら渋る葉山先輩。困りましたね。
私のためなら死んでもいいって言ったじゃないですか~。あれ? 言ってないか。
『なら葉山先輩も、なにか案を出してくださいよ~』
『そう言われてもなぁ……』
交互に案を出すよう決めたのに、葉山先輩はこれといった案が思い浮かばない様子。
仕方なく矢継ぎ早に私が出す案は、ことごとく駄目だというくせに。
まったく……と思いつつ、これまでの会話に何か使えるものがなかったか思案する。
そして良さげなワードがあったことを思い出し、口にしてみる。
『じゃあ、これなんかどうですかね?
さっき話にでた林間学校じゃないですけど、泊りがけで勉強会とか開くの。
修学旅行とかもそうですけど、普段とは違う相手が見れて距離が縮まりそうですし。
まあ何処に泊まるのかって話になるんですけど』
『ああ、それならウチの別荘を使ってもいいし、場所なら提供できると思うよ』
別荘! 葉山先輩ブルジョワジーですか? お嫁に貰ってください。
すぐさま離婚して資産だけ頂きたいです。
『いいですね! あっ、そうだ、あれですよ、葉山先輩。
はるさん先輩も特別講師として合宿に参加してもらえれば
好きなあの人と同じ屋根の下で一夜過ごせますよ~
それでふたりの関係が、いい感じに進むとかあるかもです!』
『う、うーん。それはないんじゃないかなぁ』
『そうですか?』
『うん。小さい頃、お互いの家に良く泊まったりしたんだけどさ
特にそういう事はなかったから……』
『それはお互いに小さかったからですよ。今はもう大人。あんな事やらこんな事やら
当時とは違ったなにかが起こる可能性も無きにしもあらずですよ!』
『い、いや。俺は別に、そういうことを陽乃さんとしたい訳じゃ……』
うわっ、この人めんどくさっ。比企谷先輩とは違った意味でめんどくさいですね。
まあ仕方がない。ここはひとつ。
『じゃあもしですよ? このまま何もせずにいて、はるさん先輩にいい人が現れたとしますよね』
『あ、ああ』
『それで、はるさん先輩がその人とそういう事をしたら、葉山先輩、平気ですか?』
『いろは、その手でいこう。で、いつにする? 早いほうがいいな。明日?』
食いつきすぎでしょう、この人。まあ気持ちはわかるけど。
多分恋愛感情の半分は、独占欲だしね。
そんな呆れ半分、納得半分な気持ちでいると、葉山先輩がなにやら思い出したように声を上げる。
『そういえば』
『どうしました?』
『今思い出したんだけど、戸部が比企谷に一緒に勉強しようって誘われたらしいんだよ』
『そうなんですか? なんか意外というか……』
『まあ俺も、戸部の勘違いだと思うけどな。でもどうだろう、戸部も誘うっていうのは』
戸部先輩か、あの人うるさいんだよなぁ~。まあいい人ではあるんだけど。
それに私と比企谷先輩、葉山先輩とはるさん先輩の四人だと
比企谷先輩、来てくれなさそうだしなあ。
参加人数を増やして頃合を見計らって、お互いの好きな人を連れ出せばいいかな。
『葉山先輩。それなら去年千葉村に行った人たちも誘ってみましょうか?』
『俺の方は構わないけど、いいのか? いろは。奉仕部の二人が来ても』
ああ、やっぱり葉山先輩も、色々察してはいたんですね。
『はい、構いません。なんか裏でこそこそするよりも良いかなって思いますし』
『さっき俺を生贄に比企谷と上手くやろうとしたいろはがそんな事をいうとはな……』
なんのことやら。心の中で返事を返しつつ、聞こえないフリをして話を進める。
『それで葉山先輩。別荘って、どちらにあるんですか?』
『鴨川の清澄寺の近くだね。
親に頼んで車を出してもらうし食べるものも用意してもらうから、
着替えと洗面道具だけ持ってきてもらえれば良いと思うよ』
『お~、それは助かります。有難うございます』
『いやいや。俺も高校最後の夏の思い出になにかしたいなって思っていたから
気にしないでいいよ。むしろ切っ掛けを貰えて嬉しいくらいさ』
うーん、やっぱり良い人。(都合の)
思いつつ、先ほどの会話で気になったことがあったので尋ねてみる。
『そういえば葉山先輩。さっきの話なんですけど、三浦先輩となにかあったんですか?
どうにかしなくちゃって考えていたって、その、言ってましたけど』
『ああ、それか……。うん、実は今度遊びに行こうって誘われててさ。
今までは皆で遊んでたんだけど、今回は二人っきりでって』
あー、それはアレですね。告白する気でしょうねえ……。
三浦先輩、お母さんっぽくって面倒見いいし、良い人なんだけどなぁ。
そう思って吐いた吐息が、同じように吐いた葉山先輩の吐息と重なる。
それがなんだかおかしくて、二人で薄く笑い合う。
『なんかアレですよね、葉山先輩。
誰が悪い訳でもないのに、どうしてこうも上手くいかないんでしょうね』
『ああ、本当にな……』
葉山先輩は答えると、また薄く、吐息を吐いた。
× × ×
日が変わって月曜日。その放課後。
夏休み明けの文化祭について、生徒会で軽く打ち合わせを済ませると
先輩との二人っきりの勉強会が始まる。
緊張しつつも夕方近くまで一緒に勉強し、先輩に送ってもらえた帰り道。
自分の気持ちをバレないよう一生懸命に誤魔化しながら、
それでも気付いて欲しいから、言葉を選んで口にする。
「私、今日は今日に満足出来てるんです」
先輩と同じ場所で同じ時間を過ごせたから。
「だからゆっくりと寝れそうです」
この先もずっと、そうできたら嬉しいです。
そう想いを込めて口にした言葉は、先輩にちゃんと届いたのかな?
そんな事を思いながら、布団に入り目を瞑る。
そうして私は、夢一つみない静かな眠りについたのだった。
それでは次回で