ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う   作:ウリクス

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ウダイオス
・37階層に存在する迷宮の孤王(モンスター・レックス)
・見上げるほどに巨大な体を持ち、下半身が埋まった漆黒の骸骨型モンスター(スパルトイ)
・その手に持つ黒い大剣で名高い冒険者達を葬ってきた
ドロップアイテム
『ウダイオスの黒剣』


第45話 …サポーター、始めました「特定完了 中編」

「……あ、到着した?」

 

4日目。

午後を過ぎ、昼食を食べるには少々遅過ぎる時刻に、遠征隊は目的の36階層に辿り着いた。ここまで戦闘は極端に少なく、拍子抜けするほどに早く安全に進むことが出来た。

 

「昨日は滅茶苦茶戦ったのに…」

「しかもドロップアイテムも鉱石も全く無し…」

と愚痴を洩らす人もいれば。

 

「せっかくだ。この面子で37階層の迷宮の弧王(モンスター・レックス)『ウダイオス』でも挑戦してみるか?そうすればもっといい鉱石が手に入るかもな!!」

と、調子に乗って余裕のある冗談を言う冒険者がいたが、誰も本気にしていない。

 

「では、作業を開始するッ!!やり方は前日と同じように!!」

採掘は前と同じ、複数の班に分かれての作業。

 

アークは「……ああ、やっぱりか」と呟きながら頭を抱える。

 

「今日も一緒に組も!」

「うんっ!行こ行こ」

 

「行くぜ相棒!!」

「応!兄弟!!」

 

アークの周りで次々と班が結成されていく…

昨日…いや、一昨日の時点で組む相手が固定化されたのだろうか?

 

前々から思っていたけど、この遠征に参加している冒険者って俺以外みんな同じファミリア、つまり身内同士で参加している気がするんだ。

そりゃあ俺のファミリアは団員が俺一人の零細ファミリアだから仕方がないけど、この仕打ちはあんまりじゃないか?

 

「いたいた、お~いアンタ…じゃなかった。アーク!!」

とても…とても孤独を…ん?

「……げっ」

昨日の、例の極東出身の冒険者、確かカグラって名前だったか。

彼女が手を振りながらこちらに駆け寄って来る。

 

「……カグラ、さんだっけ?」

「神楽でいいよ神楽で!アタイもアンタのことをアークって呼ぶよ!!」

ほ、本当にグイグイ来るなこの人。

デメテル・ファミリアの子達の方が大分大人しかった気がする…。

 

「それよりさ、見たところまだ班を作っていないみたいだし、良かったらアタイ達の班に入ないか?」

「……えっと、その…」

「頼むよ!アンタに教えて欲しいことがあるんだ」

(……近いって)

ズイっ!と迫られるカグラにアークは困惑した表情で明後日の方を向く。

 

「……それで、教えて欲しいことって何ですか?」

「敬語も使わなくていいよ!それでね、それでね!!アタイ達に採掘のコツを教えて欲しいんだ!!上手く鉱石を採掘できないんだよ!」

 

「……コツって、そんなものないよ」

アークを助けた時バックパックを覗いた時、大量の鉱石が入っているの見て、教えてもらおうってパーティの仲間で決めたらしい。

 

「……教えることなんて何もないと思うけど、それくらいなら別に良いよ」

「やった!」

「……それくらいなら」と了承をしたその瞬間、カグラに手を掴まれる。

「それじゃあ、行こう行こう!みんな愉快で面白い奴らだよ~。きっと仲良くなれるとアタイは思うんだ!!」

手を掴まれたアークはそのままズルズルと階層の奥へと連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――という訳で」

カグラに手を引かれ、部屋(ルーム)を一つ、二つ進んだ先に連れて行かれたアークの眼前には、5人の冒険者がいた。

途中、通った通路と部屋には他の遠征隊の人達が採掘とモンスターの掃討をしてくれたおかげでモンスターと遭遇することはなかった。

 

「コレがアタイ達にパーティだよ」

「……は、はぁ」

パッと手を離され、取りあえず自己紹介を、そう思って口を開こうとした瞬間。

 

「―――仁だ。仁・五百旗頭(ジン・イオキベ)。サホヒメ・ファミリアの団長を務めている。レベル4になったばかりの冒険者だ。よろしく」

自己紹介を…さ、先に言われてしまった……ッ!

 

ジンと名乗る黒い鎧を着た大男がこちらにゆっくりと歩み寄り、兜を片手に、もう片方の手を差し伸べる。

 

「……~ッ!?」

(……な、なんだこの男はッ!?)

眼前に立った時、隆々とした強面に睨まれる、いや、正確に言えば凶悪な目つきに人に普通に見られただけだ。

それでも、アークはその圧倒的な存在感と眼光にビビッて、一瞬息を詰まらせながら後ろに身じろく。

 

「―――神楽が、迷惑をかけてしまったな」

「……いえ、とんでもないです。アークボルト・ルティエンスです。この前は助けてくれて本当にありがとうございました…」

そう言って、アークはジンの手を握り握手を交わす。

 

「庵士、庵士朗・伊武樹(アンジロウ・イブキ)庵士朗、否定、庵士、呼称(僕のことはアンジって呼んで)

握手を交わしている最中に背後からそんな声が聞こえる。振り向いても誰もいない。

 

採掘、早期、地上、帰還(採るもん採って、早く地上に帰ろう)

右に左に声が聞こえるけど誰もいない。

 

「―――庵士、人様に失礼だ」

握手から手を放したジンの手が黒い戦装束を着た少年の首根っこを掴み、アークの眼前に突き出す。

どうやらアークの振り向く方向に合わせて右に左に視界から外れ避けていた。

黒い髪の下から覗くパッチリとした大きな黒い瞳がアークを見つめる。

 

「―――名を庵士と言う。見ての通り変な小人族だが、仲よくしてやってくれ」

変人、否定(僕は変人じゃない)

ジンの手に掴まれ、プランプランと左右に揺れながら無表情で、だが何処か不機嫌な様子で呟いた。

 

刀真、紹介、迅速 (刀真。さっさと自己紹介して)

床に降ろされたアンジは胡坐をかき、明後日の方をそっぽ向きながら言う。

 

 

 

「お、おおおおお初にお目にかかります。名を、と、とと刀真、刀真・一振(トウマ・イッシン)と言います。いいい以後、お見知り置きを!!」

自信のない八の字眉毛と質素な髪留めで後ろ髪を一つに括った少年、トウマは頭を深々と―――それはもう両手に手をついて地に伏せるように深々と頭を下げる。

 

「……え、え?」

アークは彼の怒涛の勢いにまたもや圧倒されてしまい、言葉を失う。

 

「刀真!アンタはまた直ぐに土下座して!!」

「ヒィッ!?すみません、すみません!!!」

カグラに怒鳴られたトウマは何度も何度も頭を下げる。

 

「すいませんじゃないよ!」

「ヒィィィッ!!すいませんすいません!!!」

「だからッ!大の男がそう簡単に土下座をするなって何度言わせりゃ分かるんだい!!?」

…そんなやり取りが、暫く続いた。

 

 

「―――紗夜」

「私で最後ね、大丈夫(・・・)

サヨと呼ばれた少女は傍らに置いていた『何か』を片手に持ちながら立ち上がり、「私に任せて!」そんな自信に満ちた表情で周りの仲間達を見渡し、アークに歩み寄る。

 

(ほ、本当に大丈夫か)

カグラは昨日の就寝前と今朝の食事にサヤが言っていたことを思い出し、一抹の不安が過る――――

 

 

 

 

 

昨日の晩、寝る直前にサヤが「神楽姉さん!明日は殿方にお近づきになるんですよね?」と何やら張り切った様子で訊いてくる。

「殿方?ああ、アークボルトって奴だよ。さっきアタイと仁の旦那が言ってただろ?それに、お近づきって言ってもそんな大したことじゃないよ。ただ一緒に仕事をしないかって、誘うだけだよ」

 

「えとえと、どうやって誘うんですか!やっぱり姉さんの色気で!」

「馬鹿ッ!普通だよ普通、もう少し声を小さくしな。千歳が起きちまう」

 

年頃なのか、最近この娘(紗夜)はそういった男女の話題に関心を持ち始めた。

 

(…そう言えば、この娘も今年で14歳か)

ついこの間まで、戦いのことしか興味なかった少女がよくもまあこんなに大きくなって…。

初めて会った時は表情一つ変えず、色気の欠片も無い戦装束を着て、一対の小刀を握ってジンの旦那の後ろしか歩かなかったのに。

今は可愛い洋服を着てチトセと一緒に広場で偶々見かけた人形劇に没頭したり。

この前なんか露店で買った白いスミレの髪飾りを大事そうに身に着けたり。

笑ったり、泣いたりするようになって……。

 

「…ふふっ」

修行を怠っていると怒るべきなのか、年頃の何にでも興味を持つ(・・・・・・・・)普通の少女になったと喜ぶべきなのか。カグラは少し考え、サヨの成長を喜び、悟られないよう僅かに笑みをこぼした。

 

「そうだ!神楽姉さん」

「しーっ!しーっ!!うるさいって…で、何だい?」

「私、殿方にぐっと近づける『とっておきの方法』を知っているの!!」

「…とっておきの方法?」

藪から棒に誇らしげに語りだした。

何でも、サヨがレベル2になって名が広がり始めた頃、知り合った女神様達にサヨが

「異性…殿方と近づきになるにはどうしたらいいですか?」と訊いたらしい。

そしたら女神様達から「異性と近づく為のとっておきの方法がある。ここぞという『大勝負』の時に使いなさい」と、その時教えて貰ったモノらしい。

 

「それで?その方法ってのは?」

「内緒、明日になってからのお楽しみ~。おやすみなさ~い」

そう言ってサヨは就寝する。

 

 

 

 

 

 

そして今、サヨがその大勝負、『とっておき』を披露する時が来た。

 

雲と月が存在しない夜空のように黒く長い髪、誰にも知られない場所で静かに降り積もった雪のように白く透き通った肌、端麗―――しかし未熟な青い果実のように年相応のあどけなさを秘めた顔立ち。

 

立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿は百合の花。

極東から来た詩人が他の女性の旅人に向けて放った言葉だ。

とても美しい人を指し示し、賞賛する言葉だと聞いた。

 

シャクヤクと言う花は分からない、ボタンと言う言葉も分からない、ユリ…白いリリーの花は分かる、村と山で見たことがある。

しかし、少女は幼いながらもこの賞賛の言葉を浴びるに十分な素質を持っている。

 

そんな少女が―――

とても、とても可愛らしい笑顔でアークに向かってこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ねこのクソマゾ豚」

直後ッ!アークの頬に向かって躊躇いのないビンタが炸裂ッ!!!

パンッ!!!と乾いた音が空気を伝い、天井へと響く。

 

 

 

 

「……えっ?」

ビンタをされたアークは、唖然としながらも後ろに大きくよろける。

ジンもカグラもアンジもチトセもトウマも、みんな目を点にしながら絶句。

「こいつ何やってんだ?」と、そんな空気の中にも関わらず、それでもサヨは止まらない。

 

「豚はッ!!」

よろけたアークの手を掴み、そのまま足払いッ!!

仰向けに倒れたアークの首に片手に持っていた『何か』を素早く取り付ける。

 

「二足歩行で歩かないでしょ?」

「……ガッ!!?」

最後に、地に伏せたアークの頭を踏みつけ、

「そんな鳴き声しないでしょッ!?」

太い紐のような物を引っ張りアークの首を締める。

「……グエェッ!?」

そう、サヨが持っていたその『何か』とは、人間用の首輪とリードだった。

 

「…下品な鳴き声。本当、豚失格ね。でも、あなたみたいな何の価値もない屑にも一応名乗っておくわ。私は紗夜、紗夜・五百旗頭(サヨ・イオキベ)。仁兄様の実の妹よ。まっ、豚は豚らしく、這いつくばって私のことを紗夜様と呼びなさい」

「……」

アークの頭を踏みつけている足をぐりぐりと踏みつけながら、自己紹介を終える。

大丈夫、痛みで装束の中が見えるとか見えないとか、そんなことをしている余裕は微塵もなかったから。

不意を突かれて受けた痛みは…とても、とても痛い。

 

 

 

 

 

(決まった!完璧です!!)

サヨは心の中で誇っていた。確かな手応えを実感していた。

 

「……」

「「「「「…」」」」」

だが訪れたのは気まずいどころではない。鉛のように、重い空気と静寂。

 

 

 

―――だが、

 

 

 

「―――お前何やってんだあああああああああああッ!!!」

最初に静寂を破ったのはジンだった。

怒声と圧力、アークとサヨを粉々に轢き殺すかと思えない鬼気迫る表情でこちらに突進…いや、駆け寄っていた。

「その足を退けろッ!!!」

ジンはサヨの体を掴みそのまま横にブン投げる勢いで払いのける。

 

「仁兄様!今の見ま―ッ!?」

払いのけられたサヨはそのまま転倒。

「今助けるッ!!」

ジンは籠手を着けたままアークの首輪を手際良く外す。

「……ゲホッ!!ゲホッ!!?」

首輪から解放されたアークは咳き込みながらも覚束ない足取りで立ち上がる。

 

「……ハァ」

アークは一度、二度、深呼吸をして、間を置いて、

「……じ、自己紹介も済んだことだし。そろそろ採掘に行こう。のんびりしていたら、ヘファイストスの人達に怒られるよ」

いつも通りの愛想笑いを浮かべてそう言った。

 

アーク、ググッと昇った怒りに見事耐える。

いい歳した大人が、ギャーギャー喚く訳にはいかなかった、水に流そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーク!アーク!!アタイは何すればいい?」

「……えっと、モンスターが襲ってこないか警戒してて。採掘は俺とトウマとアンジがやるから」

「合点!!」

採掘作業を始めて暫く、アークは亀裂に向かってツルハシ振り下ろし、崩れた壁から転がり落ちた鉱石を拾っては、荷車の中に放り込む。

 

先程の重い空気が少し和らいだ気がした。

 

「…すげえ」

大量、大量、幸運(昨日は石ころしか出なかったのに…)

足元に転がり落ちた大粒の鉱石を右手と左手で拾い上げ、感嘆の声を漏らすトウマとアンジ。

 

「……ちょっと待って」

ふと、アークがその場を離れ、壁際を歩き始める。

 

「アーク、勝手に離れちゃ危ないだろ!」

「……大丈夫、そんなに遠くに行かない」

 

――――ドンドンドンドンッ!!

「……ここだ」

少し歩き、眼前にある亀裂に向かってツルハシを振り下ろすと、砕け落ちた岩壁の中から一際大きな鈍色の鉱石が足元に転がり落ちる。

 

「……前も出てたなこれ。やたらと重いんだよ」

そう呟きながら両手で抱え、荷車の方へ放り投げる。

 

「……荷車、貸して貰えたんですね」

「ん?ああ。仁の旦那が曳くって言ったら貸して貰えたんだよ」

もうすぐ荷車が半分埋まる。今のところ順調だ。

 

 

 

ただ、一つ問題があった。

「……ねえ、カグラさん。アレって」

「ああ、放っておけばいいよ。ありゃ自業自得だ」

向こうを見ると、ジンがこの硬い床で正座をさせ、説教をしていた。

 

「アレが初対面の人様にすることかッ!!?」

「…あ、あれが一番……新じい…異性…どの゛がだどの゛接じ方…だっで……め゛がみ゛ざま゛がい゛っでだも゛ん゛」

大粒の涙を流しながら俯き、泣いていた。

 

あの状態から大体30分くらい経過した。しかも、その「女神様が教えてくれた」ってくだり、やり取りさっきも言ってなかった?

 

「……はぁ」

アークはため息一つ、ツルハシを置いてジンとサヨの所へ行き「……ジンさん、俺はもう気にしてないから、止めて欲しい…」と、止めに行った。

 

「――――アークボルト殿。そういう訳にはいかん!コイツは初対面の人様を張り飛ばして転ばした上に、あろうことか頭まで踏みつけた!!許されることじゃない!!!」

何故だろう?さっきの一件以降、ジンさんから発する威圧感がなくなった、と言うよりもジンさん自体の態度が柔らかくなった気がする。

…いや、ただ単純に、物凄く腰が低くなっただけか。

 

「……だから、もう気にしていないって言っているじゃないですか」

「いや、駄目だッ!!この失態は兄である俺が不躾の所為だ!土下座一つでもさせて誠意を見せねば…!」

ジンはサヨの頭を掴み地面に押し当てようとするが、アークは「……まあまあ、落ち着いて」となだめながらジンの手を掴む。

 

「……ジンさん。話は変わりますが貸して貰った荷車曳くのって、ジンさんですよね?」

「―――そうだ、俺がやる」

「……じゃあ、あれを見て欲しい…」

アークが指を差した先には、半分以上鉱石で積まれた荷車の姿があった。

 

「……旦那ぁ!今日は絶好調ですよ」

カグラがジンに向かって手を振っている。

 

「…こ、これは…ッ!?」

「ほら、こんなデッカイ鉱石…重ッ!!」

楽しそうに採掘するトウマとアンジを見て「アタイもやりたい!」そう言ってツルハシを振るい始めた。

 

「するとどうだ!こんなにもザクザクじゃないかッ!!」

掘った分だけ金銀財宝が…いや、金や銀よりも価値のあるお宝がゴロゴロと出て来るんだ、そりゃあ楽しいに決まっている。

 

「……もう直ぐ、荷車の中身が一杯になります。そんなことをしている場合じゃない」

「―――むう…」

ジンはサヨとアークを交互に見て「で、では。…どうかサヨを…妹を許してはくれないか?」と訊く。

 

「……許しますから、早く手伝って欲しい…。サヨちゃん、だっけ?こんな硬い床に座っていたら痛いだろ?」

サヨの手を取り、立ち上がらせようと近づく。

 

「…あ、あのっ!」

俯いていたサヨが顔を上げ、アークを見た後「…本当に、貴方を傷つけたくてやった訳じゃないの…ごめんなさい」と両手を前に合わせて平伏した。土下座と言うヤツだ。されたのは今日で二回目だ。

 

「……顔あげて、さあ立って」

サヨの手を取り立ち上がらせる。

 

「……よし、もう少し、一気に終わらせよう」

「「「「「「おーッ!!(賛成(おーッ!))」」」」」」

アークは新しく出来た仲間、サホヒメ・ファミリアと共に仕事を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

ちょっと待って。何かがおかしい、変だ。

 

何で俺がこの班を仕切ってんだ?

 

「……アレ?」

「―――どうした?」

作業に取り掛かろうとしたジンがアークの方を向く。

 

「……この班の班長ってジンさんだよね?」

「そうだ、俺だ」

「……なんか、俺が仕切っているように見えない?気の所為、だよね?」

「―――別に俺は気にしていない」

「アタイも別に」

「お、俺も」

「私も」

同意(僕も)

 

皆別に気にしていなかった。

「アタイはそれで成果が出るんなら、余程酷いことを言うヤツじゃなかったら、別に誰が仕切ろうが良いと思う」

「―――俺も、実は人を率いるよりも前線に出て戦っている方が性に合う。なんなら、アークボルト殿が我々を動かしてみるか?」

「……バカなことを言わないで欲しい…俺みたいな駆け出しに出来る訳ないじゃないか」

 

ジンはハハハッ!!と以外にも豪快に笑いながら、

「―――そう謙遜するな」

と背中を叩かれる。

 

「そうそう、何にしてもアタイ達は気にしてないから!ほら、行こっ!」

アークはカグラとサヨに手を引かれながら歩く。

その最中、アークはサホヒメ・ファミリアの背中を見ながらこう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……なぁ、お前達。やっぱりなんか企んでいないか?)と。

そんなことは当然言えず、アークは微かな疑問を心に置き、だけどいつも通りツルハシを振るう――――




なんかキャラが増やし過ぎな気がする。
名無しで十分な奴らばかりだけど、せっかく登場させるんだから名前と簡単な設定をついつけたくなっちゃう。
そして、キャラが増えすぎてごちゃごちゃに。

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