ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う   作:ウリクス

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改宗(コンバージョン)
現在所属しているファミリアから別のファミリアに所属すること。
しかし、一度改宗を行うと最低でも1年間はそのファミリアに所属し続けなければならない。


第27話 冒険者始めました(アークボルトの報告書編part2)

「……まぁ、少し落ち着いて欲しい」

 

頭を抱えるチビ達を宥める様に声をかけ、デメテル様の方を見る。

 

「……デメテル様、話してなかったんですか?俺がデメテル・ファミリアじゃなくてアテナ・ファミリアに所属していること」

「ええ、聞かれてなかったんですもの」

「……そうですか」

 

いや、団員が俺一人しかいない零細ファミリアに入るよりも、同性が沢山いるデメテル・ファミリアに入った方が絶対に良いと思うけどさ。

 

「大体、チビ達は何で俺のファミリアに拘る必要があるんだ?」

「だって、お兄さんの仕えるファミリアの主神はルゥ達にとって恩人、いや…恩神様ですぅ!」

「そんな心の清らかな人に仕えたいに決まってるじゃないですか!」

「そうですよ、冒険者さんみたいに優しい神様に違いないです!」

「ッ!!」

 

ヤメロォッ!チビ達よ、悪いことは言わん。うちのファミリア(アテナ・ファミリア)だけは止めとけって!!

ヘファイストス様がいるとはいえ、アテナ様(あの駄女神様)の所に入れたら何をするか分かったモンじゃないからな。

問答無用でダンジョンに潜らせそうで怖いんだよ。

ってかその言い方デメテル様の心が綺麗じゃないって言ってるようなモノじゃないか!

ほら、心なしかデメテル様の顔が少し引き攣ってる様に見えるよ!!

 

「これじゃあ、兄さんに恩返しが出来ないですぅ……」

「いや、恩返しにファミリア云々は関係ないと俺は思うけど……」 

 

ルゥの耳がペタン…と垂れ俯いてしまう。

うーん、困った。この子達を言い包めてどうにかしないと。

 

「……そ、それにな、チビ達よ。別にノエルちゃんを助けたのは見返りが欲しくてやった訳でも、恩を着せたくてやったじゃない。偶々知り合いになった薬屋の人にタダで譲って貰ったからであって、今回の話で俺は1ヴァリスも損をしていない。だから気にしないでくれ。いや本当だって」

 

そう、孤児院に置いた食材だって俺が勝手に買って勝手に持って帰るのを忘れてしまっただけ。ほら、何の問題も―――

 

「冒険者様、ウソを吐かないで下さいッ!!」

 

リアが机をバンッ!!

パティとルゥはリアが怒っている姿にアタフタしている。

 

「大体、いくら前情報があったからと言って…道標があったからと言って住人でもない人がダイダロス通りに入ること自体が危険なんですよ!しかも往復したって聞きました!!何でそんな危険なことを平気で出来るんですか!?……冒険者様、確かに僕達はまだ10歳の子供ですけど……ダイダロス通りに住んでいたら大人の汚いところだって嫌ほど見て来たんです。……子ども扱いしないで下さい!!」

「いや、別に俺はそんなつもりじゃ……そんなに怒らないで欲しい」

 

そう言って申し訳程度に弁解するけど全く治まる気配がない。

うーん、物凄く困った!ウソだと思われている。

ってか何で俺は10歳の女の子に怒られてんの!?

 

「えっと、えっと……そ、そうだ!じゃあこうしよう!!」

 

俺はチビ達をデメテル様の方に向け、口を開く。

 

「良いかチビ達、お前達に神の恩恵(ファルナ)を授けてくれたこの神様…デメテル様なんだが実は今とっても困っているんだ。だから、俺じゃなくて今一番困っている彼女達(デメテル・ファミリア)を助けてやりなさい……」

 

そう言って俺はデメテル様を見る。彼女は「えっ?」って顔をこちらに向けて来るけどそんなことは気にしない。

 

「デメテル様、困っているんですぅ?」

「ああそうだ、凄く困っている。それが今チビ達が出来る恩返しだ。……さぁ、行ってあげなさい」

「はーいッ!」

 

そう言うとルゥはデメテル様に目掛けて飛びかかる。

 

「……まぁ、冒険者様が言うなら」そう言って『割り切るけど納得はしない』様子のリアと、「冒険者さんの頼みなら仕方ないです!パティ頑張りますっ!!」とやる気に満ち溢れた笑顔のパティを見て俺は一先ず安心する。

 

「じゃあ、俺は事務の方に提出する物がありますので。デメテル様、後はお願いしますね(押し付けてゴメン)……」

「えっ!?ちょっとアーク君!?」

 

デメテル様が何か言ってるけどそんなことは全然気にしない。

ルゥが飛びついた際、デメテル様の胸に埋もれていたのを見届けてから応接室を出て事務所へと向かった。

 

 

 

 

 

3日目の報告書

 

今日は少し…いや、かなり問題があった。今日も問題も無くダンジョンから脱出してお昼休憩に入った時のことだった―――

 

 

 

「もう3日目か、早いモノだな」

 

屋台が並び熱気と活気に包まれた場所を離れ、少し落ち着いた場所に腰を下ろす。

ハッキリ言うとたくさん人がいる場所が苦手だ。

田舎者って馬鹿にされても苦手なものは苦手だ、実際田舎者だしな。

 

「リーダー!大変だよ!!」

「……ん?」

 

誰もいない静かな場所で寛いでいるとエミリアが俺の前に飛び出してきた。

 

「……何かあったのか?」

「エマとクラリスが男の人に絡まれているんだよ!!」

「なッ!?」

 

予想外に穏やかじゃないことを言われて少し驚いてしまう。

 

「……わ、分かった、直ぐに行こう!」

 

俺はエミリアの後に付いて行くことにした。

は、速ッ!?それに人が多くて通れない!エミリア、置いて行かないで欲しいッ!!

 

 

 

 

 

 

 

「いいじゃんかぁ、ダンジョンなんかより俺らと遊ぼうよ。どうせその背中に差している武器だって飾りでしょ?」

 

薄暗い路地裏、エマとクラリスの前に如何にも遊び呆けてばかりいるような2人組の男と対峙していた。

容姿に優れていることに定評のあるデメテル・ファミリアだが新人の中ではクラリスとエマは特に優れていた。

だから町を歩いている時は頻繁に注目の的になっている上、見る崖だけじゃ飽き足らずこうやって下心見え見えの下品な目線を向けながら絡んで来る輩だっている。

 

「残念だけど、アンタ達みたいな男には興味は無いの。失せてくれる?」

「それに、残念だけどその子達彼氏いるわよ」

 

セリアとドロシーが庇う様に前に出て冷たい目と言葉を二人組に向けて放つ。

勿論彼氏なんている訳がない、タダのハッタリだ。

 

「え、い…いるの……?」

「馬鹿、いる訳ねーだろ!どーせウソだろ!?」

 

少し動揺する様子を見せるがそれでも退くことは無い。

 

「あ、そうそう……そっちの黒髪のハーフエルフには一部の男性以外は触らない方が―――」

「……ああ!もう面倒クセェッ!!良いから俺等と一緒に来いッ!!遊んでやるって言ってんだろッ!!」

 

痺れを切らしたのか、一人の男性がクラリスの左手を強引に掴む。

その瞬間、セリアが「不味いッ!みんな耳を塞いで!!」と怒鳴る。

―――そして

 

「―――ヒャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

腕を掴まれたクラリスは驚愕の表情を浮かべ、耳が張り裂けそうな悲鳴と共に右手を振り上げて見事なスナップを利かせた平手打ちが掴んだ男の顔に目掛けて―――

 

 

 

 

「お、お前達!無事……か?」

 

場所が近かったのが幸いして早く辿り着くことが出来た。

クラリスの悲鳴が聞こえて戦慄したが、彼女達は無事だった。

―――彼女達は。

俺の目に入ったのは派手な見た目をした男性二人組がボロ雑巾の様に倒れている光景だった。

 

「……だから言ったのに、『一部の男性以外はクラリスには触るな』って。もう聞こえてないと思うけど」

 

倒れた二人組にセリアは呆れた声で話しかける。

 

「クラリス、エマ!無事か!?」

 

無事だと思うけど取りあえず彼女達の元へ走り寄る。

 

「……あ、リーダー……」

 

俺の姿に気づいたのか、エマが俺の腕を掴んで大きな声で「こ、この人です!!」と叫んだ。

 

「……ん゙!?」

「わ、私達、彼と付き合っているんです!」

 

そう言うとクラリスは俺の後ろに、エマは俺の腕に抱きついて来た。

勿論倒れている彼らからの返答は無い。

 

「じゃ、そう言う訳だから……ゴメンね!じゃ、行こうアーク!!」

「……ご、ごめんなさい……向こうのカフェに行きたいなぁ。…あ、あ…アークさん……」

「……ん゛ん゛!!??」

 

誰に言っているか分からないけど、そう言い残して二人エマとクラリスは俺を引きずってこの場から立ち去った。

その後少し離れたところで解放してくれたけど―――

 

「クラリス、エマ……さっきのは一体何なんだ?」

 

と聞いてみる。

クラリスは「……ごめんなさい、調子に乗ってごめんなさい!……!」と謝るだけで何も話してくれないし、エマに聞いても「お、女の子には色々あるの!」って誤魔化されるし、エミリアは何かニヤニヤしてくるし、都会の女の子の考えることは良く分からん。

 

 

 

 

―――でも、結果としてあの二人組が少し気になりますが、穏便に済んでホッとしています。

でも、もしあの二人組が冒険者だったら、俺達よりも各上だったら、そう思うと少しゾッとします。

冒険者になった以上、同業者同士でのトラブルは避けられないと聞きました。

今後もこういうトラブルには巻き込まれたくはないモノです。

―――以上で3日目の報告を終わります。

 

「……はぁ、終わった」

 

報告書を棚にしまい、羽ペンを立て掛け椅子の背にかけ深い溜息を漏らす。

―――冒険者同士で争う、そう言えばあの人もそんなこと言っていたな。

 

 

 

 

「冒険者って言うのは、君が思っているほど夢のある職業じゃない……」

 

半年前ユージュアル村で滞在していた元冒険者の商人と酒場で話しをした時のことだ。

 

「良いかい、アーク君。冒険者となったからにはモンスターと戦うだけではない。時には人間…いや、冒険者とも戦うこともある」

「……冒険者?」

 

同じ冒険者なのに何で?と俺は疑問を抱く。当時の俺は冒険者というのは互いに協力し合ってダンジョンに挑み続ける素晴らしい仕事なんだって、本気で思っていた。

 

「そう、冒険者。冒険者同士で人のものを奪い、気に入らない奴を殺す。当たり前、と言う訳ではないが珍しいことでもない。……アーク君。私はね、冒険者になって初めて気が付いたんだよ。どんな強力なモンスターなんかよりも、本当に恐ろしいのは……僅かな欲と悪意を宿した人間なんだ……って」

 

そう言い終えた商人は空になったジョッキを悲しそうな顔で見つめていたな。

そのうち、悪い意味で他の冒険者と向き合わなければならない時が、俺にも来るのだろうか?

 

 

 

「―――ハッ!!」

 

窓から差し込んでくる朝日を浴び夢から覚める。

しまった、机に伏したまま眠ってしまった。あ、足が……痺れる!!

 

 

 

 

4日目の報告書

目が覚めたら首がすごく痛いし、前を向くともっと痛いけど、今日も元気にダンジョンに潜るつもりです。しかし、今日も色々とありまして―――

 

 

 

 

 

「今日で4日目。残りあと2日しかないが少しずつ、だけど確実に俺と一緒に強くなっていこう」

 

早朝、いつもの様にホームの前で号令を終える。

「リーダー、首が変な方向に曲がっているよ?」とエミリアに言われるけど「大丈夫!気にするな!!」の一言で誤魔化しつつダンジョンへ潜る準備を始める。

その途中、「すみませんリーダー。少しお話が……」と言われ振り向くとララとミレイが申し訳なさそうな顔で俺を見ていた。

 

「……どうした?」

「実は今日は私とモニクを休ませてもらえないでしょうか?」

「リーダー、私も少しヘンリッタに用があってダンジョンに行けません……」

 

と言ってくる。

 

「……ん?珍しいな。ララとミレイがそんなことを言うなん―――」

 

そう言いかけた時、彼女達の背後に誰かがいた。

よく見ると目が虚ろでここ数日碌に喋った所を見ていないモニクとヘンリッタが立っていた。

―――この瞬間、俺は全てを察し、「……う、うん。今日はゆっくり休みなさい。それが良いと思う」と許可した。

多分コレは俺が首を突っ込んではいけないことだって分かっているから。

 

「本当にすみません、お言葉に甘えさせて頂きます―――さぁ、行きますよモニク?」

「折角剣を貸して貰っているのに我儘言ってごめんなさい。今日は剣は必要ないので返します―――さぁ、行くわよヘンリッタ?」

 

ミレイから剣を受け取るとララはモニクの尻尾を、ミレイはヘンリッタの首根っこを掴みホームの奥へと消えて行った。

 

「痛い痛いイタイタイイッ!!尻尾!尻尾が千切れちゃう!!」

「痛たたたたッ!!?ミレイ、髪の毛掴んでるって!!抜けちゃう!!!」

―――この言葉が、彼女達のサイゴの言葉になりませんように。

 

「……こ、怖い」

 

俺の中ではララは見た目も立ち振る舞いも上品なお嬢様ってイメージがあって、ミレイはフローラ以上の常識人だって、そう思っていたけど…メッチャ怖い!!

女性があんな怖い表情をするのは初めて見た。やっぱり都会の人は怖いんだな。

 

「……ま、まぁ今日はララとモニクとミレイとヘンリッタの4人がいないけど、頑張っていこう」

 

「は、はい…」とややテンションの低い返事が返ってきたところで、4日目のダンジョン探索が開始した。

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇリーダーリーダー!」

 

2階層に降りて少し歩いた先のT字路に入った所でエミリアが俺に話しかけてくる。

 

「アレ見てよアレ!!」

「……アレ?アレとは一体何だ?」

 

エミリアの視線と指の先には一人の冒険者がゴブリンと戦っていた。

白髪と赤い瞳、そして防具は小さな胸当てとナイフ一本とお世辞にも強そうとは思えない見た目と装備をしていた。

ああ、俺も人のこと言えないな、申し訳ない。

 

「俺達と同じ新米の冒険者だろ?」

 

見たところ俺達のパーティメンバーよりも年下と見える。

14歳、15歳ぐらいかな?

 

「あの子、なんかちょっと兎に見えない?」

「え?う、兎……?」

「ほら、あの白い髪とか赤い瞳とか。モロ兎だよ!」

 

まぁ、確かに兎に見えないことは無いけど。

兎云々よりも、俺としてはあの少年の戦い方の方が気になってしまう。

戦闘そのものに慣れていないというか、周りが見えて無さ過ぎるというか前のめりになり過ぎているというか、兎に角かなり危険な戦い方だ。

 

「アレ、どうしたの?先に進まないの?」

「……もう少しだけ待って欲しい」

 

あの少年にもし何かあったらいけないから、お節介だと思うけどせめてあの戦闘が終わるまで見守ることにした。

 

 

 

 

「―――僕の……勝ちだッ!」

 

少年が最後の一匹のゴブリンの腹にナイフを突き刺し決着がついた。

それから点々と落ちている魔石をバックパックに詰める作業に入る。

 

「……良し、向こうも終わったみたいだしそろそろ第3階層へ進むぞ……」

 

俺達が覗いていたのが少年にバレない様にコッソリと3階層へと向かった。

 

 

 

 

 

「……ただいま」

 

これ以降は特に何か変わった所も無く、いつも通り5階層前の階段に辿りつき、いつもの様に引き返した。

今日は人数が少し減ったとはいえ、今更4階層までのモンスターに後れを取る筈が無かった。

まぁ、前みたいにモンスターの大群に遭遇すれば話は別だけど。

そのままホームに帰って来た俺は個室で何もせず窓の外を見ながらゆっくりと過ごしていた。

 

「……はぁ、今日はいい天気だな。快晴とはいかないけど」

 

エミリアとクラリスとセリアは自分の部屋で休んでいるし、フローラ達は「皆さん!明日に備えて作戦会議です!!」って気合を入れて他のパーティメンバー全員で会議室に引き籠ってるし、報告書でも書くかな。

そう思いながら手に羽ペンを持ち一枚白紙の報告書を取ると机に置き筆を走らせる。

そんな時―――

 

「あのさ、リーダー君ちょっといいかな?」

「……ん?」

 

ペンを走らせていると個室の前でコンコンッとノックする音と見覚えのある声が個室の向こうから聞こえる。

―――ああ、モニクとヘンリッタか。そう思い扉を開けると予想通り、モニクとヘンリッタが立っていた。

二人とも元気がいいとは言えないけど、どこかスッキリした表情をしていた。

 

「リーダー君。その……少し、話があるんだ……」

「……ああ、俺の部屋で良ければ入ってくれよ」

 

そう言って二人を部屋に入れ「椅子、そこにあるから座ってくれ」と適当な椅子を用意して座らせる。

そして静か、と言うよりも気まずい空気が部屋に漂ってくる。

 

「あ、あの、リーダーさん……本当にごめんなさい。迷惑かけて……」

 

最初に口を開いたのはヘンリッタだった。

それから「ゴメン、アタシ達が馬鹿だったよ……」とモニクも続ける。

その言葉に俺は「大丈夫、気にしてないよ」と言い、続けて「それより、モニクとヘンリッタの方は大丈夫なのか?」と聞く。

するとモニクが「アハハ、もう大丈夫だよ。ララとミレイにはメチャクチャ怒られたけどね……」と照れ臭そうに答えた。

 

「それでね、せっかくリーダーさんの部屋に来たんだから一緒に話でも……って思ったんだけど、フローラに『作戦会議に参加しなさい!』って言われててさ。私達もう行くよ」

「……フローラ達、まだ作戦会議しているのか……」

 

そこまで気合を入れなくても彼女達なら大丈夫だと思うんだけどな。

 

「うん。『明日のダンジョンは何が何でもリーダーの為に成功させたいッ!』って言ってそりゃもう凄い気合いだったよ。アタシとヘンリッタが『今日のことでリーダーと少しだけ話をさせて』って頼んでこうやって来てるってワケ!」

 

そう言うとモニクとヘンリッタは席を立ち「そろそろ帰るね。じゃないとフローラどころか、皆に怒られちゃう!」と言いながらこの部屋から出て行く。

 

「あ、そうそう!言い忘れてた!!」とヘンリッタが去り際に、

 

「リーダーさんっ!5日目のダンジョン探索が終わったらパーティ全員でお祝いをするから、絶対に参加してね!!」とウインク交じりで言い、その場から立ち去っていく。

 

「……はぁ、お祝いかぁ」

 

色々言いたいことはあるけどまぁ、取り敢えず報告書の続き書こう。えっと羽ペン羽ペン、あったあった。

 

 

―――調子が悪いと心配していたモニクとヘンリッタですが、明日から本調子に戻るみたいで少し安心しました。

5日目のことについてですが、俺とセリアとエミリアとクラリスがいない、つまり10人で4階層迄来て貰うというのは既に伝えています。

フローラが何としても成功させたいと夕方まで作戦会議をしているようですが。多分心配しなくても彼女達なら絶対に成功すると思います。

―――以上で4日目の報告を終了します。

 

「……こんなモンか。ん?ああ……もう夕方か」

 

羽ペンを立て掛け、窓の外を見るともうスッカリ空が赤く染まり、一日が終わろうとしていた。

―――今日の夕飯、何食べようかな?そう思いながら赤く染まった夕日を見続けた。




良し、このままシナリオの節目まで突っ切ります!

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