よくある転生モノを書きたかった!   作:卯月ゆう

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ボーイミーツガール、だよ!

 学年別トーナメントが月末に迫り、そろそろタッグ決めも始めようかという頃、クラスにとある噂が広まった。

 どうも次のトーナメントで優勝すれば一夏くんと付き合える、と言うものらしいが、あの天然フラグブレイカーの彼だ、「付き合う」と言う単語だけでは「おう、どこに行くんだ? 買い物だろ?」と素で言い放ちそうだ。

 私のせいかどうかはわからないが、この世界でのセシリアは一夏ラヴァーズの一員とまでは行かないようで、あくまで良きライバル、良き友人止まりな気がする。その代わり、凰さんと箒ちゃんが一層熱く凌ぎを削っているようではあるが。

 そして、現在、私は階段に座って膝にラウラを抱え、千冬を向かいに演説を聞いている。もちろん、その主はラウラだ。

 

 

「教か……先生、どうしてこんなところで教師を? もう一度ドイツでご指導をお願いしたいのです」

「何度も言わせるな、私には私のやるべき事がある。それだけだ」

「私はここが楽だからね〜 給料もいいし」

「むぅ〜 ここでは先生方の能力が生かしきれないと思うのです! 上坂先生は楽しんでいるようですが…… 織斑先生! あなたは日本に来てから一度もISに乗ってないと聞いています。先生がISに乗らずともーー」

 

 あー、ラウラが地雷を踏みぬきに行った。千冬はISに乗らずにISを教えるべくここにいると言うのに、それを根本から否定したら何の意味もない。

 それに、千冬はもう乗れないだろう。乗ったところでかつての輝きはない。そう思う。圧倒的な強さそのまま、中身だけ抜き取って哀しくした感じだろうか? ドイツ後半戦あたりからそうだったから。

 

 

「ーーそこまでにしておけよ小娘。言っただろう、私には私のやるべき事があると。それがここでは出来てドイツでは出来ない。それだけだ」

「っ……!」

「千冬、やりすぎ。ラウラの言いたいこともわからなくはないけど、どうしても国家っていう枠組みは邪魔なんだよ。確かに、生徒たちは人を殺せるモノを扱うって意識が乏しいし、モチベーションも上と下で激しい開きがある。でも、国家の教育では出来ない自由な発想はここでしかできないと思ってるよ、私は」

 

 千冬がしびれを切らしたようにドスの利いた声で脅しにかかったのでそれを止めてから私の(それからおそらく千冬の)考えてる事をサラッと流す。

 そして物陰にもう一人の気配があるので千冬とアイコンタクトを交わしてから続きに戻った。

 

 

「確かに君は優秀だ。私たちの最高の教え子だと言える。でも、力や強さが全てではないとも教えたはずだよ。もっと柔軟に考えなきゃ。ISをファッションだと捉えて素晴らしいデザインと機能のアーマーを作るエンジニアが居るし、危険意識が疎いからこそ人が怪我をしない装備を作る人がいる。考え方次第なんだ」

「人を殺すのは銃ではなく、人。ですか」

「少し違うが、そんなところだ。さて、そろそろ授業だぞ。教室に戻れ。ゆっくり急いでな」

 

 千冬がいつもの声色に戻してラウラを急かすと敬礼一つしてから早足で次の授業の理科実験室に向かっていった。

 そして私が千冬の声を真似て「そこの男子、盗み聞きか? 異常性癖は感心しないな」と言うと私が出席簿で叩かれてから一夏くんが出てきた。

 

「何でそうなるんだよ、杏ね……」

 

 快音を響かせて出席簿が炸裂。

 

「学校では上坂先生だ。何度目だ? いい加減学習しろ」

「は、はい……」

「痛そー」

「杏ね…… 上坂先生もさっき食らってたよな? それに何で棒読み!?」

 

 そして再び出席簿。曰く「敬意を払え馬鹿者」だそうで。

 頭を押さえる一夏くんに授業開始のカウントダウンをしてあげる私マジ天使。ちなみに1組の次はIS整備論概論。担当はもちろん私。

 

「そら急げ、次は鬼の上坂だぞー!」

「は、はいっ!」

「廊下は走るな、とは言わん。バレないように走れ」

 

 ニヤリと笑いながら言う千冬にさっさと背を向けて廊下を駆ける一夏少年。それを見送ってから私もゆっくり教室に向かうことにした。

 

 

「ねぇ、ちーちゃん」

「なんだ」

「いまの世界って楽しい?」

「…………」

 

 答えが返ってくる前に廊下を歩き出した。これはある意味私からのヒントだ。この後迫る、臨海学校での束の質問に対するヒント。

 散々悩めよ、と内心思いつつ、出席簿で肩をトントンしながら1組の教室に入った。

 

 放課後の第3アリーナ。ここで赤と青の2人が間抜けな声を発するところからトーナメントの前哨戦は始まる。

 表面だけの笑顔を貼り付けながら火花を散らす2人が珍しく意見の一致を見せたところでどこからともなく砲弾が飛び込み2人を振り向かせた。

 

 

「ご、ごめんなさい! その…… 本国からの命令で……」

「いきなりぶっ放せなんて物騒な命令をする方もする方だけど」

「それをこなす方もこなす方ですわ。ラウラ・ボーデヴィッヒさん?」

 

 標準装備の大型カノンが銃口から硝煙を燻らせている。そして、操縦者の少女はその場でぺこぺこと腰を折っているのが対照的だ。

 それに対する青と赤の少女も多少なりとも癪に触ったようで、好戦的な目つきで黒の少女を睨んでいた。

 

 

「えっと、確か…… ふ、ふん、データで見た時の方がまだ強そうだったな!」

 

 腕を組んで2人を見下すようにしてそんなセリフを吐くが、時々声がうわずったり噛んだりして様になっていない。むしろちっちゃい子が頑張っているようで可愛らしさすらあった。

 

「ねぇ、セシリア。あの子、挑発してるつもりなんだろうけど、どうしてこうも可愛いのかしら」

「見ているこちらが微笑ましくなってしまいますわ……」

「えっとえっと、あんな種馬に群がっているようだから2人がかりでも量産機に負けるのだっ! そんなのが専用機持ちとは、よほどの人手不足と伺うぞ!」

「そのセリフだけは聞き捨てならないわぁ。可愛いから見逃そうとか思ったけど、それだけは許さない。いいわ、その喧嘩、買ったげる」

 

 鈴が双天牙月を繋げ、猫のような目を細めてラウラを睨むと隣のセシリアもまた「この場にいない方の侮辱まで……」と呆れたようにうつむいて首を振ってから後ろに下がった。

 

 

「あら、セシリアは来ないの?」

「ええ、後ろで観戦させていただきますわ。その方が面白そうですし」

「そ、それは困る! 中国なんてたかが知れてるけど、イギリスのデータはイグニッション・プランのライバルとして最重要だから」

「たかが知れてる、ですってぇ? わざとらしい挑発よりこっちの方がずっとイライラするわ!」

「なら尚更ですわ。こちらもやすやすと機体データを渡すわけには行きませんの。あなたもおわかりの上でこのような手を打ったのでしょう?」

 

 手をパタパタと振って全力の困るアピールに励むラウラ。鈴はいまにでも飛びかかろうとしている。その一方で余裕綽々といった様子のセシリアは片手を上げて壁際に向かう。

 

 

「ごめんなさいっ!」

「セシリア!」

 

 肩のカノン砲がセシリアの背中を狙い、一瞬でトリガーが引かれると振り向きざまに腕を煌めかせ、背後の壁で爆発が起こった。

 鈴は何が起こったのかわからないように目を見開き、ラウラは驚きの表情を浮かべていた。

 

 

「弾丸を……」

「斬ったぁ!?」

「日頃の鍛錬の成果が出ましたわ。ラウラさん、これが私の力の一端。いかがでしょう?」

「は、ははっ。 本国を落胆させる報告になりそう……」

「おい、大丈夫か? スゲェ音がしたけど」

 

 そして我らが主人公、一夏くんがシャルルと箒を連れてやって来ると、興醒めと言わんばかりにラウラは鈴に一礼してからピットに飛び去った。

 

 

「随分雑な手を使ったね。誰の差し金だい?」

「クラーバッテン大佐です。軍の過激派の一人ですね」

 

 ピットに戻ってきたラウラを迎えるとさっきのやり取りの裏側を探る。ドイツは今も昔も後ろ暗い噂の絶えない国だ。イギリスと違って簡単にボロを出さないのも怪しさ満点。そして立派なところだ。

 

 

「まだそんなくだらない事やってるの? 女性の権利上昇なんてバカのやることだよ…… それで、こんな雑な手段で探りをかけたと」

「私もあまり乗り気ではありませんが、逆らえないので……」

「ま、イギリスは取り込めないよね。元々女性の権利がそこそこ高かった国だし。フランスがいまちょっとピンチだからそこを突かれるととても痛いけど」

「でしょうね。フランスの件はわかりませんが、本国は何かしらの情報を得ていると思います。それから、上坂先生。上層部は貴方を恐れています。織斑先生もそうですが、あなた方の影響力は計り知れない。そして、先生が裏の組織と繋がりを持った事も警戒を強める一因に。先生もお気をつけて」

 

 適当なところで話を切り上げてから男子更衣室で知的炭酸飲料をチビチビ飲んでいると待っていた2人が帰ってきた。

 

 

「やあ」

「あ、杏姉! じゃなくて、上坂先生! なんでここにいるんだよ」

「2人に用があって。ま、その格好じゃアレだし、着替えちゃいなよ。デュノア君も」

「いやいや、その、なぁ? シャルルもなんか言ってやれよ」

「ふぇっ!? いや、その、恥ずかしいかな、って」

「そう? んじゃ、そっぽ向いてるから30秒で。さんじゅう、にじゅうきゅうーー」

 

 急げ、と言いつつもまごまごした雰囲気が漂う。おそらくデュノア君が女の子だから色々と意識することがあるのだろう。それに、いまは彼が最もバレたくない相手の一人が目の前であと15秒とカウントしている。

 ズボンを履き、ベルトのバックルを締める音が聞こえたあたりで時間切れ。私はワザとらしく「ぜろ〜」と言ってから振り返るといまからジャケットを羽織ろうとする一夏くんと、シャツのボタンを留め終え、これから裾を入れようとするデュノア君が固まってこっちを見ていた。

 

 

「さてさて、時間切れ。そして、デュノア君に素敵な趣味があるようだけど、大っぴらにやらないほうがいいと思うよ? 休日だけにしておきな。男装なんてね」

「っ!」

 

 一夏くんとデュノア君が揃って冷や汗を流したところで私がニヤニヤしながら目線で下腹部を見つめると慌ててデュノア君がズボンを履き終えた。

 

 

「あ、杏姉、これはーー」

「まぁ座りな。一夏くん、君が知ってることを私が知らないとでも思ってるのかい?」

「そんな、最初から全部バレて……」

「デュノア君はそんなに悲観しない。少なくとも3年間の身の安全は保証済みだよ? 自分の人生は自分で切り拓くモノさ。周りの手を借りてでもなんでも足掻きな。んで、どうするか大雑把に決めてるんでしょ?」

 

 2人が一瞬顔を見合わせてからさっきより幾分いい顔で「はい。なんとなく、ですけど」とデュノア君が口を開いた。

 私もなんとなくの流れは予想がついていたけれど、当事者から話を聞くとなかなかドロドロしたものが見えてくる。だが、聞く限り、デュノア社長はクズではなさそうだ。もっとも、結婚してしまった相手が悪かったようだが……

 イグニッション・プランのセレクション落ち寸前で、第3世代の機体が無いデュノア社はもう後がないのは世間でも周知の通りだ。だが、そこでこんな手を使うあたりもう負けは確実。ダメだこりゃ。

 

 

「整理すると、白式のデータ、そして他国の第3世代のデータを盗む事と、広告塔になるのが仕事。合ってる?」

「はい。そして、どっちも一夏にバレちゃったし、先生にもバレてるならもう……」

「んじゃ、これあげるから我慢して? それから、正規の手続きで学園にいるんだから後で女の子として再登録しちゃえばいいよ」

 

 メモリーをデュノア君に投げ渡し、知的炭酸飲料を煽る。ロッカーからタブレットを取り出して中身を確認した彼、いや、彼女は目を見開いて私と画面を交互に見ていた。そして、その画面を横から覗いた一夏くんも「なんだこれ」と呟く。

 

 

「白式プロトタイプの設計データ。もっとも、その計画案はポシャったから、今の白式とはほとんど共通性がないんだけどね。それと、イギリス、ドイツのダミーデータ。私のオフィスから盗んだ、とでも言えばいいよ」

「なんで…… こんな、どうして?」

「それは君達の先生だから。学園の教員は生徒を守る義務があるのさ。最近は形無しだけどね……」

 

 黒いあんちきしょうやら何やら、学園防衛? なにそれおいしいの? みたいなのを相手にしていれば…… ねぇ?

 1年は面倒な事情を持つ子が多いし、そっちの気も使わないといけないから1年の担任団はベテランかなにかしらに秀でた先生方で固められているのだ。ちなみに、ケイト先生はスパイ映画に出てきそうな秘密な組織(MI6)にいた、なんて噂が立っている。

 

 

「君がそれを"義母さん"に送ればミッションその1は終わりでしょ?」

「ちょ、待ってくれよ杏姉。そんな簡単に終わるわけーー」

「終わらせるんだよ。こっちには彼女の存在がある。それに、産業スパイなんてやったことが公になれば結果的には同じさ。それができるだけの覚悟があるかどうかは彼女次第だね。デュノア君。いや、デュノアさん? 本当の名前はなんて言うの?」

 

 話を半分逸らすように俯くデュノアさんに尋ねてみる。恐らく私の言葉に揺れているはずだ。広い視野を持つ彼女の事だ、会社が倒れた後のことまで考えているのだろう。もちろん、自分以外の事も。

 

 

「シャルロット・デュノアです。そう、私はシャルロット……」

「ロロットね、C'est bon(よろしい)。色々考えてから結果を示しなよ。私としてはトーナメントが始まる前だと嬉しいけどね。それから、一夏くん。あえて厳しく言うけど、なんでも救えるなんて思わないことだよ。特に自分の力だけで、なんて思い上がらないことだ。君は強くない。んじゃ、頑張りな。君たちはまだ若い!」

 

 デュノアさんの「先生もそんな歳じゃないよね」と言うつぶやきを背中で聞きつつ、バシュッ、といい音で開くドアを出て、長い廊下を歩く。後ろから見知った気配がしたので振り返ると誰も見えない。

 千冬と同等レベルの気配察知が使えると自負する私の目を逃れるとはなかなかやりおる。楯無と同レベルか…… そうなるとあまり余裕がない。

 

 

「誰だい?」

 

 声をかけるが反応がない。それも放課後の混雑するアリーナなのに人っ子ひとりいない。おかしい。念のためベルトにつけているナイフの柄に手を掛けつつ出口に向かい後退る。

 そして、一瞬の風の流れを読み取って振り向きつつ腰からフォールディングナイフを取り出し、飛び出した刃を背後から忍び寄る何某に突きつけた。

 

 

「お、俺だぜ、先生……」

「さっきの気配も貴方ですか? 人払いまでして」

 

 まだナイフは離さない。肌まで少し隙間を空けていた刃を肌に触る程度に添える。その下はもちろん頸動脈。少し動けば少し血管を傷つけるだろう。

 

 

「マジでそれはシャレにならないって。刃当たってる! わーった、降参降参!」

「はぁ…… いい加減にしてよ、ダリル? それで、ご用件は?」

 

 首筋に添えられたナイフを下ろして 腰に戻すと両手を挙げていたダリルはその手を胸ポケットに向けたので私もすかさず手を腰に戻すと「違ぇよ! んな物騒なもんじゃねぇ!」と言うのでその姿勢のまま彼女が胸ポケットから取り出したものを見た。

 

 

「手紙?」

「ああ。叔母さんからさ。ついでに杏音先生に遊んでもらえってよ。叔母さんと俺の関係はもう知ってんだろ?」

「調べたからね。あー、先生悲しいなー、教え子が裏のお仕事してるなんて悲しーなー」

「うっせ、その裏のお仕事してる奴にIS作ったのはどこの先生だよ」

 

 この先生です。ハイ。

 やっぱり思うのだが、ダリルってあの3人の中なら間違いなくオータム似だと思うのだが、どうだろう?

 それに、あのスコールの血縁とは、幾ら遠縁で血が薄いとはいえ似てないような気がするのだ。あー、でも胸は大きいね。

 

 

「先生、いまエロい事考えてただろ? 全く、こんな善人を接着剤で押し固めたみたいな先生までこっちにいるんじゃ世も末だな。織斑先生が裏の人間だ、って方がずっと説得力あるぜ」

「私はそこまで善人じゃないんだけどねぇ…… さてさて、手紙の中身は…… あー、こんな事なら電話なりメールなりすれば良いのに」

「そんな事すら出来ない環境なんだとさ。なのにメシの誘いはできるってどういう事だろな? ま、おつかいは果たしたし、お駄賃もらわねえとな」

 

 そう言ってダリルは私にむかい、どこからともなく取り出した見覚えのある注射器を向けた。まったく、ISはそういう風に使っちゃダメだろう。私が言えた義理じゃないけど。着替えとか大量に突っ込んであるし。

 こっちも少しばかり気をぬくとまたお寝んねさせられてどこに連れて行かれるかわからない。尤も、この学園の中ならば大体の察しはつくが。

 

 

「またその薬? って事はお駄賃は君の体かな?」

「いや、先生だぜっ!」

「そんな、私まだっ……!」

「気持ちわりぃぞ。叔母さんから言われた「先生に遊んでもらえ」はそう言う意味じゃねえのか?」

「あら、さっきの手紙には「姪っ子で遊んで」って書いてあったんだけど?」

 

 身体能力では負けてるのでちょっとズルしてファウストで脚力をブースト、重力とサヨナラして背後に回り込んだ。

 それから東洋医学に則り、ちょっとしたツボを刺激してやればあら不思議、意識を残して体に力が入らない。流石4000年の歴史だね。

 

 

「なんだこれ、先生なにしやがった」

「ちょっとしたツボ押しだよ。あとで教えてあげるから、いまは私に遊ばれな」

 

 そのまま更衣室にダリルを連れ込んでからスコール仕込みのテクニックで散々可愛がってあげたのは言うまでもない。スコールからの手紙にはこう書いてあったのだ。食事に行けなくて残念。という事と、姪っ子に大人の女として遊びを教えてやって欲しいと。ご丁寧に「私が教えた通りにやればいいわ」とまで書いてあったのだからこれ以外ないだろう。

 どうも喘ぎ声の中に別の子の名前が聞こえたから頭の中を探すと、2年生のフォルテ・サファイアの事らしい。そして、彼女は口はこうだが、経験はないそうだ。かわいい。

 それを察したスコールが「堕とし方」のレクチャーを任せた、と察するべきだろう。だけど、コレ、思春期女子には刺激が強すぎないか? 私ですらそのあとぐっすりなのに。

 

 

「しぇ、先生…… 腰抜けて立てにゃい……」

「はぁ……」

 

 あちこちぐしょぐしょになった彼女をシャワー室に放り込み、校内放送でサファイアさんを呼び出せば私の任務は終了だろう。

 


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