よくある転生モノを書きたかった!   作:卯月ゆう

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ハーモニーの映画を見てきたので、影響を受けてオーグやWatchMeなんかを丸パクリしたりしてます。


最先端で最高性能で予想の斜め上を行くよ!

 基地からスクーターで15分ほどの場所にある少しお高めの賃貸マンションのある部屋で、私は卵型のハンギングチェアに身を預けて束と私の専用機の話をしていた。

 私の左目に入れたコンタクトレンズ(オーグレンズ)を通して見える景色はテーブルを挟んで反対に束が居り、その束と私は話をしていることになる。まぁ、言ってしまえばAR(拡張現実)VR(仮想現実)を組み合わせた技術だが、こんなアイデア自体は21世紀に入る前からあったのでソレを実現させただけだ。

 そして、議題である私の機体。基礎設計と運用方法を束に提案したら束は珍しく口を開けて目を見開くくらいには束の予想を裏切る運用の仕方をすることになった。

 私の考えた機体の運用方法。それは、ISのコアを別の場所に置いて、いつでもどこでも呼び出せるようにすること。例えるなら、研究所に置いたスーパーコンピュータの処理能力を出先のスマートフォンで使う感じだ。

 ISがISであるために機体とコアが一緒である必要があるのかを問うた結果がコレで、私と束はこの運用法について1年間の基礎研究、そしていままで応用と実験を繰り返した結果、遂に遠隔地でISを展開することを可能にした。機体スペックはISのコアとその周辺、いわばスパコンのスペックに依存するため、ソッチをアップグレードすればいいし、コア自体は束のラボ、吾輩は猫である(名前はまだない)に置いてあるのでよほどのことがない限り奪われたり壊されたりしない。ソレに、あのコアは私専用だ。

 

 

『今まで300時間の実動をして問題はゼロ。さすが束さんとあーちゃんだね。さすがにISを遠隔展開するなんて言い出した時には束さんも驚いたけど、結局出来ちゃう辺り私達も人間やめてるね』

「ま、そんな技術も全てにおいて元はといえば束が考えたんでしょ、大天災サマ?」

 

 ちなみに、このオーグレンズもISの技術のセンサー関連の技術を流用しまくってできている。だが、ISのように脳波だけで会話できるほど素敵なものじゃないので私は傍から見れば虚空に向けて話しかけるおかしな人間だ。

 

 

『ふしゅー、ふしゅー』

「ごまかせてないよー?」

『で、でも、あーちゃんが束さんに変なこと吹きこまなければISなんて生まれなかったもん! あーちゃんも共犯なんだからね?』

「そういうことにしておいてやろう。で、ハードの方もちゃんとしてる? 私が動かすたびに感覚が違って困るんだけど」

『あーちゃんの要求スペックが高すぎるんだよ。さすがの束さんでもアレを1ヶ月で仕上げるのは無理だから少しずつ実装してるんだよだからね? 最高出力なら現行ISの5倍は軽い代物だよ。でも、そろそろ世代交代も近づいてるから単純なカタログスペックが物をいう時代じゃ無くなっちゃうかもしれないけど、あーちゃんのことだからそういうのも見越した上での目標数値でしょ?』

「もちろん。あの機体ならセカンドシフトした暮桜も敵じゃないよ」

『あーちゃんの考えた展開装甲を全面的に採用してるからね。この先5年くらいは技術が追いつかないんじゃないかな?』

 

 その通り、私は4年後の技術を先取りしてるのだから。次に生まれる機体がどうなってしまうか……

 ヘタすると一夏くんの白式が鬼スペックになりかねないが、ソレは私が阻止しよう。原作通りになるように。

 私は適当に言葉を濁して適当な相づちを打ちながら自分の鎖骨の下あたりをなぞる。私に埋め込まれたこの子機――私たちはエクステンションと呼んでいる。がこの後の事件の真相解明と、原作介入に必要不可欠だ。

 体内にエクステンションを入れると言った時に束は身体を傷つけてまで入れる理由がないと猛反対したが、私が「外部にぶら下げたらそれこそ専用機と何ら変わりない。この技術が漏れるのを防ぐためにも体内に入れるべきだ」と言って頑なに譲らなかったので束が折れて私の体表面から数センチのところで私の体温を餌に動いてくれている。

 だが、束は何を考えたか、このエクステンションに私の身体スキャン機能まで盛り込んだらしく、私の体温、脈拍はもちろん、ホルモンの分泌量や血中成分の濃度まで私のすべてが束の手の中にある。それはオーグレンズを通して私にも見えるのだが、正直言ってだからなんだ、といったところだ。こんなのがありがたがられるのはフィクション(<harmony/>)の中だけだろう。

 

 

『ひとまずモンドグロッソには間に合うからそれまでにあーちゃんはちーちゃんにする言い訳を考えておいてね? 束さんは一切の責任を負わないから』

「そもそも千冬にもバレないように使うから大丈夫。もしバレたら……護身用とでも言うよ」

『ちーちゃんはそれじゃ納得してくれないと思うな』

「私もそう思ってるから。意識飛ばすだけで済めばばいいな……」

『ちーちゃんの手の届く範囲にいるのはあーちゃんだからね、それ相応の覚悟が要るって事で』

 

 束の言葉にぐぎぎ……と返すことしかできなかった。だが、千冬のことだ、こんな奇想天外なISを作るのは束だと勝手に決めつけて束に矛先を向けてくれると信じている。

 それに、このISの特徴はなんといっても搭乗者からISの反応が出ないことにあるのだから。たとえ私がPICを使おうと、オープンチャンネルで語ろうと、IS用の武器を振り回しても私は生身でそれを使っているようにしか観測できない。

 これこそが最大のメリットであり、恐ろしい点でもある。

 後は2週間後に迫ったモンドグロッソで何が起こるかを然と未届けさせていただくとしよう。


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