暗部の一夏君   作:猫林13世

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内容は全然女子高生らしくないですが……


女子高生のお喋り

 三年生のレベルの高さを見た一年生専用機持ちたちは、箒の部屋に集まってさっきまでの闘いを振り返っていた。

 

「やっぱり布仏先輩はけた違いの強さでしたわね……」

 

「あぁ、そうだな。あの本音の姉君だとは思えないくらいだ」

 

「そんなこと言ったってラウラ、アンタ本音に勝った事ないじゃない」

 

「なっ! そういう鈴だって本音に勝った事ないだろ!」

 

「まぁね。あの子はああ見えてかなりの実力者だし、更識の中で育ってるんだからあたしたちが敵うわけないじゃないの」

 

「あの、何故この部屋なのでしょうか……」

 

 

 食堂でもいいのではないかと、本音は割かし本気で感じているし、そもそも自分が招集した訳じゃないのに、全員が何のためらいもなくこの部屋にやってきた理由が彼女には分からないのだった。

 

「だって、ここなら他の人が来ることも無いでしょ? 多少だらしない恰好をしたからって、候補生としての自覚がなんたらこうたら言われなくて済むじゃない?」

 

「鈴さんはそんなに注意されているのですの?」

 

「あたしは見たまんまでしょ? 一夏が言うにはガサツというイメージが似合うのはあたしか織斑姉妹のどちらかだってさ」

 

「つまり鈴は教官たちと同じレベルだという事か……師匠と呼んでも構わないだろうか?」

 

「構うわ! てか、アンタもいい加減織斑姉妹に対する幻想を捨てたらどうなの?」

 

「そもそもラウラさんは織斑姉妹が平均だと考える思考を矯正しなければならないと思うのですが」

 

「あの二人は私の理想だからな! 教官基準になってしまうのは仕方ないだろ!」

 

「どうなんだろう……いっそのこと一夏を基準に――無理ね。織斑姉妹以上に無理だわね……」

 

 

 自分で提案しておいて、鈴はあっさりと一夏を基準にすることを諦めた。悪友だからこそ知っている一夏のスペックの高さを思い出したのだろう。

 

「ところでシャルロットさんはどちらに? お声を掛けようとしたのですが見当たらなかったのですが……」

 

「あぁ、シャルロットならお兄ちゃんに呼ばれてどこかに行ったぞ」

 

「一夏に? シャルロットだけ呼ばれたって事は、仕事の話かしら」

 

「どうなんでしょうね……シャルロットさんも、鈴さんとは違った意味で私たちと違いますから」

 

「なにがよ?」

 

「一夏さんとの関係が、ですよ」

 

 

 本社代表と子会社の社長という関係だが、それでもセシリアは一夏と特別な関係と表現できる立場が羨ましく感じられていたのだ。

 

「セシリアだって、ある意味特別な関係だと思うけど?」

 

「何処がですの?」

 

「織斑姉妹と更識所属のメンバー全員に喧嘩を売って五体満足で生活出来てるってところが」

 

「あれは若気の至りですわ! そもそも、あの時鈴さんはまだ学園に来てなかったじゃないですの! 何故その時の事を知っているのですか」

 

「交友関係広いからね、あたしは。情報を仕入れるのに苦労しないのよ」

 

 

 ポケットから携帯を取り出して意味ありげにセシリアに見せる鈴。彼女が意図したのは「コレさえあればいくらでも情報が手に入る」という事だったのだが、何故かラウラと箒が悔しそうに鈴の事を見ていた。

 

「ん? あによ?」

 

「どうせ私には電話する相手などクラリッサくらいしかいない」

 

「そもそも私は携帯電話を持っていませんし……」

 

「な、なによ急に……」

 

「鈴さんはラウラさんと箒さんをボッチ扱いしたんですの? 私はてっきり、携帯さえあれば情報は手に入ると言いたかっただけだと思ったのですが」

 

「それで合ってるわよ。てか、ボッチじゃないでしょ」

 

 

 ラウラはマドカと並びクラスのマスコット的存在として、箒は最近安全だと認められて声を掛けられる事が増えてきているのだ。

 

「むしろ、ハブられてる感ならあたしの方が強いと思うんだけど? 何であたしだけ二組なのよ」

 

「今更ですの!? そもそも、クラスの垣根など鈴さんにとって関係ないのではありませんか? しょっちゅう一組に遊びに来てますし……って、もしかして鈴さんは」

 

「あによ」

 

「クラスに親しい友人がいないのですか!?」

 

「そんな事ないわよ! てか、アンタ分かってて言ってるでしょう!」

 

 

 半分以上面白がっていたセシリアは、鈴のツッコミに笑みを浮かべて頷いた。

 

「先ほどの模擬戦の話は何処に行ってしまったのでしょうか?」

 

「話題はコロコロ変わるのが女子高生の会話なのよ。ずっと同じ話題なんて、年寄じゃないんだし」

 

「それは偏見ではありませんか?」

 

「別にいいじゃん、偏見でも」

 

 

 鈴の考え方に、セシリアは首を傾げたが、それを討論したところで答えは出ないだろうということで話題を変える事にした。

 

「そういえばこの間の入学試験の結果ですが、鈴さんのお知り合いが主席入学だとお聞きしましたが」

 

「蘭の事? まぁ、最強のコネを持ってるもん、あの子は」

 

「どういう事ですの?」

 

「ぶっちゃけると一夏の知り合いでもあるからね。いくらでもISの事は質問出来るし、ポータブル版のVTSの修理も簡単に頼めるから」

 

「そんな簡単に壊れるものじゃないだろ」

 

「兄妹喧嘩でしょっちゅう投げてるらしいのよね」

 

「物騒な家庭もあるのですわね」

 

 

 物が飛ぶなど想像も出来ないセシリアは、ポータブルVTSが宙を舞っている光景を想像し、かなりズレた感想を述べたのだった。




精密機械を投げるなよ……

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