暗部の一夏君   作:猫林13世

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久しぶりに登場の原作ヒロインs


箒の思い付き

 仮住まいを探していた箒が、例の二人が隠れていた場所を思い出したのは、一夏とマナカが衝突して大怪我を負った日から数日たってからだった。

 

「あの場所ならコンピューターも使えるし、何より一夏たちの監視からも逃げられるんじゃないか? 何で今まで気づかなかったんだ」

 

 

 今まで気づかなかった自分に呆れながらも、箒は例の隠れ家へ向けて移動する事にした。

 

「風の噂では、一夏もマナカも自力で歩けないくらいの怪我を負ったそうだし、更識の命令系統も機能していないらしいし、一夏を取り戻すなら今しかないな」

 

 

 元々自分の物ではない、と言う事を完全に無視した思考だが、それにツッコミを入れる人間は誰もいない。箒は意気揚々と穏健派が隠れ家として使っていた場所を目指し飛行する。

 

「ISのエネルギー補給もままならなかったが、あの場所なら問題はすべて解決する。これで世界は私の物に、そして一夏も私の許に戻ってくるではないか」

 

 

 皮算用だとは思っていないようで、箒は移動しながらほくそ笑む。もし誰かが今の箒を見たらいきなり笑いだして気味が悪いと思ったかもしれないが、彼女の側には誰もいないので自分が不審な事をしているなどと気づくことは無かった。

 

「それにしても、何故一夏はマナカなんか助けようとしたんだ? 自分の事を狙ってる相手など、放っておけばよかったものを……やはりあいつは甘いところがある。私が鍛え直してやるしかないんだろうな」

 

 

 人助けなど箒には興味もなく、ましてや自分の周りに危害を加える事を厭わないと言っていた相手を助けた一夏の思考が、箒には理解出来なかった。挙句に、それは一夏の甘さが招いた事だと曲解し、自分が正してやるしかないと決めつけ、更に笑みを浮かべたのだった。

 

「待っていろ、一夏。私とお前の未来の為に、私は姉さんが壊した世界を創り直し、私とお前が住みやすいようにしてやるからな。そうすれば、お前も私が正しかったと認めてくれるだろうし、私の側にいるのが一番だと理解するだろうさ」

 

 

 まだ見ぬ未来へ思いを馳せながら、箒は穏健派がアジトとして使っていた建物に到着したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏の指示で特訓を積み重ねて行く更識メンバーを労う為に、織斑姉妹は自動販売機で飲み物を購入し真耶に差し入れさせた。

 

「どうして真耶さんが? 織斑姉妹が買ったんなら、二人が持ってくるのが普通だと思うのですが」

 

「溜まってる仕事をどうにかしなければいけないので、お二人はお金だけ出して、購入したのは私ですから」

 

「また仕事を溜めてるのですか……入学する前と今とでは、織斑姉妹の印象が百八十度変わった気がしますわ」

 

「まぁ、そういうなセシリア。教官たちにもいろいろあるのだろう」

 

「いろいろあるにしても、織斑姉妹の仕事しなささは一夏も気にしてたし、僕以上に仕事してないのは問題だと思うんだけど。僕はまだ学生だから仕方ないって一夏は言ってくれたけど、織斑姉妹はそれが本業なわけだし」

 

「てか、あの二人が何もしないのは今に始まった事じゃないわよ。昔一夏に聞いた話では、更識に養子縁組された理由の一つに、織斑姉妹がだらしないからって事があったらしいし」

 

「それ本当の話よ? お父さんが織斑姉妹との話し合いに行ったときに、あまりにも家が汚かったから一夏君をこんな場所に帰せないって事で養子縁組を決意したって聞いたし」

 

「まぁ、元々一夏を織斑家に戻すつもりは無かったんだろうけどね」

 

 

 更識姉妹の暴露話に、他のメンバーたちは驚きを隠せなかった。

 

「織斑姉妹って最強のイメージが強いので、他の事も出来るんだと思い込んでいましたが、他は平均以下なのですわね」

 

「まぁ、何でも完璧にこなせる人なんていないって事だよ」

 

「だが、お兄ちゃんは何でも完璧にこなしてるイメージがあるぞ?」

 

「いっちーは確かに結構完璧にこなすけど、いろいろと苦手なものがあるから、そこでは私たちがフォローしてたんだよ~?」

 

「本音は殆ど役に立ってませんでしたがね」

 

「おね~ちゃんだって、家事一切が出来ないじゃないか~」

 

「うっ……」

 

 

 本音にカウンターを喰らい、虚はその場に膝をついた。

 

「布仏先輩って、家事苦手だったんですね。こりゃ意外だわ」

 

「凰さんだって、細かい作業はあまり得意ではないんですよね?」

 

「まぁ、あたしは大雑把ですからね。細かい事は一夏やバカ二人に任せてましたし」

 

「バカ二人って?」

 

「無駄に付き合いの長い悪友二人よ。毎年赤点すれすれの低空飛行組だから、バカ二人って呼んでるのよ」

 

「その二人って、前に一夏君が更識本社に呼んだ子たち?」

 

「たぶんそうですね。あたしも一緒にいましたし」

 

「更識の本社って、そう簡単に入れないと聞いていましたが」

 

「一夏は関係者だし、あたしたちの目的だったものの開発責任者だったから、その縁で入ることが出来たのよ。まぁ、その部屋以外は入れなかったけどね」

 

「それは当然だよ。僕だって本社にはなかなか入れないし、会議室や開発室以外は滅多に入れないもん」

 

 

 関係者であるシャルもなかなか入れない場所に入った鈴に、全員は尊敬のまなざしを向けたのだった。




中々絡まないですからね……日常パートが全然ないですし……

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