暗部の一夏君   作:猫林13世

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自分でキャラ作ってて怖くなってきた……


狂気のマナカ

 監視衛星で一夏を盗撮していたマナカは、千冬と千夏が一夏に怒られている場面を見てほくそ笑んでいた。

 

「やっぱりお兄ちゃんは私と一緒にいるべきだよ。こんな屑共に時間を割かれてるなんて、無駄の極みだよ」

 

 

 そんなことを言いつつも、マナカは怒られている千冬と千夏を見て満足感を覚えてしまうのだった。

 

「おかしいなぁ……お兄ちゃんと一緒にいたいって思ってるのに、もし一緒にいられるようになると、こうやってこの屑共が怒られるシーンが見られなくなっちゃうって感じてる……時間の無駄だって言ってるのに、お兄ちゃんが屑共を怒ってるところを見ると満足しちゃうなんて……」

 

 

 マナカは間違いなく一夏と一緒にいたいと思っている。千冬と千夏に一夏の時間を奪われているのが物凄く嫌だと思っている。だがその一方で、一夏が二人を怒ってるのを見て満足感を覚えたり、もっと怒られろとすら思ってしまうのだった。

 

「何をしているのだ?」

 

「別に。ちょっとお兄ちゃんの現状を見ていただけよ。それで、貴女の方はどうなの? スコールたちにやられた傷は、もう癒えたのかしら?」

 

「正確に言えば、お前にやられたんだがな……まぁ、もう少しで全快と言ったところだ」

 

「そう、それは良かったわ。お兄ちゃんを手に入れるのに、貴女が敵を引き付けてくれないと別の案を考えなきゃいけなかったし」

 

「囮をやるのは仕方ないとしても、私にもちゃんと恩恵があるんだろうな?」

 

「何言ってるの? お兄ちゃんが私の物になれば、貴女だってずっと一緒にいられるのよ? それが恩恵じゃなくってなんだって言うのかしら?」

 

 

 本気でそう思っている目で近づいてくるマナカに、さすがの箒も一歩後退る。この少女は本気で一夏以外の存在など気にしていない、自分の姉よりたちが悪い存在だと、箒も思っていたのだった。

 

「まぁ、私はお兄ちゃんと血が繋がってるから仕方ないけど、貴女はお兄ちゃんとの間に子を成せるのよ? 至高の悦楽ではなくて?」

 

「一夏との…子供、だと……?」

 

 

 箒は一夏との間に子を成す妄想を膨らませ、そしてその行為についても妄想を膨らませた。

 

「普段はSっ気たっぷりのお兄ちゃんを、貴女が組み伏せて手玉に取るのよ? 想像しただけで興奮してこない」

 

「一夏が…受けだと!?」

 

「だって、お兄ちゃんが自分から貴女を求めて来るなんて、洗脳でもしなきゃありえないわよ? だから、お兄ちゃんを自由にしちゃ駄目なの。貴女がお兄ちゃんをリードするのよ」

 

「私が…一夏を……それはいいな! よし! こんな傷さっさと治して、早いところ一夏を手に入れて世界を滅ぼそう!!」

 

「その意気よ。頑張ってね」

 

 

 箒が部屋からいなくなり、遠ざかっていくのを確認してから、マナカは唾でも吐き捨てるかのように呟いた。

 

「頭が弱くて助かるわね。誰があんな雌にお兄ちゃんを渡すものですか。貴女は囮になったまま屑姉や更識の人間に殺されるのよ。そして、お兄ちゃんと私だけの世界を創るんだから。だから、待っててね、お・に・い・ちゃ・ん」

 

 

 画面に映る一夏に口づけをし、マナカは新たな無人機製造を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 織斑姉妹に説教をしていた一夏だったが、背筋に寒気を感じ辺りを見回した。

 

「どうかしたのですか?」

 

「いや、何処からか寒気が……多分マナカが何かをしたんだろう」

 

「織斑マナカ……篠ノ之束、スコールに引けを取らない宇宙規模のストーカー……何か対策は無いのでしょうか」

 

 

 美紀の言葉に、一夏は腕を組んで考え込む。もちろん、織斑姉妹が逃げ出さないように視線で釘付けにしているので、二人は大人しく正座しているしかなかった。

 

「目には目を、ストーカーにはストーカーを」

 

「どういうことです?」

 

「同じストーカーに対策を考えてもらえば、何か解決策が出て来るかもしれない」

 

 

 そう言って一夏は束の番号にコールし、向こうが受話ボタンを押したのと同時に通信を切った。

 

「最近このパターン、多くないかな!?」

 

「普通に呼ぶより早いですからね」

 

 

 部屋に現れた束を見ても、誰一人驚きはしなかった。むしろ美紀は冷静に扉を開け、マドカはそそくさと一夏の背後に隠れたのだった。

 

「それで、今日はどんな用事かな? ちーちゃんとなっちゃんを矯正させるのは、束さんでも無理だからね」

 

「そんなことは分かってますよ。この二人を矯正するには、一度殺すしかないですからね」

 

「「おい、それはどういう意味だ」」

 

 

 一夏のコメントに喰い付いた織斑姉妹だったが、一夏の鋭い眼光に怒気を削がれたのだった。

 

「馬鹿は死んでも治りませんが、家事無能は死ねば治るかもしれませんから」

 

「たぶん無理じゃないかな……ちーちゃんとなっちゃんの家事無能は生まれつきっぽいし、生まれ変わってもそこは変わらないと思うな」

 

「まぁ、この人たちの事は兎も角として、織斑マナカが俺の事を監視してるようなのですが、何とかなりませんかね?」

 

「そんなこと言われても……束さんでもあの子の居場所を掴めないんだよね」

 

「篠ノ之の気配を辿れば、おのずと分かるのでは?」

 

「それなんだけど、箒ちゃんの気配ってどんなのだっけ? 有象無象と区別つかなくなっちゃったんだよね~」

 

「……じゃあとりあえず、貴女が俺を監視するのを止めてください」

 

「それは出来ない!」

 

 

 胸を張って言い切った束の頭を、千冬と千夏が全力で殴ったのだった。




狂ってる……悪寒を感じても仕方ないな

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