ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

え~、文字数が安定しないと、何時もの倍疲れますね(-_-;)
それに攻略会議を書くのは難しいですね(汗)

誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。



第5話≪第一層ボス攻略会議≫

四十六人。

それが、トールバーナの噴水広場に集った者の総数だった。

 

「すごい……こんなにたくさん……」

 

後方で歩く、フードを羽織ったアスナが、そう呟いた。

俺は歩きながら振り向き、言葉を返した。

 

「たくさん……この人数が」

 

このSAOでは、一パーティーが最大八人までであり、計四十八の連結(レイド)パーティーを作ることが出来る。

――俺が予想した人数より、少ない。

 

「アスナが言ったことは、死ぬ可能性があるのに、こんなに集まったのは凄いって意味だよ」

 

俺の右隣で歩くユウキが、こう答えた。

確かに、攻略に己の命を懸かっているにしては集まった方なのかもしれない。

 

「……なるほど。――いや、でもどうかな」

 

「ええ、そうですね。 《攻略に遅れるのが不安》、で来ている人がいると言うことですね」

 

俺はランの返答に頷いた。

 

「ああ、ランの言う通り、全滅するのは怖いけど、自分の知らない所でボスが倒されるのもやっぱり怖いんだ。 俺も含めてだけどさ。――ゲーマーの(さが)なのかもな」

 

「……それって、学年十位から落ちたくないとか、偏差値七十キープしたいとか、そういうのと同じモチベーション?」

 

俺は絶句したが、暫し考え、頷いた。

 

「うん……まあ、そうなのかも……――アスナって、エリートお嬢様だったり?」

 

「キリト……」

 

「キリトさん……」

 

俺はユウキとランの指摘を受けて、『しまった』と思った。

現実世界のことを聞くのは、重大なマナー違反だ。

 

「…………………ええ、そうかもね。 私のことは、今は関係ないでしょ」

 

驚いたことに、アスナはこう答えたのだ。

俺はわざと咳払いをしてから、言葉を発した。

 

「そ、それじゃあ、行こうぜ」

 

三人は空いている隅っこの席へ座り、会議が開かれるのを待った。

――第一層ボス攻略会議が開催される。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「はーい! それじゃ、五分遅れたけどそろそろ始めさせてもらいます! みんな、もうちょっと前に……そこ、あと三歩こっち来ようか!」

 

この声の主は、長い鮮やかな青髪を流しているイケメンだった。

イケメンは笑みを浮かべると、言った。

 

「今日はオレの呼びかけに応じてくれてありがとう! 知っている人もいると思うけど、改めて自己紹介しとくな! オレの名前は《ディアベル》、職業は気持ち的に《ナイト》やってます!」

 

すると、会場がどっと沸き、口笛や拍手に混じって「ほんとは勇者って言いてーんだろ!」などという野次が飛んだ。

恐らく、ディアベルのパーティーメンバーだろう。

ディアベルは右手を掲げ場を制してから、話し始めた。

 

「さて、こうして最前戦で活動している、言わばトッププレイヤーのみんなに集まってもらった理由は、もう言なくてもわかると思うけど……」

 

その一言に全員が頷いた。

ディアベルは、街並みの彼方に聳える巨塔、第一層迷宮区を指し示しながら続けた。

 

「……今日オレたちのパーティーが、第一層のボス部屋を発見した! そしてこのボスを倒し、みんなに伝えなきゃいけない。 それが今ここに居る、トッププレイヤーの義務だ! そうだろ、みんな!」

 

「そうだ、やってやろうぜ!」

 

「オレたちならやれるぞ!」

 

この演説で盛り上がっている場に、水を差した人物が居た。

 

「ちょっと待ってんか、ナイトはん」

 

前方の人垣が半分に割れ、ずかずかと前に出て来たのは、小柄ながらがっちりとした体格の男だった。

特徴的なのは、サボテンのように尖った髪だ。

ディアベルの横に立ったサボテン頭は一歩踏み出した。

 

「そん前に、こいつだけは言わせてもらわんと、仲間ごっごはできへんな」

 

ディアベルは笑みを浮かべながら、サボテン頭に聞いた。

 

「こいつっていうのは何かな? でも、発言するなら名乗ってもらいたいな」

 

サボテン頭は、広場をぐるっと見渡した。

 

「わいは《キバオウ》ってもんや。 こん中に、五人か十人、ワビぃ入れなあかん奴がおるはずや」

 

「詫び? 誰にだい。 もしかして、――元βテスターのことかな?」

 

キバオウは吐き捨てた。

 

「はっ、決まっとるやろ。 β上がりどもは、このクソゲームが始まったその日に、はじまりの街から消えよった。 右も左も分からん九千人のニュービーを見捨てよった。 奴らはウマい狩り場やらボロいクエストを独り占めして、ジブンらだけぼんぼん強うなって、その後もずーっと知らんぷりや。……こん中にもちょっとはおるはずやで、β上がりっちゅうことを隠しておる奴が。 そいつらに土下座さして、貯め込んだ金やアイテムをこのボス戦のために吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命は預けられんし、預かれんと、わいはそう言うとるんや!」

 

声を上げようとする者は居なかった。

元βテスターである俺もまた、奥歯を噛み締め、息を殺し、沈黙を保ち続けた。

その時だった。

ユウキが立ち上がって、発言をしたのだ。

 

「ちょっといいかな……」

 

「えっと、君は誰かな?」

 

ディアベルが笑みを崩さないで聞いた。

 

「ボクの名前はユウキ、ニュービーだよ。 キバオウさん、あなたが言いたいことは、元βテスターが指導をしなかったからたくさんの人が亡くなった、そうだよね」

 

「そ、そうや。 元βテスターのグズどもが指導しておれば、二千人も死ななかったんや」

 

「それって、自分勝手すぎないかな」

 

ユウキの声には怒りが含まれていた。

 

「私も発言いいですか?」

 

ランも挙手をして立ち上がった。

キバオウは怒りを含んだ言葉で促した。

 

「つ、次は誰や! さっさと名のらんかい!」

 

「ええ、わかりました。 私の名前はランです。 ニュービーです。――キバオウさん、あなたは元βテスター千人は九千人の命を守る為に、命を張れと。 悪い言い方をすれば、守る壁になれってことですよね」

 

ランの言葉は、冷え切っていた。

すると、周りがざわざわし始めた。

そこを追撃するように、スキンヘッドで、肌がチョコレート色の男性プレイヤーが立ち上がった。

 

「オレも発言するぞ。 オレの名前はエギルだ。 キバオウさん、金はともかく、情報ならあったんだぞ」

 

エギルはレザーアーマーの腰につけた大型ポーチから、簡易な本を取り出す。

表面には、丸い耳と左右三本ずつのヒゲを図案化した《鼠マーク》。

 

「このガイドブック、あんただって貰っただろう。 ホルンカやメダイの道具屋で無料配布してるんだからな」

 

「貰たで。……それが何や」

 

そう言うキバオウの声は、徐々に弱々しくなっていた。

 

「こいつに載っているモンスターやマップデータを情報屋に提供したのは、元βテスターたちってことだ」

 

キバオウはこれを聞き、押し黙ってしまった。

そこに、ディアベルが纏めるように言葉を発した。

 

「キバオウさん、君の言うことは理解できるよ。 オレだって右も左も解らないフィールドで、何度も死にそうになりながらここまで辿り着いたわけだからさ。 でも、今は前を見るべき時だろ? 元βテスターだって……いや、元βテスターだからこそ、ボス攻略のために必要な人なんだ。 彼らを排除して、結果攻略が失敗したら、何の意味もないじゃないか」

 

「…………ええわ、ここは引いといたる。 でもな、ボス戦が終わったら、キッチリ白黒つけさしてもらうで」

 

振り向き、スケイルメイルをじゃらじゃら鳴らしながら、元居た場所まで戻っていった。

それを確認してから、ユウキ、ラン、エギルは着席した。

 

「やっぱり、慣れないことは疲れますね」

 

「うん、ボクも疲れたよ」

 

そう言ってから、ユウキとランは大きく息を吐いた。

 

「あ、あなたの幼馴染って凄いわね……」

 

「……俺には出来ない行動だった。 ありがとう、二人とも。 少しだけ気が楽になったよ」

 

「いえ、当然のことをしたまでですよ」

 

「そうだよ。 姉ちゃんとボクは、キリトに命を救われてるんだから」

 

俺は、アスナを申し訳なさそうに見た。

すると、アスナはフードの中で頭を振った。

 

「……私は、君たちに命を救われた。 私は君を責めないわ」

 

「……ありがとう」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「それじゃ、攻略会議を再開したいと思う! みんな、まずは仲間や近くにいる人と、パーティーを組んでみてくれ!」

 

…………なん、だと。

でもまあ、信頼、信用できるメンバーと組むのが一番良い。

まあ、アブレ組になってしまうと思うが。

 

「アスナさん、私たちと組みましょうか? 知らない人と組むのは嫌でしょ?」

 

俺とユウキとランは、はじまりの街を出てからパーティーを組みっぱなしなのだ。

 

「……そうね」

 

「決まりだね。 じゃあ、キリトがアスナに申請してね」

 

「了解した」

 

俺は頷き、視界にウィンドウを表示すると、アスナにパーティー参加申請を出す。

アスナがOKボタンにタッチすると、視界左側に四つ目のHPゲージが出現した。

 

それから、パーティーの役割編成が完了した。

俺たちのパーティーは、取り巻きコボルトを排除するE隊のサポート役に組み込まれた。

言い換えると、ボス戦の邪魔にならないように後方で大人しくしていて、ということだと思う。 予想通り、アブレ組になってしまった。

まあ、アスナは不満を漏らしていたが。

 

「……私たち、ボスに一回も攻撃できないまま、終わっちゃうじゃない」

 

「しょうがないですよ。 四人しかいませんし、次がありますよ」

 

と、ランがアスナを慰めていたが。

俺は気になることがあったので、アスナに聞いた。

 

「なあ、アスナって、スイッチやPOTって知ってるか?」

 

「……スイッチ……POT……?」

 

「……あ、俺、腹減ってきたな。 メシでも食ってくるわ」

 

俺はそう言って歩き出したが、ユウキとランにコートの首根っこを同時に掴まれ、情けない声を漏らした。

 

「キリトさん。 今、逃げようとしましたね」

 

「キリト、面倒くさがらいの」

 

「な、何のことかな。……す、すいません」

 

「「はあ~」」

 

ちょ、同時に溜息を吐かないで。

俺、泣いちゃうよ。

 

「ふふ、あなた達は、とても仲がいいのね。 少しだけ羨ましいわ。――それで、どこで説明してくれるの」

 

アスナはフードの中で微笑んだ。

 

「アスナ、棘が取れてきたね」

 

「そうね。 こっちの方が話やすいですね」

 

「えーと、やっぱり二人に任せるのは無し?」

 

「「無し(です)」」

 

「あい……。――じゃあ、其処ら辺にある酒場にしようか?」

 

「それは、私が無しね」

 

ユウキ、ラン、アスナに否定されてしまった。

こうなると、男はとことん弱い。

 

「あなた達が泊まっている宿屋でいいじゃない。――それに、顔を見られたくない」

 

「そうですね。 私たちの宿には、お風呂がありますから」

 

「お、お風呂ッ。 お風呂があるの!?」

 

アスナはフードの中で眼を輝かせ、笑みを浮かべていた。

恐らく、この世界に来て一番の笑みだっただろう。

 

「ええ、ありますよ」

 

「女の子は、やっぱりお風呂だよね♪」

 

このようにして、女性陣で話が進んでいった。

俺の意見は通らないのね……。

うん、もう諦めたよ。

 

「じゃあ、宿屋へレッツゴー♪」

 

ユウキの掛け声と共に、俺たち四人は歩き出した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

トールバーナの町の東に広がる小さな牧草地沿いに、三人が泊まっているという宿屋は存在した。

敷地の脇を綺麗な小川が流れ、設置された小さな水車が音を立てている。

二階建ての宿の一階には、NPCの農夫一家が暮らしていている。

俺が先頭に立ちドアノブを捻ると、自動で解錠音が流れ、扉が開いた。

 

「ま、まあ、どうぞ」

 

「……ありがとう」

 

アスナはそう言ってから、扉を潜って中へ入っていった。

緊張する俺を見ていた双子姉妹が、呆れたように言葉を発した。

 

「キリトさん、緊張してるんですか? 女の子を入れたことあるじゃないですか?」

 

「ボクと姉ちゃんの時は、緊張しないくせに」

 

「いや、お前らは幼馴染だろ。 だから……えーと、その」

 

「まあいいですよ。 それより中へ入りましょうか」

 

「だね」

 

三人は扉を潜り、部屋の中へ入った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「案内して来たよ」

 

そう言って、ユウキが俺の隣へ座った。

アスナを風呂場まで案内して来たのだ。

俺は、鼠が作った攻略本に視線を落としていたんだが、如何せん、落ち着かないのだ。

まあ、ユウキとランが入っている時も落ち着かないんだが。

 

その時、コンコンとドアがノックされた。

ランが立ち上がり、扉の前まで移動し、ゆっくりと扉を開けた。

入って来たのは、鼠のアルゴだった。

 

「フェンサーはどうしたんダ。 会議には一緒にいたんダロ?」

 

そのまま、俺の向かいにあるソファーまで移動してから、どすんと腰を下ろした。

 

「ああ、あいつは今外してるぞ。――で、今日はどうしたんだ?」

 

まあ、この宿屋の風呂場にいるんだが。

これがばれたら、色々とヤバい?

 

「クライアントが、どうしても今日中に返事を聞いてこいっていうもんだからサ」

 

「なるほどな、本題に入ってくれ」

 

「ユーちゃんとラーちゃんもいるけど、いいのカ?」

 

「別に構わないぞ」

 

「にしし、ユーちゃんとラーちゃんを信用しているんだナ」

 

「信頼もしてるぞ」

 

「にしし、キー坊は、将来決断を迫られるナ」

 

俺とアルゴの会話を聞いていた双子姉妹の頬が朱色に染まっていた。

え、何で?

 

「それじゃあ、本題に入るナ。 クライアントがキー坊の剣を買い取るのに、三万九千八百コル出すそーダ」

 

「…………あんたを侮辱するつもりはないけど……それ、何かの詐欺じゃないか? どう考えても、四万コルは割に合わないよ。 だって、素材の《アニールブレード》の相場が、一万五千くらいだろ。 それに二万足せば、ほぼ安全に+6まで強化できるだけの素材アイテムも買えるはずだ。 時間はかかるかもしれないけど、三万五千コルで俺と同じ剣が作れる計算だぞ」

 

「オレっちも、依頼人に三回そう言ったんだけどナ!」

 

「……アルゴ、あんたのクライアントの名前に千五百コル出す。 それ以上上積み返すか、先方に確認してくれ」

 

「……わかっタ」

 

アルゴは頷きウインドウを開くと、高速タイピングで依頼人にメッセージを飛ばした。

それから一分後、メッセージが返ってきた。

 

「教えても構わないそーダ。――クライアントの名前は、キバオウだ」

 

「……何でそこまで俺の剣に拘るんだ?」

 

暫しの沈黙が流れる。

この沈黙を破ったのは、ランだった。

 

「キリトさんの剣には、キバオウさんがどうしても欲しい理由があるんですよ」

 

ランに続いて、ユウキが言葉を続けた。

 

「そうだね。 例えば、キバオウさんがキリトの剣を使うとか。 もう一つは、キリトの戦力を落とすことによって、お得な何かが得られる、とか」

 

「なるほどナ。 そういう解釈もできるナ。 ユーちゃんとラーちゃんは、頭が回るナ。 オレッち感心したヨ。 で、キー坊はどうするんダ?」

 

「……この剣は、売る気はないよ」

 

「……今回も、剣の取引は不成立ってことでいいんだナ?」

 

「……ああ、そうだ」

 

アルゴは立ち上がった。

 

「そんじゃ、オレっちはこれで失礼するヨ。 その攻略本、役立ててくれよナ」

 

「……ああ」

 

「っと、帰る前に、悪いけど隣の部屋借りるヨ、夜装備に着替えたいからナ」

 

「……ああ」

 

いや、ちょと待て!? アルゴ奴、今何て言った?

呆然と見守る俺の視線の先で、アルゴの小柄な姿が風呂場に消えたが、それと同時に、俺の眼が誰かの手によって眼隠しされた。

 

――三秒後。

 

「わあァ!?」

 

という驚声と、

 

「…………きゃあああぁぁぁ!?」

 

と言う凄まじい悲鳴が、屋敷全体を震動させた。

直後、誰かが風呂場から飛び出す音が聞こえてくる、この声の主は、アルゴ以外のプレイヤー。と言うことはアスナしかいない。

この眼隠しを取ったら、俺、死んじゃうかも……。

 

「キリトさんは、見たらダメですよ」

 

声の主は、ランだった。

 

「ランさん。 この眼隠しは、事態が収拾するまでお願いしてもいいですか?」

 

「ええ、任せてください」

 

その後は、ユウキの手伝いもあり、早くにことを収めることが出来た。

マジで助かりました、ランさん。

――俺は、朝日を拝む事が出来たのだ。




アルゴとの会話が難しすぎ(剣の取引も含めて)(>_<)
原作と違い、キリト君は命拾いしましたね(笑)
もし見てたら……(震)
まあ、この事件の後に、レクチャーしたんでしょうね。
てか、アスナさんとランちゃんのキャラが被っちゃうよ。

ではでは、ご意見、ご感想、評価、よろしくです!!

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