ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

今回から、本編に入りますね☆
それと、双子姉妹も登場しますよ~。

誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。


第2話≪再会とレクチャー≫

SAOにログインし、始まりの街の石畳を踏んだ俺は、周りを見渡してから、感動が入り混じった声を発した。

 

「帰って来たんだ……この世界に」

 

俺のキャラクター名は《kirito》、性別は《男》だ。

容姿は、少しだけイケメンに近くしている。

何故こうしたかというと、幼馴染の双子姉妹(・・・・・・・・)に、『和人って女顔で可愛いよね』って言われた事があるからだ。

まあ、俺の両親が他界し親戚の家へ引き取られたので、小学校低学年時に、その地元から引っ越してしまったが。

 

「……取り敢えず、武器を買いに行くか……。 βテスト時と同じく、片手用直剣でいいか……」

 

武器屋に向かう為にダッシュをしていたら、一人の男性プレイヤーに声を掛けられた。

俺の迷いの無い走りを見て、ベータ経験者だと見当をつけ、声を掛けたんだろう。

俺はその場で停止し、男の元へ歩を進めた。

 

「に、兄ちゃん、元βテスターだろ?」

 

俺は口籠りながら答えた。

 

「ま、まあ、そうだけど」

 

「やっぱりそうか。 ちょいとレクチャーしてくれよ。 恥ずかしながら、オレは仮想世界が初めてでよ」

 

と、頼み込んできたのだ。

てか、凄いコミュ力だな。 俺には一生真似出来ん。

自分で言うのも何だが、今現在の俺は、ボッチのエキスパートだ。

――その時だった、俺の隣から声を掛けられたのは。

 

「あの~、すいません。 私たち姉妹(・・)もお願いできますか……?」

 

「ボクからもお願い出来るかな?」

 

姉妹ってリアル情報だよね……。

大丈夫なのかな?

 

「ま、まあ、良いけど。――じゃあ、武器屋に行くか。 あ、そうだった。 俺の名前はキリトだ。 よろしくな」

 

「えっと、私はランと言います。 よろしくお願いします」

 

「ボクの名前はユウキだよ。 よろしくね!!」

 

ランとユウキと名乗る女性プレイヤーは、ぺこりと頭を下げた。

何処かで見た事があるような……。 ま、気のせいだな。

 

「オレの名前はクラインって言うんだ。 よろしく頼むわ」

 

赤いバンダナを巻いた男はクラインと名乗り、右手を上げた。

自己紹介を済ませてから武器屋へ向かい、それぞれの得物を選んでから、フィールドへ向かった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「ぬおっ……とりゃっ……うひぇぇっ!」

 

奇妙な掛け声に合わせて、滅茶苦茶に振り回された剣先が、すかすかすかっと空気のみを斬った。

巨体の割に俊敏な動きで剣を回避した青いイノシシが、攻撃者へ向かって猛烈な突進を見舞い、クラインが数メートル吹き飛ばされて、ころころと草原を転がった。

俺はそれを見て、思わず笑ってしまった。

 

「そうじゃないよ、クライン。 重要なのは初撃のモーションだ」

 

「ってて……。股ぐらを攻撃しやがったな、イノシシ野郎……」

 

クラインは立ち上がり、俺をちらりと見た。

 

「ンなこと言ったっててよぉ、キリト……アイツ動きやがるしよぉ」

 

「動くのは当たり前だ。 訓練用のカカシじゃないんだぞ。 モーションを起こしてソードスキルを発動させれば、あとはシステムが命中させてくれるよ。――んじゃ、ユウキ、行くぞ」

 

「OK♪」

 

俺は足元の草むらから左手で小石を拾い上げると、肩の上にぴたりと構えてモーションを起こした。

小石がほのかな緑色に輝くと自動的に左手が振られ、空中にラインを引いて飛んだ小石が、イノシシの身体へ命中した。

“ぶぎーっ!”と怒りの叫び声を上げ、イノシシがこちらに身体を向けた。

 

ユウキは斜め斬りモーションを取り、剣に水色のライトエフェクトを纏わせ、突進してきたイノシシとすれ違いざまに、片手剣単発ソードスキル《スラント》の斜め斬りを放ち、イノシシは“ぶぎー”と断末魔を響かせ、ポリゴン片へ砕け散った。

 

「やったね♪」

 

「おう、お疲れ。――次は、ランの番な」

 

「ええ、わかりました」

 

俺は再び足元の草むらから小石を拾い上げると、投剣スキル《シングルシュート》を発動させ、近場に居たイノシシの視線をこちらに向けさせた。

 

ランは剣を中段に構えて右脚で地面を蹴り、剣に赤いライトエフェクトを纏わせ、片手剣基本突進技《レイジスパイク》を放ち、イノシシのポリゴン体が破砕した。

ランは剣の構えを解いてから、俺の元へ歩いて来た。

 

「やりましたよ」

 

「おう、お疲れ」

 

これを見ていたクラインは呆然としていた。

まあ、こうなるのも仕方ない。

開始してから数十分で、ソードスキルを放つコツを掴んでいたのだから。

ユウキとランは感覚派だな。

 

「……今どうやってソードスキルを発動させたんだ……」

 

「えっとね。 ボクは、ズパーン!ってやったよ」

 

「私は、構えを取ってから、少し溜めて放つ感じですね」

 

いや、多分それじゃあ伝わらんぞ。

まあ、俺も感覚派だから、二人が言っている事は大体解るが。

 

「ズパーン!ってよ……。 後、溜めて放つ感じかあ……」

 

「クラインが知っている必殺技を意識して放ってみればいいんじゃないか?」

 

「必殺技か……。 よし! やってやらぁ!」

 

俺の前にPOPしたイノシシが、クラインに視線を向ける。

クラインは曲刀を中段に構え、すう、ふー、と深呼吸してから腰を落とし、右肩に担ぐように曲刀を持ち上げる。

すると、ゆるく弧を描く刃が、オレンジ色へ輝く。

 

「りゃあ!」

 

太い掛け声と同時に、これまでとは打って変わった滑らかな動きで左足が地面を蹴り、心地よい効果音を響かせて、片手用曲刀基本技《リーバー》が、突進に入りかけていた青イノシシの首に見事命中し、イノシシのHPを吹き飛ばし、ポリゴン片となり砕け散った。

 

「うおっしゃあああ!」

 

派手にガッツポーズを決めたクラインが、満面の笑みで振り向き、左手を高く掲げた。

 

「初勝利おめでとう」

 

「でもあのイノシシって、某ゲームのスライムと同じらしいよ」

 

「弱かったですからね」

 

「えっ、マジかよ! おりゃてっきり中ボスかなんかだと」

 

「「「ないない」」」

 

お、はもったぞ。

俺たちって気が合うのかな…………いや、有り得んな。 うん、有り得ない。

 

まあ、クラインの喜びと感動はよく解る。

自分の剣でモンスターを倒すという、爽快感を味わう事が出来たのだから。

おさらいのつもりか、同じソードスキルを何度も繰り出しては、楽しげな奇声を発していた。

そんなクラインは放っておいて、俺は周囲をぐるりと見渡した。

 

四方に広がる草原は、ほのかな赤みを帯び始めた陽光の下で美しく輝いている。

遥かな北には森のシルエット、南には湖面の煌き、東には街の城壁を薄く望むことが出来る。そして西には、無限に続く空と金色に染まる雲の群れ。

浮遊城アインクラッド第一層の南端に存在するスタート地点、始まりの街の西側に広がるフィールドに、俺たちは立っている。

 

「綺麗ですね」

 

「綺麗だね」

 

「ああ、そうだな」

 

俺はランとユウキの言葉に頷いた。

ユウキがとランが、昔を思い出すようにしながら口を開いた。

 

「昔、三人で綺麗な景色を見たんだよね」

 

「ええ、そうね。 あの時は楽しかったね。 今でも鮮明に覚えているわ」

 

俺にもそれに似た記憶はあった。

その記憶とは、二人の女の子と公園でかくれんぼをしてから、ブランコへ座り、夕焼けの空を見入っていたのだ。

その時俺は、小学校低学年だったはずだ。

 

「(…………いや、まさかな。 二人が俺の幼馴染の姉妹だなんて都合が良すぎる。――でも」

 

俺がやろうとしている事は、ネットゲーム内でリアル情報を聞くというマナー違反行為だ。

――だが、俺は意を決して女の子二人に聞いた。

 

「なあ、その時のもう一人は、男の子じゃなかったか。…………女顔の」

 

自分で“女顔”と言うのは少し抵抗があったが、確認するには効果大な言葉だ。

俺がそう確認すると、二人の女性プレイヤーは眼を見開いた。

 

「え、そうだけど。 なんで知っているの……」

 

「も、もしかして、…………和人さんですか」

 

「……まあ、うん、和人だ。――桐ケ谷和人だ」

 

俺のリアルネームを知っているという事は、この姉妹は俺の幼馴染で間違いない。

姉の名前は紺野藍子。 妹の名前は紺野木綿季だ。

 

「久しぶりだね、いきなり引っ越しちゃったから、ビックリしたんだよ」

 

そう言ってから、ユウキは俺に抱き付いてきた。

これは、小さい時に俺にしていた癖だ。

てか、剣を仕舞って! 俺、斬られちゃうから!

 

「ほら、ユウキ。 かz……じゃなくて、キリトさんが困っているでしょ。 それと剣を仕舞いなさい」

 

「ぶーぶー、姉ちゃんのいじわる」

 

ユウキは渋りながらも俺から離れ、剣を腰に装備している鞘に納めた。

それに倣って、ランも剣を鞘に納めた。

てか、長年ボッチだった俺には刺激が強すぎる。

……その……柔らかい物がね……。 何とは言わんが……。

 

満足したクラインが、曲刀を腰に装備している鞘に戻しながら近づいてきて、ぐるっと視線を巡らせてから、再び視線を戻した。

 

「なんだ、おめぇら知り合いだったのか」

 

「まあ、そうだな」

 

「うん、ボクたち三人は、幼馴染だよ」

 

「ええ、小さい時は、いつも一緒でしたね」

 

「かぁ~、羨ましいね。 感動の再開かよ。――しっかしよ……こうして見回すと信じられねぇな。 ここがゲームの中だなんてよ。 これを(SAO)創った茅場晶彦は天才だぜ。 すげぇよな、……マジ、この時代に生きててよかったぜ!!」

 

「大げさな奴だなあ」

 

笑いながらも、内心では全くの同感だった。

 

「キリトも、クラインさんと同じことを思っていたんでしょ?」

 

……何でばれたんだ。 ユウキはエスパーなのか。

何か、ランにもばれてそうだな。 二人は双子だし。 いや、関係ないか、多分。

 

「いや、まあ、そうだけどさ……。 じゃあ、クラインはナーヴギア用のゲーム自体も、このSAOが初めてなのか?」

 

「おう! つーか、むしろSAOが買えたから、慌ててハードも揃えたって感じだな。 なんたって、初回ロットが一万本だからな。 我ながらラッキーだったよなあ。……まあ、それを言ったら、SAOベータテストに当選した、おめぇのほうが十倍ラッキーだけどよ。 あれは限定千人ぽっちだからな!」

 

「ま、まあ、そうなるかな」

 

じとっと睨まれ、思わず頬を掻く。

俺は、ふと思ったことがあったので聞いてみた。

 

「ランとユウキは、どうやって手に入れたんだ?」

 

「えっとね。 お父さんとお母さんが、三日間の有給休暇を使って買ってきてくれたんだ」

 

「お父さんとお母さんので、二人分ですね」

 

……うん、ユウキたちの両親は、完全に二人を溺愛しているな。

有給休暇を取って店頭前に並んだとか……すげぇの一言だな……。

 

「さてと……どうする? 勘が掴めるまで、もう少し続けるか?」

 

「オレは一度落ちて、メシを喰わねぇとなんだよな。 アツアツのピザを、五時に予約しってからな!」

 

俺は視界端に表示されている時刻を確認した。

視界端に書かれている時刻は、午後五時に回ろうとしていた。

 

「準備万端だなあ。――ユウキとランはどうするんだ?」

 

「えっと、ボクはキリトと話がしたいな」

 

「そうですね。 積もる話がありますから」

 

まあ確かに。 俺も話したいことが山ほどあるしな。

 

「か~、もう一回言うけどよお、おめぇ羨ましすぎるな。 両手に花じゃねぇか。 オレも彼女が欲しい……」

 

「いや、彼女じゃないぞ。 幼馴染だ」

 

「同じもんだ」、とクラインが呟いたが、俺はスルーする事にした。

この話題は、長引かせると危険だと思ったからだ。

 

「あ、んで、オレそのあと、他のゲームで知り合った奴らと《はじまりの街》で落ち合う約束をしてるんだよな。 どうだ、紹介すっから、あいつらともフレンド登録しねえか? いつでもメッセージ飛ばせて便利だしよ」

 

「え……うーん」

 

クラインとは自然に付き合えているが、元ボッチの俺が上手く付き合える気がしない。

そんな時、ユウキとランが助け船を出した。

 

「キリトは人見知りだから、もうちょっと時間が経ってからの方がいいかも」

 

「そうですね。 集団行動は慣れていませんから」

 

「なるほどなぁ……。 ま、そのうち紹介する機会があるだろ」

 

「わ、悪いな」

 

謝ると、クラインはぶんぶんとかぶりを振った。

 

「おいおい、礼を言うのはこっちのほうだぜ! おめぇのおかげで、すげぇ助かったよ、このお礼はその内ちゃんとすっから、精神的に。――オレとフレンド登録はできねぇか? そっちの御嬢さんも」

 

「まあ、それくらいなら」

 

「いいよ」

 

「いいですよ」

 

俺たち四人はフレンド登録をした。

クラインは時計を確認し、言葉を発した。

 

「……ほんじゃ、おりゃここで一度落ちるわ。 マジ、サンキューな。 これからも宜しく頼むぜ! ま、御嬢さんたちとは、上手くやれよ」

 

何を上手くやるのか、よく解らん。

俺の頭の中は、疑問符だらけだ。

 

クラインが一歩下がって、右手の人差し指を振り《メインメニュー・ウインドウ》を呼び出すと、右手人差し指を動かし、ログアウトボタンに――

 

「あれ、ログアウトボタンがねぇぞ(・・・・・・・・・・・)

 

「は? ログアウトボタンが無いって……そんなわけないだろ、よく見てみろ」

 

横長の長方形をしたウインドウには、初期状態では左側に幾つものメニュータブが並び、そのメニューの一番下に《Log Out》のボタンが存在するはずだ。

 

「やっぱりどこにもねぇよ。 おめぇらも見てみろって」

 

俺たち三人は、メニュー・ウインドウを開いた。

――無かった。 今日午後一時にログインした時、一番下に表示されていたログアウトボタンが綺麗に消滅していたのだ。

 

「……ねぇだろ」

 

「うん、ない」

 

「ボクもない」

 

「私もです」

 

ノンビリした口調で言うクラインに、俺は突込みを入れた。

 

「さっきさ、五時にピザの予約してる、とか言ってなかったか?」

 

「うおっ! そうだった!」

 

眼を丸くし叫んだその姿に、つい口元を緩めてしまう。

ランとユウキも、くすくすと笑っていた。

 

「お……、オレ様のアンチョビピッザとジンジャエールがあー!!」

 

「とりあえず、GMコールしてみろよ。 システム側で落としてくれるかもよ」

 

「試したけど、反応がねぇんだよ。 ああっ……、もう五時二十五分じゃん! 他にログアウトする方法ってなかったっけ?」

 

情けない顔で両の手を広げるクラインの言葉に、俺は不安を覚えた。

――途轍もなく、嫌な予感がするのだ。

 

この仮想世界から離脱する手段は、メインメニュー・ウインドウを開き、ログアウトボタンに触れ、右側に浮かぶ確認タグのYesボタンを押すだけでいい。

それと同時に、――この仮想世界から離脱する手段はこれだけしかないのだ。

 

茅場晶彦の特集で組まれていた言葉が蘇ってきた。

――これはゲームであっても、遊びではない――

 

――直後。

四人の身体が、青いライトエフェクトに包まれ、強制転移させられた。




紺野姉妹は、幼馴染やで~。
小学校低学年の時に、いっぱい遊んだんでしょうな。
てか、ご都合主義が満載やね(笑)

次回から物語が動きだすのかな。
ご意見、ご感想、よろしくです!!

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