ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版   作:舞翼

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ども!!

クリスマスをボッチで過ごした舞翼です!!

クリスマスのコンチキショーッッ!!
うん、この話はやめよう……。
自身にダメージが……。

まあ、この時間を使って書き上げたんですけどね(笑)
今回も、圏内事件の続きです。
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。


第17話≪ヒースクリフとの会合≫

第50層アルゲート ~転移門前広場~

 

血盟騎士団副団長様たちと共に、そいつはアルゲート転移門前広場へやって来た。

男の姿を見た途端、転移門に居たプレイヤーたちが激しくざわめいた。

暗赤色のローブの背にホワイトブロンドの長髪を束ねて流し、一切武器を装備せずに現れた男。

血盟騎士団団長、――ヒースクリフ。

奴は、第50層のボス戦で、ユニークスキル(神聖剣)を出現させた人物でもある。

ヒースクリフは俺を見つけ、こちらに近づいてきた。

 

「スマンな、行き成り呼んじまって」

 

「ちょ、キリト君。 団長にその言葉使いは……」

 

「そ、そうです。 団長、すいません。 このバ……いえ、私の幼馴染が」

 

ヒースクリフは右手を突き出した。

 

「ほう。 ラン君とキリト君は幼馴染なのか。 それでは、ユウキ君もかね?」

 

「うん、そうだよ、ヒースクリフさん。 あ、ちなみに、アスナは親友ね」

 

「ふむ。 それは、興味深い事を聞いたな」

 

話が脱線しそうなので、俺は咳払いをして話を戻した。

 

「――呼び出した理由だが、知恵を借りたくてな。 時間は大丈夫か?」

 

「私も昼食にしようと思ってたところだ。《鬼神》キリト君にご馳走してもらえる機会など、そうそうあろうとも思えないしな。 夕方から打ち合わせが入っているが、それまでなら付き合える」

 

「……鬼神はやめてくれ。 その二つ名、如何にかならないのかよ」

 

「ふむ。 それでは、《黒の剣士》が良かったかね?」

 

「……それもやめてくれ」

 

「すまないね。 攻略組の皆が言うものだから、つい、口をついて出てしまった」

 

「はあ、まあいいや。 それより行こうぜ。 あんたには、殆どのボス戦でタゲを取ってもらった礼をしてなかったからな。 飯のついでに、興味深い話を聞かせてやるよ」

 

俺は、談笑していた女性陣に声をかけた。

 

「行くぞー」

 

「「「OK(ええ)」」」

 

俺が案内したNPCレストランは、ここアルゲードでもっとも胡散(うさん)臭い、謎のメシ屋だ。

迷路のような道を五分程歩き、現れた店を見て、アスナとランが言った。

 

「……帰りもちゃんと案内してよね。 私、広場まで戻れないよ」

 

「ええ、案内してくれませんと、――小さい時の秘密をばらしちゃいますよ」

 

俺の小さい時の秘密は、トップシークレット扱いだ。

何があったかは、聞かないでくれ。

 

「ちょ、ランさん。 それはダメだ。 俺、泣いちゃうから。――ちゃんと案内するから心配するな。 まあ、ここの噂じゃ、道に迷った挙句、転移結晶も持ってなくて、延々と彷徨ったプレイヤーが何十人もいるらしい」

 

俺の言葉に、ヒースクリフが注釈を加えた。

 

「道端のNPCに頼めば、10コルで広場まで案内してくれるのだ。 その金額すらも持っていない場合は……」

 

両の手を持ち上げ、店に入っていく。

何で、あんたその情報を知っているんだ?と思ったが、SAOのシステムに詳しいなら、知っていても当然、と結論付けた。

四人は、ヒースクリフの後を追った。

狭い店内は、まったくの無人であった。

木で出来た簡素な五人がけのテーブルへ腰をかける。

《アルゲードそば》を五つ注文し、NPCがテーブルの上に置いた、水が入ったコップを煽った。

 

「……さて、本題なんだが、話して大丈夫か?」

 

「かまわんよ」

 

俺は、圏内殺人事件のことを詳細にヒースクリフに説明した。

ヒースクリフは、表情一つ変えずに俺の話を聞いていた。

 

「と、いう事だ。 団長さまの意見を聞かせて欲しい」

 

「まずは、キリト君の考えを聞こうじゃないか。 この事件、キリト君はどう見ているのかな?」

 

そう聞かれ、俺は三本の指を立てた。

 

「俺の考えた可能性は三つだ。 一つ目は、正当な圏内デュエルによるもの。 二つ目は、既知の手段の組み合わせによるシステム上の抜け道。 三つ目は、アンチクリミナルコードを無効化する未知のスキル、あるいはアイテム」

 

「ふむ。 三つ目は、除外してよい」

 

俺を含む四人は、眼を、二、三回瞬きをした。

 

「……断言しますね、団長」

 

と、アスナが言った。

 

「アスナ君、想像したまえ。 もし君らがこのゲームの開発者なら、そのようなスキルや武器を設定するかね?」

 

これには、俺が答えた。

 

「……しないだろうな」

 

「何故そう思ったのかな、キリト君」

 

「フェアじゃないからさ。 だが一つだけ、あんたのユニークスキル(神聖剣)を除いてだがな」

 

これを聞いたヒースクリフは、微笑した。

内心、ギクッとしたが、表情に出す事は無かった。

そう。 二刀流、黒燐剣の存在を知ってるのは、――今は亡きレンさんと、ユウキだけだからだ。

 

「とりあえず、三つ目は除外だな。 残るは、一つ目と二つ目の可能性になるが……。 でも、一つ目の可能性は無いと考えてる……。 そもそも、勝利者(ウィナー)表示が何処にも無かったんだ、教会の内部にも表示が無かった。 もし、圏内デュエルだった場合は、俺たちの誰かと絶対に鉢合わせるはずだ。 だが、それは無かった。 だから、一つ目の可能性は無いはずだ」

 

「じゃあ、ボクたちに残された選択肢は、《システム上の抜け道》だね。……でも、ボク、何か引っかかるんだよね」

 

「え? 何が」

 

「《貫通継続ダメージ》だよ。 あの短槍は、圏内でPKを実現する為に、どうしても必要だった。 ボクは、そう思うんだ」

 

その時、ランがコップを滑らせた。

そのコップは床に落ち、甲高い破砕音と共に砕け散った。

ランは、舌をぺろっと出し、

 

「お、落しちゃいました」

 

「大丈夫だろ。 安物だしな。 余分に会計をすればOKだろう」

 

俺は何か引っかかったが、頭を振り、それを打ち消した。

 

「ところで、回廊結晶を使った場合はどうなんだ? あの小部屋を出口に設定して、圏外から短槍を刺してテレポートしてくる。 で、縄をかけられ、教会の窓から突き落された。 てか、この場合は、貫通継続ダメージはどうなるんだ?」

 

「止まるとも」

 

ヒースクリフは即答した。

 

「徒歩だろうと、回廊によるテレポートだろうと、あるいは誰かに放り投げられろうと、圏内……つまり、街の中に入った時点で、コードが適用され、貫通継続ダメージは止まるとも」

 

「……カインズのHPバーは、あの時点で、完全に止まっていたのか……。 じゃあ、どうやってこの犯行を、……やっぱり、システムの抜け道が怪しいな。 いや、もしかしたら、……二人目の、ユニークスキル使いが現れたとか。 そのユニークスキルで犯行に及んだ、とか」

 

すると、ヒースクリフは肩を揺らし、微笑した。

 

「ふ……。 もしそんなプレイヤーが存在するなら、私が、真っ先にKoBに勧誘してるよ」

 

「で、ですよねー」

 

「……おまち」

 

やる気の無い声と共に、店主は、四角い盆から白い小さなドンブリを五つテーブルへ移した。

店主は、ドンブリを置き終わると、すたすたと元居た場所へと戻って行った。

全員は、テーブルに置かれた白いドンブリを眼前まで引き寄せ、箸入れから割り箸を取り、パキンと割った。

ドンブリの中身を見て、女性陣が、女性陣が低く言った。

 

「……なんなの、この料理? ラーメン?」

 

「……アスナさん、これはどう見ても、ラーメンじゃありませんよ」

 

「……うん、ボクが作ったラーメンの方が美味しそう」

 

「ま、まあ、これは、一応ラーメンに分類されるな。 てか、ユウキは、ラーメンを開発してるのか、今度食わせてくれよ」

 

無言でラーメンを啜っていたヒースクリフは箸を止め、ユウキを見た。

 

「ユウキ君、是非とも、君の作ったラーメンを食べさせてはくれないかね。 こう見えて私は、ラーメン通なんだ」

 

「は、はい。 ボクが作ったのでよければ」

 

「うむ。 楽しみにしてる」

 

そう言ってヒースクリフは、ラーメンに似た何か?を啜るのを再開した。

これを見ていた俺、アスナ、ランは、唖然としてしまった。

いや、まあ、うん。 ヒースクリフって、こういうキャラだっけ?

そして暫くは、ラーメンを啜る音が、店内に響いた。

数分後、空になったドンブリをテーブルの端に押しやってから、俺はヒースクリフを見た。

 

「……で、団長殿は、何か閃いたことはあるかい?」

 

スープまで飲み干しドンブリを置いたヒースクリフは、

 

「……これはラーメンではない。 断じて違う」

 

「俺もそう思うよ」

 

「では、この偽ラーメンの味のぶんだけ答えよう。 現時点の材料だけで《何が起きたのか》を断定することはできない。 だが、これだけは言える。 いいかね……。 この事件に関して絶対確実と言えるのは、君らがその眼で見て、その耳で聞いた、一次情報だけだ」

 

「……どういう意味だ?」

 

「つまり、こういうことだよ。 アインクラッドに於いて直接見聞きするものはすべて、コードに置換(ちかん)可能なデジタルデータであるということだよ。 そこに、幻覚幻聴(げんかくげんちょう)の入り込む余地は無い。 逆に言えば、デジタルデータではないあらゆる情報には、常に幻や欺瞞(ぎまん)である可能性が内包(ないほう)される。 簡単にいえば、この殺人……、《圏内殺人》を追いかけるならば、眼と耳、つまるところの己の脳がダイレクトに受け取ったデータを信じることだ」

 

俺は疑問符を浮かべ、ユウキとアスナとランは頷いていた。

ヒースクリフは、「ごちそうさま、キリト君」と呟いてから、席から立ち上がった。

俺たちも席を立ち、「ごちそうさま」と店主に声をかけ、暖簾を潜った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺たちは、NPCレストランから少し歩いた場所で見つけた、ベンチに座ってる。

 

「お前ら、ヒースクリフが話してた言葉の意味、教えてくれないか?」

 

「あれだわ。 つまり、醤油抜き東京風醤油ラーメン。 だから、あんなに侘しい味なんだわ」

 

「ええ、そうですね。 マヨネーズを作るついでに、醤油も作りましょうか」

 

「うん、ボクも作る」

 

「そうだな。って、違ーうッ! 変なもん食わせたのは悪かった。……ヒースクリフの言ってたあれ意味だよ」

 

アスナとランとユウキは、頷いた。

 

「こういう意味だよ。 あれはつまり、伝聞(でんぶん)の二次情報を鵜呑みするなってこと」

 

「この件では言えば、動機面……、ギルド・黄金林檎のレア指輪の話のことですね」

 

「うーん、ヨルコさんを疑うことになっちゃうよね」

 

「ふむふむ、なるどな。 分かりやすい解説、サンキュ」

 

俺は腕を組んだ。

 

「そういえば、アスナたちの調査結果はどうだったんだ?」

 

「それなんだけど。 中層で聞き込みをして、グリムロックさん行き付けの酒場の情報を手に入れたんだけどね、これだけじゃ情報が少なすぎて……」

 

「ええ、顔も分かりませんから、手掛かりはなしですね……」

 

アスナとランは、しゅんとしてしまった。

 

「そうか……。 まだ、当分は判断材料集めになるな。 あともう一人の《関係者》に話を聞きに行こう。 何か分かるかもしれないしな。――んじゃ、行くか」

 

「「「OK(ええ)」」」

 

俺たちは歩き出し、もう一人の関係者が居る場所へ向かった。




圏内事件書くのって難しいですね(^_^;)
てか、圏内事件長くなりそうだなー(遠い目)
あ、それと、キリト君は、アスナさんの親友の一歩手前位です(笑)

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!

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