ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版 作:舞翼
クリスマスをボッチで過ごした舞翼です!!
クリスマスのコンチキショーッッ!!
うん、この話はやめよう……。
自身にダメージが……。
まあ、この時間を使って書き上げたんですけどね(笑)
今回も、圏内事件の続きです。
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。
第50層アルゲート ~転移門前広場~
血盟騎士団副団長様たちと共に、そいつはアルゲート転移門前広場へやって来た。
男の姿を見た途端、転移門に居たプレイヤーたちが激しくざわめいた。
暗赤色のローブの背にホワイトブロンドの長髪を束ねて流し、一切武器を装備せずに現れた男。
血盟騎士団団長、――ヒースクリフ。
奴は、第50層のボス戦で、
ヒースクリフは俺を見つけ、こちらに近づいてきた。
「スマンな、行き成り呼んじまって」
「ちょ、キリト君。 団長にその言葉使いは……」
「そ、そうです。 団長、すいません。 このバ……いえ、私の幼馴染が」
ヒースクリフは右手を突き出した。
「ほう。 ラン君とキリト君は幼馴染なのか。 それでは、ユウキ君もかね?」
「うん、そうだよ、ヒースクリフさん。 あ、ちなみに、アスナは親友ね」
「ふむ。 それは、興味深い事を聞いたな」
話が脱線しそうなので、俺は咳払いをして話を戻した。
「――呼び出した理由だが、知恵を借りたくてな。 時間は大丈夫か?」
「私も昼食にしようと思ってたところだ。《鬼神》キリト君にご馳走してもらえる機会など、そうそうあろうとも思えないしな。 夕方から打ち合わせが入っているが、それまでなら付き合える」
「……鬼神はやめてくれ。 その二つ名、如何にかならないのかよ」
「ふむ。 それでは、《黒の剣士》が良かったかね?」
「……それもやめてくれ」
「すまないね。 攻略組の皆が言うものだから、つい、口をついて出てしまった」
「はあ、まあいいや。 それより行こうぜ。 あんたには、殆どのボス戦でタゲを取ってもらった礼をしてなかったからな。 飯のついでに、興味深い話を聞かせてやるよ」
俺は、談笑していた女性陣に声をかけた。
「行くぞー」
「「「OK(ええ)」」」
俺が案内したNPCレストランは、ここアルゲードでもっとも
迷路のような道を五分程歩き、現れた店を見て、アスナとランが言った。
「……帰りもちゃんと案内してよね。 私、広場まで戻れないよ」
「ええ、案内してくれませんと、――小さい時の秘密をばらしちゃいますよ」
俺の小さい時の秘密は、トップシークレット扱いだ。
何があったかは、聞かないでくれ。
「ちょ、ランさん。 それはダメだ。 俺、泣いちゃうから。――ちゃんと案内するから心配するな。 まあ、ここの噂じゃ、道に迷った挙句、転移結晶も持ってなくて、延々と彷徨ったプレイヤーが何十人もいるらしい」
俺の言葉に、ヒースクリフが注釈を加えた。
「道端のNPCに頼めば、10コルで広場まで案内してくれるのだ。 その金額すらも持っていない場合は……」
両の手を持ち上げ、店に入っていく。
何で、あんたその情報を知っているんだ?と思ったが、SAOのシステムに詳しいなら、知っていても当然、と結論付けた。
四人は、ヒースクリフの後を追った。
狭い店内は、まったくの無人であった。
木で出来た簡素な五人がけのテーブルへ腰をかける。
《アルゲードそば》を五つ注文し、NPCがテーブルの上に置いた、水が入ったコップを煽った。
「……さて、本題なんだが、話して大丈夫か?」
「かまわんよ」
俺は、圏内殺人事件のことを詳細にヒースクリフに説明した。
ヒースクリフは、表情一つ変えずに俺の話を聞いていた。
「と、いう事だ。 団長さまの意見を聞かせて欲しい」
「まずは、キリト君の考えを聞こうじゃないか。 この事件、キリト君はどう見ているのかな?」
そう聞かれ、俺は三本の指を立てた。
「俺の考えた可能性は三つだ。 一つ目は、正当な圏内デュエルによるもの。 二つ目は、既知の手段の組み合わせによるシステム上の抜け道。 三つ目は、アンチクリミナルコードを無効化する未知のスキル、あるいはアイテム」
「ふむ。 三つ目は、除外してよい」
俺を含む四人は、眼を、二、三回瞬きをした。
「……断言しますね、団長」
と、アスナが言った。
「アスナ君、想像したまえ。 もし君らがこのゲームの開発者なら、そのようなスキルや武器を設定するかね?」
これには、俺が答えた。
「……しないだろうな」
「何故そう思ったのかな、キリト君」
「フェアじゃないからさ。 だが一つだけ、あんたの
これを聞いたヒースクリフは、微笑した。
内心、ギクッとしたが、表情に出す事は無かった。
そう。 二刀流、黒燐剣の存在を知ってるのは、――今は亡きレンさんと、ユウキだけだからだ。
「とりあえず、三つ目は除外だな。 残るは、一つ目と二つ目の可能性になるが……。 でも、一つ目の可能性は無いと考えてる……。 そもそも、
「じゃあ、ボクたちに残された選択肢は、《システム上の抜け道》だね。……でも、ボク、何か引っかかるんだよね」
「え? 何が」
「《貫通継続ダメージ》だよ。 あの短槍は、圏内でPKを実現する為に、どうしても必要だった。 ボクは、そう思うんだ」
その時、ランがコップを滑らせた。
そのコップは床に落ち、甲高い破砕音と共に砕け散った。
ランは、舌をぺろっと出し、
「お、落しちゃいました」
「大丈夫だろ。 安物だしな。 余分に会計をすればOKだろう」
俺は何か引っかかったが、頭を振り、それを打ち消した。
「ところで、回廊結晶を使った場合はどうなんだ? あの小部屋を出口に設定して、圏外から短槍を刺してテレポートしてくる。 で、縄をかけられ、教会の窓から突き落された。 てか、この場合は、貫通継続ダメージはどうなるんだ?」
「止まるとも」
ヒースクリフは即答した。
「徒歩だろうと、回廊によるテレポートだろうと、あるいは誰かに放り投げられろうと、圏内……つまり、街の中に入った時点で、コードが適用され、貫通継続ダメージは止まるとも」
「……カインズのHPバーは、あの時点で、完全に止まっていたのか……。 じゃあ、どうやってこの犯行を、……やっぱり、システムの抜け道が怪しいな。 いや、もしかしたら、……二人目の、ユニークスキル使いが現れたとか。 そのユニークスキルで犯行に及んだ、とか」
すると、ヒースクリフは肩を揺らし、微笑した。
「ふ……。 もしそんなプレイヤーが存在するなら、私が、真っ先にKoBに勧誘してるよ」
「で、ですよねー」
「……おまち」
やる気の無い声と共に、店主は、四角い盆から白い小さなドンブリを五つテーブルへ移した。
店主は、ドンブリを置き終わると、すたすたと元居た場所へと戻って行った。
全員は、テーブルに置かれた白いドンブリを眼前まで引き寄せ、箸入れから割り箸を取り、パキンと割った。
ドンブリの中身を見て、女性陣が、女性陣が低く言った。
「……なんなの、この料理? ラーメン?」
「……アスナさん、これはどう見ても、ラーメンじゃありませんよ」
「……うん、ボクが作ったラーメンの方が美味しそう」
「ま、まあ、これは、一応ラーメンに分類されるな。 てか、ユウキは、ラーメンを開発してるのか、今度食わせてくれよ」
無言でラーメンを啜っていたヒースクリフは箸を止め、ユウキを見た。
「ユウキ君、是非とも、君の作ったラーメンを食べさせてはくれないかね。 こう見えて私は、ラーメン通なんだ」
「は、はい。 ボクが作ったのでよければ」
「うむ。 楽しみにしてる」
そう言ってヒースクリフは、ラーメンに似た何か?を啜るのを再開した。
これを見ていた俺、アスナ、ランは、唖然としてしまった。
いや、まあ、うん。 ヒースクリフって、こういうキャラだっけ?
そして暫くは、ラーメンを啜る音が、店内に響いた。
数分後、空になったドンブリをテーブルの端に押しやってから、俺はヒースクリフを見た。
「……で、団長殿は、何か閃いたことはあるかい?」
スープまで飲み干しドンブリを置いたヒースクリフは、
「……これはラーメンではない。 断じて違う」
「俺もそう思うよ」
「では、この偽ラーメンの味のぶんだけ答えよう。 現時点の材料だけで《何が起きたのか》を断定することはできない。 だが、これだけは言える。 いいかね……。 この事件に関して絶対確実と言えるのは、君らがその眼で見て、その耳で聞いた、一次情報だけだ」
「……どういう意味だ?」
「つまり、こういうことだよ。 アインクラッドに於いて直接見聞きするものはすべて、コードに
俺は疑問符を浮かべ、ユウキとアスナとランは頷いていた。
ヒースクリフは、「ごちそうさま、キリト君」と呟いてから、席から立ち上がった。
俺たちも席を立ち、「ごちそうさま」と店主に声をかけ、暖簾を潜った。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
俺たちは、NPCレストランから少し歩いた場所で見つけた、ベンチに座ってる。
「お前ら、ヒースクリフが話してた言葉の意味、教えてくれないか?」
「あれだわ。 つまり、醤油抜き東京風醤油ラーメン。 だから、あんなに侘しい味なんだわ」
「ええ、そうですね。 マヨネーズを作るついでに、醤油も作りましょうか」
「うん、ボクも作る」
「そうだな。って、違ーうッ! 変なもん食わせたのは悪かった。……ヒースクリフの言ってたあれ意味だよ」
アスナとランとユウキは、頷いた。
「こういう意味だよ。 あれはつまり、
「この件では言えば、動機面……、ギルド・黄金林檎のレア指輪の話のことですね」
「うーん、ヨルコさんを疑うことになっちゃうよね」
「ふむふむ、なるどな。 分かりやすい解説、サンキュ」
俺は腕を組んだ。
「そういえば、アスナたちの調査結果はどうだったんだ?」
「それなんだけど。 中層で聞き込みをして、グリムロックさん行き付けの酒場の情報を手に入れたんだけどね、これだけじゃ情報が少なすぎて……」
「ええ、顔も分かりませんから、手掛かりはなしですね……」
アスナとランは、しゅんとしてしまった。
「そうか……。 まだ、当分は判断材料集めになるな。 あともう一人の《関係者》に話を聞きに行こう。 何か分かるかもしれないしな。――んじゃ、行くか」
「「「OK(ええ)」」」
俺たちは歩き出し、もう一人の関係者が居る場所へ向かった。
圏内事件書くのって難しいですね(^_^;)
てか、圏内事件長くなりそうだなー(遠い目)
あ、それと、キリト君は、アスナさんの親友の一歩手前位です(笑)
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!