ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版 作:舞翼
舞翼です!!
え~、完璧な不定期更新になってすいまそん<(_ _)>
一週間に一回は投稿できるように努力しやす(震え声)
あ、それと、名前のアンケートを終了しました。(こちらに書いて申し訳ない)
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。
俺とユウキ、アスナとランはエギルの店を出てから、転移門から第一層の《はじまりの街》へと転移した。
目的は、黒鉄宮に安置された《生命の碑》を確認する為だ。
グリムロックを捜そうにも、生きていなければどうしようもないからだ。
時間が遅いせいか、内部には殆ど人の姿は無かった。
昼間この場所は、友人や恋人の死を信じられずに訪れ、名前上に刻まれた横線を目にして泣き崩れるプレイヤーの悲痛な声が後を絶たない。
――俺とユウキも過去同じような経験をし、自暴自棄になったものだ。
左右に数メートルに渡って続く《生命の碑》の前に到着すると、アルファベット順に並ぶ名前の、《G》のあたりを凝視する。
そして、名前を見付けた。
――《Grimlock》。 横線は、無しだ。
俺はこれを見て、ほっと息を吐いた。
「カインズさんは、亡くなってるよ。 死亡時刻は、四月二十二日、十八時二十七分だよ」
「手掛かりは、グリムロックさんだけね」
「ええ、そうですね。 でも、どうやってコンタクトを取りましょうか?」
上から、ユウキ、アスナ、ランである。
全ての用事を終え、黒鉄宮を出た所で、再び息を吐いた。
「もう遅いし、今日はここまでにしようぜ」
俺がそう言うと、ランが挙手をした。
「私とアスナさんで、グルムロックさんの居場所を調べてみますので、明日は別行動にしませんか?」
「ええ、そうしましょうか。 そっちの方が、効率がいいわ」
アスナは、ランの案に賛同した。
俺も、この案には賛成である。
「ああ、そうするか。 ユウキもそれでいいよな?」
「うん、ボクもそれでいいよ。 という事は、ボクとキリトは、ヨルコさんから事情聴取だね」
というように、明日の予定が決まった。
血盟騎士団副団長様たちは、俺とユウキに別れを告げ、ホームに帰る為歩き出した。
俺は、今日の一件を思い起こした。
今日は、最高の気象設定下で花見をし、美少女三人の昼寝番をし、その報酬として飯を奢ってもらう為、第五十七層のNPCレストランを訪れたが圏内事件に巻き込まれ、今は事件を解決する為に動く探偵兼助手だ。
何と言うか、凄まじい日になったな……。
「さて、俺たちも戻るか」
「だね。 ボクお腹減っちゃった。 食べないで出て来たから」
「おう、じゃあ、飯作ってくれよ。 久しぶりに、お前が作った飯が食いたくなった」
「うん、いいよ」
俺たちは歩き出し、転移門を潜り、ホームがある第50層アルゲートへ転移した。
だが、突然、六、七人のプレイヤーが一斉に取り囲んだ。
集団の顔ぶれには見覚えがあった。
攻略組の中でも、血盟騎士団と並ぶ最大ギルド《聖竜連合》だ。
その中で、リーダーと思われる人物に声をかけた。
「シュミットさん? こんばんは」
「キリト、シュミットさんで合ってるよ」
「スマンな、見覚えがあるって程度だったからな」
シュミットは、眉間に皺を寄せて早口で言った。
「……聞きたい事があって、あんた等を待っていたんだ。 鬼神さん」
「おい。 それって、攻略組で定着してないか?」
「……定着してるかもよ。 ボク、最近そう呼ばれたしね」
ユウキの言葉を聞いて、俺はがっくり肩を落とした。
てか、俺は神じゃないし。 人間だし。
って、そうじゃなくて、
「で、何を聞きたいんだ?」
「……今日の夕方、第五十七層で起きた圏内殺人のことだ。――デュエルじゃなかった……って噂は、本当なのか?」
この質問には、ユウキが答えた。
「そうだね。
暫し沈黙した後、シュミットが口を開いた。
「殺されたプレイヤーの名前は……カインズと聞いたが、間違いないか?」
「ああ、そうだ。 事件を目撃した人がそう言ってたな。 さっき、黒鉄宮まで行って来たけど、時間も死因も一致してたぞ。 てか、知り合いなのか?」
「……あんた等には関係ない」
「うん、これは、ボクたちの話を聞いてくれないパターンだよ」
ユウキが言うように、シュミットは聞く耳を持ってなかった。
もしかしたら、頭に血が上っているのかもしれない。
すると、突然、右手が突き出された。
「あんた等が、現場からPKに使われた武器を回収した事は知ってるぞ。 もう充分調べただろ。 渡して貰う」
これは、明らかにマナー違反行為と言ってもいい。
SAOでのアイテムなどは、次に拾った人の物になるのだ。
という事は、あの槍は、システム的には俺の所有物だ。
それに、あの槍は証拠品でもある。
俺は深い溜息を吐き、アイテムストレージを開いた。
「はあ、まあいいか。 ほらよ」
実体化させた短槍の柄を右手で持ち上げ、俺とシュミットの間に音高く突き立てた。
シュミットは、気圧されたように半歩身を引いて、それを見下ろした。
「鑑定の手間を省いてやるよ。 この短槍の固有名は《ギルティソーン》。 作った鍛冶屋は、――《グリムロック》だ」
これを聞いたシュミットは、両目をいっぱいに開き、半開きにした口から掠れた声を漏らした。
間違いなくシュミットは、被害者カインズの知り合いだろう。
過去に何があったか知りたいが、教えてくれそうにない。
「(……明日、ヨルコさんに聞いてみるか。 何か知ってるかもしれないし)」
シュミットはアイテムストレージを開き、素早くスピアをアイテム欄に放り込み、勢いよく踵を返した。
「……あまりコソコソ嗅ぎ回らないことだ。 行くぞ!」
シュミットは仲間を連れて、転移門を潜り、消えていった。
ユウキは、困ったような表情で、
「ねぇ、キリト。 姉ちゃんたちに許可なく、短槍を渡してよかったの?」
「あ……、いや、大丈夫だ。 アスナたちの心は、海より広いからな。 きっと」
「それならいいけど……。 物理攻撃はされないようにね。 姉ちゃんたち、怒ったら怖いんだから」
「いや、その、今の初耳なんですけど……」
「だって、言ってなかったもん」
「えー、マジですか」
「ふふ、そうだよ」
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
翌日、俺とユウキは、昨日の話をもう一度聞かせてもらうため、第五十七層NPCレストランの一番奥の席に座っていた。
この席なら入口から離れているので、大声を出さないかぎり、話し声は聞こえないはずだ。
俺は椅子に座ったまま、頭を下げた。
「悪いな、友達が亡くなったばかりなのに……」
「いえ……、大丈夫です。 私も、早く犯人を見付けて欲しいから……」
「そうか……。 まずは、報告なんだけど……昨夜、黒鉄宮の《生命の碑》を確認した所、カインズさんは、あの時間に亡くなっていた」
俺の言葉に、ヨルコは瞑目してから頷いた。
「そう……ですか。 ありがとうございます。 わざわざ遠い所まで行って頂いて……」
ユウキが、重要な質問をした。
「ううん、いいよ。 ボクたち、ヨルコさんに聞きたい事があるの。 ねぇ、ヨルコさん。 この名前に聞き覚えはある? 一人は、鍛冶職人で《グリムロック》。 そしてもう一人は、槍使いで《シュミット》」
ユウキの言葉によって、俯けられていたヨルコの顔が、ぴくりと震えた。
やがて、ゆっくりと頷いた。
「……はい、知っています。 昔、私とカインズが所属していたギルドのメンバーです」
俺は、「やはりそうか」と心の中で思った。
そして、そのギルドで、今回の事件の原因となる《何か》があったかも、確認しなければならない。
今度は、俺が質問した。
「ヨルコさん。 答えにくい事だと思うけど……何か心当たりとか、思い当たる事はないか?」
すぐに答えは返ってこなかったが、長い沈黙のあと、ゆっくりと頷いた。
「……はい……、あります。 昨日、お話しできなくて、すみませんでした……。 私たちのギルドはある“出来事”……そのせいで、消滅したんです」
ギルドの名は≪
半年前、一度も見た事のないモンスターを討伐したら、そのモンスターがあるアイテムをドロップした。
そのアイテムは、敏捷力が20上がる指輪であり、ギルドで使う意見と、売った儲けを分配しようという意見に割れた。
なので、多数決を取った。
結果は、《3対5》で売却することになった。
ギルドリーダーは、前線の大きい
メンバーたちは嫌な予感がして、《生命の碑》を確認しに行ったら、リーダーの名前の上に横線が刻まれいたという事だ。
つまり、黄金林檎のリーダーは亡くなっていたことになる。
「グリセルダさんの《死》を知ったのは、グリセルダさんが前線に行った、夜中でした。 死亡理由は、貫通属性ダメージです……」
黄金林檎のリーダーの名前は、《グリセルダ》という名前らしい。
「そんなレアアイテムを抱えて圏外に出るはずがないよな……考えられるのは、睡眠PKか」
「……でも、偶然とは考えにくいかも」
ユウキが呟くと、俺は首肯した。
「ああ、そうだな。 偶然が重なりすぎだ。 こんな事は、一般的には有り得ないからな。 とすると、リーダーのグリセルダさんを狙ったのは、指輪のことを知ってた人物…… つまり……――黄金林檎、残り七人の誰か、と言う事になるな」
ヨルコが頷いた。
「黄金林檎の七人の中……の誰か? 私たちも当然そう考えました。 なので、
重苦しい沈黙が包んだ。
その沈黙を、俺が破った。
「ひとつ、教えてほしい。 そのレア指輪の売却に反対した三人の名前は……?」
俯いていたヨルコは、顔を上げ、
「カインズ、シュミット………。 そして、私です。 ただ私の反対理由は、彼らとは少し違いました。 私は……当時、カインズと付き合い始めていたからです。 ギルド全体の利益よりも、彼氏への気兼ねを優先しちゃったんです。 バカですよね」
ユウキが、柔らかい語調で訊ねた。
「ヨルコさん。 カインズさんと、ギルド解散後もお付き合いをしていたの?」
すると、ヨルコは小さく首を左右に振った。
「……解散と同時に、自然消滅しちゃいました。 たまに会って、近況報告するくらいで……、長く一緒にいれば、どうしても指輪事件のことを思い出しちゃいますから。 昨日もそんな感じで、ご飯だけの予定だったんですけど……。 その前に、あんなことに……」
「そっか。――ごめんね……。 辛い事色々聞いちゃって」
ヨルコは、再び頭を振った。
「いえ、いいんです。 それで……グリムロックですけど……」
その名前を出され、俺は眉を寄せた。
何故、今になってグリムロックの名前が……?
「彼は――黄金林檎のサブリーダーでした。 同時に、ギルドリーダーの《旦那さん》でもありました」
「リーダーのグリセルダさんは、女の人だったのか?」
アインクラッドのギルドリーダーは、男性プレイヤーが常だ。
なので、女性プレイヤーがリーダーなのは、珍しい事である。
「ええ。 とっても強い。 と言っても、あくまで中層レベルでの話ですけど……。 強い片手剣士で、美人で、頭もよくて……、私はすごく憧れていました。 だから……今でも信じられないんです。 あのリーダーが、睡眠PKなんて粗雑な手段で殺されちゃうなんて……」
「……じゃあ、グリムロックさんも相当ショックだっただろうね。 大好きだった相手が、亡くなっちゃって……」
ユウキの言葉に、ヨルコさんはぶるっと身体を震わせた。
「はい。 それまでは、いつもニコニコしている優しい鍛冶屋さんだったんですけど……事件直後からは、とっても荒んだ感じになっちゃって……。 ギルド解散後は誰とも連絡取らなくなって、今はどこにいるかも判らないんです」
「……そうか。 辛い質問ばかりしてすまないが、最後に聞かせて欲しい。 昨日の事件……、カインズを殺したのがグリムロック、という可能性は、あると思うか? 実は、カインズを殺した槍を鑑定したら……作成したのは、グリムロックだったんだ」
ヨルコは、長い逡巡を見せた後、小さく頷いた。
「……はい……、その可能性はあると思います。 でも、カインズも私も、リーダーをPKして指輪を奪ったりしてません。 証拠はありませんけど……。 もし、昨日の事件の犯人がグリムロックさんなら……あの人は、指輪の売却に反対した三人、つまり、カインズとシュミット、それに私を、殺すつもりなのかもしれません……」
「……そうか、分かった。 すまないな、色々聞いちゃって」
「じゃあ、ボクたちで、宿屋に送るね」
「はい、お願いします」
俺とユウキは、この事件が解決するまで宿屋を出ないように、念を押した。
もし、さっきの情報が本当なら、指輪売却に反対した彼女は、非常に危険な状況にあるからだ。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~第五十七層 転移門前広場~
「さて、これからどうする?」
ユウキは、「うーん」、と唸った。
「あ、そうだ! SAOのシステムに詳しい人の意見も貰おうよ」
「なるほど、
「じゃあ、ボクがメッセージを送るね」
そう言ってユウキは、血盟騎士団副団長殿にメッセージを送信した。
それから数分後、メッセージが返ってきた。
内容は、『うん、大丈夫そうだよ。 キリト君が指定した、第50層に集合ね。』
「OKだって。 じゃあ、行こうよ」
「そうだな。 アスナたちと合流して、調査結果も聞きたいしな」
「じゃあ、第50層に、レッツゴー♪」
俺とユウキは、集合場所である第50層に向かう為、転移門を潜った。
ええ、アスナさんたちの心は、海よりも広いんス。
ああ、それと、ユウキちゃんたちは泣いてませんよ。
ただ、自暴自棄になっただけです。
キリト君は、ユウキちゃんが作った飯を食ってます(笑)
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!
追記
~黒の剣士と絶剣~の後日談は投稿できる状態ですが、如何せん、内容がクリスマス関係なんで。
なので、24、25日のどちらかに投稿しようかと……。
え、何でクリスマスに投稿出来るって、それは自分がボッチだからですよ(白目)
まあ、クリスマスで皆さま忙しいと思いますので、暇潰し程度に見てやってくださいm(__)m