東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
紫「藍、もう着いたわよ」
藍「は、はい。ありが…うッぷ」
紫「ハァ…」
零はもう地を足で踏み、広がる光景を眺めている。
これが、零の挙げた候補の島か……
紫「そう言えば、芳香は?」
青蛾「ぐっすり寝てるわ」
紫「そ、そうなの」
この人達は普通の感覚になっているけど……キョンシーって元々は死人だし、さっきみたいに痛いなんて言わないし、寝たりもしない筈。つまり、その…人間らしいことはしないのよ……
やっぱり、おかしいわ……彼女って……
零「紫?」
紫「へあ!?」
零「うお。す、すまない」
紫「え?ああ、気にしないで、考え事をしていただけだから…」
零「そうか?なら良いんだ」
驚いた。心臓が体内で跳ねた気がした。その後も血液が体を巡る音が聞こえて止まない。
取り合えず落ち着くために少し大きく息を吐くが、なんの変わりもない。
紫「今は幻想郷のことだけを考えるのよ……」
藍「あ"~落ち着いてきた……」
紫「あら、もう落ち着いたの?良かったわ」
藍「すみません……」
しかし、女なんだからあ"~とか汚い声を出すんじゃあない。いや、女だからって言うのは差別を感じるわね。止めましょう。
零「にしても、変わったな。この島は」
美鈴「そうですね……」
義経「同意です」
紫「なにが変わったの?」
ただ単に森が広がっている様にしか見えない。昔は巨大都市があったとか?
零「昔は、自由な島だった。楽しさで溢れた、笑顔の耐えない島」
もし昔がその様な島立った場合、今はそれに合わない。似もしない。
この島に、声も動物も見えない。なにかに支配をされているよう。
零「……ダメだな」
紫「え?」
突然の否定に声が漏れた。
ダメ…なんとなく何を指して言っているのかは分かるが…
零「今日の朝飯、当たったぜ…本気でダメだ…」
紫「いや、そっちかよ!?」
零「すまん、部屋に戻る」
ええぇぇぇぇぇぇ……
呆れたよりも驚きが多い。久しぶりに零の変人っぷりを見た。少し嬉しい。
藍「あの人こそ自由ですよね」
青蛾「そこが良いんだよね。なんか母性本能がくすぐられる……」
それはない。
美鈴「と、兎も角、私達も休みましょう。潮風に当たり続けて疲れましたし」
青蛾「そうね、寝ましょー。芳香も気になるし」
藍「落ち着きはしましたが……ちょっとまだ胃に違和感がありますね」
義経「じゃあ、疲れてないので修行をしてますね」
私も特にないけど…
紫「私も寝るわ」
そう言って、部屋に戻った。と見せかけ、零の部屋へ向かった。
ドアをノックし、返事を待つ。
………あぁ、そうだった。
紫「零?入って良いかしら?」
零「ん?いいぞ」
私はドアを開け、中に入る。
紫「お腹、大丈夫?」
零「ダメだ。まぁ、心配するな。俺の体だし、すぐに回復する」
確かにそうよね。でも、心配は心配よ。
零「心配するなって。別に死ぬ訳じゃあないし」
紫「無理ね。心配するなって方が」
零「……優しいんだな」
紫「………そんなこと…ない」
もし、優しかったら貴方を……こんな事に巻き込まない。巻き込まなかった。私に自信がないから貴方達を巻き込んでしまったんだもの。
紫「ねぇ、零」
零「ん?」
紫「必ず幻想郷を創ろう」
零「当たり前だ」
零は静かに頷いた。