東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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心の隙間の温かみ VI 『未来』

紫「藍、もう着いたわよ」

藍「は、はい。ありが…うッぷ」

紫「ハァ…」

 

零はもう地を足で踏み、広がる光景を眺めている。

これが、零の挙げた候補の島か……

 

紫「そう言えば、芳香は?」

青蛾「ぐっすり寝てるわ」

紫「そ、そうなの」

 

この人達は普通の感覚になっているけど……キョンシーって元々は死人だし、さっきみたいに痛いなんて言わないし、寝たりもしない筈。つまり、その…人間らしいことはしないのよ……

やっぱり、おかしいわ……彼女って……

 

零「紫?」

紫「へあ!?」

零「うお。す、すまない」

紫「え?ああ、気にしないで、考え事をしていただけだから…」

零「そうか?なら良いんだ」

 

驚いた。心臓が体内で跳ねた気がした。その後も血液が体を巡る音が聞こえて止まない。

取り合えず落ち着くために少し大きく息を吐くが、なんの変わりもない。

 

紫「今は幻想郷のことだけを考えるのよ……」

藍「あ"~落ち着いてきた……」

紫「あら、もう落ち着いたの?良かったわ」

藍「すみません……」

 

しかし、女なんだからあ"~とか汚い声を出すんじゃあない。いや、女だからって言うのは差別を感じるわね。止めましょう。

 

零「にしても、変わったな。この島は」

美鈴「そうですね……」

義経「同意です」

紫「なにが変わったの?」

 

ただ単に森が広がっている様にしか見えない。昔は巨大都市があったとか?

 

零「昔は、自由な島だった。楽しさで溢れた、笑顔の耐えない島」

 

もし昔がその様な島立った場合、今はそれに合わない。似もしない。

この島に、声も動物も見えない。なにかに支配をされているよう。

 

零「……ダメだな」

紫「え?」

 

突然の否定に声が漏れた。

ダメ…なんとなく何を指して言っているのかは分かるが…

 

零「今日の朝飯、当たったぜ…本気でダメだ…」

紫「いや、そっちかよ!?」

零「すまん、部屋に戻る」

 

ええぇぇぇぇぇぇ……

呆れたよりも驚きが多い。久しぶりに零の変人っぷりを見た。少し嬉しい。

 

藍「あの人こそ自由ですよね」

青蛾「そこが良いんだよね。なんか母性本能がくすぐられる……」

 

それはない。

 

美鈴「と、兎も角、私達も休みましょう。潮風に当たり続けて疲れましたし」

青蛾「そうね、寝ましょー。芳香も気になるし」

藍「落ち着きはしましたが……ちょっとまだ胃に違和感がありますね」

義経「じゃあ、疲れてないので修行をしてますね」

 

私も特にないけど…

 

紫「私も寝るわ」

 

そう言って、部屋に戻った。と見せかけ、零の部屋へ向かった。

ドアをノックし、返事を待つ。

 

………あぁ、そうだった。

 

紫「零?入って良いかしら?」

零「ん?いいぞ」

 

私はドアを開け、中に入る。

 

紫「お腹、大丈夫?」

零「ダメだ。まぁ、心配するな。俺の体だし、すぐに回復する」

 

確かにそうよね。でも、心配は心配よ。

 

零「心配するなって。別に死ぬ訳じゃあないし」

紫「無理ね。心配するなって方が」

零「……優しいんだな」

紫「………そんなこと…ない」

 

もし、優しかったら貴方を……こんな事に巻き込まない。巻き込まなかった。私に自信がないから貴方達を巻き込んでしまったんだもの。

 

紫「ねぇ、零」

零「ん?」

紫「必ず幻想郷を創ろう」

零「当たり前だ」

 

零は静かに頷いた。


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