東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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心の隙間の温かみ III 『計画』

紫「……うん、ある程度は話し合ったわね。それじゃあ皆を呼びましょうか」

零「あぁ、呼んでくる」

 

俺は納屋の戸を開け、青蛾達に呼び掛けた。

青蛾達はそれに気付き、納屋の方へと向かってくる。

 

美鈴「終わりましたか?」

零「あぁ、中に入ってくれ」

青蛾「お邪魔しまーす!!」

 

中に入れた。納屋は意外に広いのでみんな入る。あと二、三人は入れる。

立ててる蝋燭を円陣に囲むように座った。

 

青蛾「それで、どういう話になったわけ?」

紫「まず、私の理想郷を創るためには土地が必要。出来れば山奥が良い」

零「旅をしてきた俺達は土地には詳しい。だから候補を挙げた」

 

候補は二つ挙げた。

一つは北方領土のどれか。国後島とか良いかもな。

そして、白馬村の山。信州にある山に囲まれた村。大きいから半分にしてその理想郷を創ろうという魂胆だ。

 

零「妖怪と人間の共存する世界。しかし妖怪がいなきゃ意味がない。だから、全国から妖怪を集める。そして、その理想郷を創るわけだ」

紫「その理想郷の名前は『幻想郷』というの」

美鈴「幻想郷……」

 

美鈴がその名前を聞いて復唱した。

 

零「これは膨大な計画だ。治安を守る巫女や神主を幻想郷の主要人物に決めたり、しかしある程度悪さを働く妖怪や人間も必要だ」

青蛾「悪さを働く?またどうして」

 

案の定の質問が来た。

 

零「皆が善人で世界が長続きすると思うか?」

青蛾「えぇ、私はそう思うけど……」

零「いいか?善人であることは良いことだ。しかしだ、言い方を悪くすれば刺激がない人間だ」

美鈴「刺激がない?」

零「優しさに刺激があると思うか?無いな。人間は誰しも刺激を欲する。つまらないからだ。人生を退屈しないためにな。分かったか?」

 

皆は「なんとなくは理解した」と言うような顔で頷いた。

 

零「これは日本各地を廻って行う計画だ。そうだなぁ……この計画を『東方Project』と呼ぼう」

青蛾「東方ぷろ……何?」

紫「東方Projectよ。Projectの意味は計画って意味」

 

青蛾は納得したようなしていないような、そんな微妙なラインでの頷きを見せた。

そして更に、美鈴からの質問が来た。

 

美鈴「何故『東方』なのですか?日本全国なのに」

零「日が昇るのは東からだろう?日本は日が昇る国。つまり、世界の東方に存在する国って訳だ」

美鈴「あぁ、成る程!!」

 

こちらは凄く感心した上で理解した。

 

零「取りあえずだ。土地の確保だ」

紫「先に北方領土に行きましょうか」

零「そうだな」

美鈴「北方領土に行くのですか?懐かしいですねぇ~」

芳香「今度こそコロポックルを見るゾ~」

零「もう何回か見ただろう?」

 

いつもの雰囲気で、まるで観光をしに行くように話しをしているが、このプロジェクトはこの人生で最も最難関なものだろう。しかし、面白味も詰まっている筈。楽しみで仕方がない。

俺は湿った土を踏みながら、蝦夷の風を感じ、そう思うのである。




どうも薬売りです。コラボが終わったのでこっちも進めていこうと思った矢先、高校に入学したので投稿ペースが遅れる可能性が有ります。その時はお許しください。

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