東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
俺達はその光景に絶望した。
何故か?そこはもう、火の海だからだ。そこらに死体が転がっている。
零「これは……」
言葉を失う。この中に義経がいるのだろうか。
……心配だ。
青蛾「彼なら大丈夫よ。捜しましょう」
零「そうだな」
再び『ナビゲーター』で位置を確認する。
どうやら屋敷に居るらしい。途中で大量の妖怪がいる。軍が雇った妖怪か……クソッ!!何故義経がこんな目にあわなければならないのだろう。
俺は目を閉じた。心を落ち着かせる。
零「義経は屋敷に居るが、途中で大量の妖怪が居る………だが、気にしてられねぇ。強行突破だ」
美鈴「分かりました」
零「行くぞッ!!」
瞬間、風をも追い付けぬ韋駄天の如く。
俺達は走った。
目の前にぶつかりそうになったら右手の前腕から、青に輝く鉱石のようなものを出す。そして斬った。何度も何度も。速すぎで血なども着かない。あぁ、体が裂けそうだ。
暫くすると目的地が見えた。
零「………何だとッ!?」
だが、その目的地は火に覆われていたのだ。
直ぐ様ドアを開け、『冷の細胞』で消火する。なかにいた人々も気付いたようだ。
男性「何奴!?これ程の火を消す等とは……」
零「義経はどこだ!?生きているか!?」
弁慶「その慌て様、敵ではないな。私は『弁慶』だ。義経様に一生付いて行くと決めた者だ」
零「んなことはどうでもいい!!生きているのか!?」
弁慶「あぁ、生きている。地下に隠れているのだ」
零「本当か!?」
安心した。アイツはまだ生きているのだ。
そうさ。アイツはここで死ぬべき人間じゃあない。彼は生きるべきなのだ。
弁慶は床に通じるドアを開き、中に入って行った。
弁慶「義経様、私です………義経様」
零「……ッ!?まさか!!」
直ぐ様走ったそれを追いかけるように後ろの四人も付いてくる。
嫌な予感。それが零の心を渦巻いていた。
零「なッ!?」
その嫌な予感は当たっていた。
血の臭いが漂っていた。光景は、残酷だった。義経の体に義経の体に刀が刺さっている。
弁慶「これは……この刀、この人のものだ……」
零「なに!?」
自分の刀に殺されたと言うことか?どう言うことだ。
弁慶「……グッ!?な、なんだ!?くるし…い…」
零「おい、どうした!?」
突然、弁慶が苦しみ始めたのだ。
苦の表情を浮かべ、その場に倒れこんだ。
??「フッフッフ……久しぶりだなぁ」
零「……誰だ」
??「あ?忘れたってのか?そりゃねぇぜ。俺達の仲じゃねぇか」
零「お前など知らぬ。顔を出せ」
??「そうだな……良いだろう。俺の顔さえ見れば分かるだろう」
そして、そいつは物影から出てきた。
零「お前ッ!?」
妖怪「ハッハッハ!!驚いただろう?当たり前さ、一、二億年前に殺した妖怪がいるんだからな」
そう、そいつは昔、永琳を拉致した妖怪だったのだ。
あのときにこいつは殺したはずだった。なのに、何故……存在するんだ。
妖怪「おーおー驚いているなぁ!!立派になりやがって、可愛い弟子まで居るじゃねぇか」
零「………」
いや、きっと黄泉から来たのだ。
ユーベ・ナイトバグ、そして屠自古を殺した妖怪も黄泉から来たらしい。あいつらの言う『あの人』という者が俺の命を狙っている。
妖怪「あぁ、そうだ。俺の名前、知らないよな?」
零「興味はない」
妖怪「まぁ、聞けって」
何故、名前を言いたいのだ?
不思議に思った。だが、それどころではない。
ユナ「俺は『ユナ・ネイティブ』だ」
零「……だからどうした」
ユナ「あれ?分からない?そのキョンシーを見る限り、蟲野郎には会ったよなぁ?」
零「………」
ユナ「答えろよ……あぁ?」
こいつはなにがしたいのだ?分からない。
いや、待てよ。何か引っ掛かる。
ユナ「まぁ、いい。死ねよ」
刹那、俺は吹っ飛ばされた。
訳が分からない……というわけでなはない。やつの能力は、『物を移動させる程度の能力』だ。
奴は、予め持っていた石か何かを俺の腹に高速移動指せたのだ。手は動かさず。
ユナ「さっきの弁慶の顔見たか!?最高だったよなぁ!!苦しむ顔。最高さ!!只の毒殺だぜ!?能力なんて使ってもいない!!」
零「うるせぇ…」
ユナ「あ?……なッ!?」
俺は奴に石を返した。『熱の細胞』付きをね。
それは見事命中し、奴も吹っ飛んでった。
ユナ「アッチィィィィッ!?クソがッ!!」
零「はぁ、はぁ……奴を殺すぞ」
美鈴「勿論です」
青蛾「えぇ、喜んで」
芳香「…死になさい」
零が水威矢を創り、そして射る。
ユナは咄嗟に右に回避する……しかしッ!!
美鈴「テイヤァ!!」
ユナ「ガハァッ!?」
美鈴の拳を食らう。
血ヘドを吐くユナに更なる追い討ち。
青蛾「ちょっと残酷だけど、許してね」
壁をすり抜けた青蛾はユナの頭を持ち、そのまま……壁に叩き付けたッ!!
ユナ「……チッ」
その舌打ちと共に、横に居た弁慶の死体が、何にも触れていないにも関わらず青蛾と美鈴、そしてユナの方向へ動きだし、三人にぶつかった。
多分、死体を移動させたのだろう。
ユナ「あぶねぇなぁ」
ユナは不意の拳をガードした。
その拳は芳香の物であった。
ユナ「嬢ちゃん。キョンシーなんだろ?その割には、生前の感情が残っているなぁ、いや、実は全部覚えていたりして」
芳香「………」
ユナ「なんだ、本当に忘れているのか。ただ、少し感情が残っていることは事実だな」
ユナは大刈りで芳香を転ばし、腹にパンチをする。
芳香にはあまり効かないが、分かっていても腹が立つ。
ユナ「んじゃあ、俺のターン」
瞬間ッ!!自身の体を瞬間移動させ、美鈴達の前に出た。
直ぐに構えるが遅い。既に二十発程殴られた。芳香にも同じく。
ユナ「フッフッフ。成長か……素晴らしいぞ。残りは……オマエダ」
零「ッ!?」
刹那、重力が俺に対して強く働く。
重い。何だこれは……ッ!?
ユナ「おお!!これが『あの人』の言っていた特典か……」
零「うぐッ!!」
ユナ「フッフッフ……」
俺に近付き、しゃがみこんで不気味な笑みを浮かべる。
ユナ「あんときの仮を返すぜ。お前を後でなぶり殺してやるよ。今は、あんたの弟子達を強姦でもしてるから、そこで見てろ」
零「……や…めろ…」
ユナ「あぁ?やめろ?おっかしいなぁ……敬語がないように聞こえたなぁ」
零「やめ…て……ハァ…くださ…い……」
ユナ「う~ん、ゴメン無理」
零「ッ!!」
ユナは高笑いしながら、美鈴達の方へ進んでいく。
俺は死んでもいい、だから、彼女達だけは汚さないでくれ。また、俺のせいだ。
俺が居るから、周りの人は地獄を見る。
俺が居なければ、彼女らは幸せだったのだ。俺が死ねばよかったのに……俺が……
……?
声が聞こえた。義経の声が聞こえたようだった。
いや、聞こえた。確かに聞こえた。
義経はいる。ここにいる。俺は目を開いた。そこに居たのは浮遊する玉の緒。
義経……いや、牛若丸。お前が居てくれて良かったよ。
重力の重みが消えた。
俺は立ち上がり、牛若丸の玉の緒を掴んだ。
零「おい、腐れ外道」
ユナ「なにッ!?」
そこには、鋭い刀の形をした義経の魂を持った零が居た。
ユナ「お、お前ッ!!何故立っている!?」
零「二人だからだよ」
ユナ「は?」
零「もう、痛みも重さも無い。傷や負傷は、友によって書き消されるのだ」
零は構えた。鋭い目付きを向ける。
零「行くぞ。丸」
牛若丸「はい!!」