東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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玉の緒の刀 IX 『霊魂』

俺達はその光景に絶望した。

何故か?そこはもう、火の海だからだ。そこらに死体が転がっている。

 

零「これは……」

 

言葉を失う。この中に義経がいるのだろうか。

……心配だ。

 

青蛾「彼なら大丈夫よ。捜しましょう」

零「そうだな」

 

再び『ナビゲーター』で位置を確認する。

どうやら屋敷に居るらしい。途中で大量の妖怪がいる。軍が雇った妖怪か……クソッ!!何故義経がこんな目にあわなければならないのだろう。

俺は目を閉じた。心を落ち着かせる。

 

零「義経は屋敷に居るが、途中で大量の妖怪が居る………だが、気にしてられねぇ。強行突破だ」

美鈴「分かりました」

零「行くぞッ!!」

 

瞬間、風をも追い付けぬ韋駄天の如く。

俺達は走った。

目の前にぶつかりそうになったら右手の前腕から、青に輝く鉱石のようなものを出す。そして斬った。何度も何度も。速すぎで血なども着かない。あぁ、体が裂けそうだ。

暫くすると目的地が見えた。

 

零「………何だとッ!?」

 

だが、その目的地は火に覆われていたのだ。

直ぐ様ドアを開け、『冷の細胞』で消火する。なかにいた人々も気付いたようだ。

 

男性「何奴!?これ程の火を消す等とは……」

零「義経はどこだ!?生きているか!?」

弁慶「その慌て様、敵ではないな。私は『弁慶』だ。義経様に一生付いて行くと決めた者だ」

零「んなことはどうでもいい!!生きているのか!?」

弁慶「あぁ、生きている。地下に隠れているのだ」

零「本当か!?」

 

安心した。アイツはまだ生きているのだ。

そうさ。アイツはここで死ぬべき人間じゃあない。彼は生きるべきなのだ。

弁慶は床に通じるドアを開き、中に入って行った。

 

弁慶「義経様、私です………義経様」

零「……ッ!?まさか!!」

 

直ぐ様走ったそれを追いかけるように後ろの四人も付いてくる。

嫌な予感。それが零の心を渦巻いていた。

 

零「なッ!?」

 

その嫌な予感は当たっていた。

血の臭いが漂っていた。光景は、残酷だった。義経の体に義経の体に刀が刺さっている。

 

弁慶「これは……この刀、この人のものだ……」

零「なに!?」

 

自分の刀に殺されたと言うことか?どう言うことだ。

 

弁慶「……グッ!?な、なんだ!?くるし…い…」

零「おい、どうした!?」

 

突然、弁慶が苦しみ始めたのだ。

苦の表情を浮かべ、その場に倒れこんだ。

 

??「フッフッフ……久しぶりだなぁ」

零「……誰だ」

??「あ?忘れたってのか?そりゃねぇぜ。俺達の仲じゃねぇか」

零「お前など知らぬ。顔を出せ」

??「そうだな……良いだろう。俺の顔さえ見れば分かるだろう」

 

そして、そいつは物影から出てきた。

 

零「お前ッ!?」

妖怪「ハッハッハ!!驚いただろう?当たり前さ、一、二億年前に殺した妖怪がいるんだからな」

 

そう、そいつは昔、永琳を拉致した妖怪だったのだ。

あのときにこいつは殺したはずだった。なのに、何故……存在するんだ。

 

妖怪「おーおー驚いているなぁ!!立派になりやがって、可愛い弟子まで居るじゃねぇか」

零「………」

 

いや、きっと黄泉から来たのだ。

ユーベ・ナイトバグ、そして屠自古を殺した妖怪も黄泉から来たらしい。あいつらの言う『あの人』という者が俺の命を狙っている。

 

妖怪「あぁ、そうだ。俺の名前、知らないよな?」

零「興味はない」

妖怪「まぁ、聞けって」

 

何故、名前を言いたいのだ?

不思議に思った。だが、それどころではない。

 

ユナ「俺は『ユナ・ネイティブ』だ」

零「……だからどうした」

ユナ「あれ?分からない?そのキョンシーを見る限り、蟲野郎には会ったよなぁ?」

零「………」

ユナ「答えろよ……あぁ?」

 

こいつはなにがしたいのだ?分からない。

いや、待てよ。何か引っ掛かる。

 

ユナ「まぁ、いい。死ねよ」

 

刹那、俺は吹っ飛ばされた。

訳が分からない……というわけでなはない。やつの能力は、『物を移動させる程度の能力』だ。

奴は、予め持っていた石か何かを俺の腹に高速移動指せたのだ。手は動かさず。

 

ユナ「さっきの弁慶の顔見たか!?最高だったよなぁ!!苦しむ顔。最高さ!!只の毒殺だぜ!?能力なんて使ってもいない!!」

零「うるせぇ…」

ユナ「あ?……なッ!?」

 

俺は奴に石を返した。『熱の細胞』付きをね。

それは見事命中し、奴も吹っ飛んでった。

 

ユナ「アッチィィィィッ!?クソがッ!!」

零「はぁ、はぁ……奴を殺すぞ」

美鈴「勿論です」

青蛾「えぇ、喜んで」

芳香「…死になさい」

 

零が水威矢を創り、そして射る。

ユナは咄嗟に右に回避する……しかしッ!!

 

美鈴「テイヤァ!!」

ユナ「ガハァッ!?」

 

美鈴の拳を食らう。

血ヘドを吐くユナに更なる追い討ち。

 

青蛾「ちょっと残酷だけど、許してね」

 

壁をすり抜けた青蛾はユナの頭を持ち、そのまま……壁に叩き付けたッ!!

 

ユナ「……チッ」

 

その舌打ちと共に、横に居た弁慶の死体が、何にも触れていないにも関わらず青蛾と美鈴、そしてユナの方向へ動きだし、三人にぶつかった。

多分、死体を移動させたのだろう。

 

ユナ「あぶねぇなぁ」

 

ユナは不意の拳をガードした。

その拳は芳香の物であった。

 

ユナ「嬢ちゃん。キョンシーなんだろ?その割には、生前の感情が残っているなぁ、いや、実は全部覚えていたりして」

芳香「………」

ユナ「なんだ、本当に忘れているのか。ただ、少し感情が残っていることは事実だな」

 

ユナは大刈りで芳香を転ばし、腹にパンチをする。

芳香にはあまり効かないが、分かっていても腹が立つ。

 

ユナ「んじゃあ、俺のターン」

 

瞬間ッ!!自身の体を瞬間移動させ、美鈴達の前に出た。

直ぐに構えるが遅い。既に二十発程殴られた。芳香にも同じく。

 

ユナ「フッフッフ。成長か……素晴らしいぞ。残りは……オマエダ」

零「ッ!?」

 

刹那、重力が俺に対して強く働く。

重い。何だこれは……ッ!?

 

ユナ「おお!!これが『あの人』の言っていた特典か……」

零「うぐッ!!」

ユナ「フッフッフ……」

 

俺に近付き、しゃがみこんで不気味な笑みを浮かべる。

 

ユナ「あんときの仮を返すぜ。お前を後でなぶり殺してやるよ。今は、あんたの弟子達を強姦でもしてるから、そこで見てろ」

零「……や…めろ…」

ユナ「あぁ?やめろ?おっかしいなぁ……敬語がないように聞こえたなぁ」

零「やめ…て……ハァ…くださ…い……」

ユナ「う~ん、ゴメン無理」

零「ッ!!」

 

ユナは高笑いしながら、美鈴達の方へ進んでいく。

俺は死んでもいい、だから、彼女達だけは汚さないでくれ。また、俺のせいだ。

 

俺が居るから、周りの人は地獄を見る。

俺が居なければ、彼女らは幸せだったのだ。俺が死ねばよかったのに……俺が……

 

死ネバヨカッタノニ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことはありません」

 

……?

声が聞こえた。義経の声が聞こえたようだった。

 

「零さん、私はここにいます。死んでしまいましたが、霊として」

 

いや、聞こえた。確かに聞こえた。

義経はいる。ここにいる。俺は目を開いた。そこに居たのは浮遊する玉の緒。

 

「私の緒を持ってください。そして、挑んでください」

 

義経……いや、牛若丸。お前が居てくれて良かったよ。

 

「その言葉、そっくりそのままお返しします」

 

重力の重みが消えた。

俺は立ち上がり、牛若丸の玉の緒を掴んだ。

 

零「おい、腐れ外道」

ユナ「なにッ!?」

 

そこには、鋭い刀の形をした義経の魂を持った零が居た。

 

ユナ「お、お前ッ!!何故立っている!?」

零「二人だからだよ」

ユナ「は?」

零「もう、痛みも重さも無い。傷や負傷は、友によって書き消されるのだ」

 

零は構えた。鋭い目付きを向ける。

 

零「行くぞ。丸」

牛若丸「はい!!」


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