東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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玉の緒の刀 VI 『酒呑』

萃香「そう言うわけで、私は死んだように思われている」

零「ハァ……悪い人間も居たもんだな。毒入りの酒とか……あり得ん」

 

宴会の中、二人で呑む。周りの奴等は気分が上がって、バカをやっている。

しかし、その宴会にはあまり馴染みのない妖怪などもいる。河童や……神様等。

 

零「しかし、何故生き延びれた?毒が入っていたのだろう?対妖怪用の」

萃香「あぁ、入ってた。だが、生きている。何故だろうね、この悪運っているのかな」

零「……」

萃香「夢を見たのさ」

零「……!!」

 

零は、もしや目の前に大きい岩があるあの夢じゃないかと思い、無意識に眉が動いた。

しかし、どうやら違うようだ。

 

萃香「あそこにいる華扇が出てきたのさ。その、夢にね」

零「…ふむ」

萃香「確か……『貴女に教えられたのです。希望の存在を、光に進む価値を、栄光を。幾度も貴女はふざけていて迷惑しています。ですが……そんな迷惑な貴女を失いたくない』ってね」

零「良い話じゃあないか」

萃香「………馬鹿らしくなったよ。あぁ、もう死ぬかもなぁって思ってたから」

 

萃香は少し恥ずかしそうに酒を飲んでいた。その頬の赤みは月明かりによってよく見える。

たぶんその事を言ったら、本人は酒のせいだと無理な言い訳を言うだろう。

 

萃香「私が目を覚めたとき、周りの鬼達が殴り、人間等は刀で斬ってた。刀……それは私の首を斬る為に持ってきたものだと理解した」

零「…なるほど」

萃香「鬼にも器用な奴はいてね。いつかそんな日が来るかもしれないって言って、偽の首を作っていたらしい」

零「そして、彼らはまんまと騙されたわけか」

萃香「そう言うこと」

 

なんとも許し難い話だ。少し、人間に対して怒りを感じる。

正式に戦い、勝つなら良いが……酒に毒を盛る。日本の者として恥ずかしくはないのだろうか?

 

萃香「さぁ、私の過去は話したよ。次はアンタの番さ」

零「……分かった。話そう」

 

今までのことを話した。永琳との出会い、諏訪子達との出会い、青蛾や神子達との出会い、芳香と美鈴との出会い、輝夜との出会いと永琳との再会等々。

その、出会いの物語は次第に皆の興味を引き付けていた。

 

萃香「そんな作り話みたいなのが……」

美鈴「いいえ、作り話じゃあありません」

萃香「分かってるさ、例えだよ。にしても、相当辛い人生だったろう?」

零「まぁな、俺のせいで人の死んだことが二回あったからな」

青蛾「貴方のせいじゃ……」

零「俺のせいさ。な、芳香」

芳香「ん~?分かんないや」

零「そりゃそうか」

 

俺は芳香の頭に手を乗せ、撫でる。

芳香は気持ち良さそうに笑顔になるが、その笑顔によって生前を思い出し、気持ちが苦しくなる。

 

勇儀「その……なんだ。あんたは長い年月生きているから、友人の存在に対して強い思いがあるんだな」

零「そう言うことだ。『深く広くの友好関係』を目指している」

勇儀「なるほど」

鞍馬「零よ。お主ならその友好関係は築けられるぞ」

零「ありがとよ」

 

俺は芳香に乗せていた手を、漸く下ろしたのだった。

 

勇儀「そういや、知ってるかい?軍が妖怪を雇ったって話」

零「知らないなぁ」

 

俺は、あまり重要だとは思わなかったので、そのまま聞き流した。

そして、宴会は再開する


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