東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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玉の緒の刀 V 『仲立』

勇儀「行くわ」

零「おう、来いや」

 

完璧に楽しんでいる俺はそう答えた。

……悪い癖だってのは俺も理解している。ただ、感情ってのはそう簡単に制御できるもんじゃあない。

 

勇儀「四天王の二人が誰かに負けるなんて初めてでねぇ……本気で行かせてもらうよ」

零「んじゃ、俺も」

 

俺は右手から、久しぶりに青い物体を出した。

そろそろこれに名前を付けたいな。そう言えば、名前がない。

そんなどうでも良いことを考えていたら、鬼達はこれに反応した。

 

萃香「それは……!!」 

華扇「まさか…!?」

勇儀「……アンタ、神殺しだね」

零「人聞きの悪い……神は、信仰が有る限り死なないんだよ」

勇儀「ふうん……でも、結局は戦って勝ってきたと」

 

うーむ……コイツらは何が言いたいのか。よくわからん。

取り合えず、YESの反応を示した。

 

勇儀「………フフ」

零「……?」

勇儀「ハッハッハッハッ!!」

零「!?」

 

いきなり笑い出すと言う謎。

その笑い声に俺らや天狗達は勿論、相手の鬼達も困惑していた。

 

勇儀「ハッハッハッ!!いやぁ、だったら当たり前だわ」

零「は?」

勇儀「そりゃ負けるよ。あー腹痛い」

 

ひ、開き直りってやつか?まだ戦ってないのに。

 

勇儀「だけど勝つよ、アンタにね。そんな気持ちで戦わないと失礼だしね」

零「お、おう……」

勇儀「フゥ……ハァアッ!!」

零「ッ!!」

 

勇儀が拳を突き出してきた。

瞬時に避ける、そのついでに『痺の細胞』を使い勇儀にカウンターをくらわせる。

勇儀はカウンターの存在に気付き、手で受け止めるが意味無し。触れた瞬間、体が痺れる。

 

勇儀「ウッアアアアアッ!?」

零「ウオラァァァッ!!」

 

ズシンと渡る鈍痛。痺れて動けないために、余計全身に伝わる。

だが、勇儀はそれを耐え、俺の腕を掴む。

そして引っ張り、地面に叩き付ける。

 

零「グッ!!」

勇儀「ハァアッ!!」

 

寝ている俺の顔面目掛けて殴りかかるが、首を傾げて回避。

俺の真下に『亜空間の原子』を開き、そのまま落ちる。

周りは驚いた。そして勇儀も。

勇儀は亜空間を覗き込む。その真上に、一つ亜空間が開いた。

 

零「一緒に来るんだッ!!」

 

降ってくる俺にビックリしたのか、口を開いていた。

そんな勇儀を掴み真下の亜空間に入る。ループだ。

どんどん加速して行く。そして、一瞬で真下の亜空間が閉まり、勇儀を地面に叩き付けた。

 

勇儀「ガハッ!!」

零「良し」

 

最後に閉め技。

これで身動きがとれない。

勇儀は観念したのか、俺の背中をポンポンと叩き、ギブアップのサインを出した。

 

勇儀「あ~あ、直ぐに負けちまった」

零「ほら、立てるか?」

勇儀「ン、ありがと」

 

俺の手を掴み立ち上がる。

 

勇儀「神は殺して私は殺さないんだね」

零「罪悪感のある殺生は苦手でね」

勇儀「そうかい。………領土の事だね。分かった、諦めるよ」

天狗達「おぉ!!」

 

天狗達の喜ぶ声が聞こえた。

中には鞍馬や文の声。

 

勇儀「鞍馬はいるかい?」

鞍馬「ワシだ」

勇儀「領土は諦める。ただ、友好的にアンタ達と接したい」

鞍馬「うむ、それなら構わない」

文「い、いいんですか!?」

鞍馬「こやつは本気で諦めたようじゃ。コイツらよりは弱いが、コイツらよりは長く生きている。目で分かるわい」

 

流石、と言って良いだろう。

この鞍馬のカリスマ性は尋常じゃあないだろう。根拠がないが、何か説得力がある。

こいつも……言霊ってやつか。言霊は余り感じにくい物だな。

 

零「んじゃ、記念に呑むか」

勇儀「いいねぇ」

鞍馬「みな、今宵は宴じゃ。酒を倉から出せ」

天狗「はい!!」

 

すると萃香が俺に話し掛けてきた。

 

萃香「あのさ、私は人間には死んだってことにされているからさ……」

零「あぁ、言わないよ」

萃香「そう……ありがと」

 

その言葉を聞いて、俺は亜空間から酒を取り出した。


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