東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
勇儀「行くわ」
零「おう、来いや」
完璧に楽しんでいる俺はそう答えた。
……悪い癖だってのは俺も理解している。ただ、感情ってのはそう簡単に制御できるもんじゃあない。
勇儀「四天王の二人が誰かに負けるなんて初めてでねぇ……本気で行かせてもらうよ」
零「んじゃ、俺も」
俺は右手から、久しぶりに青い物体を出した。
そろそろこれに名前を付けたいな。そう言えば、名前がない。
そんなどうでも良いことを考えていたら、鬼達はこれに反応した。
萃香「それは……!!」
華扇「まさか…!?」
勇儀「……アンタ、神殺しだね」
零「人聞きの悪い……神は、信仰が有る限り死なないんだよ」
勇儀「ふうん……でも、結局は戦って勝ってきたと」
うーむ……コイツらは何が言いたいのか。よくわからん。
取り合えず、YESの反応を示した。
勇儀「………フフ」
零「……?」
勇儀「ハッハッハッハッ!!」
零「!?」
いきなり笑い出すと言う謎。
その笑い声に俺らや天狗達は勿論、相手の鬼達も困惑していた。
勇儀「ハッハッハッ!!いやぁ、だったら当たり前だわ」
零「は?」
勇儀「そりゃ負けるよ。あー腹痛い」
ひ、開き直りってやつか?まだ戦ってないのに。
勇儀「だけど勝つよ、アンタにね。そんな気持ちで戦わないと失礼だしね」
零「お、おう……」
勇儀「フゥ……ハァアッ!!」
零「ッ!!」
勇儀が拳を突き出してきた。
瞬時に避ける、そのついでに『痺の細胞』を使い勇儀にカウンターをくらわせる。
勇儀はカウンターの存在に気付き、手で受け止めるが意味無し。触れた瞬間、体が痺れる。
勇儀「ウッアアアアアッ!?」
零「ウオラァァァッ!!」
ズシンと渡る鈍痛。痺れて動けないために、余計全身に伝わる。
だが、勇儀はそれを耐え、俺の腕を掴む。
そして引っ張り、地面に叩き付ける。
零「グッ!!」
勇儀「ハァアッ!!」
寝ている俺の顔面目掛けて殴りかかるが、首を傾げて回避。
俺の真下に『亜空間の原子』を開き、そのまま落ちる。
周りは驚いた。そして勇儀も。
勇儀は亜空間を覗き込む。その真上に、一つ亜空間が開いた。
零「一緒に来るんだッ!!」
降ってくる俺にビックリしたのか、口を開いていた。
そんな勇儀を掴み真下の亜空間に入る。ループだ。
どんどん加速して行く。そして、一瞬で真下の亜空間が閉まり、勇儀を地面に叩き付けた。
勇儀「ガハッ!!」
零「良し」
最後に閉め技。
これで身動きがとれない。
勇儀は観念したのか、俺の背中をポンポンと叩き、ギブアップのサインを出した。
勇儀「あ~あ、直ぐに負けちまった」
零「ほら、立てるか?」
勇儀「ン、ありがと」
俺の手を掴み立ち上がる。
勇儀「神は殺して私は殺さないんだね」
零「罪悪感のある殺生は苦手でね」
勇儀「そうかい。………領土の事だね。分かった、諦めるよ」
天狗達「おぉ!!」
天狗達の喜ぶ声が聞こえた。
中には鞍馬や文の声。
勇儀「鞍馬はいるかい?」
鞍馬「ワシだ」
勇儀「領土は諦める。ただ、友好的にアンタ達と接したい」
鞍馬「うむ、それなら構わない」
文「い、いいんですか!?」
鞍馬「こやつは本気で諦めたようじゃ。コイツらよりは弱いが、コイツらよりは長く生きている。目で分かるわい」
流石、と言って良いだろう。
この鞍馬のカリスマ性は尋常じゃあないだろう。根拠がないが、何か説得力がある。
こいつも……言霊ってやつか。言霊は余り感じにくい物だな。
零「んじゃ、記念に呑むか」
勇儀「いいねぇ」
鞍馬「みな、今宵は宴じゃ。酒を倉から出せ」
天狗「はい!!」
すると萃香が俺に話し掛けてきた。
萃香「あのさ、私は人間には死んだってことにされているからさ……」
零「あぁ、言わないよ」
萃香「そう……ありがと」
その言葉を聞いて、俺は亜空間から酒を取り出した。