東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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どうも、薬売りです。
先週休ませていただいて、理由を活動報告の方で言ったんですが、自分の知名度の低さを忘れてました。理由は、大晦日と正月が忙しく、手につけませんでした。

それでは、どうぞ!!


玉の緒の刀 lll 『偽装』

文「良いですか?いかにも鞍馬様っぽくしてくださいね」

零「おう」

 

遂に鬼の来る日が来た。

周りの天狗達は緊張と恐怖の空気を漂わせている。

本物の鞍馬は俺の側近として、身を隠している。

争い事になっても、全面戦争は避けねばならない。一対一、俺と鬼のてっぺんと。

 

牛若丸「……零様」

零「なんだ?」

牛若丸「もし負けたら殺すからな」

零「……フフッ、分かった分かった。そんな心配するな。負けはしない」

 

牛若丸は俺に殺気を放ちつつ、そこに座る。

 

零「殺気は消せ。バレるぞ」

牛若丸「……」

 

殺気が消えた。

その強い殺気が消えたことで、更に細かい殺気を感じることができた。

遠くに居るから細かいが……多分大きい。鬼の殺気か?

次第にどんどん大きくなっていく。近付いてくる。

 

零「………」

 

楽しみで仕方がない。

その殺気は、すぐそこまで来た。多分三人、建物の前に居る。

 

零「入れ」

女鬼「お邪魔するわよ」

零「宜しく。鬼さん」

勇儀「私は『星熊勇儀』さ」

零「ワシは鞍馬、ここのてっぺんをやらせてもらっている」

勇儀「フゥン……」

 

物凄い気を感じる。

後ろの美鈴や青蛾は辛そうな表情をしているだろう。

芳香は………知らん。

 

勇儀「んで、このちっこいのが『伊吹萃香』だ」

萃香「誰がちっこいだッ!!」

勇儀「そして、この薄紅の髪をしたのが『茨木華扇』だ」

華扇「宜しくお願いします」

零「あぁ、宜しく。まぁ、座れや」

 

その命令に従い、鬼三人は座った。

 

勇儀「いやぁ、すまないね。本当は鬼全員で来る予定だったのに、鬼の四天王だけで行けって言われてね」

零「鬼の四天王……」

萃香「そ、鬼の四天王。天狗なら聞いたことぐらいはあるでしょ?」

 

き、聞いたことがねぇ……

 

零「もう一人は?」

萃香「風邪」

零「え?風邪で休みか?」

萃香「風邪を移しちゃいけないからって、来るのをやめたらしい」

 

なんか、イメージと違う。

なんか、鬼ってもっとこう……オラオラ系だと思ってた。

なのに意外にも礼儀正しく…って、それは失礼か。

 

勇儀「にしても、天狗以外にも何か居るねぇ」

零「……」

勇儀「他の妖怪、死人、仙人……そして、人間。天狗には誇りが無いのかい?」

牛若丸「ッ!?」

勇儀「人間と妖怪は敵対する生き物。なのに、鞍馬。あんたはその人間を育ててる。全く、笑い話にも出来やしないねぇ」

 

牛若丸が拳を握っている。強く。血が出るほどに。

 

華扇「勇儀さん、もう挑発はよしましょう」

勇儀「思ったことを言っているだけさ。頭がおかしいとしか思えない。もしその育てた人間に殺されたら……()()()()だよ」

 

牛若丸はもう、我慢が出来なかった。

 

牛若丸「私が鞍馬様にそんなことをするわけがないッ!!」

勇儀「ハハハ、本当かねぇ?そんなに怒っているのも演技かもしれないな?」

牛若丸「貴様ァァァァァッ!!」

 

牛若丸は刀を引き、鬼達に切りつけるッ!!

 

勇儀「……フッ」

牛若丸「クッ離せ!!」

零「………」

 

だがそれは、零に腕を掴まれて、終わった。

 

牛若丸「離せといっているだろうッ!!」

零「やめろ」

牛若丸「ッ!?」

 

牛若丸は恐怖した。この男に。

あの目付き。あの力。あの殺気。全てが自分の比じゃない。

まるで天敵に見つかった動物のように、牛若丸はその場で腰を抜かした。

 

勇儀「やっぱり教育は出来てないようだね。妖怪じゃあ人間を教育することなど出来ないのさ」

零「………」

 

零はゆっくり勇儀に近付いて行く。

 

勇儀「なんだい?詫びの品でも出すのかい?鬼の機嫌を損なわない為に?だとしたら、あの青年の方がもっともっと強い心を持っているね」

零「………」

 

そして、勇儀の前に立つ。

 

勇儀「ほら、早く座りな。人間なんか庇う鞍馬天狗さん」

零「……嘘は嫌いか?」

勇儀「は?何を言って………ッ!?」

 

次の瞬間ッ!!勇儀の顔は地面にめり込んでいたッ!!

それは零が殴ったからだッ!!誰にも見えぬスピードッ!!誰にも真似できないパワーッ!!

その拳で勇儀を殴ったッ!!

 

勇儀「グァハッ!?」

萃香「勇儀!?」

華扇「勇儀さん!?」

零「もし嘘が嫌いなら、謝っとくよ。俺は鞍馬天狗じゃあねぇ」

鞍馬「お、お主」

勇儀「な……んだと?」

 

零は勇儀の胸ぐらを掴み、押し出した。

勇儀は倒れそうになったが、後ろの鬼二人が支えた。

 

零「表に出ろ。『治癒の細胞』で傷は治した」

勇儀「なに?」

 

確かに、もう痛みはない。

 

零「三人とも来いよ。鞍馬の侮辱を償わせてもらおう」

牛若丸「………」

 

牛若丸は見た。彼の後ろ姿を。

牛若丸は見た。彼の正義を。

牛若丸は見た。彼の………

生き様をッ!!


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