東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
先週休ませていただいて、理由を活動報告の方で言ったんですが、自分の知名度の低さを忘れてました。理由は、大晦日と正月が忙しく、手につけませんでした。
それでは、どうぞ!!
文「良いですか?いかにも鞍馬様っぽくしてくださいね」
零「おう」
遂に鬼の来る日が来た。
周りの天狗達は緊張と恐怖の空気を漂わせている。
本物の鞍馬は俺の側近として、身を隠している。
争い事になっても、全面戦争は避けねばならない。一対一、俺と鬼のてっぺんと。
牛若丸「……零様」
零「なんだ?」
牛若丸「もし負けたら殺すからな」
零「……フフッ、分かった分かった。そんな心配するな。負けはしない」
牛若丸は俺に殺気を放ちつつ、そこに座る。
零「殺気は消せ。バレるぞ」
牛若丸「……」
殺気が消えた。
その強い殺気が消えたことで、更に細かい殺気を感じることができた。
遠くに居るから細かいが……多分大きい。鬼の殺気か?
次第にどんどん大きくなっていく。近付いてくる。
零「………」
楽しみで仕方がない。
その殺気は、すぐそこまで来た。多分三人、建物の前に居る。
零「入れ」
女鬼「お邪魔するわよ」
零「宜しく。鬼さん」
勇儀「私は『星熊勇儀』さ」
零「ワシは鞍馬、ここのてっぺんをやらせてもらっている」
勇儀「フゥン……」
物凄い気を感じる。
後ろの美鈴や青蛾は辛そうな表情をしているだろう。
芳香は………知らん。
勇儀「んで、このちっこいのが『伊吹萃香』だ」
萃香「誰がちっこいだッ!!」
勇儀「そして、この薄紅の髪をしたのが『茨木華扇』だ」
華扇「宜しくお願いします」
零「あぁ、宜しく。まぁ、座れや」
その命令に従い、鬼三人は座った。
勇儀「いやぁ、すまないね。本当は鬼全員で来る予定だったのに、鬼の四天王だけで行けって言われてね」
零「鬼の四天王……」
萃香「そ、鬼の四天王。天狗なら聞いたことぐらいはあるでしょ?」
き、聞いたことがねぇ……
零「もう一人は?」
萃香「風邪」
零「え?風邪で休みか?」
萃香「風邪を移しちゃいけないからって、来るのをやめたらしい」
なんか、イメージと違う。
なんか、鬼ってもっとこう……オラオラ系だと思ってた。
なのに意外にも礼儀正しく…って、それは失礼か。
勇儀「にしても、天狗以外にも何か居るねぇ」
零「……」
勇儀「他の妖怪、死人、仙人……そして、人間。天狗には誇りが無いのかい?」
牛若丸「ッ!?」
勇儀「人間と妖怪は敵対する生き物。なのに、鞍馬。あんたはその人間を育ててる。全く、笑い話にも出来やしないねぇ」
牛若丸が拳を握っている。強く。血が出るほどに。
華扇「勇儀さん、もう挑発はよしましょう」
勇儀「思ったことを言っているだけさ。頭がおかしいとしか思えない。もしその育てた人間に殺されたら……
牛若丸はもう、我慢が出来なかった。
牛若丸「私が鞍馬様にそんなことをするわけがないッ!!」
勇儀「ハハハ、本当かねぇ?そんなに怒っているのも演技かもしれないな?」
牛若丸「貴様ァァァァァッ!!」
牛若丸は刀を引き、鬼達に切りつけるッ!!
勇儀「……フッ」
牛若丸「クッ離せ!!」
零「………」
だがそれは、零に腕を掴まれて、終わった。
牛若丸「離せといっているだろうッ!!」
零「やめろ」
牛若丸「ッ!?」
牛若丸は恐怖した。この男に。
あの目付き。あの力。あの殺気。全てが自分の比じゃない。
まるで天敵に見つかった動物のように、牛若丸はその場で腰を抜かした。
勇儀「やっぱり教育は出来てないようだね。妖怪じゃあ人間を教育することなど出来ないのさ」
零「………」
零はゆっくり勇儀に近付いて行く。
勇儀「なんだい?詫びの品でも出すのかい?鬼の機嫌を損なわない為に?だとしたら、あの青年の方がもっともっと強い心を持っているね」
零「………」
そして、勇儀の前に立つ。
勇儀「ほら、早く座りな。人間なんか庇う鞍馬天狗さん」
零「……嘘は嫌いか?」
勇儀「は?何を言って………ッ!?」
次の瞬間ッ!!勇儀の顔は地面にめり込んでいたッ!!
それは零が殴ったからだッ!!誰にも見えぬスピードッ!!誰にも真似できないパワーッ!!
その拳で勇儀を殴ったッ!!
勇儀「グァハッ!?」
萃香「勇儀!?」
華扇「勇儀さん!?」
零「もし嘘が嫌いなら、謝っとくよ。俺は鞍馬天狗じゃあねぇ」
鞍馬「お、お主」
勇儀「な……んだと?」
零は勇儀の胸ぐらを掴み、押し出した。
勇儀は倒れそうになったが、後ろの鬼二人が支えた。
零「表に出ろ。『治癒の細胞』で傷は治した」
勇儀「なに?」
確かに、もう痛みはない。
零「三人とも来いよ。鞍馬の侮辱を償わせてもらおう」
牛若丸「………」
牛若丸は見た。彼の後ろ姿を。
牛若丸は見た。彼の正義を。
牛若丸は見た。彼の………