東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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満月は光る VIII 『儚月』

戦闘を申し込まれた俺。まぁ、久々の戦闘で少し興奮気味。

 

零「にしても、月の民の科学は着々と進化しているようだな」

豊姫「はい、神田様が居なかったらまだここまでは進んでいなかったはずです」

零「神田様は……止めてくれないか?」

豊姫「え、ですが……」

零「どうせ会うことも少ない。敬語は要らん」

 

豊姫と依姫は、少し考えてから顔をこちらに向けた。

 

豊姫「断ります」

依姫「同じく」

零「ふむ、それは?」

依姫「私達は、あなたに憧れて部隊に入ったのです」

豊姫「目指す人物に無礼があってはなりません」

零「フゥ―ッ……やれやれ」

 

考え方を少し変えろ。彼女達はまだまだ未熟だ。

俺は彼女達を強く見つめ、話を続ける。

 

零「俺は、月読を倒して、永琳を拐って、堂々と悪人役になった俺を憧れているのか?」

二人「「はい」」

レイセン「………」

 

兎の彼女が正解だろう。仲間を大量に倒されたされたからな。

 

零「じゃあ、目指されている者として、アドバイスをやろう」

 

二人は、顔をパァっと輝かせた。

 

依姫「はいッ!!」

豊姫「はいッ!!」

零「元気がいいな…君はどうする」

レイセン「え……あ、はい」

 

少し目的とズレたが、アドバイスも兼ねての戦闘だったら良いだろう。

 

零「取り合えず、来い。攻撃をしろ。お前達の実力を見る」

 

三人はそれぞれ違う構え方をする。

最初に攻撃は、依姫だ……よな?刀を地面に突き刺した。

 

零「……?」

依姫「『祇園様の力』」

 

刹那、俺の周囲には無数の刀が刃をこちらに向けている。

 

零「なるほど。下手には動けん」

依姫「よし…」

零「だがしかし…」

 

零は動いた。

 

依姫「う、動いてはなりません!!」

 

無数の刃がこちらを刺そうとしてくる。

零は、瞬間で右手の硬く青いモノを全身に纏った。

 

依姫「ッ!?」

 

刃を弾いたのだ。

 

零「まぁ、地上の人達からすりゃ人溜まりもない。だが、硬化系の妖怪等だったら効かない」

依姫「……」

 

目を大きく開かせて、驚かせている。

 

零「考えろ、どう倒すかをな」

依姫「柔らかい部分を刺す」

零「そうだ。たぶん共通して柔らかいのは目だ」

依姫「目、ですか」

零「目には水分がたくさんある。柔らかいはずだ」

 

全身の青いモノを、一瞬で消した。

 

零「相手の弱点を狙え。と言ってもどうすりゃいいか分からないだろう。だったら、『弱者に共通するモノを探せ』」

 

依姫は礼をして、その場から退いた。

 

豊姫「お願いします」

 

お辞儀。それから、静かに扇子を広げ、こちらへ向ける。

 

依姫「お姉様!?」

豊姫「私は、信じているからこそ、やるのです。『消えたら』それまでの人だった」

零「…?」

 

なにをやる気か?考えていると、瞬間的に移動をして、俺に扇子の風をあびせた。

 

豊姫「……残念です」

依姫「……」

 

神田零が、その場から消えた。否、消されたのだ。

 

豊姫「この扇子は森を素粒子レベルに浄化させることもできる。貴方を浄化させました」

 

失望感。それしかないだろう。

失望感と言うのは残酷なもので、人のモラール及びモラルの華を削ぎ落とす。

なんという残酷。なんという無慈悲。

だがもし、華を削ぎ落としたフリをしていて、それを本人達が知ったら、華はさっきよりももっと成長するだろう。

 

零「つまり、こういうことだ」

豊姫「……参りました」

 

何があったか?順を追って説明しよう。

まず、扇子を広げて、依姫が豊姫を止めにかかった。この時点で、扇子に注意を払う。

そもそも広げた時点で風は起こる。空気中の水蒸気がH(水素)O(酸素)に分解及び浄化したのを感じた。その時点で、もう俺の勝ち。そして、彼女達の華を成長させる機会になる。

何故、俺が消えたか?水蒸気を纏ったのだ。

水蒸気を纏い、光の反射で消えたように見せた。ただそれだけさ。

そして、彼女の首元に青い右手を向けている。

 

豊姫「そういうことでしたか」

零「そう。君は扇子の扱いを注意した方がいい。とは言え、空気中の水蒸気が浄化するのを感じれるのなんて、俺以外居ないがな」

 

二人はなかなか強い。

最後にレイセンだ。

 

レイセン「……」

零「ほう……」

 

いきなりの攻撃だ。

彼女の紅い瞳により、辺りの気が狂い始めている。

つまり、幻覚。

 

零「……クッ」

 

酷い目眩。酷い吐き気。酷い怠さ。

全てが俺を襲う。この感覚は、ユーベ・ナイトバグの能力に似てた。

 

豊姫「レ、レイセンッ!!止めなさい!!私達にまで……」

レイセン「……仲間の仇だ」

 

やはりか。

レイセンは、俺に人差し指を向ける。そして……

 

零「うぐッ!?」

 

何かを撃ってきた。

それは、俺の心臓を貫いていた。

なんだ?もしかしたら、俺の弱点なのかもしれない。この、吐き気のする感覚は。

トラウマのような、何かが俺を襲う。

 

お前を許さない 必ずだ

 

なんだ?この、見たことのない光景は?

頭痛が酷い。寒い。意識の朦朧とした中、女性が見えた。それは、豊姫でも依姫もでレイセンでもなく、ましてや、知った顔ではない。だが、どこかで見た顔。

あぁ、ウジ虫が体に張り付いているかのような感覚だ。

なにか、女性は喋っている。

生憎、読唇術はない。ただ、何となく言っていることは分かる。

俺は……

人間じゃあないと言われている

いつの間にか吐き気もなく、頭痛もなく、心臓には穴も空いていない。

レイセンが狂気の瞳から恐怖の瞳へと変わっていた。

俺に対する恐怖だろう。

 

零「……フフフ」

豊姫「神田…様?」

 

思わず笑ってしまう。

何かも分からない女性から人間じゃないと言われたのだ。

薄々は気付いていた。脳を100%使う?馬鹿馬鹿しい。そんなわけないだろう?

俺は誰だ?俺は誰だ?おれはだれだ?オレハダレダ?俺波誰打?俺ハ誰ダ?

おれ スペース エンター は エンター だれ スペース エンター だ エンター はてな スペース スペース エンター

俺は誰だ?

orehadareda?

エラー エラー エラー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「俺は誰だ?」

レイセン「え…」

零「……すまん。取り乱した」

 

所詮、記憶。あれ?記憶?

いや、記憶。

 

レイセン「私の敗けです。やっぱり御強いですね」

豊姫「神田様が怒るのも無理ないわ。反省しなさい。幾ら仲間の仇とはいえ」

零「いや、俺も悪かった。無慈悲に君の仲間を攻撃してしまって」

 

何をやっていたのだろう?いつの間にか勝っていた。

記憶が飛んでいる。

 

零「まぁ、死んではないがな」

レイセン「え!?」

零「気絶させただけさ。時期に目も覚める」

レイセン「なんだぁ…なら最初からいってくださいよぉ~」

零「うむ、すまないな」

 

とはいえ、無事に終わった。

久しぶりの戦い。実によかった。

しかし、あの女性は一体何だったのだろうか。俺は、亜空間を空け、永琳の元へと向かった。


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