東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
私としたことが……こんな、頭が弱そうな娘に恐怖するなんて。
だが、この娘が人間じゃあないのは確かだ。なにせ、六割の攻撃を受け止めたのだ。
他の二人もか?一人は妖力を感じる。一人は……何だ?感じたことのない……なにかを……
攻撃をするために一気に近付くッ!!
芳香「ちーかよーるなー!」
幽香「断るわ」
芳香「フッ!!」
幽香のパンチと芳香のただただその位置に置いただけの握り拳が交わった。
間接をずっと伸ばして居るはずなのに……いったいどういうことだ?
私はパンチを繰り広げる準備をしていたのに、アッチはしていない。なのに……こんなに強いのは何故だ!?
いや、私ほどの力はない。だが、あり得ない力を持っている。だって、何がなんでも間接を曲げないのだ。なめてる。
ハンデのつもりか?
幽香「間接曲げたらどうよ」
芳香「むりー」
何がなんでも曲げない気かッ!!
だんだんイラついてきた。
幽香「ウゥォオオラァァ!!」
心臓のある場所に拳……動いてない?
妖怪でも動いているはず。
さっきからチラチラと見える赤髪の女が鬱陶しい。
幽香「貴女ッ!!何者よッ!?」
芳香「芳香」
幽香「名前じゃあない」
芳香「えと……忘れたぁ」
笑顔で、バカのような発言。
完全になめてる。
すると、後ろから気配。
青蛾「私達をッ!!」
美鈴「忘れないで下さいッ!!」
幽香「チッ」
私は咄嗟に下へ逃げた。その状態で足を崩そうと足で蹴ろうとするが、案の定跳んで避けた。
そんなことを最初から知ってた私は彼女等の間で足を止め、能力を発動する。
幽香「食らいなさい。私の植物の力をッ!!」
私は、自分の足から茨を出し、青髪の女と赤髪の女を攻撃する。
間接を曲げない娘は足をつかんで転ばす。
芳香「うぬわぁー」
コケた。なんか、普通にコケた。
それはともかく、正反対の髪の色を持つ彼女等を縛り上げる。
幽香「案外楽だったわね。一度に全員を戦闘不能の状態にしたのだから」
青蛾「いや、それはないわ」
幽香「…?」
美鈴「私たちにだって能力はありますし」
芳香「終わらない。戦いは終わらない。何故なら、敗けてないから」
幽香「貴女はそうかもね。だって、間接を曲げればすぐ立てるもの。もう曲げたらいいんじゃあないかしら?それともなに?悔しい?」
芳香「まがらないのー」
何を言っているんだ?
曲がらない?
幽香「本当なの?」
芳香「うん」
幽香「えぇ…」
芳香「ハッ!!」
芳香は地面を噛み、勢いで倒立する。頭で体を支えている。
で、そのまま倒れる。そしたら、伸ばしていた手が地面に付き、またまた勢いで、そして腕の力で立った。
その間の秒数、三秒。
幽香「本当に何者よ」
青蛾「よっと、やっと動けるわ」
幽香「えッ!?」
そこには、茨で縛った筈の青髪と赤髪が居た。
奥を見れば、枯れた茨と枯れていない茨が在った。
青蛾「私の能力はね、零は知らないけど『壁をすり抜けられる程度の能力』なのよ。壁じゃあないけどすり抜けられたわ」
美鈴「そんな能力だったんですか。私は『気を使う程度の能力』です。だから、私の中の気を使って茨を枯らしました」
私の……植物を枯らした?
殺意。生まれた物は殺意だ。
殺してやる。
幽香「貴女を殺すわ」
美鈴「え、私単体!?」
幽香は日傘を向けて、宣言をした。
青蛾「う~ん……ガンバ★」
美鈴「うぉぉおいいッ!?」
幽香は、日傘からレーザー出した、ドでかいレーザーを。
美鈴「フーッ………ハァッ!!」
美鈴は殴った、レーザーを。
跳ね返るはずがない。食い止められるはずもない。
奇行を行った美鈴は、何をしている?
そう、思っていた。だが……
跳ね返したのだ、レーザーを。
美鈴「気を拳に集中させ、跳ね返しました」
幽香「………チッ」
私は殺す気で戦っているのに……コイツらはッ!!
美鈴「あ、惜しい」
青蛾「貴女……わざと私の方に跳ね返したわよね」
美鈴「偶然です」
幽香「ちゃんと戦って」
美鈴「ちゃんと戦ってます。私は戦闘に誇りを持っている人でして」
どこがだ、戦っていない。
美鈴「いいえ、戦ってます。それじゃあ、おさらいをしましょう」
幽香「は?」
いきなりなにを言っているんだ?
美鈴「私の能力は『気を使う程度の能力』です。それにより、レーザーを跳ね返すことが出来るのです」
幽香「一体何を」
美鈴「一番最初に攻撃された芳香さんに興味を持ち、一切私達に見向きもしなかった」
こいつは何を口走っている?
美鈴「今思えば、不思議じゃありません?芳香さんと戦っている間にもっと早く三人で攻撃をできたはず」
確かに、不思議には思っていた。
美鈴「なのに私は、周りをグルグルまわっているだけ」
チラチラとは見えていた。
幽香「それがなんだっての」
美鈴「もし、周りをまわっている時に『空間にレーザーを跳ね返す気だけを留めていたら』」
幽香「…?」
美鈴「そして、私が跳ね返したレーザーは青蛾さんに当てる為ではない」
幽香「まさかッ!?」
美鈴「もう遅い」
振り返ると……回避不能な所に私のレーザーが在った。
そして、飲み込まれる。
つまりだ美鈴が、留めておいた気のお陰で、この時代には無いがビリヤードのようにレーザーが移動していたのだ。ビリヤードって言う表現の方が、君も理解しやすいだろう?
まぁ、いい。そう言うわけで、風見幽香を倒すことが出来たのだよ、美鈴は。
幽香「ウッ!!」
零「よく頑張ったな。美鈴」
美鈴「え、えへへ……そうですかねぇ」
頭を撫でられ、美鈴はにやける。
それを見ている青蛾は羨ましそうに見る。
零「すまんな、弟子達の実力を見たかったんだ。許してくれ」
幽香「許さないわ」
零「……そうか」
幽香「だって、私の茨を枯らしたのだもの。許さない」
美鈴「え?確かに枯らしましたけど…元に戻しましたよ?」
幽香「……?」
顔をあげてみれば、綺麗な色をした茨しかなく、枯れた茨は見つからなかった。
幽香「ど、どう言うこと?」
美鈴「気を使ったんですよ。気は、大きく分けると二種類に分けられます。『再生』と『破壊』です」
幽香「『再生』と……『破壊』?」
美鈴「まず、茨を『破壊』させ、そのあとに『再生』をしました」
零「まぁ、結局枯らしたことは事実だしな。謝るよ、すまなかった」
美鈴「い、いや!!師匠が謝らないで下さいよ!!あ、あの本当に申し訳ありませんでした!!」
幽香「…………フフ」
美鈴「え?」
幽香「なんでもないわ。早く、ここから出してはくれないかしら?」
零「いいぜ。ほいッ!!」
久しぶりの外の空気を吸うかのように、深呼吸をする幽香。
幽香「ンー!!いい空気!!あの空間吐き気がするのよ」
零「む、すまんな」
幽香「いいわよ、もう。なんか、いいわ」
零「なんだよ」
幽香「知らない」
この年一番内容がない会話をした気がした。
ともあれ、やっと終わった。見ればもう夜になりかけていた。
幽香「もう、今日は泊まりなさい」
零「良いのか?」
幽香「ええ、いいわよ。さぁ、家はこっち。来なさい」
幽香の言う通りにすることになった。
月が、満ちかけてきた。もうそろそろだな。