東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
零「連れ出せって言われてもなぁ…」
輝夜「お願いします!!」
零「取り合えず、その敬語やめてくれ」
輝夜「あ、うん…」
色々、分かんないぞ?
彼女は、さっきまで姫っぽいしゃべり方だったのに、いきなり敬語を使うという変化。
連れ出せってのはなにから連れ出せば良いのか。
この二点だけハッキリさせよう。
零「連れ出せってのは、なにから連れ出せば良い?」
輝夜「私は、不老不死の薬を飲んだの」
美鈴「不老不死ィ!?」
不老不死……老いることも死ぬこともない訳か。薬となると、永琳が作ったわけか。
輝夜「薬は『
零「八意思兼神?」
輝夜「あ、永琳のことよ」
零「あいつ、神になったのか」
輝夜「えぇ、知恵を司る神にね」
ふむ、あいつにピッタリの神だ。
知恵ね…今でも研究はしてるだろうから、もうあいつの方が上だな。前までは教えたりしていたが、たぶん会ったら逆に教えられる側になるだろうな。
零「で、その薬を飲んだからなんだってんだ?」
輝夜「重罪なのよ」
零「へぇ、薬を飲んだだけで?」
輝夜「ええ。創るのもダメよ」
零「永琳は何故創ったんだ」
輝夜「そ、それは………今度にして。今はダメ」
零「…そうか」
今はダメか…。
どのような理由なのか。気になることではあるが、急ぐこともない。だって、今度教えてくれるんだから。
零「重罪か。それで、地上に逃げてきた?」
輝夜「いや、それが罰」
零「ン?どういう事だ?」
輝夜「地上で暮らすことが罰なの。月では、地上は穢れた世界っていう認識をしているのよ」
零「確かに、いつかを境に穢れていたが……」
輝夜「昔、貴方が妖怪を核爆弾で大量に殺したでしょう?」
零「……そうか。そう言うことか。その時に散った妖怪の血液と核の放射物により、この世界は穢れた」
輝夜「そうよ」
穢れ。月にはそれが無いから、永琳達がまだ生きているのか。
てっきり、薬を創って長生きしているのかと思っていた。
……俺は?俺は何故生きている?今まで不老と言っていたが、別に老いない薬を飲んだわけでもないのに、何故穢れたこの地で生きている?寿命は?脳に100%負担がかかれば速くて一日で死ぬんじゃあないか?
原因は、俺が元々何だったのか。それが分かれば、それも分かる。
何者なんだ?俺は…一体……今、本当に俺は人間なのか?
……考えても仕方がない。
零「……その罰も終わりが近いから、月人が迎えに来る。それらから連れ出せと言っているんだな?」
輝夜「えぇ、そう言うことよ。この星が好きになったから…でも、もう男に言い寄られるのはコリゴリ……静かに暮らしたいの」
なるほど……。よし、分かった。
零「良いぜ?月人は俺が何とかしよう。きっと顔見知りも居るだろうよ」
輝夜「ありがとうッ!!」
青蛾「本当に、お人好しよねぇ」
零「んにゃ、そんなことねぇよ」
青蛾「どこをどう見たら違うのよ」
零「さぁ?知らねぇな」
さてさて、次の質問としよう。
立ってるのがそろそろ苦痛なので、その場に座った。
零「さてと…話が変わるが、なんで俺がそんなに有名なんだ?」
輝夜「だって、素敵じゃない?恋人と仕事仲間、そして暮らしていた人々を救うべく、自らの命が危険にさらされても戦うなんて」
零「………」
美鈴「照れてます?」
零「な、んだと!?そんなわけないだろうが!!」
青蛾「露骨ね」
輝夜「まぁ、まさか生きてるとは思ってなかったわ」
苦笑いしながら言う。
ここで1つ、疑問が生まれた。
零「何故、俺が神田零と信じた?」
輝夜「どう言うこと?」
零「そのままの意味だ。もしかしたら、嘘をついているかもしれないじゃないか」
輝夜「まぁ、そうね」
アッサリ肯定した。
零「じゃあ何故?」
輝夜「そうね……力かしら。貴方の言霊の力と言うか」
零「どういう?」
輝夜「貴方は無意識でしょうけど、言霊に霊力や神力がこもってる。普通の人間は神力は持ってないし、そもそも言霊に霊力をこもらせるのは困難。出来るようになっても、一言一言に膨大な霊力を吹き込まなきゃならない。なのに、貴方はそれを意識もせずに、まるで呼吸や瞬きのように平然とやるの。そんなことをできるのは月人の上級の人達ぐらいしか出来ないのよ。そこに神力も入っているから、もう『
零「へぇ…今まで気が付かなかった」
美鈴「だから、師匠が言ったことを信じちゃうんですね~」
零「ふーん、そう。わかった。迎えはいつ、来るんだ?」
輝夜「次の満月の時よ」
零「もうすぐじゃねぇか」
今夜は新月だ。それから満月の時まで……十五日ぐらいか?
零「そうか……迎えが来る丁度、俺はお前を連れ出す」
輝夜「なんで?」
青蛾「今じゃダメなの?」
零「輝夜が、月に帰ったと言うことにして逃げる」
青蛾「ああ、なるほど」
我ながら良い考えだ。
零「それで良いか?」
輝夜「うん。良いわ」
零「んじゃ、決定だな」
それまで、都で観光だな。楽しみ~。
輝夜「あなた達がいつでもここに入れるように言っておくわ」
零「おう、分かった。じゃあな!!」
そういって、塀を越えていった。
その内、見張りが戻ってきた。何をしてたの?と言うと、何も答えなかったので心の中で笑ってやった。