東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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空の雲は輝いて VI 『幼虫』

芳香「……………」

ユーベ「芳香ちゃん、声が出てないよ?何を言っているか分からないじゃあないか」

 

『ふざけるな』そう言いたい。

でもしゃべれない。口を動かすだけでなにもしゃべれない。

アイツが座っている椅子の隣に、私の体が座っている。私の首はここにある。

つまり、生首だ。呪文により、生きている。痛みはあるのに。血は出てないが、これも呪文だろうか。

私の首は檻の中にある。小さい檻。

 

ユーベ「フフフフ……可愛いなぁ芳香ちゃん。愛してるよ」

 

貴様に愛されたくなどない。私は……昨日会ったばかりだが……零……………助けて…………

クッ…ぶっ殺してやる!!こんなやつに……ッ!!

 

ユーベ「フーッ…怒った顔も可愛いね。でも、芳香ちゃん。虫、嫌いなんだろう?」

芳香「………!?」

ユーベ「それ、困るんだよねぇ。だって僕、虫の妖怪なんだから」

 

だから、なんだって言うの?

 

ユーベ「好きになってもらわないと。虫も、僕のことも。だから、『慣れて』くれよ?」

芳香「!?」

 

やめろ!!来るな!!来るなァ!!

やめて!!やめて!!来るな来るな来るな来るな来るな来るなァァァァァァァァァァッ!!

ヤメロォォォォォォォォッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「急げ!!もうすぐだ!!」

美鈴「芳香さん…ッ!!」

青蛾「お願い…ッ!!」

 

前方に廃墟がみえる。

 

零「あそこから芳香の……芳香の……」

美鈴「ど、どうしました?」

零「二ヶ所から芳香の反応がある…?まさかッ!?」

美鈴「……?あ、着きました!!」

 

ドアを開け、辺りを見渡す。

そこには、椅子に座っている芳香……の体。

檻に入っている、虫に覆われた芳香の首。

そして、男の姿。

 

ユーベ「なんですか?貴方達は、夫婦円満の時を邪魔し……」

零「『熱の細胞』ッ!!」

ユーベ「グッ!?」

 

零は、その男を見るや否や、『熱の細胞』で殴り抜けたッ!!

男は吹っ飛び、壁にぶち当たる!!

 

ユーベ「熱っちィィィィッ!?」

零「そうかそうか、熱いか。じゃあ冷やしてやるよ。『冷の細胞』」

ユーベ「アァァァァァアアアアアアアッ!!」

 

『冷の細胞』で、ユーベの腕を凍らせた。

 

零「あーあ、これじゃあ凍傷するなぁ!!」

ユーベ「グアァァァ!?」

 

零は、ユーベの腕をもぎ取った。

 

ユーベ「ハァ……ハァ……」

零「…ッ!?」

 

ユーベが、零に取られた方とは逆の方の手を向けた。

零は、不審に思い飛び退いた。

 

ユーベ「いい勘してるじゃあないですか。貴方に呪いを掛けようとしたんですよ」

零「………何故、こういうことをする?なにか企んでいるのか?」

ユーベ「フ、フフ……少し…下品なんですが…人の生首を見ると、性的快感を得れるんですよ。刺激もしてないのにね」

 

……は?それだけの理由でか?ふざけるなよ。

 

零「テメーはこの俺が、ぶちのめす」

ユーベ「怖い怖い。『神田零』さん」

零「ッ!?何故俺の名前をッ!?」

 

名前をわかるのはいい。だが、何故名字まで分かる?

 

ユーベ「『神田零』……カスみたいな名前ですね。元々の名前がよかったのに」

零「ッ!!」

ユーベ「この事件を起こしたのは、芳香ちゃんを愛する為と、あんたを殺す為に起こした」

 

何者なんだ!?こいつは!?

 

ユーベ「さて、始めましょうか。血が飛び交う、ダンスショーを!!」


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