東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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空の雲は輝いて V 『死骸』

美鈴「ふんふーん♪」

 

修行を終え、散歩を兼ねてそこらの妖怪と闘っていたら、なんか分かんないけど楽しくなった。

にしても、さっきから蛍が多い。

蛍の妖怪が近くにいるのかな?

 

男「お嬢さん」

美鈴「はい?なんでしょう」

 

そんなことを考えていたら、男が話しかけてきた。

 

男「おやおや、思いの外美しいですね」

美鈴「ナンパですか?間に合ってますよ」

 

嘘だけど。

 

男「大丈夫」

 

地味に会話が成立しない。

外国人か?

 

ユーベ「私、『ユーベ=ナイトバグ』と言います。以後お見知りおきを」

美鈴「へぇ」

ユーベ「…?非常識な人ですね。名乗らないのですか」

美鈴「信用してないので」

ユーベ「マナー知らずには罰を与えなければ」

美鈴「……?」

 

なに言ってるのか?

理解不能。

 

美鈴「一体何を………ッ!?」

 

大量の虫が足から登ってくる。

ゲジゲジ、ムカデ、ゴキブリ、ウジ虫等々…

 

ユーベ「ン?虫がお好きですか?これは気が合いそうですね。でも残念です。貴女は好みじゃあありません」

美鈴「虫の妖怪か…王様を呪ったのは貴方ですか?」

ユーベ「正解ですよ」

美鈴「宣戦布告ですか?」

ユーベ「いや、たまたまそこに居たんで襲いました」

 

「「嘘だけど」」

 

ユーベ「おやおや」

美鈴「結構単純ですね。流石、虫なだけありますね」

ユーベ「そりゃあ、虫ですから」

美鈴「宣戦布告……ということは、殺す気ですか?」

ユーベ「物分かりが良いようで」

美鈴「そりゃあ、虫じゃあないですから」

ユーベ「虫に動じなかったのが、仇になりましたね」

美鈴「……?」

 

動けるし、思考もできる。

何が仇になった?

何も感じないのに、何をいって…ン?

『何も感じない?』

 

ズシィィン

 

力が抜けた。

その場に座り込み、体の痺れを感じる。

どうやら吐いたようだ。気持ち悪い。頭が痛い。訳がわからない。

 

ユーベ「白眼向いて、涙と鼻水を同時に垂らして、胃酸と中身を吐き散らかして……汚ねぇ顔しますね」

 

何事にも動じぬ心が、仇になった訳か。

意識がかすれてくる。

弟子になったばかりなのに、もうお仕舞いか。

我が生涯は、何も得れぬものだった。

 

ユーベ「グガェ!?」

 

不意な、間抜けな声と同時に意識が戻った。

 

ユーベ「何を……ッ!!」

芳香「友人に何するのさ」

美鈴「よ、芳香さん?」

ユーベ「よ…芳香ちゃんッ!!会いたかったよ!!」

 

会いたかった?言われた本人も首を傾げる。

 

芳香「何を言っているの?」

ユーベ「はい!」

 

虫野郎が芳香さんになにかを見せた。

そしたら、芳香さんはそのまま気絶した。

アイツ…芳香さんに虫を?

 

ユーベ「これから一緒に過ごそうね。芳香ちゃん」

 

ユーベは芳香さんを担ぎ、去って行く。

体が動かない。追いかけたいのに…

また、意識が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……りん…………いりん……美鈴ッ!!」

美鈴「零さん……」

 

私は……何を…

 

美鈴「そうだッ!!芳香さんが拐われました!!」

青蛾「えぇ、そのようね」

零「芳香の場所は『ナビゲーター』で分かる。行こう」

美鈴「奴は虫の妖怪です!名は『ユーベ=ナイトバグ』!男です!」

零「虫……王様に呪いを掛けた妖怪か…」

美鈴「はい…強かったです」

 

零さんは眉間にシワがより、なにかを考える。

 

零「とりあえず、行くぞ」

美鈴「はい!」

青蛾「えぇ」

 

そうして、芳香さんの場所に向かった。


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