東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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九人の欲と一人の希望 VII 『希望』

『……零』

 

誰だ……聞き覚えのある。

ン?目の前の岩は何だ?

 

『……零』

 

誰かが、俺の肩を叩いている?

振り向けばいいのか?

 

――――――――― ミ タ ナ ―――――――――

 

零「うわぁぁぁぁぁぁああッ!!??」

神子「零さん!?」

零「ハァ……ハァ……」

 

……夢、か?

後ろにウジ虫だらけの、多分女の人がいた。

あれは一体……

 

布都「零!!大丈夫か!?」

零「あ、あぁ……そうだ!!屠自古は!?」

神子「死にました……」

零「…………クソッ!!」

 

結局、守れなかった!!

自惚れていた!!今まで上手くいっていたから!!

今回も大丈夫だと……思い込んでいた……

 

??「そう悔やむなよ。死んだけど、こうしているんだからさ」

零「いや、俺は結局、屠自古を守ってやれなか……ん?」

屠自古「まぁ、そうだけどさ」

零「あぁ、幻覚まで見えるように」

屠自古「なってねぇよ。バーカ」

零「え、マジで言ってる?神子、こいつ見える?」

神子「ええ、見えます」

 

・・・・・・え?

 

零「エェェェッ!?」

屠自古「いや、死んだんだけどさ、なんか幽霊として生まれ変わったわ」

零「いや、生まれてねぇじゃん!?むしろ死んでるじゃん!?」

屠自古「あぁ、そうだな。死に変わった」

零「どうツッコめばいいんだよ!?」

屠自古「うん、私も戸惑ったよ?生きてるのか?なぁんて思ってたら足無いし」

神子「実際、私達もビックリしましたから」

零「幽霊になったのか……」

屠自古「そういうわけさ。悪霊だ」

零「どうか呪わないでほしい」

屠自古「呪わねぇよ」

 

まだ頭の中が混乱してる……

屠自古は幽霊になったわけか……それで、俺たちの前にひょこっと出てきたのか……

 

屠自古「死んだ後さ、何か目の前に岩があったんだよね」

零「岩?なんでさ…」

屠自古「知らん。そして、中から聞こえるんだよ。来るな~って声」

零「岩……か…」

 

もしかすると……

 

零「なあ、それって……」

屠自古「おい、布都。なにか零に言うんじゃあなかったのか?」

 

なんだろうか?

 

布都「……申し訳なかった!!お主に…いや、皆に迷惑をかけてしまった!!お主の『自分の意思』の話に納得いっていなかった。だがもうわかったんじゃ!!もう胸を張って言うぞ!!お主に止められるのは分かっている!!だからこそ、言うぞ!!私は『仙人』になる!!」

 

フ…そんなことか…

そんな、イキイキとした眼で言われちゃあなにも言えぬじゃあないか。

零は布都の頭に手を乗せ、撫でた。

 

零「頑張れよ」

布都「ッ!!うむ!!」

零「なぁ、神子」

神子「はい?」

零「隋に行くのは明日だ。だから、最後にいっておく」

神子「はい…」

零「ありがとな」

神子「……ッ!!い、いえ…その言葉を言うのは私たちの方です…本当にありがとうございました。この御恩は忘れません!!」

 

神子は、声を震わせていた。

 

青蛾「失礼します」

零「青蛾か…どうした?」

青蛾「いえ、ただお見舞いに来ただけですわ」

零「そうか、ありがとう」

青蛾「明日、船が出るわ。準備してね」

零「はいよ」

神子「あの…手伝いましょうか?」

零「いいよ、ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~そして、別れの時~

 

零「じゃあな、元気でな」

布都「お主には感謝してもしきれぬ。また会おう」

零「おう、元気でな」

屠自古「死んじゃったけどさ、これでよかったと思うんだ。太子様の近くで守り続けれるし」

零「そうか、頑張れよ」

神子「あの…頑張って仙人になりますので……あなたも頑張ってください!!」

零「分かった。頑張るよ」

 

こう言うのは、悲しくなるから苦手だが……まぁ、いいか。

そう思っていると、船は陸から離れていった。

 

青蛾「ねぇ、別に隋から戻ったら会えるんじゃあないの?なんで、そんなに……」

零「俺が旅をしている理由、言ったよな」

青蛾「えぇ」

零「俺の役目は遣隋使の護衛、船の護衛だ。それが終わったら仕事はなくなる。だから、また旅に出るんだ」

青蛾「そう……」

 

永琳……待っててくれよ……!!




と言うことで『九人の欲と一人の希望』の章を終わりたいと思います。
長かったですね、私の失踪があったせいで。
本当にすみませんでした。気を付けますね。

それでは次回も、お楽しみに~

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