東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
『……零』
誰だ……聞き覚えのある。
ン?目の前の岩は何だ?
『……零』
誰かが、俺の肩を叩いている?
振り向けばいいのか?
――――――――― ミ タ ナ ―――――――――
零「うわぁぁぁぁぁぁああッ!!??」
神子「零さん!?」
零「ハァ……ハァ……」
……夢、か?
後ろにウジ虫だらけの、多分女の人がいた。
あれは一体……
布都「零!!大丈夫か!?」
零「あ、あぁ……そうだ!!屠自古は!?」
神子「死にました……」
零「…………クソッ!!」
結局、守れなかった!!
自惚れていた!!今まで上手くいっていたから!!
今回も大丈夫だと……思い込んでいた……
??「そう悔やむなよ。死んだけど、こうしているんだからさ」
零「いや、俺は結局、屠自古を守ってやれなか……ん?」
屠自古「まぁ、そうだけどさ」
零「あぁ、幻覚まで見えるように」
屠自古「なってねぇよ。バーカ」
零「え、マジで言ってる?神子、こいつ見える?」
神子「ええ、見えます」
・・・・・・え?
零「エェェェッ!?」
屠自古「いや、死んだんだけどさ、なんか幽霊として生まれ変わったわ」
零「いや、生まれてねぇじゃん!?むしろ死んでるじゃん!?」
屠自古「あぁ、そうだな。死に変わった」
零「どうツッコめばいいんだよ!?」
屠自古「うん、私も戸惑ったよ?生きてるのか?なぁんて思ってたら足無いし」
神子「実際、私達もビックリしましたから」
零「幽霊になったのか……」
屠自古「そういうわけさ。悪霊だ」
零「どうか呪わないでほしい」
屠自古「呪わねぇよ」
まだ頭の中が混乱してる……
屠自古は幽霊になったわけか……それで、俺たちの前にひょこっと出てきたのか……
屠自古「死んだ後さ、何か目の前に岩があったんだよね」
零「岩?なんでさ…」
屠自古「知らん。そして、中から聞こえるんだよ。来るな~って声」
零「岩……か…」
もしかすると……
零「なあ、それって……」
屠自古「おい、布都。なにか零に言うんじゃあなかったのか?」
なんだろうか?
布都「……申し訳なかった!!お主に…いや、皆に迷惑をかけてしまった!!お主の『自分の意思』の話に納得いっていなかった。だがもうわかったんじゃ!!もう胸を張って言うぞ!!お主に止められるのは分かっている!!だからこそ、言うぞ!!私は『仙人』になる!!」
フ…そんなことか…
そんな、イキイキとした眼で言われちゃあなにも言えぬじゃあないか。
零は布都の頭に手を乗せ、撫でた。
零「頑張れよ」
布都「ッ!!うむ!!」
零「なぁ、神子」
神子「はい?」
零「隋に行くのは明日だ。だから、最後にいっておく」
神子「はい…」
零「ありがとな」
神子「……ッ!!い、いえ…その言葉を言うのは私たちの方です…本当にありがとうございました。この御恩は忘れません!!」
神子は、声を震わせていた。
青蛾「失礼します」
零「青蛾か…どうした?」
青蛾「いえ、ただお見舞いに来ただけですわ」
零「そうか、ありがとう」
青蛾「明日、船が出るわ。準備してね」
零「はいよ」
神子「あの…手伝いましょうか?」
零「いいよ、ありがとう」
~そして、別れの時~
零「じゃあな、元気でな」
布都「お主には感謝してもしきれぬ。また会おう」
零「おう、元気でな」
屠自古「死んじゃったけどさ、これでよかったと思うんだ。太子様の近くで守り続けれるし」
零「そうか、頑張れよ」
神子「あの…頑張って仙人になりますので……あなたも頑張ってください!!」
零「分かった。頑張るよ」
こう言うのは、悲しくなるから苦手だが……まぁ、いいか。
そう思っていると、船は陸から離れていった。
青蛾「ねぇ、別に隋から戻ったら会えるんじゃあないの?なんで、そんなに……」
零「俺が旅をしている理由、言ったよな」
青蛾「えぇ」
零「俺の役目は遣隋使の護衛、船の護衛だ。それが終わったら仕事はなくなる。だから、また旅に出るんだ」
青蛾「そう……」
永琳……待っててくれよ……!!
と言うことで『九人の欲と一人の希望』の章を終わりたいと思います。
長かったですね、私の失踪があったせいで。
本当にすみませんでした。気を付けますね。
それでは次回も、お楽しみに~