東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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申し訳ありません。
お待たせさせてしまって、本当に申し訳ありませんでした。

これからは出来るだけ早く投稿できるようしっかりします。
それではどうぞ。



九人の欲と一人の希望 IV 『覚悟』

神子「……すみません……でも、どうしても仙人に成りたいんです」

布都「………」

 

辺りを見るが青蛾の姿はない。

 

零「謝る必要性はない。お前の人生はお前が決めろ」

神子「え…」

零「ただッ!!俺には人の人生を決める権利はなくとも思い直させる権利はある…!」

神子「……」

零「もう少し考えるべきだ。生きて周りの人間を想うか、人が死ぬ理由を世界の人間を想うかを……な…」

 

神子は布都、屠自古を見た。

きっと彼女は、その周りの人間に値する布都と屠自古を見ていたのだろう。

 

神子「わ…私は…」

 

唇が震えている。

 

零「布都…お前もだ」

布都「…!」

零「考え直すんだ」

布都「…私は太子様に…」

零「なんでもかんでも神子に頼るんじゃあねぇぞ」

布都「ッ!!」

零「お前の意思だ。お前自身の人生の『覚悟』に必要なのはな」

布都「だッ…黙れッ!!私は太子様に付いていくのだッ!!」

 

零は、ゆっくりと布都に近付き、囁いた。

 

零「それがお前の『覚悟』か…?」

布都「あ、ああ。そうじゃ。これが、私の…」

 

零は、ため息をついた。

いや、失望した。それが正しいだろう。

彼女から『覚悟』が見えなかったのだ。

 

零「君は、決断をする勇気がないだけだろう?」

布都「なッ!?」

 

否めなかった。

 

零「自分自身の『覚悟』は正しいと胸を張って言える勇気がないだけだ」

布都「黙れッ!!」

零「自分で決めろ。仙人になるかならないかは、自分でだ」

布都「…なる。なるぞ。なってやるぞぉぉッ!!自分で決めたぞッ!!」

零「………そうか」

 

布都は、泣いていた。泣きながら、零を睨み付けていた。

 

零「ならば、もうなにも言えまい」

神子「……わ、私も…」

 

神子が震えた唇を動かした。

今にも泣きそうな目でこちらを見た。しかし、その目からは『覚悟』が見えた。

 

神子「仙人になります…全ての人間のために」

零「…そうか」

 

バタンッ

 

零は、哀しい顔で部屋を出た。

 

零「彼女らを止めることが出来なかった自分にムカつく。まったく…俺は自分勝手だ」

青蛾「あんな止め方なら仕方ないわ」

 

青蛾は柱にもたれながら言葉を発した。

 

零「道教を薦めるんじゃなかったのかよ」

青蛾「薦めてるじゃない。遠回しにね」

零「まあ、いい。俺に止める権利はない」

青蛾「意外と紳士的ね!」

零「……ハァ。別に仙人になることが悪いことじゃあない。ただ、彼女らは一度死ぬことになるだろう?そこが気に食わなかった」

青蛾「まあ、そうね。でも安心して頂戴。必ず彼女らは仙人になるわ」

零「…必ずだぞ」

青蛾「えぇ…必ず」

 

零は自室へと向かった。

青蛾にはドス黒い悪は心の芯には無い。それは知っている。

だから、自分への怒りが込み上げていた。

怒りの矛先を向ける人が居ないから。

 

零「俺は…自分勝手だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~朝~

 

空気が重い。

それだけで、現時点の状況は説明できる。

 

零「おはよう」

布都「おはよう…」

神子「おはよう御座います…」

屠自古「…あのさ」

 

屠自古が口を開いた。

 

屠自古「私は仙人にならないよ」

布都「ッ!?」

零「そうか…」

神子「そうですか…」

屠自古「自分で決めた。私の人生だからな。零の言う通りな。」

布都「……」

 

この時、布都は憎しみが沸いていた。


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