止めてください!!師匠!!   作:ホワイト・ラム

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日曜に上げるつもりが……時間掛かりました。
殆ど居ないだろうけど……待ってた人ごめんなさい。


ひと時の平和!!弟子の午後!!

穏やかな秋の午後……

善たちが居を構えている場所に快活な声が響く。

「ほっ!はっ!!たっ!!」

善が汗を流しながら拳を振るい、蹴りを放つ。

「そこまでよ!」

師匠の掛け声にピタリと動きを止める。

「はあ、はあ、はあ……」

善が動きを止めた瞬間にドッと汗が噴き出る。

伝った汗が地面を僅かに濡らす。

「大分動きも良くなったわ、けど体力の消耗が激しすぎるわね~。まだまだ基礎練習有るのみよ?じゃあ、今日の修行はここまでね」

師匠の言葉に笑みをこぼす善。

最初に比べたらかなりの進歩を感じているが、目的は遠いらしい。

「はい!!師匠!!ご指導!!ありがとうございます!!」

その場で気を付けをする。

その姿を満足そうに師匠は見て笑みをこぼす。

「ぜ~ん、お疲れ」

師匠の作ったキョンシーの芳香がタオルを差し出してくれる。

こういった気遣いは非常にうれしい物が有る。

高校球児がマネージャーからタオルを渡されたら、こんな気持ちなのだろうか?

「サンキュな、芳香」

そう言ってタオルで顔を拭く。

「汗をかいてるでしょうから、お風呂に入っておきなさいね?」

そう言って師匠が帰っていく。

「着替え、有るぞ?」

芳香がスッと着替えが入った袋を渡してくれる。

手先が不自由な芳香は善の着替えを用意するのはなかなか難しかったであろう、善はその事を思うと心がいっぱいになった。

「おお!助かったありがとうな」

そう言って浴室に向かっていく。

 

 

 

「うーん……極楽だ……」

湯船につかりながら体を伸ばす善。

疲れが湯に消えていくのを感じる……

「さて……そろそろ出るか……」

身体を洗い、疲れも十分取れた所で風呂から上がる。

「牛乳飲むか?」

その時丁度脱衣所から芳香が牛乳を持って現れる。

「ああ、貰うよ」

そう言って牛乳を受け取る善。

指でふたを開け、一気に飲み干す。

「うーん……素晴らしい味だ……。芳香も風呂入るのか?」

「もう、入った」

「そうか、そろそろ服を着たいんだが……出てってくんない?割と恥ずかしいんだけど?」

当たり前だが善は風呂にいた!!もちろん全裸!!

しかしそこに容赦なく入る芳香!!

コレは善にとっては半場慣れた事態!!

というか師匠が風呂を勧めた時点で半分わかっていた!!

「おお、すまない。顔を隠そう」

「お前顔まで手が届かないだろう!!」

善が全裸で突っ込みを入れる!!別の物を突っ込んだらR18行DA☆!!

「うるさいわよ?お風呂では静かに……」

壁を通過して現れたのは師匠!!

「なんでアンタまでしれっと入って来てんだよ!!風呂を覗かれるのは普通年頃の女でしょ!?男の全裸とかどの辺の需要だよ!!」

メメタァ!!突然のメタ発言!!

*因みにこのメンバーは、邪仙(1000歳越え・人妻)キョンシー(腐った死体)人間(仙人修行中)の三人!!

あまりにもニッチ過ぎる範囲!!誰が来てもあまり喜べないのでは!?

「確かにね……あ!でも私未亡人よ?需要有るんじゃないかしら?」

スッと服を肌蹴させ始める師匠!!

「止めてください!!師匠に手を出したら後がものすごい怖いんですよ!!」

慌てて師匠の服をもとに戻す。

「善は男の夢のセリフ『旦那様より良いわ~』とか興味無いの?」

「ありません!!」

こういうが実はかなり興味深々!!ムッツリめ!!

「そう、あら?肩の傷だいぶ良くなったようね?」

そう言って師匠が手を置くのは善の右肩、そこには大きな切り傷を縫い合わせた跡が有った。

「ええ、お陰様で……」

 

 

 

実は先日、山から帰って来た後脱臼が発覚した。

師匠は善の脱臼を肩を切り、直接骨をハメなおすという暴挙に出た!!

もちろん善は嫌がったが、師匠は面白そうだからと無理やりやった!!

「なんかやばい術とか骨にかけてないですよね?」

どうしても疑心暗鬼になる!!

「え?かけたわよ?再生力が向上するタイプのヤツ」

堂々と言い放つ師匠!!慄く善!!

「それだけですか?それだけですよね?それ以外やってませんよね!?」

必死の表情で聴く善(全裸)!!

「ええ、もちろん」

にっこり!!非常に胡散臭い!!この笑顔!!

 

 

 

「さて行くかな……」

あの後何事もなく、着替えを済ました善は人里に出かける事にした。

「あ、そうだ……忘れるトコだった」

台所に戻り、出汁ようの煮干しを一匹ポケットにしまう。

そうして今度こそ家を出た。

「ほっ、ほっ!!」

少し小走り気味に墓場を走る善。

「に~」

「お、居たな?」

猫の声を聞きつけ足を止める。

「に~……」

墓場の間から現れたのは黒い猫。

「よ~し、よしよし。チッ、チッ、チッ」

近くに有った猫じゃらしを引き抜き猫の前で振る。

「にゃ!にゃ!にゃ!」

かわいらしく猫じゃらしを追う猫。

「お手!」

善は次に自身の右手を差し出す。

「にや~」

ポンと手を置く。

「よくできました!!えらいぞ~」

ポケットに忍ばせた煮干しを猫にやる。

この猫は実は先日妖怪の山で善のシャケを盗んだ猫。

なぜか善の事を気に入り偶に墓まで遊びに来ているのだ。

「かわいいな猫麻呂は……」

猫麻呂は善の付けた名前、ネーミングセンスは言いっこ無しでお願いします!!

墓石に座り、猫麻呂を膝に乗せる。

「よしよし……ここか?ここが良いのか?」

「ごろごろごろ……」

猫の喉をなでると独特の甘えた声を鳴らす。

「そろそろ行くかな……」

そう言って猫麻呂を地面に下ろすため抱き上げる。

「……ん?猫麻呂……お前メスだったのか?」

善が何気なく確認すると……

「ふしゃー!!」

バリッ!

「いって!!」

怒って善の腕をひっかき帰ってしまった。

「抱き方が悪かったのか?なんにしろ気まぐれだからな……」

実はこれが初めての事ではない、何度か遊んでいるが突然怒って帰ってしまう事が割と有るのだ。

考えていても仕方ない、猫というのは気まぐれなのだと知っている。

気を取り直して傷を気にしながら人里に向かう。

 

 

 

「相変わらず門番は居ないのか……」

無人の門を見ながら人里に入っていく。

最初はなれなかった奇異の視線にもすっかり慣れた物だ。

持って来た金銭を確認し、目的の店に向かう。

「すみませーん。団子が欲しいんですけどー」

師匠に聞いた人気の団子屋が今日の目的地だった。

店はそこそこ繁盛しているのだが!!

善が近づいた瞬間に店員!!客!!さらには赤ん坊まで動きが止まった!!

(なんかずいぶん静かだな……)

耳を澄ませれば微かに話し声の様な物はする。

 

「老い先短いし……今回は私が行くよ……高志、しっかり店と子供を守るんだよ?比恵子さん、わたしゃアンタに沢山無理言ったがアンタは口応え一つしなかった……馬鹿息子を頼むよ……」

「お、おふくろぉ……」

「お義母さん……」

「おばあちゃん行っちゃやだぁ!!」

「みんなで幸せにおなり?」ニコッ

 

店の奥から老婆が現れる。

「いらっしゃいませ……本日は何をお求めで?」

具合が悪いのか、かすかに老婆は震えている。

「あ、お持ち帰りでお団子を、あんこの6本ときな粉の6本。あ!後このズンダ(枝豆のあんこ)4本ね!」

おすすめの商品を注文し席に座る。

まるで時が止まったかのように店の中は静まりかえっている。

(この店って静かに食わなくちゃいけないルールでもあるのか?)

不思議に思った善が客に顔を向ける。

しかし皆顔を見た瞬間に目をそらす。

「なんなんだろう?」

しばらくして団子が運ばれてきた。

「どうぞ……うちの自慢の団子ですじゃ……」

異様なテンションの低さの老婆から団子を受け取る。

「ねぇ、おばあさん。なんでこの店の人って軒並みテンション低いの?もっと笑った方が良いんじゃない?」

そう言ってお金を渡す。

その瞬間老婆が狂ったように笑い出した!!

「……あはははははあははははあはっは!!」

「そうそう、笑顔笑顔。じゃあねおばあさん、また来るよ」

そう言って善は店を出て行った。

しばらく老婆の乾いた笑い声が響いていたがだんだんとかすれて消えた。

 

 

 

人里を離れ今度は妖怪の山に入っていく。

もちろん危険は承知のうえだ。

前回の河原に向かってしばらく歩き続ける。

すると突如目の前に人が降りてくる!!

「止まりなさい!!此処は妖怪の……また来たんですか?」

うんざりと言った顔をするのはこの山の白狼天狗、犬走 椛。

「この前はお世話になりました。コレ、人里で人気の団子です」

ヒョイっと手に持った団子の袋を差し出す。

「わざわざこの為に?」

そう言いつつも手に持った団子の袋を凝視している。

あと、尻尾がパタパタ揺れてる、正直かわいい。

「ええ、椛さんが見逃がしてくれなかったら正直……師匠に殺されてたかも……」

もしもを想像し震えだす善。

「しかし勝手に受け取る訳には……」

まだ仕事の最中、椛は受け取るのを躊躇する。

「あー、すみません。仕事中でしたか?」

相手の事情を察したのか少し考え込む善。

しばらくしてポンと手を叩く。

「じゃあ、にとりさんに渡しておいてください。丁度二人分ありますから」

そう言って地面に袋を置くと、踵を返す。

「待ちなさい」

ガシッと肩を掴まれる。

「いちいちこんな風に来られても迷惑です。……次から用が有るときは山の入り口の木の前で待っててください」

「あ、はい」

椛は音もなく袋を持って山に消えて行った。

椛が消えて行った山の方を見る善。

「あの人?とは仲良く慣れそうだな」

そう言って再び人里に向かう善。

 

 

 

「らっしゃい……あんたか」

店の暖簾をくぐると同時に店主が声をかける。

「前回のどうだったい?」

「んー。微妙にずれてます」

レジの近くで男二人が話会う。

この男は人里の端に有る古本屋の店主。

おもに外来の本を拾い、貸出または売却をしている。

また、善の噂を知ってなお態度を変えない人物である。

「しっかしアンタも好きだね?春画が……」

もう飽き飽きと言った感じて店主が話す。

そう!!此処は善が毎回春画(エロ本)を買いに来る場所!!

仙人修行中とはいえ善も健全な男!!しかも目の前には悪女系美人や、ボディタッチしまくりの二人が居る!!

もちろん煩悩も溜まりまくる訳で……もはや春画は日常生活の必須アイテム!!

「店長、巨乳系のエロ本ない?あ!できれば小悪魔系の!」

非常にイキイキしている!!まさに水を得た魚!!

「コレはどうだ?」

カウンターの下から、雑誌を取り出す。

「ウホッ!!洋物!!パツキンのボン!キュ!ポン!いいね!!」

雑誌を手にし、夢中でめくる善!!

「良いだろう?コレ、今なら安くしておくぜ?」

店主が気前良さげに笑い、そろばんに値段を出す。

「え……こんな良いモノこんな値段で良いんですか?」

「ああ、実はこの前、娘にコレ読んでる所見られてな……あの汚物を見るような目が……俺を追い込むんだ。けどこんなお宝捨てれねぇ……お客さん、アンタならすてふぁにぃ(今付けた本の名前)を大事にしてくれるよな?」

店主の目には涙が光っていた。

「もちろんです!!すてふぁにぃ(春画)は俺が幸せにします!!」

「すてふぁにぃをよろしく頼む!!」

「はい!!」

固く握手をする両者!!

そう言って金子を払いすてふぁにぃを連れて帰る。

何だこの茶番!!

 

 

 

場所は善の部屋に代わる!!

「ねぇ?善?アナタが箪笥の下に隠してあったこの本はなぁに?」

絶賛正座状態の善!!噴き出る汗が止まらない!!

目の前には前日買った本が並べられている!!

「なんでこれを……師匠が?」

座りながらも疑問を投げかける。

「今日の昼、芳香がアナタの着替えを探した時に見つけたのよ?」

(あのときかーーー!)

芳香が昼に着替えを持ってきてくれていた事を思い出す!!

「仙人に有るまじき行為よね?こんなケダモノと一つ屋根の下なんて……怖いわよね?芳香?」

壁にもたれかかっている芳香に視線をよこす師匠。

「こわいぞー」

全く心のこもっていない意見を出す!!

「そうよね?なら……去勢するしか、な・い・わ・よ・ね?」

スッと再び服の胸の間から鋏を取り出す!!

「ひッ!!……冗談ですよね?取ったりしないですよね?」

じりじりと鋏を片手に、にじり寄ってくる師匠!!

「…………潰す方が好みかしら?」

今度はスカートの中から木槌を取り出す!!

「いや……お願いです……や、やめてください師匠!!」

「さーあ、去勢の時間よぉ~」

「ぎゃー!!!!」

*この後何とか許してもらえました。




チクショー!!リリーブラックがだしてぇー!!
ちょっと性格キツイ系のおねェさんでよぉ!!
「はんッ!!妖精以下とか情けなくないのぉ?」
とか言わせてぇ!!けど原作にはいないんだよなぁ……
ブラックは俺の心の中にだけか……
気が向いたら出そうかな……

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