止めてください!!師匠!!   作:ホワイト・ラム

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今回は難産でした……
クオリティが安定しない……


疑心暗鬼!!裏切りの連鎖!!

俺……じゃなかった、私は詩堂 善(しどう ぜん)

仙人を嫌々……ではない、心から仙人目指して頑張ってます!うん……そう、たぶん。

 

 

 

ハイテンションで解る!?

前回までのあらすじぃいぃぃいいいぃ!!

師匠「シャケが食べたいわ!!妖怪の山で密漁しなさい!!拒否権は……ない!!」

善「しょ、しょんなぁぁあぁ!!」

水死体「俺の正体は実は……にとりだったのさ!!貴様にはシャケをくれてやろう!!」

善「こ、こんなにいっぱい……」

しかし!!

芳香・ねこ「「シャケうめえええええええ!!」」

善「食べちゃらめなのおっぉおおぉおおぉお!!」

にとり「コイツ(シャケ)が欲しいんだろぉ?もっととって来てやるよ!!」

善「ありがとうございましゅうううぅうぅう!!」

???「何やってんだお前?」

 

え?まだ良くわからない?それなら前回の話を読んできてください。

 

 

 

善が修行を積んでいる師匠の住処の一つ。

今そこに近づく一つの影が有った。

烏帽子に狩衣の様な服の少女、物部 布都だった。

自身の乗ってきた木製の小さな船から飛び降りる。

「ぜーん!!おらぬのかー?人里でうまい団子屋を見つけたのだ、我と一緒に行かぬかー?」

インターホンなどという物は無いため、入り口の扉を叩く。

「あら、物部様。残念ですけれど善は今日はいませんわ」

扉の隣の壁を通過しながら善の師匠が姿を現す。

「なんと!!不在か……」

善の留守を知り少し落ち込んだ様子の布都。

「私で良ければ弟子の代わりにご一緒しましょうか?」

柔和な笑みで布都に微笑みかける。

「……うむ!そうだな。芳香殿もおらんのか?」

気を取り直し顔を上げる布都、ここでいつも善と一緒にいるキョンシーの不在に気が付く。

「芳香も善と一緒に出掛けていますわ」

「そうであったか、二人は何をしておるのだ?」

何気ない疑問を師匠に投げかける。

「修行の一環として妖怪の山で密漁させていますわ」

「は?」

師匠の言葉に一瞬フリーズする布都、しばらくしてようやく頭がのその()()()()()()を理解する。

「何を考えておるのだ!!妖怪の山で密漁など!?善殿を殺す気なのか!!」

おっとりした布都にしては珍しく声を荒げる。

他者を排除したがる妖怪の山の社会では、侵入者は基本的に容赦はしない。

それが自分たちのテリトリーで勝手に資源を盗むのならなおさらだ。

「あら、それは心外ですわ。私は善なら問題ないと考えて言いつけました、もし仮に善が死んだのならそれはあの子がその程度だった、というだけですわ」

すらすらと、当たり前の様に話す善の師匠。

その言葉を聞き布都の顔が怒りに染まる。

 

「なんと無情な!!もうお主に善は任せておけん!!我が善を迎えに行く!!今日から善は我が弟子として育てる!!」

そう言い放ち、自分の乗ってきた船に飛び乗ろうとする。

「お待ちください」

しかし師匠は布都の服の襟を捕まえ制止する。

「何をするか!!」

「言った筈ですわ『善なら問題ない』と、善は私の弟子です。()()()()()()()()()()()()()()()、私は何の才能もない者を弟子になどしませんわ」

何時もの様に平然と邪仙は笑いかけた。

 

 

 

白狼天狗の制服を着た少女が善に剣を突きつけながら見下ろす。

「あなたも知っての通りここは妖怪の山です。私達(妖怪)の領地で密漁するなんて……間抜けを通り越して滑稽ですらありますね。覚悟は出来ていますね?」

剣を構え冷たく文字通り冷酷な視線を善に投げかける。

(やばいぞ……遂に見つかった……!!だから密漁なんてイヤだったんだ!!)

絶望的な状況に内心涙を流す善!!

(よ、芳香は……芳香はどうしたんだ!!)

師匠が護衛にと付けてくれたキョンシーに目をやると……

 

「………………」チーン……

物の見事に死んだふり!!

白目をむき、口を半開きにして血を吐き一切動かない!!

(アノ!!キョンシー!!速攻で裏切りやがった!!しかも滅茶苦茶本格的な死んだふりじゃねーか!!)

善の希望があっさりと壊れる!!

キョンシーはもう死んでるという突っ込みは無しでお願いします!!

「……………」ピク……

そう思った善だが、芳香が僅かに動く!!

(やっぱり助けてくれるのか!?)

再び善の心に希望の明かりがともる!!

 

ずり……ずり……

 

ゆっくりと腕を動かし近くに有った岩に血で文字を書き始める!!

 

ハンニンは、ゼン

 

それだけ書くとこちらにサムズアップし、再び動かなくなった!!

「芳香ぁああ!!何俺を犯人に仕立て上げてるんだよ!!」

遂に善が切れて芳香に詰め寄ろうとする!!

「座りなさい!!」

白狼天狗が無理やり善を押さえつけ、関節技を腕に掛ける!!

「いででででで!!ギブ!!ギブギブ!!」

パンパンと地面を叩き降参の意志を示す!!

「まったく!いきなり動くなんて……怪しい動きは控えなさい!!」

そう言いながら善がさっき見ていた方に視線をやり絶句する。

「あなた……人間の仲間を……此処には密漁だけじゃなく死体を隠しにきたのか!!」

天狗が激高する!!

たとえ妖怪にも仲間意識は有る。

しかしこの人間は自分の仲間を裏切った!!

下衆な人間は生かしておけない!!

その考えが椛を激高させたのだ!!

 

 

 

「チッ、しょうがねーな……」

押さえていた人間の雰囲気がガラリと変化する。

善はその場で関節を外しゆっくりと立ち上がった。

「あ、あなた!!おとなしく座りなさい!!」

椛が剣を善に向けるが……

「悪いな……生憎こんなおもちゃじゃ、俺に傷一つ付けられないぜ?」

不敵に笑い剣を指先ではじく。

(な、何が起こったの!?)

椛は外見こそ落ち着いていたが内心かなり焦っていた。

哨戒中に侵入者を見つけたのはいい、これだけなら良く有る出来事。

しかしコイツは違った、死体の匂いをぷんぷんさせのんきに釣りに興じている!!

まともな精神では先ず不可能な芸当!!

この時点で椛はコイツは狂人だと判断していた!!

極めつけは匂いどかろか死体を隠し持っていた事だ。

(おそらくこの人は人里で人を殺したんだ……それがばれてお気に入りの死体を持ってここまで逃げてきたんだ……!!)

椛は善を精神異常の殺人鬼と判断した。

その瞬間人間がガラリと態度を変えた。

さっきまでの怯えた表情は消え、どこか余裕すら感じさせる不敵な表情をしている!!

 

 

 

「なあ、天狗さん?俺と決闘しないか?」

善が外れた関節を戻しながら不敵に笑い椛を見据える。

「け、決闘?」

恐怖に耐えながら何とか善の言葉に反応する。

「幻想郷の決闘と言えば弾幕、だろ?」

そう言って懐から3枚のカードを取り出す。

「その決闘に乗ってこちらに得は有るのか?」

剣と盾を構えつつ善との距離を作る。

「ほぅ?本能的に距離を取ったか……さすが野生、良い勘を持っているな……おっと。メリットだったな?俺がお前を殺さないで置いてやる、素手なら間違ってヤっちまうかもしれないからな……」

それも面白そうと言った感じで右手を握ったり開いたりする。

「良いでしょう……勝負です!!」

椛はその勝負に乗る事にした。

何処か感心したように善が笑う。

「勇気だけは認めてやろう……」

そう言って二人は距離を作り始めた。

「さあ、勝負です!!」

椛がカードを構えるが……

「おいおい、それじゃ近すぎるぜ?ハンデだ!もっと下がれ!!」

椛にさらに下がるように進める。

もうすでに一般的な弾幕合戦の距離は取っている。

「警告だ!!あんまり近いと、すぐに終わっちまうからな……」

ズボンに手を突っ込み余裕を見せる善。

そして…………後ろを向いて走り出した(・・・・・・・・・・・)

「は?」

椛はその行動が理解出来ずに、間抜けな声を上げた。

どんどん遠ざかっていく背中。

「わはは!!引っ掛かったな!!バーカ!バーカ!!頭⑨!!」

爆笑しながら走っていく侵入者()!!

 

善は必死になって走っていた。

芳香に裏切られたため、自分には武器が無い!!

善本人は弾一つ作れないのだ!!

(やっぱ犬は馬鹿だな!!簡単に引っかかったぜ!!)

しかし知恵はある!!

挑発の言葉をのこし山から脱出しようとする!!

「待ちなさい!!!」

後ろからガシッと両腕を捕まえられる!!

 

 

 

「……あれ?」

相手を見ると先ほどの白狼天狗。

「足……早くない?」

「これでも天狗の端くれなので」

無情な結果!!

「ま、まだまだぁ!!」

善は意を決して川に飛び込んだ!!

「ざまぁ見ろ!!下流まで逃げてやる……ゲぼ!!あ、足攣った!!痛い!!すごい痛い!!がぎゃ!!水が!!助けて!!誰か助けてーーー!!」

善が流れていく姿を椛はジッと見ていた。

 

 

 

数分後!!場所はさっきの沢!!

「あの……すいませんでした!!」

全身びしょ濡れの善が椛相手に土下座する!!

「いえ……それよりあなた、さっきのは?」

「全部演技です!!ホントは弾自体出せません!!関節はなんか外れました!!今、スゲー痛いです!!」

土下座したまま謝り続ける!!

「さっきのカードはなんです?」

「れ、レシートです……」

懐から3枚のレシートを取り出す。

「全部春画ですか……」

レシートの内容を見て椛がドン引きする。

「巨乳は正義!!それだけが真実!!」

濡れ土下座のポーズでどうしょうもない事を言う!!

そしてタイミングの悪い事に!!

「やっほ~とって来たよ~」

にとり帰還!!

「あれ?椛と盟友……何のプレイ?」

いぶかしげに二人を見る。

 

 

 

「つまり、師匠に言われてシャケを釣っていたと?」

「そうです~俺がやったんじゃないんです!!」

半裸(風邪をひくから脱いだ)で土下座を尚もする!!

「椛~いつまで頭下げさせてるの?」

「彼が勝手に……」

困惑気味な椛である。

「あ、俺詩堂 善です、よろしく」

土下座体制のまま右手をだし握手をする。

「ソッチで寝てるのが師匠の作った芳香です、芳香ー!起きろ!!」

善が芳香に向かって声を上げると椛が死体だと思っていた、人間が起き上がった!!

「善、シャケは?」

「今その話だ」

エヘンと椛が咳払いをし、注目を集める。

「兎に角、にとりを助けてくれた事には感謝します」

偶然釣り針がかかっただけなのだが……

「今回だけは見逃します、早く帰りなさい!」

「あ、ありがとうございます!!」

にとりの取ってきたシャケを受け取り芳香と二人で山を下りていく。

 

 

 

小さくなっていく二人の影を見ながら椛がつぶやく。

「なんだかおかしな人間でしたね……仙人志望なのに欲まみれで……かと思えば他人に対して低姿勢で……」

「けど、椛が相手を見逃すなんて珍しいね?今後の成長に期待だね?」

にとりが興味深そうに言う。

「いや、成長というより……なんだか私に近い気がして……」

何処かさみしそうに善に思いをはせる。

「近い?」

「苦労人のオーラが有るんですよ……」

そう言って再び森の奥へと走り去った。

山はもうすっかり日が落ちている。

 

「さて、私も帰るかな……あれ?盟友、荷物忘れてる……治療用のお札に……きゅうりの漬物だぁ!!あと……なんかのディスク?これがDVDって奴か!!確か家にプレイヤーが有ったから再生してみるか……」

 

 

 

「師匠ー帰りましたよー」

何とか歩いて自宅まで帰還した善。

「あら、お帰り善。シャケは取れた?」

師匠が出迎えてくれる。

「布都様も来ているんですか?」

外に止められた見覚え有る船を見て言う。

「ええ、中で善のDVDを見てるわ」

にっこりとほほ笑む師匠!!

「DVD?」

「私が善を看病した心温まる作品よ?」

その言葉を聞いた瞬間善は走り出した!!

「お、おう……善。帰ってきたのか……」

顔が赤く気まずそうな布都がリビングにすわていた。

「はい……帰りました……」

善も同じく無口になる。

「ほら!善!!今こそアレ!言いなさいよ!!」

後ろで師匠が楽しそうに合いの手を入れる!!

「止めてください!!師匠!!」

「楽しいからやーめナイ!!」

その言葉の様に笑う師匠。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にとりの家

『芳香~ついでに保健体育の勉強もしましょうか?丁度いい教材も有るし』

『するぞ~』

『いああああああああああん!!!』

「ひゅい……こりゃスゲー……」

本人の知らないところで不幸は広がる!!

 




もみもみ祭りの会場はここかぁ?
ホンット楽しいよな?ライターってのは?

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