止めてください!!師匠!!   作:ホワイト・ラム

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なんだかんだ言って連載になりました!!
不定期なので気長に待ってください!!


生き残れ!!サバイバルin妖怪の山!!

俺……じゃなかった、私は詩堂 善(しどう ぜん)

仙人を嫌々……ではない、心から仙人目指して頑張ってます!うん……そう、たぶん。

 

 

 

「よっと!!」

善が自身の発する掛け声と共に釣り糸を川にたらす。

辺りは静かな山、秋の涼しさと清流の流れの音が心地良い。

秋晴れした空はゆっくりと雲を流している。

一緒にきた芳香は何を考えているのかわからない表情で水面を眺めている。

心穏やかに成る時間である。

しかし!!

「善、死体が流れてきたぞ」

「何!?本当か!?」

そのセリフで一気に!!

台無しである!!

 

 

 

芳香に言われ川の上流を見ると、青い服に緑の髪の少女らしき人物がうつぶせで流れてきている。

「アレ、取って食べないか?」

芳香からの嫌すぎる提案!!

何でも食べる好き嫌い無し!!

「イヤイヤ、ダメだって!!なんで俺が水死体食うんだよ!!仙人というよりむしろソレ妖怪よりの生き物だぞ!?仮に俺がやったらムチャクチャホラーな展開だぞ?」

全力で否定する善!まだ人間そこまで捨ててません!!

 

「キョンシーにされたり、薬飲まされてるからそろそろ妖怪化しないのか?」

キョトンとする芳香、その言葉がクリティカルに善の心にダメージを与える!!

「芳香ぁ……ソレ言わないでくれよ……そろそろ体に深刻な影響が出てこないか自分でも心配してるんだぞ?」

最早半泣きである、善の師匠は実験好きな面があり謎の薬などを良く善に投与してる!!

気を取り直して釣りを再開する善。

この仕事は失敗するわけにはいかないのだ。

しかし気になるのは先ほどの水死体、魚よりそちらを見てしまう。

「……アレ?水死体は?流れた?」

しかし先ほどの死体は見る影もない。

「いやなモン見たな~、釣りを再開する……おお!やっとヒットしたぞ!!」

 

 

 

勘の良い読者の諸君!!次の展開は予想できるな?

さあ、いってみようか……

「おお!!大物だ!!来いやぁああ!!」

ザバァ!!と音を立て水面から先ほどの水死体が姿を見せる。

「マジか……」

出来れば関わりたくない善。

しかし釣れてしまった物はしょうがない……

「おお!!昼にするのか?」

芳香がキラキラした目で水死体を見る。

きれいだろ?死んでるんだぜ?

 

「イヤ、食べないって……それに持ちあがらないし……しかも針が外れない……」

クイクイと釣竿を動かすが外れる様子は無い。

「芳香、悪いけど針を取って……来れないよな?」

芳香の関節の移動範囲を考えても水死体が増えるだけである!!

「竿、持っていてくれ」

釣竿を芳香に持たせる。

「行くかな……」

意を決して沢を降りていく。

針を水死体から外す。

「よし……と、再開するかな。ナマンダブツ、ナマンダブツ」

水死体に手を合わせ、背を向け芳香の元に戻ろうとする。

ガシッと右肩につかまれる感覚!!

(嫌だな~肩にだけ金縛りかな?どっかで聞いたことが有るぞ、金縛りはただの思い込みの現象だ大丈夫、大丈夫……)

 

善!!必死の現実逃避!!

しかし!!

ガシィと今度は左肩につかまれる感触!!

さらに後ろから人の物らしき息遣いが!!

(お、おおう……コレやばくないか……バイオでハザートな展開じゃないか?)

震えながら後ろを振り返る!!

目の前に広がる少女の顔!!

そしてゆっくりと口を開ける。

「助けてくれてサンキュ!盟友!!」

「へ?」

善は間抜けな声を漏らした。

 

 

 

「いや~、私としたことがさ。足を滑らせて滝から落ちちゃったんだよね」

そう言いながら水死体改め少女が能天気に笑う。

「は、はあ……流されて無事だったんですか?」

頬をひきつらせながら受け答えする善。

「ん?私河童だよ?あれぐらいどうってことないさ。まあ?私自体リアルに河童の川流れするとは思ってなかったけど!」

あははと笑いサムズアップをする。

再び元の場所に戻った善はまた釣り糸を垂らしている。

しかし全く釣果は得られていない!!

 

「あ、自己紹介するよ。私はにとり、河城にとりだよ盟友は?」

盟友というのは自分の事らしい。

「あー俺は詩堂 善……仙人目指してます」

厄介な事になったと思いながら釣り糸の先を見る。

「へー!仙人志望なんだ!!いまどき珍しいね。ところでさ、なんで()()()()()()()()?見つかったら殺されるよ?」

そう!!善が居るのは静かな沢ではなく!

実は妖怪の山の中!!

先ほどのにとりが言ったように!!見つかればタダじゃ入れない場所!!

そんな危険なところでなぜ善がのんびり釣りをしているのか!?

それは今朝の事に遡る!!

 

 

 

何時もの様に芳香とストレッチを済ませた善は、師匠と芳香と自分の朝食の準備をしていた。

今日のメニューは秋の味覚の栗ごはん!!ホコホコした栗の甘みが素晴らしい!!

しかし善の師匠が朝食を見て一言!!

「秋じゃけが食べたいわ~」

この時点で善の中にいやな予感が広がっていた!!

(頼む神様!!あれが独り言でありますように!!)

この先に待ち受けるであろう残酷な運命を避けれるように神に祈る!!

「ぜ~ん」

師匠の猫なで声!!ほぼ死刑が確定する!!

「夜は秋じゃけが食べたいわ」

二度目のその言葉!!

明らかにこちらに聞こえるように言っている!!

その言葉を聞きホッとする善。

(良かった……今じゃなくていいんだな……なら少し高いけど人里で……)

予定を自分の中で立てる善。

しかし残酷な言葉が続いた。

「釣ってきて頂戴」

「は?」

師匠の言葉の意味が解らずフリーズする善。

重ねるようにさらに師匠が言う。

「前、外で食べたシャケの親子丼が食べたいの。だから釣ってきて」

ニコニコと笑いながらこちらを見る。

「あの……師匠?私、釣りとかした事ないんですけど……ていうか川自体この辺には……」

「あるじゃない?妖怪の山が」

 

 

 

その言葉に激しく善は反応する。

「あそこは妖怪の住処です!!勝手に入って密漁とか冗談じゃありませんよ!!見つかったら何されるか解ったもんじゃありませんからね!?」

必死で不可能をアピールする。

善とて若い命を捨てたくはないのだ!

「ダメ?」

師匠がかわいらしく聞いてくる。

「ダメです!!いくら修行と言っても行きませんからね!!」

ガンとして首を縦に振らない善。

「解ったわ、そうよね。私のかわいい弟子に何か有ったら大変だものね」

遂に諦めた師匠。

師匠の言葉に安堵と違和感を感じる。

(師匠がこんなにあっさり諦めるなんて……珍しいな……)

カチッと音がして師匠が何かを触っている。

「師匠?ソレなんですか?」

非常に嫌な予感がする。そう、非常に嫌な予感が……

「あら?知らない?ビデオカメラって言うのよ。最近手に入れたの今日はこれを持って太子様の所でビデオの鑑賞会をしましょう?ほら、良く撮れてるでしょ?」

再生されるビデオの映像を見る。

 

『ほーら、善。しっかり汗を拭かなくちゃね?』

『やめてください師匠!!背中だけで十分です!!前は!!前は自分で!!』

『だ~め、よ?風邪をひいてるんだから……私がシてあげる。芳香、善が動けないようにしっかり押さえててね~』

『りょーかーい』

『いやだ!!いやだぁ!!ううっ!いやだぁ!!』

『芳香~ついでに保健体育の勉強もしましょうか?丁度いい()()も有るし』

『するぞ~』

『いああああああああああん!!!』

 

「ほら良く撮れてるでしょ?」

ニコリと師匠が笑う。

「アンタ!!一体いつコレ撮った!!カメラどこに仕掛けたんだ!?」

善が顔を真っ赤にする。

死因に恥死というのが有ればとっくに死んでいるだろう。

「それはヒ・ミ・ツ。さあ?太子様の所へ行きましょうか?芳香~出かけるわよ?」

「やめてください!!そんなの上映しないでください!!ホントにトラウマなんですよ!?」

泣きながら師匠に追いすがる!!

「いいじゃない?別に減るもんじゃないんだし……」

「俺の尊厳が減るんですよ!!今度から布都様とかと偶然会ったらどんな顔すればいいんですか!!」

最早血涙!!悲惨な善!!

「ん~そうねぇ……物部様には『俺のマグナムをリアルで見してやるぜ!!』とかニヒルに笑いながら言うのはどうかしら?」

善の声マネをしながら師匠が楽しそうに言う。

「どう考えても燃やされるだけです!!」

「そうかしら?実際見せて見ないと解らないわよ?あー。そんな事よりシャケの親子丼が食べたいわ~」

わざとらしく善に向かって言う!!

逃げ場はない!!

「解りましたよぉ!!釣ってこればいいんでしょ!?」

涙を流しながら立ち上がる善!!

「芳香をボディガードに付けて上げる、それから使えそうなもの一式」

ヒョイっと壁の向こうから釣り道具を持ちだす。

 

 

 

……という事が有り妖怪の山に居る。

「仕方ない事情が有るんだよ……」

遠い目をしながらそういう。

「ふーん、大変なんだね」

にとりが興味なさそうに聴く。

「盟友困ってるなら助けてあげるよ!シャケが欲しいんだね?」

すっと立ち上がる。

「え?」

「助けてもらったお礼。ちょっくら取ってきてあげるよ!」

そういうや否や川に勢いよく飛び込んだ!!

バシャ、バシャと音がしばらくした後水面が再び波立つ!

 

「へへへ~取ってきたよ?」

にとりは大きなシャケを3匹抱えてきた。

「おお!!さすが河童!!」

釣り竿を置きシャケを受け取る。

「いや~いい汗かいたよ」

にとりが体をタオルで拭く。

「メスのシャケが要るんだろ?一匹焼いて食べようか?」

まだ昼も食べていない善にとってにとりの提案は素晴らしいモノだった。

その言葉を聞いた途端腹が成る。

「けど……長くいる訳には……」

そうここは妖怪たちの領地!!長くいるのは相当不味いのだ!!

「だったら私が、庇ってあげるよ。友達だって言えば多少はね?」

にとりの優しさが心にしみる!!

「そうだな……ありがとうにとり!!芳香!!昼飯にしよう!!」

その言葉にいつの間にか寝ていた芳香が目を覚ます。

「水死体が動いてる……」

芳香がにとりを見て驚く!!

「お前結構寝てたんだな……」

善ががっくりと肩を落とす。

 

 

 

三人が焼けたシャケを切り分けそれぞれ食べる。

秋じゃけは油のノリが良く非常に美味である。

「米が欲しいね~」

「ああ、それならもってきた」

にとりの言葉に反応し善がリュックから握りメシを取り出す。

「おお!さすが盟友!!準備が良いね!!」

「ほら、芳香も」

「おー」

塩ムスビに食らいつくにとりと芳香。

「漬物も有るぞ?」

別に持ってきていたきゅうりの浅漬けを取り出す。

「おお!!きゅうりだ!!」

にとりが瞳を輝かせる!!

「河童ってホントにきゅうりが好きなんだな……」

うまい、うまいと喜んで浅漬けをたべる。

「刺身もうまいぞ~」

芳香も楽しそうな声が響く!!

 

「え!?刺身?」

用意した積りのない料理に善が一瞬フリーズする。

「うまい!!」

芳香が生のシャケを食べていた!!

「何してるんだ!!」

「ん?」

自体を全く理解して無い芳香!!

「まあ、いい。まだ一匹……」

そう言って最後のシャケを見ると……

「にゃーん!!」

黒い猫がシャケを咥えて森の中に消えて行った!!

「ねぇこおおおお!!」

善が叫ぶが猫はノーリターン!!帰ってこない!!

「どーすんだよ!!三匹ともなくなっちまった!!」

がっくりと地面に倒れる!!

リアル!!orzの体制!!

「あーあ。もう一匹とって来てあげるよ。さすがにかわいそうだし……」

同情したにとりが川に飛び込む。

「頼むぞ~」

そう言った後自分でも釣り糸を垂らす。

「ふ~厄介な事に……」

突然視界の横に銀色が現れる!!

「へ?」

善はそれが刃物だと一瞬遅れて気付く!!

「おい!貴様!!妖怪の山で何をやっている!!」

振り返るとイヌ耳の女!幅広の剣と紅葉が書かれた盾を装備している!!

 

 

 

「助けて!!師匠!!」

「一緒に来てもらおうか?」

無情!!




ひゃほぉう!!!
もみもみ登場!!
テンション上がるぜ!!

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