止めてください!!師匠!!   作:ホワイト・ラム

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さて、今回からまたコラボです。
ジョースターさんの「星の一族の末裔が幻想郷で暮らす様です」からキャラをお借りしました。
まさかのジョジョネタですね。
ジョジョは一応は知っているのですが、詳しいというレベルではないので結構苦労したりしました。
好きな作品ではあるんですけどね?

ジョジョネタが苦手な人は注意。


コラボ!!星の一族の末裔が幻想郷で暮らす様です!!

俺……じゃなかった、私の名前は詩堂 善(しどう ぜん)

ただ今、仙人目指して修行中です。

師匠の修行は厳しいけど、きっとそれも私の事を思っての事。

 

うん……そう、たぶん。おそらく、きっと……あれ?どうして涙が出るんだろ?

と、兎に角今日もがんばります……はぁ……

 

 

 

 

 

世界とは無数に存在している。

此処もその一つだ、善が居る幻想郷とはまた違う幻想郷――

この幻想郷にはとある一族の末裔が住んでいた。

 

「やれやれだぜ……勘弁してくれよ……」

学ランを来た男が小さくつぶやいた。

学生帽に跳ねた前髪が黒、金、青とバラバラの色でなびいている。

数瞬後、その男はまるで空間と空間の間に落ちる様にして消えていった。

 

 

 

 

 

「おい、もう出ていいぞ」

見張りの天狗が牢の扉を開ける。

その中から一人の少年が立ち上がる。

紅い導師の様な服に、赤と青のマフラーそして白のラインが入ったズボン。

仙人志望の少年、詩堂 善だった。

 

「全く、妖怪の山で暴れるなんて……馬鹿な事をしましたね」

椛が善を連れて行きながら話す。

 

「いや……向こうが急に襲い掛かってきて……」

 

「それは此方の連絡ミスです……すいません」

正直に椛が頭を下げる。お互い使われる者同士解らない訳ではない。

 

「あ、お迎えが来たようですね」

そう話すと、椛が姿を消した。

その数秒後……

 

「ぜ~ん!!迎えにきてやったぞー!!」

芳香が楽しそうに走ってくる。

嫌に笑顔で手をふってくる。

 

「おおぅ!!芳香ぁ!!来てくれたのか!!」

善もそのまま走り出し……

強く抱き合う!!と同時に!!

 

ガブリ!!

 

「よし――いでぇ!?」

 

「ふぅうぅぅぅうううう!!」

抱き着くと同時に芳香の歯が善の肩に食い込む!!

 

「痛い痛い痛い!!放せ!!とりあえず一回放せ!!」

尚も息を荒げながら、歯を食い込ませ続ける芳香を説得する!!

 

「はぁ……1週間ぶりの善の味だ……」

 

「しみじみと言うんじゃない!!」

肩を押さえながら善が、芳香を糾弾する!!

つらい話だが、最近芳香が善の味を覚えてきた気がする。

 

「いつかお前に食い殺されそうで怖いよ……」

震えながら、止血の終わった肩から手を放す善。

 

「ダメだ。死ぬのだけはダメだからな?」

いつになく真剣に芳香が話す。

何時もは何処か抜けた様な性格だが、『死』については思う所があるのか、非常に真剣なのだ。

 

「良い事言ったポイけど、お前のせいだからな!?

お前が噛んだから俺が死を覚悟したんだからな!?」

 

「大丈夫だ!!死なない様に調節してるぞ!!」

 

「違う!!そうじゃない!!噛まない様にするんだよ!!」

善が全力で芳香に突っ込む!!

善は知らないが、いまだに善の頭には芳香の歯型が残っているのだ。

トボトボと歩き、善たちの活動のメイン拠点になる墓場まで戻って来た。

ちなみに流血は尚も継続中!!そろそろふらふらする!!

 

「あー、少し休むか……そんな急ぎの用も――うおっ!?」

墓石にもたれ掛かった善の体が、墓石ごと宙に浮いた!!

じたばたと暴れるが、まるで磁石でくっついたかのように離れない!!

 

「うぉおおおおお!!!墓石だぁあああああ!!!」

 

「え?ええ!!?な、なにぃ!?」

浮かび上がった善が他の墓石に叩きつけられる!!

3つほど巻き込んで、ガラガラと崩れ去る!!

 

「あ……すまねぇ……しっかり見てなかった。大丈夫か?」

 

墓石ごと善を持ちあげ投げつけた、大柄な学ランを着た男が善を見下ろした。

ざっと目算で190㎝以上、日本人離れした身長だ。

 

「え、ええ……少し頭の傷が……痛む位で……」

 

「頭の傷?もうふさがっている様だが?」

 

「え?」

その男にそう言われ、慌てて自身の頭部に手を伸ばす。

流れた血こそ付着しているが、すっかり傷そのものは治っていた。

 

「本当だ……いつの間に?」

僅かに混乱する善を他所にその男が再び口を開いた。

 

「見た目ほど大きな傷じゃなかったって事だ。運が良いな。

それよりも、お前。この辺でDISCを見ていないか?

これ位の大きさで銀色の薄っぺらい丸い円盤なんだが」

そう言って胸の前で、人の頭より少し小さいくらいのサイズを表す。

 

「いえ、見てませんけど?CDかDVDの事ですよね?」

 

「なんだ、お前も外来から来たヤツか。

此処の奴にDISCって言っても理解出来んからな」

 

「へぇ、あなたも外から来た人ですか。

此処は過酷な環境ですからね、大人しく人里で暮らすのが賢いですよ。

初めまして、詩堂 善です」

哀れみ、同情、そして親近感を持ちながら善が手を伸ばす。

 

「おう、よろしく頼む。俺の名は空条 承太郎。

出会いとは、引力だ。これも何かの縁だな」

二人がその場で握手をする。

 

「んあ?善、引力ってなんだ?」

 

「気にするな芳香。難しい事言ってごまかそうとしているだけだ」

芳香の言葉に、善が優しく答えた。

僅かに承太郎の機嫌が悪くなったが善は気が付かない!!

 

「で?承太郎さん、そのDISCって?」

 

「ん……理解出来るかどうか解らないが一応説明してやる。

この世には超能力がある、幻想郷に居る奴らを見たことがあるだろ?

俺にもそのうちの一つがある」

 

「『程度の』って奴ですよね?」

 

「俺のは違う。そばに立つ者――通称『スタンド』と呼ばれている。

それはパワーあるヴィジョン!!」

承太郎が、帽子の向きを正しながら善に言い放った!!

 

「ぜ~ん。コイツ言ってる事意味わからないぞ?」

 

「気にするな芳香。ほら、もうすぐ春だろ?春になるとこういう「頭が春」な人が出て来るんだよ……」

芳香の質問にまたしても善が答えた。

善にとってこの時点で承太郎は「関わるとやばい奴」認定されていた!!

 

「野郎……いいだろう。少しだけ俺のスタンドを見せてやる。

と言っても、スタンド像は見せれないから能力だけだが……」

 

承太郎が手をかざし、倒れた墓石の前に立つ。

 

「『スター・プラチナ(星の白金)』!!」

 

『オラァ!!』

空気が一瞬揺れた様な感覚がして、目の前の墓石が砕けながら宙に浮かぶ。

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!』

善の見ている前で墓石がバラバラに吹き飛んだ!!

 

「すごいパワーだ……コレがスタンド?」

 

「ああ、最もスタンド使いじゃない奴には見えないが、コレをやった奴が俺のそばに立っているのさ。

そうだな、物理干渉出来る守護霊または背後霊だとでも考えてくれ」

再び承太郎が手をかざすと、今度は砕けた墓石がビデオの逆再生の様に再生していく。

地面に横たわったままだが、粉砕された墓石が新品の様に成っている。

 

「『クレイジーダイヤモンド』生物や物質を治す力だ」

 

「おお!!すごい!!こんな力があったのか!!」

善が次々と目の前で起こる摩訶不思議な現象に目を見張る。

どれも到底普通の能力とは言えなかった。

 

「ふん、どうやら信じた様だな?さて、問題はここからだ。

このスタンドだが『スタンドや記憶をDISCにして抜き取るスタンド』が存在する、ちょっとした手違いでそのDISCをばらまいちまったんだ……

今、その回収をしている……

俺が此処に来たのは二日前、全部で10枚飛び散った。回収したのは現在2枚」

そう言って承太郎は懐から、2枚のDISCを取り出した。

 

「まさかと思いますけど……それって他の人間が使ってるって可能性は?」

 

「大いに有る、むしろ妖怪が持ってる可能性もある」

ソノ言葉を聞いて善の脳裏に嫌な予感がよぎる。

 

(師匠が拾ったりしてないよな……広範囲にカビをばら撒くとか、体内の金属を操って内部から殺すとか、死体をゾンビとして操るとかそういうの拾ってないよな!?

妖怪よりあの人がそういうの持っている方が厄介なんだよなぁ~)

 

「そうですか……私も手伝ってあげたいんですけど……

スタンド相手に戦うのはどうですかね?」

 

「解っている、もともとそんな期待はしてない。

墓場に来たのは、此処が写ったからだ」

 

「写った?」

承太郎が無言で懐から、一枚の写真を取り出す。

その写真には墓場と亀が写っていた。

 

「亀?」

 

「ココジャンボ、いやミスタープレジデントと呼ぶべきか。

居住空間になるスタンドだ、念写を使ってここを割り出した。

いくら俺でも、野宿は避けたいんでな」

そういうと墓の中を、探し始めた。

 

「もうなんでもありだな……」

 

「善!!私もスタンドが欲しいぞ!!」

 

「俺にどうしろってんだよ……」

呆然とする善に対して芳香がスタンドをねだる。

しかし、当然無理である……

 

 

 

 

(む?行ったか……)

草むらを探しながら、善が去っていったのを承太郎は見ていた。

 

『にっひっひ!!いや~、大変だね承太郎?』

 

「お前のせいだろうが!!」

 

『オラァ!!』

横からかけられた声に承太郎が頭を上げずに答える。

再びスタープラチナが現れ、その声の主を殴りつける!!

 

『ぐぎゃぁああああ!!!』

ゴロゴロと地面を転がる、黒い男。

黒いマントに体を隠し、奇妙な仮面をかぶった怪しい男。

この男の正体はスタープラチナやクレイジーダイヤモンドと同じスタンドの一体である。

名は『ブラッドメモリー』承太郎の()()()スタンドである。

腕力は無いがその分強力な特殊能力を有している、それは『過去の血族の記憶を再現する』能力。

承太郎の血族の過去の体験した出来事を記憶しており、それを力として引き出し承太郎に与ええる事が出来るのだ。

スタープラチナが力と正確性、クレイジーダイヤモンドが再生の力ならブラットは記憶のスタンドと言える。

その結果承太郎は一人にして、複数のスタンドを扱える唯一のスタンド使いなのだ。

このブラッド、能力が特殊ならその存在自体もかなり特殊なスタンドだ。

明確な自身の意思を持ち、承太郎の予想外の行動をとる。

 

「全くよ!!久しぶりにゆっくり昼寝でもしようと、していたのに台無しじゃねーか」

事の始まりは二日前、此処とは違う世界で承太郎がくつろいでいたのだが……

 

 

 

 

 

「ふぅ……武器の整備終了。修理が必要な物は無いな」

畳の上にズラッと複数の剣やナイフが並んでいる、これは承太郎が日常に武器として使っている物だった。

一息ついて、自作したコーラに口を付ける。

 

(もう少し、カラメルの量を変えるか……レモン果汁を入れるのも……)

口に中で味わいながらそんな事を考えていると、自身の後ろでブラッドな何かを並べているのを見つけた。

 

「おい、何をしているんだ?」

 

『ん~?いや、こっちもスタンドの整理をしようと思ってね?

『ホワイトスネイク』でいくつかのスタンドをDISCにして整理してるんだよ』

そう言って手の中で、DISCを転がす。

 

「ほう、感心だな……咄嗟のタイミングで使用するスタンドを間違うのは厄介だしな。

しっかり整理しておいてくれよ?」

 

「ああ、解った―――――――――――飽きた!!すごい飽きた!!」

突然ブラッドが態度を変えて、スタンドのDISCを放りなげた。

 

「お前、飽きっぽ過ぎないか?」

 

「あ!!そうだ!!承太郎!!異世界行こうぜ!!異世界!!!よし決定!!

あ!そ~れ!!カウントダウン!!5・4・3・2――」

謎のポーズとってブラッドがおかしなことを言い始める。

恐ろしい事にブラッドは本人の力で空間を渡ることが出来る!!

 

「おい!!?馬鹿やめ――」

 

「いいや!!限界だ!!行くね!!」

承太郎の抵抗空しく、空間の穴に承太郎は吸い込まれていった。

 

 

 

「うぉおおおおお!!!」

異空間を通るトンネルを抜けて出た世界は善の居る幻想郷。

承太郎の住む幻想郷とは違う場所だった。

 

「なにぃ!?空中だと!?」

出た先はまさかの空中!!じたばたと承太郎が手足を振り回す!!

 

『あ!やっべ!!出る所間違えた~』

 

「ブラッド!!テメェ!!」

 

『オラァ!!オラオラオラオラ!!』

笑うブラッドに対して承太郎がスタープラチナを叩きこむ!!

 

『あ!?ちょ!!ディ、Disc!!』

殴られた衝撃でDISCがブラッドの体から数枚排出される!!

 

「チィ!!てめーは!!余計な事しかしやがらねぇ!!」

承太郎の怒声が、周囲に響き渡った。

 

 

 

 

 

そして再び現在。

 

「見つけたぜ……これで野宿ともおさらばだな」

茂みに隠れていた亀を見つけ、承太郎が一安心する。

 

「さて、飛び散った奴の内、ヤバそうなの――『キングクリムゾン』と『キラークイーン』は手の中にある……問題は――」

 

『DIOの記憶のDISCとそのスタンド『ザ・ワールド』だね』

 

「チィ……厄介な組み合わせが逃げちまったぜ」

DIOとは、過去承太郎の一族を追い詰めた宿敵であり、その当人の持つ脅威の力を持つスタンドである。

その能力はまさに『世界を支配する力』と呼べる物であり、承太郎の最優先回収対象であった。

亀の中で、ブラッドとそんな事を会話していた時。

 

「ジョータローさーん!!」

 

「ん?善の奴が呼んでるな……何か有ったのか」

善の声に気が付き、承太郎が亀の中から姿を現す。

 

「どうした善?何か用か?」

息を切らせ走って来たのか、善の体は汗に濡れている。

 

「スタンドって……相手の年齢を下げる奴ってありますか?」

 

「年齢を下げる?――あるな……セト神、あの屑野郎のスタンドがそうだった」

承太郎の脳裏にブラッドによって記憶されてた一人のスタンド使いの記憶がよぎる。

 

「大至急来てください!!」

 

「お、おい!?一体何が?」

善が承太郎の腕を引っ張り、墓の端にある洞窟を利用した住居に承太郎を連れて来る。

 

 

 

「あ、善!!いたか?」

 

「ああ、まだいたよ。良かった……承太郎さん、この子にかかったスタンドを解いてくれませんか?」

そう言いながら、善が芳香の抱いていた女の子を受けとる。

7歳から10歳くらいの年頃で、青い髪の鑿を髪留めの様に付けている。

 

「誰だ?こいつは?」

 

「私の師匠です!!」

 

「わたしセーちゃん!!よろしくね!!」

慌てる善を無視して、幼女が楽しそうに笑った。




今回は設定の説明がメインに成りました。
次回以降から本格的に物語が動く予定です。

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