止めてください!!師匠!!   作:ホワイト・ラム

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今回は少し短くなりました。

私の力不足です。
次回はもっと長くします。

*2月17日修正しました。


集合!!地霊殿の妖怪達!!

俺……じゃなかった、私の名前は詩堂 善(しどう ぜん)

ただ今、仙人目指して修行中です。

師匠の修行は厳しいけど、きっとそれも私の事を思っての事。

 

うん……そう、たぶん。おそらく、きっと……あれ?どうして涙が出るんだろ?

と、兎に角今日もがんばります……はぁ……

 

 

 

 

 

地底の~お宅訪問!!

今回お邪魔したのは地霊殿の客間。

ステンドグラスが怪しくも美しく優しい光を醸し出し、上等な赤い絨毯にシックで機能性を重視したテーブル。

暖炉には、火がともり寒い時期のお客でも大丈夫。

流石は旧都の支配者の家!!

誰もが羨む、高級住宅!!

 

の!!筈でしたが!!

 

現在!!その客間は目も当てられない状況!!

 

 

 

「いったい何が有ったの……?」

善による妄想を見てしまい、キャパシティオーバーを起こした事で意識を手放したさとりは、目の前の惨状を見て絶句する!!

ステンドグラスは人が一人でて行けるサイズで叩き割られており、壁には焼け焦げと大穴!!

テーブルは燃え、家具の殆どが破壊されている。

そんな中でヤケに現実味を持って自身のペットの声が聞こえた。

 

「うにゅ!?まだ逃げるの?」

自身のペットのお空が、ステンドグラスから腕を突き出し中庭を攻撃している。

被害状況などを考えると一瞬目眩が起きるが、ここで倒れる訳にはいかない。

暴走気味のお空を放っておくとどうなるか解らない!!

意を決してお空に近付く。

 

「……一体何をしてるの?」

 

「侵入者退治……うにゅ!!……外した……もう一度!!」

ジト目でお空に尋ねながら割れたステンドグラスから、中庭を見る。

そこには!!

 

「うひぃ!?アッツ!!尻熱!!」

中庭で必死にお空の攻撃から逃げる善の姿が!!

尻に火の粉が飛び、その場で飛び上がる!!

その様子にさとりがギョッとする!!

 

「お空!?やめなさい!!、その人はお客さんよ!!」

必死になってお空を諌める。

 

「ええ!?そうなの?」

さとりの言葉にやっとお空が攻撃をやめる。

 

 

 

 

 

「ウチのペットが重ね重ね申し訳ありません……!!」

何とも気まずい空気でさとりが善に頭を下げる。

因みに善の髪は少し焦げている。

 

「いえ……運良く当たらなかったので、そんなには……もう勘弁デスケド……」

焦げた髪を気にしながら善がそう話す。

 

「お空にはきつく言って置きますから……!!」

そう言って再度さとりが頭を下げる。

善はただ、苦笑いで返すだけだった。

 

 

 

暫くして、体を洗い終わった芳香とお燐が戻ってきた。

洗濯は乾かすのにもう少しかかるらしいので、芳香はお空に借りた服を着ている。

 

「あちゃー……客間が滅茶苦茶じゃないか、さとり様二人をアタイの部屋に呼んでもいいですか?」

客間の惨状を見たお燐が気を利かせさとりに進言する。

 

「ええ、お願いできる?客間の掃除とかしないといけないから……お空手伝いなさい」

げっそりしながらさとりがお空を捕まえる。

正直今日一日、というかここ数時間で心労の溜まり方がヤバイ。

さらに言うと、善の近くに居ると色々意識(悪い意味で)してしまうのでお燐の申し出はありがたい。

 

「ええー!!私お兄さんに頼まれごとしてたのにー」

お空が不満そうに口をとがらす。

「い・い・か・ら!!来なさい!!」

恐ろし形相でさとりがお空をにらむ!!

 

「さ、お二人さん。アタイの部屋はコッチだよ」

逃げるようにしてお燐がウインクして二人を自室に連れて行く。

 

 

 

 

 

数時間後……

「はい、ここまでやればいいでしょう……割れたガラスとかはまた業者を呼んで……」

ブツブツ言いながら、さとりが客間の掃除を終わらせる。

お空の破壊した物は、殆ど捨てる事に成ってしまった。

 

「お空?ちゃんと反省してる?」

 

「は、はい!!ごめんなさい!!」

泣きそうな顔で、さとりの言葉に応える。

必死で首を振っている所を見ると、しっかり反省した様だ。

 

そこで不意に気になるのはさっきの二人の事だ。

 

(お燐はちゃんとしっかりしているかしら?)

紅茶でもまた淹れて持って行く事にする。

お空は、地底の妖怪に頼まれごとをしているみたいで、再び出かけてしまった。

 

 

 

「よし、準備出来たわ」

完成した紅茶とケーキのセットにさとりが息を漏らす。

とっておきの茶葉を使用した、至高の一杯だ。

トレイに乗せて、お燐の部屋に向かって行く。

 

扉をノックしようとして、その手が止まる。

中から僅かに、三人の声がする。

さとりはそっと、その言葉に耳を澄ませる。

 

 

 

「ほらぁ~お燐さん、このオモチャの具合はどうですか?」

善の心底楽しそうな声そのすぐ後に、お燐の切なそうな声が聞こえる。

 

「お、おにぃさぁん!?ひ、ひどいよぉ!!アタイが我慢できないの分かってるんでしょ?」

 

「もっと、速く出来るんですよ?ほらほらほらほら!!」

 

「はや、速すぎるよぉ!!」

 

「善、私もやりたいぞ!!」

 

「お、芳香もやる気か?よし、こっちを貸してやろう、二人でまわすぞ!!」

 

「おおー!!これはすごいぞー」

 

「ああっ!!ふたつ!?ふたついっぺんなんて……!!」

そこまで聞いてさとりは扉を開けた。

 

「あら、みなさんお楽しみね。何処で買ったのかしら?()()()()()()()()()

そう言って、善と芳香の持つ猫用のおもちゃを見る。

お燐は猫の姿で、じゃれついている。

 

「いやー、お土産物屋で見つけてつい買ったったんですよ、お燐さん猫だって言うから使ってみたんですよねー。ほらほら~」

そう言って、プラスチックと布で出来た猫じゃらしをお燐の前で振る。

 

少年と猫の戯れ!!健全!!全く持って健全なシーン!!

もしも、どこか不健全な事を考えた人がいたのなら心が酷く汚れています。

座禅でもして、心をきれいにしましょう!!

 

「速い!!速すぎる!!ああ、体がつい反応しちゃう~」

お燐がそう叫び、寝転がりながら先の布の部分を猫パンチする。

 

「えへへ~、かわいいぞ~」

そう言って芳香も同じようなモノを、お燐の前で振りまわす。

 

「2本いっぺん!?ああ~たまらないね!!」

そう言って2本目の猫じゃらしにも反応し始める。

 

「遊んでもらってたのね、お燐?」

さとりがテーブルにトレイを置く。

 

「そうですよぉ……はぁはぁ……少しハッスルしすぎましたぁ……」

そう言って猫の姿のまま、椅子に乗る。

 

「さて、洗濯していた服も乾いた頃ね、これ以上引き留める訳にもいかないわ」

三人にケーキを出しながら、さとりがそう呟く。

暫くしてさとりが差し出した紙袋には、乾いた芳香の服が入っていた。

 

「すいませんさとりさん、何から何まで……」

申し訳なさそうに善が頭を下げる。

それに対してさとりはふっと微笑んだ。

 

「良いのよ、これ位。それに殆どがこちらに非があるわ、お燐も気に入ったみたいだしまた今度旧都に来たときは地霊殿によってね?」

 

「はい、ありがとうございます」

そう言って善はうれしそうに頭を下げた。

暫くお燐やさとりと話した後、芳香が自身の服に着替え二人は地霊殿を去って行った。

 

 

 

「はぁ、忙しい人たちね……」

さとりが小さくなっていく善と芳香の背中を見つめる。

 

「あーあ……あの二人とは結構気が合ったのに……」

何処か残念そうに、お燐がつぶやいた。

旧都と地上の距離を知っている彼女だからこそのセリフだろう。

 

「私も少し残念に思うわ、あの子トラウマかなり量も多いし内容も興味深かったわ……師匠に、芳香に完良(あきら)、ね……またいつかゆっくり見たいわね」

さとりはそう言って、嗜虐的に笑いぺろりと唇を舐めた。

 

 

 

 

 

「あーあ、今更だけど碌な事が無いな……」

歩きながら善が一人で呟く。

思い返せば、縛られたり、投げられたり、捕まったり散々な目にしか会っていない気がする。

不運のバーゲンセールだと自嘲気味に笑う。

「そうか~?私は楽しかったぞ?」

ピュンピョンと芳香がご機嫌でスキップしている。

 

「お前はな?俺は散々な目にあってばっかりだよ……」

そう言う風にため息を漏らす。

そんな二人を見つめる複数の瞳が有った……

2人の隙を突き、その瞳たちが飛び出す!!

 

 

 

 

 

旅館にて……

善の師匠は、街で買った温泉饅頭を食べようとしていた。

 

「ふんふふ~ん♪やっぱり、御饅頭はこしあんよね~。あら、お茶がきれたわ、ぜ~ん!!お茶を……っといけない、芳香と出掛けてるんだったわ、あの子がいないと少し不便ね……」

そう言いながら、自身でお茶を入れ始める。

 

再び座布団に座り、お茶を片手に饅頭を手にしようとする。

その時!!窓が割られる音が自分の後ろから響く!!

 

「一体何かしら?」

不機嫌になりながらも、割れた窓ガラスを見る。

床には丸められた白い紙、どうやら石に紙を巻きつけて外から投げ入れた様だった。

警戒しつつも、ゆっくり紙を広げる。

そこには簡素な地図とメッセージが添えられていた。

 

数秒後師匠は紙を破り捨てて、旅館から走り出した!!

 

 

 

 

 

「よくきたなぁ!!邪仙さんよぉ!!」

指定された場所に行くと、そこは何か理由が有って破棄された旅館だった。

一昨日の妖怪が大量の仲間を集めて師匠を待っていた。

 

「善と芳香はどこ?返していただきたいのだけど?」

射抜くような視線を、リーダー格の妖怪に投げかける。

普通ならそれで、怯えてしまうのだろうが人質とさらには多勢に無勢という状況が妖怪達に活気をもたらしている。

 

「うるせぇ!!こちとらお前らにやられたせいで面目丸つぶれなんだよ!!いいか?此処は地底!!俺達妖怪どもの住処だ!!此処にのこのこ仙人風情がやってくること自体舐めてるよなぁ?餌にされてもしかたないよなぁ!?だから食ってやろうっての!!」

無数の妖怪達が咆哮を上げる!!

数は20~30は余裕で超えている。

 

「はぁ……私は善と芳香の居場所を聞いてのだけど?」

うんざりと言った感じで再び師匠が口を開く。

そこに恐怖は無く、悠然と自身の手を煩わせた妖怪達へのイラつきだけが存在していた。

 

「約束通り、札は置いてきたよなぁ?お前さんだけ武器が有るのなんて卑怯だしな?心配すんなよ!!お前の妖怪仙人モドキと、腐った死体はここだぜ?」

そう言ってリーダー格の妖怪が、天井の梁を指さす。

柱に芳香と、善がきつく縄で縛られていた。

 

「泣けるよな~、この仙人モドキ。俺らが死体になんかしようとすると必死で庇うんだぜ?死体の方は『直してもらえるから』って言うんだけどそれでも庇うんだぜ?死体がノロマだったお陰で簡単につぶせたぜ!!ぎゃはははは!!」

 

良く見ると善の恰好はボロボロだ、顔は腫れて鼻血がいまだに垂れている。

 

「人質の積り?そんなの私には――」

 

「違う違う、こう使うんだよ!!」

パチンと、指が鳴らされ仲間の妖怪が善を縛る縄をきる。

地面に落下する善を、妖怪が掴み師匠の方へと投げ捨てる!!

 

「何のお積りかしら?」

自身の足元に投げ捨てられた、善を一瞥して改めて妖怪達にむきなおる。

 

「そいつを起こせ、俺らに恥かかせたのはお前ら二人だ!!だからよ?お前ら二人をぶっ潰すのが先だろ?」

そう言ってだらりと紫の舌を伸ばす。

コレは彼らなりのけじめなのかもしれない、卑怯な手でも譲歩したことにより彼らは平等だったと思いこめる。

彼らが満足するための自己ルールなんだろう。

最も、師匠に丸腰で来させた上に善もあらかじめ痛めつけて置く等、平等性など全くないのだが。

 

「善、起きなさい。仙人ならそれ位何とも無いハズでしょ?」

 

目の前に倒れる善を再び一瞥し、そう声を掛ける。

しかし反応は無い。

「善、師匠が起きろと言ってるのよ?……起きなさい」

再度善に言葉を投げかける。

一瞬の静寂ののち、ピクリと善の指先が動く。

「…………ええ…………まだ……行けます……よ……お!!」

 

満身創痍でボロボになりながら善が立ち上がる。

何度も、転びそうになりながらもその瞳は闘志を失ってはいない!!

その様子を見て師匠はふっと笑う。

 

「良いわ、それでこそ私の弟子ね。さて、あなたのミスのせいで芳香が大変な事に成ってるわ。どうするつもり?」

視線を妖怪達に戻しながらそう善に話す。

厳しさの中にも信用を含んだ言葉だった。

次に来る言葉はもうわかりきっている。

 

「無論、奪い返すまで!!」

 

その言葉に再び師匠が、微笑む。

善と師匠が妖怪の群れに跳びかかる!!




イヌ耳も良いが……猫耳も捨てがたい……

いいねぇ……別に私はケモナーではないんだ……

ただケモ耳っ娘が好きなんだ……
無論尻尾も好きさ。

最近ドレミーさんって言う獏の子が出たけど……
あの子尻尾生えてるよね?……なら……もしかしたらだけど……獏耳も生えてるのかな?


そんな事思う今日この頃……

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