止めてください!!師匠!!   作:ホワイト・ラム

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皆さんこんにちは。
此処で書く事ではないんでしょうが……

暫くぶりに見たらUAがすごく伸びていた……
一体何があったんでしょう?
何かの手違い?サーバーのトラブル?

兎に角この作品が無事に出せる事を祈ります。


地獄の休日!!邪仙と死体の場合!!

俺……じゃなかった、私の名前は詩堂 善(しどう ぜん)

ただ今、仙人目指して修行中です。

師匠の修行は厳しいけど、きっとそれも私の事を思っての事。

 

うん……そう、たぶん。おそらく、きっと……あれ?どうして涙が出るんだろ?

と、兎に角今日もがんばります……はぁ……

 

 

 

 

 

「う?……ん、?」

三人で宿泊している旅館の中、善が今日も目を覚ます。

修行で毎日早起きしている為、今日の様な何もない日でも体が勝手に起きてしまうのだ。

最もたとえ起きたとしても、二度寝してしまえば問題ないのだが……

 

「……なんだコレ?……雨漏り?」

善は自分の顔と頭が、僅かに濡れている事に気が付いた。

寝汗などかく季節ではないのにと、不思議に思って枕から頭を上げる。

 

「……マジかよ……」

そしてようやく謎の液体の正体を理解した!!理解してしまった!!

 

「うへへ……煮ても焼いてもおいしいぞー……」

ジュルリ……

謎の液体の正体!!それは芳香の涎!!寝言と共に絶えず流出ている!!

寝起きそうそうブルーな気分になる!!

 

「温泉、行くか……」

荷物中から自分の服を取り出し、昨日の温泉に向かう。

流石に涎塗れで寝る気にはなれなかった。

 

 

 

 

 

「ふぅ……やっぱりいいモンだな……」

洗い場で、体を洗うと湯船に身を沈める。

昨日散々な目にあった露天だが、温泉に罪は無い。

寧ろやっとゆっくり入れると、上機嫌でお湯を掬い顔に掛ける。

 

「すごい湯気だな……」

朝の早い時間帯で気温が低いせいか、昨日よりも湯気が多く出ておりお湯自体も白く白濁している為、昨日より湯船が大きく感じる。

視界が悪く、自分以外に数人の先客が居たがあまり気にならない。

もう一度、お湯を顔に掛ける。

 

「ぷはぁ!……あーまさに極楽。何時も師匠にイジられすぎて荒んだ……いや摩耗した?心が癒されて行くなー」

グーッと体を伸ばしながら一人愚痴る。

 

「あら、酷いわね。多少の事が有ってもすぐに治療してあげてるじゃない?それに仙人の修行は楽ではないの、心身共に苛め抜いて初めて成れるのよ?不老長寿を手にしたいなら励みなさい」

すぐそばから善の言葉を否定する声がする。

厳しさの中にも、優しさを感じるお言葉だ。

 

「はぁ、そうですね。けど、明らかに私の反応み…………て?……あれ?」

聞き覚えのある声に、さび付いた機械人形の様にぎこちない動きで声のした方を向く。

そこには、鑿を外し青髪を下ろした師匠の姿が有った。

 

「はぁい。善おはよう、昨日はよく眠れた?本人の前で陰口なんて、いい度胸ね?」

そう言ってにっこりほほ笑む。

 

「え?あの、え?え?ここ男湯……なんで此処に?」

混乱しながらキョロキョロと辺りを見回す!!

しかしよくよく見ると……

 

「あら?カマトトぶってるの?ここ、深夜から早朝まで混浴よ?」

そう言って親指で温泉の中央を指さす、そこには昨日まであった竹の壁が無かった。

まるでそれを証明するかのように、数組のカップルが楽しそうに会話している!!

 

「……ホントだ……気が付か――」

 

「嘘なんか、吐かなくてもいいわよ?あなたが理性を投げ捨てて、自身の情欲と若い衝動に突き動かされて此処に来たんでしょ?あなたの考えること位――」

 

「違います!!本当に偶然です!!師匠!!私はそんな事をした事すらありませんよ!!」

必死にそう話す。

その言葉に何事かと数組のカップルがこちらを睨む!!

 

「ごめんなさいね、私の不出来な弟子がご迷惑おかけしてます」

そう言って頭を下げる師匠。

圧倒的に善が悪人の空気に成ってしまった!!

 

「ええー、俺がわるいんですか?コレ……」

 

「まったく、お風呂位静かに入りなさい?」

そう言って師匠が善の隣に身を寄せる。

下衆な感想だが……いろいろと柔らかい。

 

「あの、師匠?スミマセンもう少し距離とってもらえませんか?私の理性的なモノが凄まじい勢いで削られているんですけど……」

 

「あら、何を言ってるのかしら?ちゃんとタオルも巻いてるし、コレはただの師弟のスキンシップよ?何かおかしな事があるの?」

そう言っていたずらを思いついたように、善の腕を抱き締める!!

柔らかい!!凄まじく柔らかい!!そして濡れている!!

ソフト&ウエット!!善から理性を奪える!!

 

「あははは……いや、このままでは『師弟のスキンシップ』から『R指定のスキンシップ』に移行しそうナンデスケド?」

 

全理性を総動員して善が何とか絞り出すように話す!!

 

「それは困ったわね……けどイザと成ったら善を煩悩の数で小分けするわよ?」

 

「108ツ裂き!?」

理性を失った先に有る、残酷な未来に一気に震え上がる!!

最早、煩悩がドウとか言ってる暇はない!!

 

「そうね、今度は指だけじゃすまないわよ?」

ツツーっとお湯の中で師匠の指が善の腕をなぞる。

少しでも師匠の機嫌を損ねたら、腕には三枚おろし以上の惨劇が待っているだろう!!

「や、止めてくださいね?……もう、落ち着きましたから、ね?物騒な事止めてくださいね?」

半分涙目で懇願し始める!!

辺りがお湯で、全裸でなければ土下座を敢行していただろう。

「そうね、今回は止めて置こうかしら?」

 

そう言って柔和な笑みを浮かべる。

うん、笑顔だけなら間違いなく美女である!!

 

「そう言えば指の調子はどう?違和感とか無い?」

そう言って善の右手をお湯から持ち上げる。

右手の指は昨日の朝、第一関節から切り落としてくっつけたばかりだ。

傷跡がくっきり残ってるハズだが……

 

「ああ、素晴らしいわ。しっかりくっ付けて上げた事を加味しても、この再生力は目を見張る物が有るわね」

そう言って、殆ど傷が塞がりつつある善の指をうっとりと見る。

「自分でもびっくりです。『抵抗する程度の力』負傷した状態に対しての抵抗、再生力の向上ですかね?」

自身の力だと言うのに、不思議そうに善が自身の指を見る。

傷が治りかけるその様は善に、人からの出奔を実感させた。

 

「ええ、そうよ。それと仙人自身の持つ回復力ね……良かったわー、これで多少は普通の人間には不可能な薬品の投薬とか、無理な訓練とかできるわね?」

ニコニコと笑う師匠の笑顔を見た善に戦慄が走る!!

 

「いぃ!?そんな事するんですか!?流石にそれはヤバイですよ……少し位加減して……」

善が、明らかにやばい事を始めた師匠を止めようとするが……

「とりあえず、帰ったら水銀とかごちそうしてあげるわね?」

それからそれからと、次々指折り劇物、毒物をすごく楽しそうに羅列し始める!!

「絶対にお断りです!!」

 

 

 

 

 

楽しそうな顔をした師匠と、対照的に酷く疲れた様子の善が旅館の廊下を歩いていた。

「はぁー……良いお湯だったわ」

「私はなんだか心労が――」

 

「おお!!善だ!!さがしたぞぉ!!」

そう話すと同時に芳香が善に体当たりをかました!!

 

「ぐほぉ……どうしたんだ?……ただ風呂に行ってただけだぞ?」

尚も体当たりを敢行しようとするがどうどう、と芳香をなだめながら何処にいたのかを話す。

 

「起きたら誰も居なくて心配したんだぞ?」

不安そうな顔をしている芳香を見ると、善の中に罪悪感が湧いてくる。

 

「悪かったよ。昨日ゆっくり入れなかったから風呂に行ってきただけだ、別に心配する事なんてないんだぞ?」

そう言うと芳香の頭をゆっくりとなでる。

 

「心配させてしまったみたいね、悪い事しちゃったわね?善、今日は一日芳香に付き合ってあげなさい、温泉街だものお土産とか見てるだけでも楽しいわよ?」

そう言って師匠は自身の財布から、現金を取り出し渡してくる。

どうやら、二人で遊んで来いという事らしい。

 

「だってさ、朝ごはん食べ終わったら一緒に出掛けような?」

 

「わかったぞー!!」

善の言葉に芳香はうれしそうに声を上げた。

 

 

 

 

 

「善!!アレはなんだ!?」

芳香が店先の土産ものに目を輝かせる。

その視線の先には、ポッピンがおいて有った。

 

「ああ、コレは確か……音を鳴らす道具だな、吹くか吸うと底がペコペコ成るんだよ」

そう言って芳香に説明をする。

実の事を言うとこんなことがもう何度も繰り返されている。

善は芳香の性格上、何か食べ物を見る度に注文しまくって食べ歩きに成ると思っていたが、店の商品を見る事の方が多かった。

場合によっては珍しくない道具までも、興味ありげに聴いてくる。

 

「なぁ、芳香。別にこんな物見なくても地上に有る物とか多いぞ?少し記憶力が悪く成って来てないか?」

すこし心配になり、善が芳香に尋ねる。

 

「そうかー?悪いが私はあんまり店とか見ないからなー、道具の名前を知らないんだ」

 

「うん?買い物とかしないのか?」

 

「お使い位は行くぞ?けど自分のものは買わないなー」

そう言って再び土産物を見始める。

 

芳香の言葉に、善は何時のも芳香が何をしていたかを思い出す。

(そう言えば、芳香個人の物って服位しか無い?必要ないってのも有るのか?)

「なんか欲しい物ってないか?あんまり高い物は買えないけど、買ってよるよ」

 

そう言って自身の懐から財布を取り出す。

この財布は、さっき師匠に渡されたお金とは違う。

善自身の財布だ。

此処で師匠からもらったお金を使わないのは善なりのプライドだった。

 

「いいのか!?」

善の言葉に芳香が再び目を輝かせる。

「ああ、いいぞ。いつも芳香にはなんだかんだ言って助けて貰てるからな、ほんのお礼だ」

 

「やったぞーー!!」

その場で大げさに跳ねて喜び、適当な物を物色し始める。

最終的に、悩みに悩んだ末に芳香は風車とビー玉を選んだ。

 

「もっと高い物でも良かったんだぞ?」

と善が聴くが本人曰くこれで良いらしい。

商品を受け取って、会計を済ませると、今度は芳香本人がいなくなっていた。

 

「あれ?おっかしいな……」

キョロキョロと辺りを見回す。

昨日師匠が、チンピラな絡まれた等このあたりもあまり治安は良いとは言えない為少し不安に成る、

 

「ぜ~ん!!」

そうこうしていると、隣の店から芳香が出てくる。

手には何かを持っている様だった。

 

「隣の店にいっていたのか?ほら、これ」

そう言って、自身の買ったビー玉と風車を紙袋ごと見せる。

 

「私からもプレゼントだぞぉ!!」

そう言って芳香は善の首に、マフラーを巻きつけた。

 

「なんだ、くれるのか?逆に貰ってなんか悪いな……けど、あったかいよ。心も体も」

そう言って、芳香が巻いてくれたマフラーを撫でる。

ロングのマフラーで、途中から紺と赤と2色に分かれている。

柄的に、ひょっとしたら女性物かとも思ったがせっかくの贈り物だ、ケチをつける必要は無い。

それに実際心と体があったかいのだ、それ以上は何も要らない。

 

「よぅし!!昼は師匠から結構もらったし豪勢になんか食べようぜ!!俺がおごるぞ!!」

行動には行動で返す、それが善の決定だった。

「おお!!たくさん食べるぞ!!」

 

芳香を連れて、近くの店に向かうのだが……

 

 

 

 

 

「スンスン……なんだかいい匂いがするねぇ……アタイ好みの死体の匂いだ!!」

とある妖怪が、猫車を引きながら鼻を鳴らす。

彼女はそろそろ昼を取ろうと此処に来たのだが、芳醇な死体の匂いに引かれた。

死体の香りは彼女の本能をこれ以上無い位に刺激する!!

 

「ああっ!!もうたまらない!!」

彼女は気が付いた時には、目の前にいた少女を攫っていた。

 

 

 

 

 

「うを!?」

善の身体を誰かが跳ね飛ばす!!

目の前で、猫耳を付けた少女が芳香を猫車に乗せる!!

何が起きたか解らなかったが、善は咄嗟に『マズイ!!』と判断して芳香に手を伸ばした!!

 

 

それが失敗だった!!

 

 

善は確かに芳香の腕を掴んだ!!

キョンシーの力と仙人モドキの固い握手だ。

しかし!!

謎の人さらいも妖怪だった!!

つまりこちらも力が強い!!

車の上の芳香が善を掴み、芳香を謎の妖怪が押す事に成る!!

その結果!!

 

 

攫われる芳香に善が腕ごと引きずられる!!

当然下は地面!!運ぶ妖怪は芳香しか見ていない!!

つまり!!

善は妖怪によって引きずり回される事に成る!!

 

 

 

「おおお!?痛い!!やばい!!痛い痛い!!擦れてる!!擦れてる!!」

 

「♪~♪~~」

 

「善!!がんばれ!!」

地獄の街中!!市中引き回し!!

この拷問、地霊殿に付くまで続いたそうな……

 




この前、三人称などが混ざって読みにくいとの指摘を受けました、

少し手直しして視点の固定などをしてみたんですが、何か不都合などの意見が有れば感想欄にお願いします。

出来る限り反映します。

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