止めてください!!師匠!!   作:ホワイト・ラム

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最近銭湯に良く行きます。

いやー楽しいねー

冬はやっぱりお風呂だねぇ……


包囲!!迫りくる不運達!!

悪を許すな!!地獄警察24時!! ~鬼の目に映るのは何か~

 

 

 

此処は旧時代の地獄跡地、通称『旧都』。

この街には地上を追われた者、何かが有り逃げ込んだ者たちが住む。

地獄という響からも物騒なイメージが付きまとう……

実際地上よりも治安は悪いが、完全な無法地帯という訳では無い!!

地獄の秩序を保つその一柱として、地獄の保安部隊が今日も懸命に犯罪に目を光らせる!!

 

この部隊に所属して長い、鬼の『星熊 勇儀』氏はこう話す。

 

「確かにここには荒くれ者が多いよ、けどね?そんなフウにしか生きられない不器用な奴らでも有るんだよ、だからかな?それだからこそ最低限の超えちゃならないラインが有ると思うんだ、私はそんなラインを超えた奴から不器用な奴らを守りたいんだよ。無論できる事ならそのラインを超えたヤツもね」

 

厳しくも温かい言葉で有る。

年の瀬が近い本日もパトロールである、勇儀氏は旧都の街を見て回る。

 

スタッフが聴いてみた。

「何時もこんな風にパトロールを?」

 

それに対し勇儀氏は――

 

「パトロールぅ?違う違う、ただの散歩だよ。私はこんな日常を見るのが好きなんだよ、もちろんお酒も好きだけど!!」

そう言ってにこやかに笑う勇儀氏、本人はただの散歩と言って憚らないが、彼女の睨みのお陰で確実に犯罪は減っている。

 

その時勇儀氏の表情がガラリと変わった!!

温厚な表情から、まさに鬼の表情へと!!

そして、一件の温泉宿に向かって走る!!

 

*プライバシーの保護の為、一部音声と画像が加工されています。

 

「そりゃ!!」

 

「がはっ!?くそう……」

 

「お前で最後だぁ!!」

ぐしぃ!!

温泉宿の前で喧嘩だ!!地獄では珍しくない光景だろうが今回は違う!!

この天下の往来で少年が、他の妖怪達を殴り倒している!!

しかしその少年はなぜかこの寒空の下で何の服も着ていない!!

スタッフに緊張が走る!!

 

「ちょっと話きかせてもらおうか?」

流石は勇儀氏、全裸の男にも優しい対応である。

 

「え!?」

後日調べた結果であるが、この少年の名はS・Z(仮名)

彼は妖怪に絡まれた為、撃退しただけと訴えるがそれでもこのような恰好の理由にはならない!!

勇儀氏によってあえなくお縄、連行され取り調べが待っている!!

変質者は逮捕されたが、まだこの世界には犯罪が横行している。

負けるな勇儀氏!!戦え勇儀氏!!犯罪が無くなるその日まで!!

 

 

 

 

 

善は、通りすがりの鬼によって留置所の様な所に連れていかれていた。

コンクリートの寂しい建物で、牢が有りここに暴れた妖怪達を閉じ込め頭を冷やす施設の様だ。

 

「ほら、黙っていても何も解らないだろ?なんであんな事したんだい?」

善を此処に連れて来た張本人である、星熊 勇儀が善の目の前、テーブルを挟んで座っている。

因みに善はいまだに全裸に、毛布だけという姿だ。

 

「……いや、別に露出がしたい訳では――」

 

「嘘を吐くんじゃないよ!!見せたかったんだろ!?」

 

「ち、ちがいますぅううう!!」

勇儀が善の目の前の机を叩く!!

机が悲鳴をあげ、激しく軋む!!

その様子に、善が身を引きそうになる。

 

 

 

「いいかい?ここからは本当の事だけを言うんだよ?鬼は嘘が何よりも嫌いなんだ」

ギロリと視線だけで弱い妖怪なら、その場で逃げ出してしまいそうな眼力を出す。

 

「は、はいぃ!!わ、解りました!!」

ガクガクと震えながら善がコクコクと頭を激しくうなずく。

もう少し、脅されたら毛布を汚してしまう所だった。

 

「よし、まず名前だ。《しどう》で読み方あってる?」

 

「あってます、あってます!!」

 

「……アンタは何の妖怪だい?鬼って訳じゃなさそうだけど?」

再びジロリと鋭い眼光が善を睨む。

やはりその視線には、容赦ない糾弾の感情が籠っている。

 

「よ、妖怪じゃないです……人間です……仙人志望ですぅ……」

完全に震えながら、何とか途切れ途切れで応えるが……

その言葉に勇儀に眉が不機嫌に吊り上る!!

 

「ああ!?人間?何言ってるんだい?ただの人間がなんで地獄で猥褻物陳列してるんだい!?仮にアンタが仙人の修行をしたとしよう……街中で裸に成る修行なんて聞いた事ないよ!!いったいどんなエロ修行なんだい!!」

勇儀が再度自身の拳を机に叩きつける!!

ガコン!!と危険な音が鳴り響き、いくつか破片が宙を舞う!!

 

「ほ、本当です!!師匠が、風呂で襲われて師匠が俺の事をキョンシーにして、チンピラ達を――」

 

「嘘を吐くんじゃないと言ったばかりだよ!!いい加減にしな!!訳の分からない事ばかり言って!!もういい!!一晩ここで頭を冷やしな!!」

まるで猫でも、捕まえるように首根っこを掴み勇儀が善を、檻の中に投げ入れる!!

 

「出してください!!俺は無罪です!!冤罪です!!師匠を、師匠を呼んでください!!」

檻にくっつき必死に叫ぶが、勇儀は怒りながら何処かに行ってしまった。

簡素な作りのベットと申し訳程度のプライバシーのトイレ。

鉄格子の窓が一つあり、そこからどんどん風と雪が入ってくる。

さっきも言った様に善は絶賛全裸中!!当たり前だが牢に暖房などは無い!!

つまり!!すっごく寒い!!びっくりするほど寒い!!

 

そんな善に優しく話しかける存在が居た。

この牢に先に入っていた先輩だった。

 

「少年落ち着けよ?慌てたって良いこたぁ無いぜ?」

青いツナギ風の服を着たイイ男(額に角が有るから鬼だろうか?)善を慰める。

 

「はぁ、そうですね……」

最早自分に降りかかる不幸に慣れ始めた善、諦めの境地に近い物が有る。

どこか、苦笑い気味でそう話す。

 

「ところで少年……俺の頭の角、どう思う?」

突然の質問に善が、躊躇する。

 

「え?……いや、別にドウとは……」

 

「すごく――大きくないか?」

何処か期待するように男が静かにそうつぶやく。

この時!!善の第六感が激しく反応する!!

 

(あ、なんかやばい……ぞ?)

 

「なぁ。少年、ヤらないか?」

無駄に良い笑顔でコチラに近づいてくる!!

じりじりと、端に追い込むように近付いてくる!!

更に男はズボンに手を掛ける!!

 

「あ、アレですよね?『ヤらないか』って脱獄しないかって事――」

 

「よぅし!!思いっきり喜ばせてやるからな!!」

 

「う、うわぁああああああああ!!!???!!??」

*安心してください。

このヤらないか鬼ぃさんは野球拳が好きなだけの、善良な妖怪です。

別に襲っている訳ではありません。

 

 

 

 

 

数時間後……

「はぁい、善迎えに来てあげたわよ?」

檻の近くに、師匠が迎えに来てくれた。

どうやら、勇儀には話をもう既につけてくれていた様だ。

 

「あら、どうしたの?なんだかやつれている様に見えるのだけど?」

師匠が不安げに話すのだが、それも無理は無い。

善は何処か、耐えきったような顔で僅かに震えていた。

近くに、別の妖怪がボコボコにされ気絶しているが何か有ったのだろうか?

 

「ああ、師匠……私勝ちましたよ……絶対に負けれない戦いに勝ちましたよ……」

 

「そう、お疲れ様……」

師匠が何かを察し、そう話し善をねぎらう。

何処かやりきった顔で善が、檻の外に出る。

 

 

 

 

 

師匠の持って来た服を着た善が、地獄の街並みを歩く。

「今更だけど、あなたって何処でも不幸な目に合うのね?」

おかしくて仕方がないと言った様子で笑う。

 

「ええ、その事話したらにとりさんに真剣に、知り合いの厄神様紹介してくれるって言ってました……年明けたら行ってくるつもりです」

少し前の、友人の妖怪との会話を思い出す。

 

「ふぅん、あなた人間よりも妖怪とかのほうが相性いいのね」

からかうように師匠がそう言うのだが……

 

「ええ、残念ながら必要とされるタイプではないですからね。たぶん私がいなくなっても誰も気にしないでしょうね……それならいっそ、自由気ままな妖怪達の方が一緒に居て気が楽ですね」

何処か諦めに近い感情を持ちながら、善が自嘲気味に力なく笑う。

そんな態度に、師匠がさらに言葉を付けたす。

 

「善……そんなに自分を卑下してはダメよ。少なくても私はあなたに価値を見出したわ。ううん、私だけではないわね、芳香も善の事を大切に思ってくれてるわよ。さぁ、宿に戻りましょう?芳香にご飯を食べさせる仕事はあなたの役でしょ?」

 

珍しく善を気使う師匠の言葉に、善は少しだけ気持ちが楽になった。

 

「そうですね!!芳香が腹を空かせてますよね!!いきましょうか」

師匠に笑顔で微笑み返し、旧都の街を歩いて行く。

 

数分後……

 

「師匠!!見てくださいよ!!コレ何でしょうね?すごくかわいいですよ」

善が興奮気味に、話す。

その身には、薄らと炎の様な物を纏うデフォルメされたような髑髏がまとわりついていた。

不気味な気もするが、慣れてくると意外とかわいいかもしれない。

善が自分の右手の指先で、ソレを撫でる。

 

「善……ソレ、悪霊よ?憑りつかれるわよ?」

 

「へ!?」

笑を堪えた師匠の言葉に、善がピクリと反応し動きを停止させる。

 

「地獄ですもの、浮かばれない魂位居て当然――」

 

「散れ!!シッ!!シッ!!」

善が周りの悪達を振り払った!!

しかし尚も悪霊たちは善に近寄ろうとする!!

 

「良かったじゃない、悪霊にもモテるわね」

 

「こんなのにモテてもうれしくないです!!もっと美女になってから来いや!!」

悪霊を握ると共にパァン!!と音を立てて、悪霊が破裂した!!

 

「あら、珍し技持ってるのね……抵抗する力の応用で――」

善が悪霊を握り潰したのを見て、師匠が考察を始めた。

 

「ちょ!!師匠!!数が、数が増えてきました!!たす、助けてさーい!!」

善の助けを求める声が、再び地獄に響き渡った。

 

 

 

 

 

「うーん……」

 

「いでぇ!?」

布団でまどろむ善に、師匠の拳が容赦なくめり込む!!

 

あれから善たちは旅館に帰って何事も無く就寝したのだが……

 

(ああ、すっかり忘れてた……師匠は寝相が――痛!?……すさまじく悪いんだ!!)

三人川の字で寝ているのだが、何か有るたびに師匠の蹴りや拳が飛んでくる!!

更に師匠は酒をたらふく飲んでいたため、力加減がされていない!!

 

ボゴォン!!

とてもその細腕から発されたとは思えない怪力が、畳を打つ!!

アレを自分が喰らったらと考えると、背筋が凍る様だ。

 

(よ、芳香の方に逃げよう……)

意を決し、寝ぼけた師匠への偶然体が触れる等のトラブルを諦め芳香の方へ体を移動させる。

 

すーすーと、規則的な呼吸音が芳香から聞こえてくる。

寝相が悪くないのは善は知っているので、近くで枕を置くのだが……

 

「う……ぜ、善……」

一瞬名前を呼ばれたのかと、ビクリと体を強張らせるがどうやら寝言の様だった。

その後、夢の中とは言え自分が出てきているのがくすぐったく成るも、内容が気になり芳香の近くで寝言に聞き耳を立てる。

 

「ああ……善……善は、()()()()()()()()()()()

 

その言葉を着た途端!!体がさっきと違う理由で強張る!!

 

(食うなよ!!!なんで幸せそうに俺を食ってるんだよ!!)

夢に文句を言っても仕方ないとはいえ、何ともいえない気持ちになる!!

 

「うへへ……きれいなピンクだぞぉ……全部……食べてやるからな……」

尚も繰り返される夢の中の自分への暴行!!

大人しく自分の布団に戻ろうとするが!!

 

「ああん……!!」

ボゴォ!!

背中に衝撃!!

何が有ったのか確認したが、そこに居たのは師匠!!寝相が悪く転がってきたらしい!!

ガシィ!!

と善が寝ぼけた師匠によって捕獲される!!腕を掴まれるのだが凄まじく痛い!!

更に!!目の前には!!

「大丈夫だ……骨も……ちゃんとしゃぶって……」

芳香のカニバドリーム!!

 

見た目だけなら羨ましいだろうが!!

精神と体!!両方から攻撃を受ける!!

 

「二人とも……やめ……」

ひゅん……ぼごぉ!!

 

「内臓もうまいな~」

門前とキョンシー!!後門の邪仙!!

逃げ場は無い!!

 

善の悪夢は終わらない!!




くそう!!勇儀さんがあんまり出せなかった!!
見た目包容力マジぱねぇ!!

だが!!私はどっちかって言うとロリ鬼の方が好きなんだ!!
何時か出せたらいいな!!

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