うーん……満足!!
とりあえずひと段落したし。
コラボってやりたい人とかいます?
「はぁ、はぁ、はぁ……待って……待ってくれ!!はぁ、はぁ!!」
何処ともしれない場所で俺、詩堂 善は走っていた。
周りにはクリーム色の白い靄、足場は石が転がり所々に血の様に紅い彼岸花が咲いている。河が近いのか、水の流れる音がするのだが結局靄に閉ざされはっきりとは見えない。
視界を閉ざす靄、悪い足場、どこかも解らない場所で善は必死に走り続ける。
「待ってくれ……俺の、俺の、おっぱい!!」
「誰が待つかってんだい!!」
善の声に応じるのは自称死神の女!!なぜこんな事になっているかというと……
3行で説明しよう!!
①起きたら知らない場所!!
②自称死神(ボイン)が現れ、死亡を宣言!!「アンタ死んだよ」
③ショックを受けるも、死んだならもう何も怖く無い!!レッツ!!パイタッチ!!
↑今ここ。
「うおぉおおお!!死ごときで俺のおっぱいに対する情熱は止められねーぞ!!死神だろうと、閻魔だろうとナイスなサイズが有ればもみほぐしてやるぜ!!」
死を覚悟すれば人はこんなにも醜くなるのか……
読者の諸君もこうならない様気を付けていただきたい。
「うおおお!!俺の右手が真っ赤に萌える!!
「いやぁあああ!!四季様たすけてぇ!!」
ナイスなサイズの胸に触れる瞬間ゆっくりと善の身体が消え始めた。
「な、なんでだ!!後、後一センチ!!」
そうして喚く間もなく姿は完全に靄に溶けるように消えて行った。
嗅ぎなれない匂いがする、木の匂いコレはわかる、だが鼻に付く匂いはなんだろう?そう思いつつ善はゆっくりと目を開ける。
「アレ……ここ何処だ……?」
なんだか楽しい夢を見ていた気がするが、頭に靄が掛かったように思い出せない。
そうしていく間にもゆっくり善の意識は覚醒していく。
「確か命蓮寺で掃除してて……船から落ちて……葉っぱが燃えて、最後に池に……」
順番に頭の中で最後に覚えていた物事を順番に引き出していく。
記憶を漁っている最中、障子がスッと音もなく開いた。
「善!!ああ、良かったわ!!」
ガシッと頭を抱きかかえられる、この服に付いた匂いには覚えが有った。
「師匠?どうしてここに?」
それは善の師匠だった。いつもは不遜な表情をしている師匠の顔に珍しく隈が有り、心なしか肌も荒れている様な気がする。
「善、心配したのよ?あなた2日も目を覚まさないから……今、芳香を呼んでくるわね」
そう言って壁を通りぬけ消えて行った。
「ぜーん!!良かったな!!」
芳香も師匠と同じく泣きながら善に抱き着いてきた。
「良かったわね芳香、けどあんまり強く持っちゃダメよ?
「傷?」
その言葉を言われた途端思い出したように胸と腹が痛み出した!!
何事かと思い自身の身体を確認すると包帯が巻かれ、錆び臭い赤で染まっていた!!
「状況がわかっていないみたいだから、説明するわね」
そう言って師匠はゆっくりと今の状況について語りだした。
物部 布都の火によって全身を焼かれた善は、雲山によって池に投げ込まれる事によって火傷での死亡は回避できた。
しかし落下の衝撃と、布都自身の体重を胸と腹で強く受け止めたため、内臓と肋骨にダメージ(正確には解らないがこの状態で肋骨が3本ほど折れていた可能性が高い)が有り、池から何時まで経っての出てこれなかった。
運良く池の近くにいた村紗に池から救出されたが、口から大量の出血が見られ事態の重要性が理解出来た三人によって部屋に運ばれ永遠亭よりも場所が近い事を理由に、布都が師匠を呼びに行ったのだという。
「え……なんか思ってたより大怪我じゃないですか?」
思っていたよりもずっと大事になっていたため、善が驚きを口にする。
「大変なのはここからよ?あなた、折れた肋骨が肺に刺さってたみたいで、私が来たときすでに虫の息だったのよ?私大急ぎであなたの手術を始めたわ、お腹と胸を切って開けたんだけど……やっぱり重傷で、もう右の肺なんて使いものにならない状況だったのよ?腸の一部も破裂してて……大慌てで手術したのよ?苦労したわ」
疲れたようにその事を語る師匠。
善にとっては思いも依らぬ事態にだんだんと血の気が引いていく。
「え?……内臓破裂に右肺欠損って……一体俺の身体どうしたんですか!?」
恐怖半分興味半分で聴く。
「芳香のを移植したわ」
「はい?」
全くの予想外の言葉にフリーズする善!!師匠がとぼけたように返事を返す。
「そう、肺も移植したわね」
「ええええ!!いや、え?芳香の内臓を移植?なんでぇ?」
「だーかーらあなたの内臓の一部がダメになったからよ。芳香はキョンシーでしょ?実は家に交換用の内臓がいくつかストックしてあるのよ、その場に材料が無かったから芳香から借りたわ。あ、安心して?ちゃんと芳香には変えの内臓を入れてあるから」
いともたやすく行われるえげつない行為!!
師匠が穏やかな顔で微笑む!!これで内臓などと言っていなかったら惚れてしまうかもしれない!!
「お揃いだな!!」
その隣でうれしそうに芳香が笑う!!
Qこの二人はペアルックです。さて、何がペアルックでしょうか?
A内臓
嫌すぎるペアルック!!街角で聞かれたらドン引き必至!!
「あ!疑ってるわね?ちゃんと証拠のビデオも有るのよ?ほら」
そう言ってスカートの中からビデオカメラを取り出し画面を善に見せる。
「こ、このボタンを押せばよいのか?」
たどたどしい布都の声が聞こえてくる、姿が見えないからすると撮影をしているのは布都なのかもしれない。
「ええ、そうです。もう始まってるハズですわ、芳香こっちにいらっしゃい」
「おー」
「ほぉら。笑顔で映りましょうね、はい、笑ってー」
「笑うぞー」
そう言って内臓を露出させた善を挟み込むようにして、楽しげに二人でビデオを取っている!!
「師匠?なんでこんなに楽しげに二人で映ってるんですか!?プリクラじゃないんですよ!?ってゆうかスプラッター過ぎでしょ!!なんですかコレ!?弟子が内臓ダメになったからせっかくだから記念撮影ですか!?いい加減にしてくださいよ!!」
震えながら怒る善!!
無理もない気がする……
「あらぁ?私の実力を信じないの?もう何度も芳香を直してるのよ?いいかしら、私の手に罹ればこれくらい大したことじゃないの」
さも当然と言ったように言い放つ。
現金な話だが今生きている善本人が師匠の実力の生き証人である。
「まぁ……余裕って言うんならいいんですけど……」
「あ!そうだ善知ってる?あなたの薬指と芳香の人差し指ってほぼ同じサイズなのよ?」
いたずらを思いついた子供の様に笑う師匠!!その瞬間善は黙って自分の薬指を確認した!!
「あ……根元に……切った跡が……」
「気が付かなかったでしょ?」
「アンタ!!俺の身体で遊びすぎだろ!!何してんの!?完全に後の方遊んでますよね!?他に何かしました!?俺の身体に何かしました!?」
必至になって師匠に詰め寄る!!
「えーと……あとは……特に何もないわ」
「ホントでしょうね!?ホントですよね!!」
師匠の言葉が嘘でない事を切に願う善であった。
「さて……私は少し疲れたわ……休むから代わりに芳香をお風呂に入れてあげて頂戴」
そう言ってその場で背伸びをする師匠。
ヒョウヒョウとした態度だがやはり疲れは溜まっている様だった(なぜそこまでして遊んでたのだろう?)
「いや……師匠……お風呂って……」
「いつもは私が入れてあげてるのだけど……今回は流石にチョット疲れたわ……襲いさえしなければいいから……お願い」
そう言い切るとさっきまで善の寝ていた布団に倒れこみ、寝息を立て始めた。
残されたのは善と期待に満ちた目で見る芳香。
「……入れなきゃダメ?」
「ダメだ」
あっさりと善の希望は砕け散った!!
カッポーン
*お風呂と言えばこの効果音!!しかし一体何が「カッポーン」しているのだろうか?
「いいか?芳香、始めるぞ?」
「いいぞー」
手ぬぐいを顔に巻きつけた善が芳香に聴く。
流石にモロは不味いと思った善の苦肉の策である。
「もう少し上だー」
「解った……」
当たり前だが、芳香の関節の可動範囲では自分で服を脱ぐこと自体出来ない。
そのため善が脱がすしかないのだ。
ボタンを一つずつ外していく。
手探りのこの状況、神聖な寺の中でこんなことをしているという背徳感がどんどん出てくる!!
「もういいぞー」
「解った……」
するりと布が地面に落ちる音がする……
「次はスカートなー」
芳香の言葉に心臓が一瞬跳ね上がる!!
「お、おう……」
芳香の指示に従いゆっくりと手を下に下げ……
布の感触に触れ、力を籠めて……
「善!!眼が覚めたのだな!!心配しておったのだ……ぞ?」
勢いよく脱衣所の扉が開き布都が飛び込んできた!!
そしてフリーズ!!
「おっと……すまん。情事の最中だったか……1時間ほどで出直そうか……」
そう言って帰ろうとする布都を全力で止める!!
「いやー!!良かった!!丁度、人手が欲しかったんですよ!!布都様、すいませんが芳香を風呂に入れてやってください!!お願いします!!」
そう言って善は脱衣所から逃げるようにすがたを消した。
先ほどまで善の寝ていた部屋
師匠が規則正しい寝息を立てている。
その近くを何かが横切ろうとして師匠に捕獲される。
「乙女の寝顔を盗み見るなんて……失礼なねずみね……」
師匠の手の先には灰色のねずみがつかまっていた。
そして師匠は自分の髪をまとめている鑿を引き抜き、ねずみの目の前にあてがう。
「出てきなさいな?どこかで見ているのでしょう?この子が一生何も見えなくなっても良いなら構いけど?」
そう言ってゆっくりと鑿をねずみの黒い目に近づけ……
「やめてくれ!!」
障子が開き小柄な少女が入ってくる。
「こんばんは、命蓮寺のねずみさん?」
入って来た少女 ナズーリンに柔和な笑みで話しかける。
「くっ……!」
「私が善を治療している間もチョロチョロしてましたね、何か私に御用かしら」
尚もねずみに鑿を突きつけながら話す師匠。
「…………」
「あらぁ?だんまり、仕方無いですわね」
そう言って手に持った鑿を垂直に立て、その上からねずみをゆっくり近づける。
ねずみの口に鑿の先端が入れ、ねずみを重力に従わせゆっくりと手を下に下げていく。
「解った!!話す!!話すからその子を離してくれ!!」
遂にナズーリンが口を開く。
「アイツが気になったんだ……」
「善の事?」
「そうだ、アイツが2日前の朝僅かだけど力を見せた……アイツは何なんだ!!あの力は!!アンタが与えたのか!!」
ナズーリンにしては珍しく語気を荒げる。
それに対し師匠はいつもの様に真意の読めない態度で答える。
「あの子は、ただの外来人ですわ。芳香が偶然見つけて、あの子がどうしてもって頼むから弟子にしてあげたしただけです、後はぜーんぶあの子の自前の力……いったい外でどんな生活をすればあの性格であの力が付くんでしょう?不思議ですわ……だけどとっても面白いの」
「面白い!?あんなモノが!?」
「ええ、とーっても。でもまだあの子自体、自分の力に気が付いてないし使いこなせはしない……ゆっくり時間をかけて私の手で育てるんですの。あの子が完成したら幻想郷は面白い事に成りそうね、けどズーット先……その日がとても楽しみ」
邪仙はまるで生まれてくる我が子を慈しむように、善に思いをはせた。
「ふははは!!お前をわが軍団の改造人間にしてくれるわ!!」
今でも思い出す私の初めての『萌え』……
相手の意志を無視し改造する。という斬新な発想は私に何かを目覚めさせるには十分だった。
改造!改造!!改造!!!なんて素敵な響き!!
というわけで作者はガンプラとか結構好きです。
人体改造はちょっとハードルが高い……