学校暮らしは大変です。   作:いちちく

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長らくお待たせいたしました。(土下座)
いやホントもう申し訳ないです。エタる気満々でした。
というか今も分かんないです。(爆)
取り敢えずやれるだけやってみようかなぁ、なんて。
あ、毎度の如く次話は未定です。


●7

 

 

 

 月21日目( )No.19

 

 ふと窓の外を見ると太陽が昇り始めていた。

 あれ、いつの間に夜が明けたんだ……?

 オレはまだ寝た記憶もないんだが。いったいどうなってやがる。

 気付けばソファーには二霧の奴も座ってるし。そこはオレの寝床だよさっさとどけっつの。

 そう言っても、奴はどくこともなくニヤニヤと締まりのない笑みを浮かべるだけだった。

 

 何だか凄く懐かしい笑顔だった。

 いつぶりだったっけ……こいつの笑ったとこ見るの。

 ……ダメだ、思い出せん。

 頭が少し痛む。

 

 何だか目が冴えてしまってマトモに頭が働かないので、今日はもうソファーで寝ることにした。

 明日からまた頑張ろう。

 

 

 

 

 

 月 22日目( )No.20

 

 結局眠れなかったのでそのまま起きていた。朝日が目に眩しい。

 朝食の席に向かうとなんだか驚かれたようだ。

 言われてみれば、オレも朝食をとるのは随分と久しぶりな気がする。

 何でだろう……特に空腹を感じてはいないから、ちゃんと毎日食事はとっていたと思うんだけど。

 考えていても分からないので、取り敢えず飯を食べた。コーンフレークもなかなかどうして悪くない。

 

 そういえば、やけに丈槍さんがはしゃいでいた。

 今日の授業のこととか、部活のこととかを色々とみんなに話していたみたいだ。

 ああ、そういや作ったね、学園生活部。

 どうやら今日はその活動第一日となるようだ。

 

 ところで、学園生活部の活動っていったい何をやるのだろう。

 サバイバル技術を身に付けるための何か……とか?

 めぐや若狭さんに聞いてみたが、特にまだ決めていないらしい。

 

 こういうのはノリと勢いとテンションさえあればなんとかなるもんだよー!と祠堂さん。

 一応何か決めてから活動した方が良いのでは……と直樹さん。

 

 この二人はこんなにも対照的なのに、とても仲が良い。

 いや、寧ろ対照的だからこそ仲が良いのだろうか。

 こう、お互いがお互いの足りないところを補い合えるような関係を求めている、とか、そんな感じ。

 うん、互いを高め合えるような人がいるのは良いと思う。

 オレにも二霧がいることだし。正直二霧がいなければ今のオレは無かったと思う。

 一応感謝してるんだぜ? ありがとな。

 

 ちなみに、第一回目の活動は乾パンを食べながら駄弁るだけで終わった。

 ……いいのか? それで。

 

 

 

 

 月23日目( )No.21

 

 今日も丈槍さんは元気だ。

 なんというかこう、元気過ぎだ。

 ようやく元の生活に近いような毎日が送れるようになって嬉しいのは分かるが、もう少し落ち着きを持って欲しい。いや、明るいのは良い事なんだけどね?

 ただまぁ、その辺は直樹さんや祠堂さんが上手くコントロールしてくれてるようだ。はしゃぎ過ぎを諌めたり、逆に丈槍さんが嫌いな勉強をさせてあげたり。

 この二人がいるだけで、だいぶ皆安定してきた。本当に助かる。

 オレが何もできない分、特に。

 

 いつも本当にありがとうとお礼を言うと、二人口を揃えて大したことはやってない、って。

 本当にいい子達だなぁ……。

 今度なにか美味しいお菓子でも作ってあげよう。クッキーとか。

 あんまり物資には余裕がないが、問題はない。足りなくなったら買ってくるだけだし。

 そう言うと恵飛須沢さんから「何処にそんな店があるんだ」と的確なツッコミが。

 ……それもそうだ。

 まあ、買えなくても取ってこれるし、あながち間違ったことは言ってない!

 

 必至にそう弁解すると、なんだか気味の悪いものでも見たような視線が降ってきた。

 すまんね、おっさんの醜態見せちゃって。

 

 

 

 夜になると、めぐが部屋にやってきた。

 いわく、働きすぎじゃないかと。

 ちゃんと睡眠時間取ってる? と言われた。

 

 そう言われてみると、ここ数日眠った記憶がない。

 いつの間にか気を失ってることは良くあるんだが、きちんとソファーで寝た覚えがない。

 

 そう言うと、有無を言わせずにソファーに押し倒された。

 そして自分もソファーに横たわり、眠るまで絶対にここから逃がさない、と。

 めぐらしからぬ強い口調で少し驚いた。

 まあ結局本人が先に眠ってしまったが。

 こうして書く音をさせながら日記を書いていても全く起きる気配がない辺り、疲れていたのはどうやらめぐのようだ。

 こいつも結構無茶する性質だし、知らぬ間に色々ため込んでいたらしい。

 お疲れさん。

 いつの間にか結構遅くなってしまったし、今日はオレももう寝ようと思う。

 

 

 

 

 月24日目( )No.22

 

 結局一秒たりとも眠れなかった。

 なんでだろう。不眠症の気は無かった気がするんだが。

 あれか、めぐが隣寝てるから意識して眠れなかったとかそんな感じか。

 無意識のうちに意識するってどうなんだろう。文章的にもいろいろ変だし、そういう事ってあるんだろうか。

 ……わからん。

 分からないことをいくら考えたところでそれは時間の無駄にしかならない。

 考えるのやめやめ。

 朝飯食おう。

 

 

 

 今日の学園生活部の活動は手紙を出すことだった。

 別に郵便局に行って手紙を頼む訳じゃない。購買にあった風船と理科部のヘリウムガスを駆使して手紙を遠所に送り届ける、ボトルメールみたいなものだ。

 中身はSOSなんだが。

 というかそもそもこれを受け取る人……いるのか?

 運良く自衛隊の駐屯地に届けば話は別なんだが、恐らくその可能性はほぼ無いだろう。

 ……まあ、気休め程度にはなるだろうから、いいか。

 

 恵飛須沢さんが風船の代わりに鳩を飛ばそうとして、頑張って捕まえていた。餌まで使って。

 わざわざそこまでする必要があったのかどうかは甚だ疑問だが、本人たちが楽しそうなので何も言わないことにした。

 珍しく直樹さんも捕獲に参戦していた。動物が好きらしい。意外な一面だった。

 

 

 

 晩飯の後、若狭さんに呼び出された。

 大丈夫ですか、と聞かれた。

 大丈夫って、何がだろう。

 分からないならいいですとは言われたが、やはり気になる。

 頭が、ってことなのだろうか。いや若狭さんに限ってそんな辛辣なことは言わないはず。

 となると……やはり体のことなのだろうか。

 そんなに、オレは酷い顔をしているのだろうか。

 まずいな。もっとしっかりしなきゃいけないみたいだ。

 確かに、ここ最近気が抜けるような感じがあったからなぁ。知らぬ間に緊張が緩んでいたらしい。

 これではいけない。気を付ける事にしよう。

 

 

 

 

 月25日目( )No.23

 

 日記の書き方を忘れて少しまごついてしまった。

 久しぶりという訳でもないのに書き方忘れるってどうなんだろう、俺。

 まあいいや、しっかり書けたから無問題ってことで。

 

 今日は起きてそのままあいつらの殲滅に向かった。

 今日の殲滅で大分一階のあいつらも片付いてきたみたいだ。

 後二、三回もやれば根絶やしに出来るだろう。

 もう少しだ。もう少しでこの学校からあいつらを皆殺しに出来る。そうすりゃ、仁の仇も取れるってもんだろう。

 楽しみだ。その日が来るのが。

 その日が来たら、きっとめぐも安心して眠れるに違いない。

 

 シャワーを浴びた後、ツインテールの子に怒られてしまった。

 やり過ぎだって。そんなこと続けてたら、いつか取り返しがつかないことになるって。

 恵飛須沢さんだっけ、確か。子供はそんなこと気にしなくていいのに。

 大人にどーんと任しときなさい、って言ったら、頬を張られた。かなり痛かった。

 何故だろう、解せぬ。

 

 もしかしてふざけているように見られてしまったのだろうか。

 いやいや、俺大真面目だからね?

 

 俺には俺にしかできないことがある。

 力仕事もそうだが、汚れ仕事もそうだ。

 もしまた平穏な日常を手にすることが出来る、そんな日が来たとき。

 彼女たちが元に戻れなくなるなんて、そんな事態が起きてはならない。

 だから、俺がやるしかない。

 

 そのことを分かって欲しいが、多分ムリだろうなぁ。あの様子じゃ。

 まあいいや。分かってもらえなくても、特に問題はないし。

 俺がやるべきことは至ってシンプル。

 あいつらを一人残らずぶっ殺す。ただそれだけだ。

 

 

 

 

 月26日目( )No.24

 

 誰だコイツ。

 俺って、誰だ?

 俺は確か、高校生の時以来じゃないか?

 オレは、俺なのか?

 ……ああ、くそ、分からん。落ち着け。

 今重要なのはそっちじゃない。

 そっちも問題だが、それは後回しだ。

 

 自衛隊からラジオ放送があった。

 

 曰く、一週間後に救助を行うらしい。

 無事だったヘリコプター一機で、この街の一番でかいショッピングモールの屋上に来る。

 その時に救助希望者は来るように、だと。

 

 正直に言って勘弁してほしかった。

 

 助けが来るのは確かに喜ばしい事だ。違いない。

 だが、問題は救助人数だ。

 

 オレ達は現在七人いる。

 だが、自衛隊のヘリってのは、型にもよるがだいたい収容人数の限界は六人。

 どう頑張っても一人余る。

 無論、ヘリの操縦手以外にも隊員はいるだろうから、もしかするとそれより少なくなるかもしれない。

 つまり、全員はどうやっても助からないという訳だ。

 

 そして更に、移動中の問題もある。

 この街で一番でかいショッピングモールというのは、ここからかなり離れた場所にある。

 車で行けば、この状況下なら二日もかければ着くだろうが、それまでにあいつらの群れに襲われる可能性は決して低くない。

 さらに、無事に着いたとしてもそこから先の問題もある。

 

 屋上に行く必要があるからだ。

 

 このショッピングモールは丁度『あの日』に、芸能人を呼んでのトークショーを開催していた。

 そこにはまず間違いなく人が大量にいたはずだ。そして当然、今もいるだろう。あいつらとなって。

 エレベーターは動いていないだろうから、オレ達はそこに階段を使っていかなければならない。

 

 あいつらの群れを突破して。

 

 普通に考えて無理ゲーだ。

 そして、そこを乗り越えても、全員が救助されるわけではない。

 

 リターンに比べてリスクがデカすぎる。

 

 

 だが、この機を逃せば次はいつ救助が来るかも分からない。

 

 それまでにくたばる可能性だってあるし、そもそもこれから救助が来ない可能性だってある。

 

 どうしても行く必要があるが、だがしかし危険すぎる。

 

 行く道中で死ぬかもしれない。

 

 でも行かなきゃ。

 

 

 

 ああもう。

 

 

 どうしろってんだよ、くそったれ。

 

 

 

 

 


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